『バカヤロー!4 YOU!お前のことだよ』:1991、日本

第1話は田舎村のペンション“スワローズ”が舞台。都会からやって来た若者グループに対して、オーナーの小西は勝手に部屋割りを決めて男女同室を禁止し、その後も身勝手を繰り返す。トランプゲームで小西に金を巻き上げられた若者達は逃げ出そうとするが、見つかってしまう。
第2話は異常な潔癖症のサラリーマン・白石が主人公。越後湯沢から東京の会社に通っていた白石は、部長に懇願されて妻と共に東京の社宅に引っ越すが、汚れた空気や満員電車に悩まされる。彼から食品の成分表を記憶するよう指示された妻は、何もかもが不潔に見えるようになってしまう。
第3話は香港からやってきた男・ホイが主人公。彼の父親が土地成金だと知った若い女が、彼に声を掛けてくる。相手が金目当てとも知らず、本気で恋をして彼女とデートを重ねるホイ。そして彼は、女に騙されて高額の印鑑や車などを買わされてしまう…。

監督は太田光(第1話)&加藤良一(第2話)&明石知幸(第3話)、脚本&製作総指揮は森田芳光、企画&製作は鈴木光、プロデューサーは青木勝彦&三沢和子&杉崎隆行、撮影は前田米造、編集は奥原好幸、録音は橋本文雄、照明は矢部一男、美術は大嶋修一、音楽は東京おとぼけCATS(第1話)&近田春夫(第2話)&久米大作(第3話)。
第1話の出演は春風亭小朝、眞行寺君枝、後藤直樹、春風亭あさ市、川添法臣、松永光代、比嘉ひとみ、田中裕二、萩原正人ら。第2話の出演は沢田研二、松田美由紀、大久保鷹、岩松了、石丸謙二郎、尾藤イサオ、伊佐山ひろ子、蛭子能収、ひさうちみちお、ら。第3話の出演はユン・ピョウ、原久美子、イッセー尾形、寺田農、李思行、ハッサン・ジャヒール、ダリオ・ポニッシ、アハメッド・アブド・サイードら。


森田芳光が脚本と製作総指揮を務める“バカヤロー!”シリーズの第4作。
これまでの3作は4話構成のオムニバスとなっていたが、今回は3話構成。
タイトルは順に、『泊ったら最後』『カラダだけの男』『サギるなジャパン』。

第1話は、小西が主人公のように描かれているのが引っ掛かる。
彼にイライラさせられる宿泊客の内の1人が主人公であるべきだ。
小西がイヤな奴というより、気持ち悪い奴なのはダメだろう。
行動が大げさすぎるのもダメ。
ホラーの出来損ないみたいな作風もダメ。

第2話は、白石を主人公にしたのが失敗。
白石のイライラの原因は、周囲よりも彼自身の異常な潔癖症にある。
だから、彼の潔癖症に悩まされる妻を主人公にすべきだった。
実際、なぜか途中から主役が妻に変わってしまうのだが、彼女が白石に感化されておかしくなっていくという展開はダメだろう。

第3話は、ユン・ピョウが全編に渡ってカタコトの日本語で頑張っている。
だが、それだけ。
ユン・ピョウをキャスティングしただけあって、終盤に少しだけアクションシーンがある。
だが、完全に取って付けた感じだし、そこへの流れも無いので全く盛り上がらず。

このシリーズ、1話ごとに監督が違うわけだが、監督云々よりも脚本がダメ。
本来は「主人公がイライラを募らせて最後に“バカヤロー!”と怒りを爆発させる」というテーマがあったはずなのに、「映画を見た観客がダメな内容に“バカヤロー!”と怒りを爆発させる」という形になってしまっている。

どの話も、主人公がイライラを募らせていく流れは全く無い。
怒りの爆発さえマトモに成立していない。
オチがオチとして成立していないのは第1作から続いていることだが、第4作目ともなると、もはやオチを付けようという気も無いらしい。
この作品のサブタイトルは、製作者サイドに叩き付けられるべきだろう。

 

*ポンコツ映画愛護協会