『忍たま乱太郎 夏休み宿題大作戦!の段』:2013、日本

刀鍛冶の六道辻ヱ門は、家に代々伝わる妖刀・極楽丸をキクラゲ城の家老・切羽拓郎に見せていた。それを持つ者は天下を制すと言われてきたが、魔性の刀であるゆえ、六道は闇に葬りたいと考えていた。そこで彼はキクラゲ城の若様である木耳良兼の承認を得るため、切羽に相談を持ち掛けたのだ。しかし切羽は「これは私が頂こう」と告げ、慌てて止めようとする六道と弟子を叩きのめして立ち去った。
忍術学園一年は組の乱太郎、きり丸、しんべヱは、夏休みを大いに満喫していた。川遊びを楽しんでいた3人は、釣りをしている学園長と遭遇した。しかし宿題である『忍たまの友』について問われ、すっかり忘れていた乱太郎は狼狽する。学園長は3人に、「宿題を提出しないと、冬休みまで地獄の講習が続くそうだ」と言う。きり丸から夏休みは今日で終わりだと聞かされ、乱太郎はうろたえた。
切羽はドクタケ忍者隊の頭である稗田八方斉の元へ行き、「天下を取るお方でございます」と極楽丸を献上する。切羽は八方斉を持ち上げ、忍術学園を攻め落としてほしいと依頼した。彼らの密談を、フリーの忍者である山田利吉が密かに観察していた。まるで宿題の進まない乱太郎は、しんべヱから誰かの宿題を写せばいいと提案される。学級委員長の庄左ヱ門を頼ろうと考えた2人は、道端で倒れていた六道に呼び止められた。
アルバイト中のきり丸、担任の土井半助先生が立て続けに通り掛かると、六道は忍術学園へ連れて行ってほしいと頼む。土井はドクタケ忍者に気付き、追い掛けて捕まえようとする。しかし援護しようとした乱太郎の石つぶてを食らい、その間に逃げられた。乱太郎たちは六道を無視し、その場を去ろうとする。しかし「残った水を全部買う」と六道が金を差し出したので、きり丸は喜んで忍術学園へ案内した。一行が忍術学園に入ると、新学期のはずなのに事務員の小松田以外は誰もいなかった。
乱太郎たちが不思議に思っていると、四年は組のタカ丸が「まだ夏休み中だから。新学期は10日後」と告げる。一年は組は学級委員長以外は誰も宿題をやって来ないだろうから、10日早く新学期が始まることにして補習をすると、先生たちが話していたのだと彼は教えてくれた。そして他のクラスメイトは既に宿題を提出し、帰った後だった。土井が補習を始めようとすると、実技担当教師の山田伝蔵がやって来た。彼は乱太郎たちに、ドクタケ城からあちこちの墨屋に大量の注文が来ていることを話す。墨は火薬の材料であり、戦の準備をしていることは濃厚だった。
学園長は乱太郎たちを呼び寄せ、六道が極楽丸を切羽に奪われた一件を話す。そこへ利吉が駆け付け、極楽丸が八方斎の手に渡ったこと、一の砦で代官の横槍入十郎が戦の軍資金と共に守っていることを知らせた。さらに彼は、八方斎が天下取りに邪魔な忍術学園を襲うつもりであることも報告した。それを聞いた六道は、「それはおかしい。天下を取るにはキクラゲ城を攻めねば」と言う。極楽丸を鞘に収めると鍵が掛かり、それが無ければ単なる棒切れなのだと彼は語る。鍵は2つあったが、1つは六道が処分し、もう1つはキクラゲ城主の持兼が持っているのだ。
学園長は乱太郎たちに、ドクタケ忍者隊から極楽丸を取り戻すよう命じた。彼は忍術学園の警備を強化するため、夏休みを取っている先生と上級生を呼び戻そうと決める。土井はタソガレドキ忍者隊の雑渡昆奈門が潜んでいるのに気付いて格闘するが、知り合いである乱太郎は笑顔で挨拶した。昆奈門が去った後、乱太郎、きり丸、しんべヱ、土井、六道、タカ丸はドクタケ城・一の砦へと向かう。学園長は先生と上級生に知らせるため、狼煙を上げた。
乱太郎たちは砦に忍び込もうとするが、しんべヱの失態で土井、六道、タカ丸が敵に発見される。3人が敵に追われている間に、乱太郎、きり丸、しんべヱは砦へ入り込む。ドクタケ忍者隊の雲鬼を退治した乱太郎たちは、横槍を騙して極楽丸の隠し場所を突き止めた。そこへ奥女中に化けて潜入していた山田が駆け付け、しんべヱが極楽丸を盗み取った。極楽丸はフリーの忍者である北石照代の手に渡るが、簡単に鞘から抜けたために偽物だと発覚した。
八方斉は「ここにあるのが本物だ」と言って現れ、得意げな様子で極楽丸を構える。だが、彼が持っていたのも偽物だった。本物を持っているのは切羽だったが、鞘から抜けないことを知った。横槍が八方斉に激怒する中、乱太郎たちは一の砦から逃げ出した。ドクタケ忍者隊が追って来るが、六年い組の潮江文次郎、六年は組の善法寺伊作、六年い組の立花仙蔵、四年ろ組の田村三木ヱ門が助っ人に駆け付けた。一方、切羽は忍者の天日文津丸に、六道を見つけて連れて来るよう命じた。
山田は「ひとまず学園に戻るぞ」と指示するが、乱太郎、きり丸、しんべヱは「嫌です」と拒否し、極楽丸があるであろうキクラゲ城へ行くことを訴えた。3人は真贋を確認できる六道を連れて、キクラゲ城へ向かった。しかし川で水を汲んでいた乱太郎と六道は、文津丸と忍者隊に捕まってしまう。学園長は八方斉と昆奈門を呼び寄せて三者会談を開き、全ては天下取りを企む切羽の策略だと話す。彼は八方斉に、「切羽を油断させるために忍術学園を攻めてくれ」と持ち掛けた。昆奈門は空のドタクケ城を攻めないと約束した。
三者会談の後、学園長は山田と上級生たちを集め、夜明けと共に切羽の野望を阻止する作戦を決行すると宣言した。そして彼は六年は組の食満留三郎に対し、ある任務を命じた。一方、文津丸は六道を拷問して鍵のありかを聞き出そうとするが、白状させることが出来なかった。翌朝、使命を帯びた山田と伊作が出発し、ドクタケ忍者隊は忍術学園へと乗り込んだ。しかし実際に襲撃するわけではなく、まるで襲撃しているかのように音を立てるだけだった。
ドクタケ忍者隊が忍術学園を襲撃したという報告を受けた文津丸は、「我が忍者隊に知らせよ。このキクラゲ城を、いつでも攻撃できるようにしておけとな」と手下に命じた。城を出た忍者を尾行した利吉は、トフンタケ領へ入るのを確認した。留三郎は一年は組の佐武虎若を訪ねて事情を説明し、佐武衆の協力を要請した。虎若の父である鉄砲隊の頭領・佐武昌義は、その場で快諾した。火縄銃の名手である照星も、彼に従った。一方、牢に入れられた乱太郎は、隣に収監されている男が気になった。乱心者と聞かされていたが、そんな風には思えなかったのだ。そして彼は、その男がキクラゲ城の元家老・常光寺与ヱ門であり、切羽に陥れられたことを知る…。

監督は田崎竜太、原作は尼子騒兵衛「落第忍者乱太郎」朝日出版社刊、脚本は池田政之、企画は中沢敏明、製作統括は岩原貞雄、製作は濱名一哉&寺田篤&遠藤茂行&宮田一幸&加藤直次&木下直哉&安田正樹&坂井宏先&町田智子&篠崎充&加藤徹、エグゼクティブプロデューサーは田代秀樹&池田隆一、チーフプロデューサーは厨子健介&白石統一郎&岡田有正、プロデューサーは須藤安芸子&高崎稔千&進藤盛延、撮影は長谷川光徳、照明は土居欣也、録音は山本研二、美術は龍尾和人、編集は乾栄司、殺陣は中村健人、VFXスーパーバイザーは小林真吾、音楽は佐橋俊彦。
出演は加藤清史郎、林遼威、神月朱理、内博貴、芦屋小雁、螢雪次朗、寺田農、曽我廼家文童、池田政典、佐川満男、西田健、永澤俊矢、栗塚旭、赤塚真人、前内孝文、一木美貴子、松田岳、山崎将平、根岸拓哉、伊藤尚輝、石田直也、寺井竜哉、田中光樹、林聖也、南部綜汰、細田龍之介、大八木凱斗、鈴木勝吾、黒川英二、大島遥、福本清三、東山龍平、佐野泰臣、川島拓、奥深山新、尼子騒兵衛、TERU、安藤彰則、澤田祐衣、田中良子、野々村仁、木下通博、柴田善行ら。


2011年の映画『忍たま乱太郎』の続編。
「仮面ライダー」シリーズの田崎竜太が監督を務めている。
脚本を担当したのは、TVドラマ『柳生十兵衛七番勝負』シリーズの池田政之。主に劇作家として活動している人で、映画脚本は初めて。前作から続投しているキャストは、乱太郎役の加藤清史郎、きり丸役の林遼威の2名のみ。良兼を寺田農、持兼を曽我廼家文童、常光寺を池田政典、横槍を佐川満男、切羽を永澤俊矢、六道を栗塚旭、佐武を赤塚真人、尊奈門を佐野泰臣が演じている。
前作から引き続いて登場するキャラクターは多いが、大幅な配役交代が行われている。しんべヱは木村風太から神月朱理、土井は三浦貴大から内博貴、大川は平幹二朗から芦屋小雁、山田は寺島進から螢雪次朗、八方斉は松方弘樹から西田健、小松田は白石隼也から前内孝文、食堂のおばちゃんは古田新太から一木美貴子、昆奈門は谷原章介から東山龍平、利吉は木村遼希から鈴木勝吾、照星は三津谷亮から黒川英二に交代している。生徒役の顔触れも一新されている。

前作の興行成績が芳しくなかったこともあって、製作費は減っている。
それに伴って、前作と比較すると、ギャラの高い有名役者を揃えることが難しくなったという事情はあるだろう。しかし、それだけを理由に出来ないような配役交代も多く見受けられる。
たぶん製作サイドは、あまり「なるべく前作と同じキャストを揃えよう」という意識なんて全く無かったんだろう。
ひょっとすると、加藤清史郎さえ続投すれば、他はどうでもいいってな感じだったのかもしれない。
「出来る限り前作の主要キャストを揃える」ということが、続編映画において、いかに訴求力として大きいかというのを、あまり考えていなかったようだ。

まず冒頭シーンの描写からして、雑だと感じる。
六道は極楽丸が魔性の刀だと分かっており、だから闇に葬りたいと考えたはず。それなら、なぜ切羽に極楽丸を渡すのかと。彼が極楽丸に魅入られる危険性なんて、簡単に予想できたはずでしょ。
一方、切羽の方は、何食わぬ顔で「若様に見せるために預かる」と騙してポッケナイナイすれば良さそうなものだが、荒っぽい方法で刀を奪い去るのは「妖刀に心を操られてしまったから」という風に解釈すれば受け入れられる。ただ、妖刀を奪っておきながら、それを使って六道と弟子たちを斬らず、殴るだけで済ませるってのは違和感が強い。
終盤に「極楽丸は持つと無性に野菜が切りたくなる刀である」というオチが用意されており、だから切羽が六道たちを斬らないのは筋が通っているとは言えるけど、冒頭シーンで無駄な違和感を抱かせることは確かなわけで。
誰かが「なぜ切羽は極楽丸を手にしたのに六道と弟子たちを斬らなかったんだろう」という疑問を提示しておいてくれたら、それはオチに繋がる伏線になるからOKなんだけどさ。

乱太郎たちと六道が出会うシーンは、無駄にゴチャゴチャしている。
まず、しんべヱが乱太郎の近くを走って来て転倒し、道端に倒れていた六道が下敷きになる。
そこは「2人が六道に全く気付かず、さっさと行こうとする」というところで、笑いとしては成立している。だから、六道がしんべヱの足を掴み、2人が彼の存在に気付いたところで、もう一段落させるべきなのだ。
ところが、しんべヱのクシャミで鼻水まみれになった六道が水を所望し、きり丸が「水はいかがですか」と現れるというシーンに繋げ、そこに土井が駆け付けて六道に気付き、ようやく六道と乱太郎たちの関係が前に進む。
それは明らかに、1のシーンに色んな要素を盛り込み過ぎている。
きり丸がバイトをしている説明なんて、そこで無理に入れなくても、何とでもなる。っていうか、そもそも最初から「3人が庄左ヱ門の元へ行く途中で六道と遭遇する」という形にでもすれば、その方がスッキリする。

土井がドクタケ忍者に逃げられた後、いつの間にか現れたタカ丸が六道の髪型を変えて、乱太郎が「お爺さんの代からの髪結い」と説明するのも、余計なことだと感じる。
それって前回と同様、「登場人物が多すぎる」ってことだ。
そりゃあ原作にしろ、TVアニメ版にしろ、ものすごく大勢の登場人物がいる作品だし、なるべく出番を与えたいってのは分からんでもない。
だが、そこで急にタカ丸が登場しても、違和感が強い。

どうせチョイ役だろうと思っていたタカ丸が、一の砦に到着するまでは乱太郎たちと一緒に行動するので、まあ一応は前述したキャラ紹介もOKっちゃあOKだろう。
ただし、そもそも「タカ丸がメイン3人組とドクタケ城・一の砦へ向かう」という設定自体、どうなのかという気はするぞ。そこまでフィーチャーするようなキャラかなあ。
それよりも、メイン3人と土井に絞り込んで、そいつらのキャラ描写を厚くした方がいいんじゃないかと。
だけど、それ以降も大勢のキャラがゾロゾロと登場するんだよなあ。その一方で、乱太郎、きり丸、しんべヱというメイン3人の存在感がどんどん薄くなっていく。

忍術学園に入ると事務員の小松田が登場し、乱太郎のナレーションでキャラクター紹介が行われる。でも、そういうのが入る度に流れが止まるし、わざわざ紹介するほどの存在意義がある連中でもない。
その一方で、学園長や八方斉のような重要キャラは紹介されないのよ。
だったら、チョイ役の連中を紹介するために時間を割く必要も無いんじゃないかと。
きり丸が登場人物の名前と役職の看板を持つバイトをしており、「アルバイト代を出している人」として原作者の尼子騒兵衛が1カットだけ登場する楽屋落ちは、好きか嫌いかで言うと好きだけどさ(好きなのかよ)。

そもそも、夏休みから始まる話だから仕方の無い部分はあるんだろうけど、「普段の忍術学園の様子」が全く描かれず、初めて忍術学園が写し出されると「誰もいない」という普段とは異なる状態になっているってのも、話の作り方として、どうなのかと。
そりゃあ前作で「忍術学園の日常」は描いているけど、だからって「1作目でやったから充分でしょ」とは思わないぞ。
とりあえずは「忍術学園の日常」を描いてから、非日常へ突入した方がいいと思うんだよなあ。
それと、誰もいないわけじゃなくて小松田は登場するんだから、なんで乱太郎たちは彼に「人の姿が見えないんですけど」と質問しないのか。

六道が相談のために忍術学園へ行くのは不可解だ。
そもそも彼はキクラゲ城の若様に極楽丸の処分を願い出ようとしていたはずなんだから、それを奪われたら、まずはキクラゲ城に知らせるべきじゃないのか。
っていうか、六道は忍術学園を訪れた時に「良兼様と図り、極楽丸を処分することに決めたが、切羽拓郎に奪われた」と説明しているんだよね。
もう良兼のOKが出ていたのなら、なんで切羽に見せて「若様の承諾が欲しい」と相談する必要があったのかと。

切羽が八方斉に極楽丸の偽物を渡したのは、「それが本物だと見せ掛け、邪魔な忍術学園を襲わせるため」と考えれば、理解できなくもない。
しかし、偽物だとバレた直後、切羽が「今頃は八方斉め、ほえ面かいておろうの」と言うシーンが入るのは、筋が通らない。
偽物だとバレたらマズいはずでしょ。本物だと思っているからこそ、八方斉は忍術学園を襲うわけで。
まだ忍術学園の襲撃が実行されていないわけで、その段階で偽物だとバレるのは切羽にとって望ましくない状況のはずでしょ。
っていうか、極楽丸は「それを手にすれば天下を取れる」という刀なんだから、八方斉を騙して忍術学園を襲わせる必要性も、ホントは無いはずなんだよね。

「良兼が67歳なのに若様」という説明は無駄な手間だと感じるし、笑いに繋がっているわけでもない。
それは原作の設定ではあるんだけど、だったら原作に登場しないキャラにしちゃってもいいんじゃないか。
それと、乱太郎が良兼について「前に一緒に盗賊を捕まえたことがあるんです」と言うんだけど、それも前作の内容ならともかく、そうじゃないんだぜ。
それも原作での設定なんだけど、映画版だけだと何のこっちゃ分からないわけで。そういう設定を持ち込むのは、映画として不細工だわ。

乱太郎たちが雲鬼と遭遇した時に「ドクタケ忍者隊の、ウンチだ」と言い、ウンキがガクッとなってから「ウンキだ」と訂正するシーンは、そもそも「そこに登場した奴は雲鬼である」ってことが事前に紹介されていないので、ギャグとして成立しない。
原作やTVアニメを知っていれば、外見だけで「こいつは雲鬼だ」と伝わるかもしれないけど、「原作やTVアニメを知っている」という条件付きじゃないと成立しないギャグをやるってのは、映画として不誠実だと思うぞ。
だけど、この映画、そう感じさせる描写が多いんだよなあ。「前作を見ている」というだけではダメで、あくまでも「原作やTVアニメを知っている」というハードルをクリアしないと理解できない描写が幾つも盛り込まれているんだよなあ。
ファンへのサービスとして、原作やTVアニメを知っている人なら分かるような小ネタを挿入するのは、一向に構わないと思うのよ。ただ、メインの部分でその手のネタを多用するのは、違うんじゃないかと。

それは登場人物にも言えることで、例えば北石照代なんかも急に登場するから違和感たっぷりだし、何のために出て来たのかも良く分からない存在だ。
ただし、大島遥は格闘アクションの出来る女優なので、「北石照代を登場させない」という選択肢を取るべきだとは思わない。そうじゃなくて、「もっと存在意義のある形で北石照代を使う」という話を構築すべきだったと思うぞ。
例えば、極楽丸が目的であることを隠して嘘をつき、乱太郎と常に行動を共にするポジションにするとかね。
この映画で数少ない女性キャラなんだし、もっと上手く使った方がいいと思うのよね。

アクションシーンになると、どうしても乱太郎、きり丸、しんべヱを活躍させることが出来ず、脇役の面々がメインになってしまうという問題が生じる。
しかも、この映画ってアクションシーンが多いんだよね。まあ田崎竜太を監督に起用しているぐらいだから、そういう構成にするのはプロデューサーの意向なんだろう。
映画としての盛り上がりを作る必要性を考えても、乱太郎たちがヌルい喜劇をやっているだけでは厳しいので、格闘アクションで見せ場を作ろうってのは理解できる。ただ、前作に引き続いて「乱太郎が主役としての立場を失っている時間帯が多い」という問題が生じているわけで、そこは何とかすべきでしょ。
脇役の活躍シーンを用意するのはいいとしても、そのせいで主役の存在感が薄れてしまったら本末転倒だ。
例えば、前述したように照代を「乱太郎と常に行動を共にする」という役回りにして、彼女が戦う時にも乱太郎が近くにいて、ヘマをして迷惑を掛けたり、時にはサポートしたりする形にすれば、「アクションシーンで乱太郎の存在感が薄れる」という後述する問題も、少しはマシになるんじゃないかと思うけどね。

(観賞日:2015年1月11日)

 

*ポンコツ映画愛護協会