『なにわ忠臣蔵』:1997、日本
銀竜会に属する浅野組の若き二代目組長浅野は、彼を目障りに思う吉良組組長から盃事の席で嘲笑され、殴り掛かってしまった。本家から処分を受けた浅野だったが、料亭からの帰りに吉良組の鉄砲玉に撃たれ、死亡する。
浅野組若頭だった大石は「落とし前は必ず付ける」と約束し、復讐に燃える組員達を抑える。若頭の小田に脇田組の盃を受けさせ、組員達に堅気の生活を始めさせ、自分もサラリーマンとして働くことにする。全ては組の再興を考えての行動だった。
しかし戦争を起こす気が無いことを見せたにも関わらず、銀竜会本部から浅野組の再興は認めないという通達が来る。大石はついに仇討ちを決意。しかし月日が経ち、組員達の事情も変わっていた。仇討ちをするために大石の下に集まったのはわずか5人。彼らは吉良との戦いに向かった…。監督は萩庭貞明、脚本は友松直之、製作は尾川匠、製作補は本橋孝夫、企画は伊藤秀裕、プロデューサーは服巻泰三&木戸田康秀、撮影監督は三好和宏、編集は菅野善雄、録音は矢野勝之、美術は佐々木敬、凝斗は高瀬将嗣、カー・アクションは海藤幸広、音楽は小倉祐一、音楽プロデューサーは大輪好男。
主演は岩城滉一、共演は長門裕之、鶴見辰吾、大和武士、今井雅之、白竜、竹内力、哀川翔、香川照之、藤原喜明、夏八木勲、松田勝、榊原利彦、庄司哲郎、西守正樹、山口祥行、石塚英彦、螢雪次朗、佳那晃子、川上麻衣子、安永亜衣、小川範子、正司花江、三角八朗、大竹一機、山崎裕太、牛尾田恭代、坂田雅彦、長岡尚彦、豊島稔ら。
お馴染みの『忠臣蔵』を現代の極道社会に置き換えたヤクザ映画。大石を岩城滉一、吉良を長門裕之、堀内を鶴見辰吾、森を大和武士、小田を今井雅之、浅野を竹内力、脇田を夏八木勲、石垣を松田勝、磯部を庄司哲郎が演じている。
製作会社はKSS。
というわけで、竹内力、哀川翔、白竜、香川照之といったKSS製作のVシネマで活躍する俳優が勢揃いした、いわばKSSオールスター映画なのである。ところが実はこの4名、非常に登場シーンが少ない。顔見せ程度の出演。
ほとんど詐欺のような状態。有名な「忠臣蔵」をベースにしているだけに、ホントに出来の悪さが目立つ。流れを大雑把に描写してしまうし、何よりテンポがヌルい。
限られた時間の枠にかなり多くの内容を詰め込む必要があるのだから、もっとテンポアップでいかないと。無駄な場面を描いている場合じゃないって。綿密な計画や念入りな準備も無いから、討ち入りの日に向かって盛り上がっていくわけでもない。何より酷いのは、討ち入りに行くのがたった5人の上に、討ち入り日が4月4日。雪なんて降ろうはずもない。
感動とかカタルシスとか、完全にゼロですわ。しかも、相手が幼い孫娘と一緒にいるところを狙うんですぜ。それはイカンだろ。でも、大阪の庶民は帰ってきた大石達を暖かく迎える。んなわけ無いじゃん。
だって所詮はヤクザ同士の抗争ですぜ。感情移入なんて出来る訳無いだろうに。
同じキャストで他の作品を撮った方が良かったんじゃないのかねえ。