『中指姫 俺たちゃどうなる?』:1993、日本

五月目玉雄は農家の息子。自衛隊を辞めて田舎へ帰ってきたが、彼は都会に出ようと考えていた。一方、松平金次郎は音楽教師。だが憧れの女教師が学校でエッチしているのを見てショックを受け、教師を辞めて田舎を出ようと思い立つ。2人とも、なぜかニューヨークへ行こうと決意する。
香織は暴力団・金山組の組長の養女。大物暴力団組長の息子と見合いをさせられることになったが、ホテルで待っていたのは息子ではなく組長本人。大金を見せられ、迫られた香織。金の入ったアタッシュケースを持って逃げ出した。
ホテルを出た香織は通り掛かったリムジンバスに乗って逃亡。それは成田行きのバスで、玉雄と金次郎も乗っていた。バスにはピストルを持った男も乗っていて、バスジャックを決行。ところがその男、香織の知り合いだった。
香織がピストルを取り上げ、駆け付けた千葉県警の桜木によって男は逮捕。彼に手を振った香織だが、その手にはピストルが。桜木に睨まれ、隣にいた玉雄にピストルを投げて逃げ出す香織。巻き込まれる形で、玉雄や金次郎も逃げ出した。
桜木達が追ってくる中、3人はなぜか一緒に逃げるハメに。ところが逃げる途中、偶然によって様々な事件を起こしてしまい、凶悪犯になっていく3人。そんな中、香織の弟が心臓病の手術を受けることを知り、玉雄と金次郎は香織と共に病院へ向かうのだが…。

監督は堤ユキヒコ、脚本は遠藤察男、製作は佐藤光夫&須崎一夫、企画は秋元康、撮影は柳島克己、編集は奥原好幸、録音は井上宗一、照明は高屋斉、美術は及川一、音楽は辻陽&ブラザー・ケンケン&ブラザー・シェル、音楽監督はブラザー・コーン。
出演はブラザー・トム、ブラザー・コーン、田中律子、原田芳雄、ポール牧、横山道代、穂積隆信、天本英世、倉田保昭、神戸浩、大友康平、大仁田厚、久保田利伸、左とん平、田代まさし、桑野信義、コロッケ、ヒロミ、松本伊代ら。


まず「3人が逃げるハメになる」というきっかけが弱い。普通の説得力もないし、バカさ加減も薄い。「なぜ3人で一緒に逃げるのか」という部分も同じく。
別に明確な理由が無くても、それを超えるバカっぽさがあればOKなのだが、そこまでの思い切った開き直りも見えない。

「ついてない」奴らが、そのせいで様々なトラブルを起こしてしまうということの連続。そういう話。でも笑えない。なぜなら、「ついてない」ことの見せ方がヌルいから。
メインの芝居にも大きな問題はあるしね。特に3人の中心になるブラザー・コーンの芝居は、かなりラズベリーだ。

例えば一つのことをきっかけに、ドミノ倒しのように災難が連続するという形なら、もう少し面白かったかもしれない。しかし、一つの場所で一つの災難と出会い、また次の場所へ移動する。
つまり、災難に連続性が無く、ブチブチと全て切れているのである。スピード感もテンポもヌルいので、その「ブチブチと切れている」ことが非常に目立つ。

ロード・ムービーとしての面白さもないし、追いかけっこの面白さもない。三流コントのような演出がワザとなのかどうかは分からないが、全く笑えないことは確かだ。
とにかく有名人がたくさん登場し、わずかな時間の出演で消えていく。彼らは内容とは関係ない。それなのに、自己主張だけは強い。「こんなに有名人が多く出てますよ」ということを、イヤミなぐらい主張する。

たぶん、製作者達は「お楽しみ会」の感覚で作ったんだろう。
だから映画もそのレベル。

 

*ポンコツ映画愛護協会