『トラさん 僕が猫になったワケ』:2019、日本

33歳の高畑寿々男は書店へ行き、浦上栄剛の人気漫画『おねがい龍馬様!』が何冊も平積みにされて大きなPOPが出ているのを見た。彼は不快感を示し、自分が描いた漫画『ネコマン』と店主に内緒で入れ替えた。寿々男が去った後、気付いた店長は「またかよ」と呆れた。寿々男の一人娘で小学生の高畑実優は、授業参観日に「私のじまんの家族」というテーマの作文を読んだ。彼女は父が人気漫画家で、連載の締め切りに追われているので今日は来られないと告げた。しかしクラスメイトの男子たちは、『ネコマン』の連載が5年前に終わっていること、最近はブラブラしていることを指摘した。
実優が男子たちに嘲笑されていると、寿々男がパチンコで手に入れた景品を抱えて教室に入って来た。男子たちが「不審者」と馬鹿にすると、彼は呑気な様子で受け入れた。実優は「来ないでって言ったでしょ」と文句を言うが、寿々男は意に介さなかった。帰り道、実優は野良猫を拾い、アパートへ連れ帰った。しかし猫が大嫌いな寿々男は、飼うことを絶対に認めようとしなかった。野良猫が窓から逃げ出すと、寿々男は大喜びした。実優は打ち切りになった『ネコマン』の最終回を描けば11巻が出ると告げるが、寿々男は拒絶した。パートで家計を支える妻の奈津子は、ギャンブル三昧の日々を過ごす寿々男に何の怒りも抱いていなかった。
寿々男は編集部へ出向き、担当編集者の桜木亜子と会う。桜木は彼にコンペが中止されたことを話し、連載枠が1つ空くはずだったが浦上が「やっぱ自分が描く」と言い出したことを明かす。浦上は寿々男の同期で、多くのテレビ番組にも出演する人気者だった。『ネコマン』の最終回を描いて11巻を出そうと桜木が促すと、寿々男は「いつまでもネコマンネコマン言われるのが嫌なんだよ。あんなの、売れそうだったからチャチャッと書いただけ」と拒む。彼は新作のネームを見せるが、桜木から浦上の漫画に酷似していると指摘された。寿々男は「俺だって当てたいんだよ」と逆ギレするが、『ネコマン』を描くことは断固として拒否した。
2月3日、寿々男は奈津子の目を盗み、箪笥を探って封筒に入っていた1万円を盗んだ。気付いた実優から泥棒呼ばわりされると、寿々男は10倍になって帰ってくると宣言して家を出た。彼は競輪場へ行き、1万円を9万7千円に増やした。帰り道に浮かれた彼は誤って紙幣を道路に落としてしまい、慌てて拾いに行く。そこへトラックが走って来て、寿々男は死亡した。アパートで帰りを待っていた奈津子は電話を受け、寿々男の死を知らされた。
寿々男が目を覚ますと無機質な空間にいて、目の前には裁判長がいた。裁判長は彼に、人生を終えた人が次の人生に入る前に訪れる関所のような場所だと説明する。裁判長は「1人ずつと面談して向かうべき先を決めている」と言い、寿々男の問題点を指摘した。彼は寿々男に、「過去のささやかな栄光に溺れ、家族のために一生懸命働くわけでもなく、楽をして人生の逆転を夢見ていました」と告げる。そして彼は判決として、「反省も後悔も無い貴方は、罰として元の世界に戻り、今までの愚かな行いを挽回するものとする。その期間は1ヶ月。そして、その姿は猫とする」と言い渡した。
寿々男はトラックにひき殺された現場に落下し、猫の姿になっていることを知った。その夜、彼は野良猫の溜まり場へ行き、実優が拾った猫と再会した。寿々男は不良の猫たちに絡まれ、暴行を受けた。空腹の彼はコンビニに入ってピザまんを注文しようとするが、店員に追い払われた。翌朝、公園のダンボール箱で起床した彼は、飼い猫のホワイテストに声を掛けられた。寿々男が「昨日まで人間だったんだよ」と言っても、ホワイテストは全く驚かなかった。
寿々男が「猫って、どうやって生きていきゃいいんだ?」と口にすると、ホワイテストは「誰かのお世話になるべきね。行くべきトコがあるはず」と述べた。寿々男がアパートへ行くと、多くの弔問客が来ていた。中に入ろうとした寿々男は、浦上に追い出された。その夜、実優が寿々男を見つけてアパートに連れ帰り、食事を与えた。奈津子が飼うことを許可すると、実優はトラさんと名付けた。通夜の日に現れたのだから父の生まれ変わりではないかと実優が言い出すと、奈津子はキッパリと否定した。
翌日から実優は、トラさんの写真を何枚も撮ってSNSにアップするようになった。寿々男は働かなくても済む猫の生活を、ノンビリと満喫するようになった。しかし数日が経つとキャットフードにも飽きてしまい、彼はホワイテストに外食先の紹介を頼んだ。ホワイテストが彼に教えたのは、奈津子が働いているスーパーのゴミ箱だった。スーパーの裏口へ赴いた寿々男は、奈津子が倒れているのを発見した。彼は慌てて従業員に知らせ、救急車が到着した。寿々男は同行しようとするが、救急車から追い出された。
寿々男はアパートに戻って実優に事情を知らせようとするが、もちろん言葉は通じない。そこへ何事も無かったかのように、奈津子が帰宅する。彼女が妊娠したことを教えると、実優は大喜びする。しかし「これでまた3人家族だね」と奈津子が笑うと、実優は暗い表情になる。その夜、寿々男は実優が『ネコマン』の続きを描いているのを見た。それはネコマンの正体が寿々男で、実優が心配で見守っていたことを明かす内容だった。さらに物語は続き、実優が「赤ちゃん要らない」と塞ぎ込むコマも描かれた。
翌朝、寿々男が「猫だと何も出来ない。1日でいいから人間に戻してくれ」と裁判長に呼び掛けると、一瞬で関所に移動した。出産費用を稼ぐために人間に戻してほしいと彼が訴えると、裁判長は却下した。裁判長は早く挽回するよう指示し、「期限は明日まで。それを過ぎると貴方は死にます」と告げて寿々男を公園に戻した。寿々男はホワイテストから、パパと呼んでいる飼い主が病気なのにどうすることも出来ないと聞かされた。寿々男はホワイテストに、「とりあえず黙って傍にいてやれよ」と助言した。
その夜、実優は奈津子に、寿々男かが死んでから一度もヘコまず、ずっと笑っていると告げる。明日は仕事を休んでほしいと彼女が頼むと、奈津子は「急には休めない」と告げた。翌朝、奈津子が仕事に出掛けた後、実優はいなかった。遊びに出掛けたのだろうと軽く考えた寿々男は、実優が描いた『ネコマン』の最終回を見つけた。それはネコマンがパパの姿に戻り、天国へ飛び立つ彼を実優が追い掛ける内容だった。実優が死ぬつもりではないかと焦った寿々男は、慌ててアパートを飛び出した。
寿々男が思い出の展望台に行くと、実優の姿があった。寿々男が歩み寄ると、実優は「ここにいたら、パパ、迎えに来てくれるかな?」と言う。自殺する気だと確信した寿々男は、制止しようとして落下した。無事で安心した実優に、寿々男は「今日でお別れなんだ。今までゴメンな」と告げる。すると実優は、「赤ちゃんが可哀想。ウチみたいな貧乏な家で。全部、パパのせいだよ」と漏らした。帰宅した実優が心配していた奈津子と抱き合う様子を眺めた寿々男は、その場を静かに離れた。
寿々男はホワイテストと会い、飼い主と別れた出来事を聞かされる。ホワイテストは彼に「最後の最後に罪滅ぼし出来たのかな。やっと分かったわ。どんなにダメな人生でも、その人にしか残せない物があるって。だからトラさんも絶対に諦めちゃダメ」と語り、姿を消した。その夜、奈津子は実優に「パパの遺言、聞きたい?ママが勝手に思ってるだけなんだけど」と前置きし、連載で多忙な時期に寿々男が「俺がいなくなったら、俺の代わりに毎日、実優のこと笑わせてやってくれよな」と語っていたことを教えた。その話を聞いて、実優は奈津子が寿々男の死後も笑顔を絶やさなかった理由を悟った。
奈津子は不意に泣き出し、「そんなの無理に決まってるじゃん。自分だけさっさと死んじゃって。ロクな金も残さないで、思い出ばっかり残して」と口にする。彼女は寿々男のおかげで辛くても笑っていられたと語り、実優と抱き合った。2人の話を聞いていた寿々男は、人間に戻してほしいと願った。裁判長の元に移動した彼は願いを却下され、残り3時間だと通告される。寿々男は「アンタ、人か生まれたトコ、見たことあんのか。俺は見たよ」と言い、実優が生まれた時のことを語る。彼は「あれは奇跡だ。俺は奇跡のお返しがしたいんだ。それにやっと見つけたんだ。あいつらに残したい物」と言い、「それは何ですか」と問われて「漫画だよ」と即答する。「俺にはそれしか無い。『ネコマン』の11巻を出したい」と寿々男が訴えると、裁判長は彼を人間の姿でアパートに戻した…。

監督は筧昌也、原作は板羽皆『トラさん』(集英社マーガレットコミックス刊)、脚本は大野敏哉、製作は村田嘉邦&藤島ジュリーK.&加太孝明&水野道訓&吉田尚子、企画・プロデュースは小松重之&明石直弓、アソシエイトプロデューサーは大畑利久、ラインプロデューサーは原田耕治、撮影は黒石信淵、美術は佐藤希、照明は松村志郎、録音は赤澤靖大、編集は河村信二、音楽は渡邊崇、主題歌『君を大好きだ』はKis-My-Ft2。
出演は北山宏光、多部未華子、平澤宏々路、バカリズム、要潤、飯豊まりえ、富山えり子、井端珠里、大津尋葵、一ノ瀬ワタル、八城嵩司、石坂晋輔、金山仁、名倉央、兵頭秀明、林田麻里、藤川トシキ、佐野憲彦、藤原智之、多田昌史、岡田夏海、藤本かえで、矢崎まなぶ、武田良輔、広瀬圭祐、コーシロー、阿部恍沙穂、石黒由莉ら。


板羽皆による漫画『トラさん』を基にした作品。
監督は『美女缶』『Sweet Rain 死神の精度』の筧昌也。
脚本は『私の優しくない先輩』『海月姫』の大野敏哉。
寿々男&トラさんを北山宏光、奈津子を多部未華子、実優を平澤宏々路、裁判長をバカリズム、浦上を要潤、ホワイテストを飯豊まりえ、桜木を富山えり子が演じている。
トラさんは、北山宏光がキグルミを着た姿で演じている。他の猫たちも、ホワイテストの飯豊まりえなど、やはりキグルミ姿の人間が演じている。

北山宏光がキグルミ姿で他の登場人物と絡むシーンが次から次へと出て来るのだが、そのせいで違和感の強い描写が多くなっている。何が違和感に繋がるかっていうと、それは人間の視線や動き。
人間サイドからすると、トラさんは自分より遥かにサイズの小さい猫のはずだ。だから、トラさんが地面を歩いている時は、必ず視線が下へ向くはずだ。そしてトラさんに触ろうとする時は、しゃがんで手を下げることになるはずだ。
しかし実際は自分とサイズが変わらない北山宏光を相手にしているので、視線も手も下に向かないのだ。
あと、トラさんが車の側面に映る自分の姿を見るとか、カレンダーをめくろうとするってのも、位置の高さを考えると絶対に無理な行動だぞ。

この問題を解消する方法は、何も難しくない。本物の猫を使い、その声を北山宏光に担当させればいいだけだ。
どうしても「キグルミ姿の北山宏光」の出番を設けたいのであれば、それと本物の猫のシーンを使い分ければいい。
トラさん視点のシーンはキグルミ姿の北山宏光に演じさせて、人間視点のシーンは本物の猫を使えばいい。
そうすれば、前述した「人間がトラさんを見たり触ったりする時に生じる問題」は解消される。

ただ、北山宏光やKis-My-Ft2のファンを呼び込むためなら彼の出番を増やすことは必要だろうが、それ以外でキグルミのシーンを用意するメリットが何も思い浮かばないのよね。
北山宏光に限らず飯豊まりえにも言えることだが、キグルミ姿の人間が登場するシーンは、ただ陳腐さを感じさせるだけになっているのだ。
ただし勘違いされたら困るけど、それはキグルミを使う演出が絶対にダメってことじゃないからね。
表現の方法の問題だからね。

寿々男は『ネコマン』を「自分が描きたい漫画じゃない」と言い、続きを描くことを拒否している。なのに書店で『おねがい龍馬様!』と置き場所を入れ替えて『ネコマン』を宣伝するのは、矛盾しているでしょ。他の漫画で売れようとしているのなら、まだ『ネコマン』を売ろうとするのはおかしいでしょ。
あと、自分が売れなくなって焦りや嫉妬心があるのは分かるけど、浦上だけに強烈な嫉妬心を示すのは何なのか。なぜ彼だけが標的なのか。
同期という設定だけど、それだけで終わっているんだよね。
しかも浦上の存在意義って、恐ろしいほど薄いのよ。トラさんに変身してからは、葬儀のシーンで少し絡むだけで、それ以降は全く出て来ないし。

実優は授業参観に来た寿々男に文句を言い、アパートに戻ってからも文句を付ける。しかし本当に嫌っていたら、嘘をついてまで「自慢の家族」として作文で紹介しないだろう。お絵描き勝負を挑むのも、完全に仲良し親子としての風景だ。
そして奈津子もギャンブルばかりで全く漫画の仕事をしていない寿々男に愚痴ることは無く、仲良く暮らしている。
寿々男はギャンブルで勝っているし、奈津子もギャンブルの才能があると認めている。だから、家の金を使い込んでギャンブルに狂っている印象も無い。
自分勝手ではあるかもしれないが、徹底的に糾弾されるような男には見えない。

裁判長は「過去のささやかな栄光に溺れ、家族のために一生懸命働くわけでもなく、楽をして人生の逆転を夢見ていました」「反省も後悔も無い」と、寿々男を厳しく批判する。
だけど、家族が幸せなら別にいいんじゃないかと思ってしまうのよね。
ただ、ホントなら裁判長が問題点を指摘した段階で、観客も同意できなきゃダメなはずなのよ。
「家族の幸せを考えず、ワガママばかり繰り返している最低な男」として見えなきゃダメなはずなのよ。

寿々男は新作のネームを桜木からパクリだと指摘された時、「俺だって当てたいんだよ」と言う。
当てたい一心で浦上のネタは平気で真似をするくせに、『ネコマン』だけは頑固に拒否する。5年も漫画から遠ざかっている状況なのに、それでも『ネコマン』の続きを描こうとしない。
それは「意地を張っている」ってことなんだろうし、理屈としては分からんでもない。
ただ、説得力がどうなのかと考えてみると、ちょっと厳しいモノはある。

それは置いておくとして、とにかく寿々男は漫画を描く情熱を完全に失っているわけではない。『ネコマン』が嫌だというだけで、新作を描こうとする意欲は持ち続けているようだ。
ただ、その一方でギャンブル三昧の日々を送っている様子が描かれると、あまり上手く整合性を持たせることが出来ていないと感じる。
「新作を描きたいけどアイデアが浮かばず、だからギャンブルに走る」ってことなら、桜木に新作のネームを自信満々で見せるのは変だし。
あと、猫に変身すると「働かなくても済む猫は最高」と喜んでいるけど、そうなると「漫画を描く意欲も無かった」ってことになるし、やっぱり整合性の部分に問題が生じている。

寿々男がトラックにひかれると、奈津子が電話を受けて彼の死を知らされる様子が描かれる。そこからカットが切り替わると、事故現場で倒れている寿々男がが出血する様子が描かれる。
でも、これは変だ。まだ寿々男が病院に搬送されていないのなら、奈津子に死亡の連絡が行くはずはないでしょ。寿々男が猫として元の世界に戻るよう通告され、トラさんの姿で事故現場に落下するのも、これまた変だし。
あと、寿々男はトラックにひかれたのだから、つまり加害者がいるわけで。でもトラックの運転手が事故を起こした直後に戻って来た様子は無いし、それ以降も全く出て来ない。
加害者の存在が完全に無視されているのは、大いに引っ掛かるぞ。

寿々男が猫の姿で現世に戻った後、そこからの流れが無意味に慌ただしくて、ものすごく雑だよ。
自分が猫だと受け入れたわけじゃないはずでしょ。それなのに、なんで野良猫の溜まり場に行っているんだよ。どういう経緯で彼が野良猫の溜まり場に移動したのか、それは全く分からないし。
っていうか自分が猫だと受け入れるか否かって問題を抜きにしても、なんで真っ先に家族の元へ戻ろうとしないのか。それは全く理解できない感覚だわ。
あと、溜まり場で登場する野良猫たちは、以降は二度と登場しないのよね。だから、「何だったのか、そのシーン」と言いたくなる。
で、暴行を受けた寿々男はガード下みたいな場所で倒れ込んだのに、翌朝になると公園のダンボール箱で目を覚ましている。これも、どういう経緯があったのかサッパリ分からんぞ。

裁判長は寿々男に「罰として元の世界に戻り、今までの愚かな行いを挽回するものとする」と言うのだが、何がどう罰なのかがサッパリ分からない。
それに、寿々男は何も罰だと感じないまま猫としての暮らしを満喫しているのに、それを裁判長は放置しているし。
もし挽回できなかったら、どういう報いを受けるのかも全く教えてくれないし。
後になって「明日を過ぎたら死にます」と通告するシーンはあるが、どっちにしても死ぬことは確定事項だから、それは挽回できなかった報いにならないし。

奈津子が実優に「パパの遺言、聞きたい?」と問い掛けるシーンがあるが、寿々男は事故で即死しているようだから、遺言など残せるはずもない。
奈津子は「ママが勝手にそう思ってるだけなんだけど」と言うが、最後に会った時に話していた言葉を遺言と受け取るのも無理がある。
で、どういうことかと思っていたら、まだ『ネコマン』連載中に寿々男が発した言葉を「遺言」と解釈しているのだ。
それは無理があり過ぎるだろ。そこで「もし俺がいなくなったら」と寿々男が言い出すのも無理があるし。

終盤、裁判長は寿々男の願いを聞き入れ、残り3時間のタイミングで彼を人間の姿に戻す。
だけど、裁判長は「罰として元の世界に戻り、今までの愚かな行いを挽回するものとする」ってことで、猫の姿にしたんでしょ。それなのに寿々男の願いを聞き入れて人間に戻したら、罰でも何でもなくなるでしょうに。
猫の姿で挽回させることに、現世へ戻す意味があるはずでしょうに。自分で設けたルールを自分で破壊して、何がしたいんだよ。
そもそも、そこまでの物語において、寿々男を猫にした意味なんて皆無に等しいんだよ。だからこそ、せめて罪滅ぼしをさせるシーンぐらいは、猫であることに意味を持たせなさいよ。

裁判長は寿々男を人間の姿でアパートに戻すが、「そんなことしたら妻子に見られて大変なことになるだろ」と思っていたら、すぐ実優に見つかっている。それを「夢だと思わせる」ってことで処理しているけど、いや無理があるだろ。
あと、そこを「父娘の別れのシーン」として感動的に盛り上げようとしているけど、ルールを無視した無法地帯になっていることが引っ掛かって涙腺はピクリとも動かないからね。
で、最後は「成長した実優が漫画家として活動している」ってのを見せるけど、完全なる蛇足。
そんなのを見せるより、別れのシーンの締め括り方を丁寧にやろうぜ。そこ、すんげえ雑になってるぞ。

(観賞日:2022年5月3日)

 

*ポンコツ映画愛護協会