『敦煌』:1988、日本

中国は宋の時代、天聖4年。趙行徳は開封で行われた科挙に挑んでいた。だが彼は西域で勢力を拡げつつある新興国・西夏への対策問題に答えを出すことが出来ず、試験に落ちてしまった。落ち込んで街を歩いていた彼は、一人の西夏の女に出会う。
西夏女は騙されて男に売られそうになっていた。自ら顔と体を傷付けてそれを拒もうとする西夏女。行徳は女を助ける。彼女から西夏が何もかも新しい国だと聞いて興味を抱く行徳。助けたお礼に通行証を貰った行徳は、西夏に向かうのだった。
旅の途中、西夏の兵隊狩りによって捕らえられてしまった行徳は、朱王礼の率いる漢人部隊に参加させられてしまう。戦の続く中で、行徳はウイグルの王女ツルビアと出会った。やがて2人は愛し合うようになっていく。
行徳は西夏の皇太子・李元昊の目に留まり、西夏文字習得のために西夏の都イルガイへ向かうことになった。1年で帰るはずだったが、辞書を作るために3年を費やしてしまった。ツルビアは元昊と政略結婚させられそうになるが、身を投げて自殺してしまう。
ショックを受ける行徳を、王礼は敦煌へ向かわせた。そこにある様々な経典や美術品に目を奪われる行徳。だが、元昊が敦煌を攻撃してきた。王礼は元昊と戦うことを決意する。しかし西夏の軍勢の攻撃は凄まじく、漢人部隊は敗色濃厚となる…。

<以下はタイトルロールから。配役表記有り> 監督は佐藤純彌、原作は井上靖(徳間書店刊)、脚本は吉田剛&佐藤純彌、総指揮は徳間康快、統括は小暮剛平、製作顧問は春名和雄、 製作は武田敦&入江雄三、製作補は山本洋&森繁&郡進剛、プロデューサーは結城良煕&馬万良&佐藤正大、撮影は椎塚彰、編集は鈴木晄、 録音は橋木泰夫、照明は梅谷茂、美術は徳田博&冠鴻烈、衣裳デザインは柳生悦子&田代洋子、プロローグ タイトルクレジットはソウル &イレーヌ・バス、題字は飯島春敬、ナレーターは大滝秀治、音楽は佐藤勝。
出演は西田敏行、佐藤浩市、中川安奈、三田佳子、田村高廣、渡瀬恒彦、新藤栄作、原田大二郎、柄本明、綿引勝彦、蜷川幸雄、 鈴木瑞穂、辻萬長、頭師孝雄、頭師佳孝、伊藤敏八、竹村晴彦、松村冬風、加藤和夫、高島基朗、鳥木絢人、天田益男、重水直人、 高橋成悟、池上尚吾、澤山雄次、矢山治、佐々木文夫、山田明郷、森岡隆見、木村栄、長沢遼、鞆森祥悟、宮坂ひろし、夏坂祐輝、 小林和之ら。


映画化は不可能だと言われていた井上靖氏の原作を、立派に映画化してみせたのは見事だ。この映画を完成させるために徳間康快はかなり苦労したようだし、彼の執念は評価する。
45億の製作費、10万人のエキストラ、足掛け5年の製作年数。ものすごい大作だ。

出演者も徳間の気合いに負けず、頑張って熱演している。決して楽な撮影環境とは言えない中で、メインとなる西田敏行と佐藤浩市が歴史の渦に翻弄される男の姿を演じ切る。戦闘シーンにもスケールの大きさがある。
みんな頑張ってるよ。

ただね、頑張ったのは分かるけど、映画として面白くないんだな、これが。長くて退屈で眠くなる。娯楽の「ゴ」の字もありゃしない。
日本の歴史ならまだしも、これって中国の歴史物語。しかも、それほど有名な事件を扱っているわけではない。だからなのか、何が描きたいのか全く分からんのよ。

そもそも、こんな難しい話、中国の歴史に興味がある人ならともかく、普通の日本人にはなかなか理解できないでしょ。
難しいから説明のための語りが入る。でも、それでも難しいことに変わりは無いのよ。無理して理解しようと思えるほど、魅力的な話にも感じないし。

 

*ポンコツ映画愛護協会