『富江 replay』:2000、日本

腹部が異常に肥大した少女が、森田病院に運び込まれてきた。病院長の健三や医師の立花が緊急手術を行い、腹部を切開する。すると、切り開いた腹部から女の生首が現れた。生首は目を見開き、「私は富江」とつぶやいた。
森田病院に入院している佐藤文仁は、見舞いに来た友人の武史に、病院の看護婦が次々に辞職し、病院長が失踪したという話をする。文仁がトイレに行っている間に、武史の前に全裸で助けを求める女性が現れる。その女は、富江だった。富江をアパートに連れ帰った武史は、彼女の魅力の虜となってしまう。
森田由美は、失踪した父・健三の行方を探していた。そんな彼女は立花から健三のノートを手渡され、直後に立花が飛び降り自殺をする。健三のノートには、富江という名前が記されていた。知り合いになった由美と文仁は、富江を探し始める。
武史は独占欲から富江を殺害するが、彼女は復活する。由美と文仁は、アパートの押し入れで震えている武史を発見する。だが、武史は精神に異常をきたしていた。やがて由美の元に健三が戻ってくるが、彼も普通の状態ではなかった…。

監督は光石冨士朗、原作は伊藤潤二、原案は尾西要一郎、脚本は玉城悟、製作は土川勉&松下順一&横濱豊行、企画は武内健&加藤東司&三宅澄二&平田樹彦、プロデューサーは清水俊&尾西要一郎&東康彦、協力プロデューサーは金民基&相原英雄、撮影は山本英夫、編集は宮島竜治、録音は武市英生、照明は金沢正夫、美術は内田哲也、特殊メイクはピエール須田、音楽は遠藤浩二。
出演は山口紗弥加、宝生舞、窪塚洋介、遠藤憲一、冨樫真、松尾政寿、菅田俊、金久美子、モロ師岡、北村実友希、由良宜子、黒田詩織、木村明子、小出華津、奏谷ひろみ、蒼和歌子、戸川曉子、諸岡雪絵、吉岡麻由子、鈴木裕美、石井亜希子、美彩都円、伊藤潤二、ガッポリ建設、梛野素子、ボブ鈴木、山田幸伸、村田和也、平野晴久、城戸光晴、藏内秀樹、隈部洋平ら。


漫画家・伊藤潤二が生み出したホラー・ヒロイン“富江”が登場する作品。
1999年の『富江』に続く第2弾。
ただし富江が登場するという以外、ストーリーとしての関連性は全く無い。
富江役も、前作の菅野美穂から宝生舞にバトンタッチしている。

ホラー映画だが、ちっとも怖くない。
恐怖描写が恐怖描写として成立していないということもある。
恐怖描写がそれほど多くないということもある。
そもそも、製作サイドが観客をどのようにして怖がらせようと考えているのか、それさえも良く分からない作品である。

何の関係があるのか分からないような健三と妻と愛人の三角関係や、由美と文仁の恋愛模様などに時間を割くが、やっぱり意味が無いままで終わる。
そして、そういったことに時間を割いている一方、富江によって引き起こされる恐怖の描写は薄くなっている。

謎めいた遠藤憲一や狂った菅田俊は恐怖を漂わせる。
だが、それは役者の資質が醸し出す怖さであり、映画が生み出す怖さではない。
彼らが見せた以上の恐怖は、全く感じられない。
ただジメジメしている、陰気で暗いだけの作品になっている。

富江には、男を虜にして、再生と増殖を繰り返すという設定がある。
しかし、そういう設定がほとんど生かされていない。
大体、富江の目的が全く見えてこない。
劇中、富江が由美に「あなた、何しにココへ来た?」と尋ねるシーンがあるが、それは観客が富江に言いたくなる言葉だろう。

そもそも少女の腹から生首の富江が現れるというオープニングからしてコケ脅しなのだから、徹底的にコケ脅し趣味に走った方が面白くなったような気がする。
ただし、それは「B級のバカバカしさを持っている」という意味での面白さだが。

 

*ポンコツ映画愛護協会