『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』:2023、日本

タケミチは芭流覇羅のトップが稀咲だと確信して現在に戻り、刑務所のドラケンと面会した。しかしドラケンから「トップはマイキーだ。芭流覇羅はマイキーのために作られた。血のハロウィンでマイキーは一虎を殺し、場地も殺された」と聞かされ、衝撃を受けた。10年前に戻ったタケミチは新参番隊を集めている稀咲の元へ行き、「東卍をお前の思い通りにはさせねえぞ」と凄んだ。そこへ芭流覇羅が乗り込み、新参番隊を襲撃した。タケミチも殴られるが、稀咲が助けに入って逃がした。
ドラケンは一虎と会い、考え直すよう説得を試みた。しかし一虎は改めて「マイキーを殺して東卍を潰す」と宣告し、その場を後にした。タケミチは千冬と会い、「稀咲の企みが何かは分からないが、あいつのせいで東卍がおかしくなる。それを変えなきゃヒナが死ぬ」と語る。千冬は「何言ってるか分かんねえけど、お前を信じる。場地さんも信じる」と言い、場地との出会いについて詳しく語った。タケミチは場地にタイマンを要求し、自分が勝ったら東卍に戻るよう持ち掛けた。しかし全く歯が立たず、一方的に叩きのめされた。タケミチは場地に、「明日は絶対に死なないで下さい」と告げた。
タケミチはマイキーの元へ行き、何の力にもなれなかったことを詫びた。マイキーは「お前は悪くねえよ。東卍を裏切ったのは場地だ」と言い、腹を括ったと告げる。東卍の集会を開いた彼は、芭流覇羅を倒して場地を取り戻すと宣言した。稀咲は不敵な笑みを浮かべ、「これだ、俺が欲しかったのは」と呟いた。廃車場には決戦を見物するため、天竺の灰谷兄弟や夜ノ塵のガリ男といった東京の幹部たちがやって来た。一虎は仕切り役を任されたICBMの阪泉を叩きのめし、東卍と芭流覇羅の全面戦争が始まった。
タケミチは攻撃を受けて窮地に陥るが、入院していた三ツ谷が駆け付けて救出した。一虎はタイマンに見せ掛けてマイキーをおびき寄せ、仲間2人に襲撃させた。一虎はマイキーを襲って殺そうとするが、反撃の蹴りを食らって倒れ込んだ。稀咲の指示を受けた側近の冨永は、芭流覇羅の一員として「マイキーを殺るぞ」と叫んだ。芭流覇羅が一斉にマイキーを目指す中、冨永が襲い掛かろうとする。すると稀咲が殴り倒して阻止し、新参番隊がマイキーの周囲を囲んで旗を掲げた。
稀咲は廃車場の面々に対し、「マイキーはウチの隊が責任を持って守らせてもらう」と宣言した。東卍の面々が高揚する中、タケミチは彼の狙いに気付いた。稀咲は芭流覇羅が勝てば東卍を吸収し、東卍が勝つならそこで成り上がろうと目論んでいた。どう転んでも、東卍を乗っ取る計画だったのだ。しかし場地が稀咲に殴り掛かり、始末しようとする。タケミチと千冬が止めようとしている間に、稀咲は一虎に「場地がお前を裏切ったぞ」と囁いた。
場地はタケミチと千冬に「マイキーはお前らが守ってやれ」と言い、新参番隊と戦う。新参番隊を一掃した彼は、稀咲をタイマンで圧倒した。場地は稀咲を叩きのめし、一虎に歩み寄って「後はドラケンと三ツ谷をやれば芭流覇羅の勝ちだ。俺は何があっても、最後までお前と一緒だ」と告げる。しかし場地が背中を向けると、一虎がナイフで突き刺した。場地が崩れ落ちるのを見たマイキーは激高し、一虎に激しい暴行を浴びせた。すると場地が立ち上がって一虎に「お前には殺られねえよ」と言い、自分の腹をナイフで刺した…。

監督は英勉、原作は和久井健『東京卍リベンジャーズ』(講談社「週刊少年マガジン」KC)、脚本は橋泉、製作は大多亮&高橋雅美&高見洋平、プロデューサーは岡田翔太&稲葉尚人、ラインプロデューサーは片平大輔、プロデューサー補は石渡宏樹、撮影は江崎朋生、照明は三善章誉、録音は加来昭彦、美術は佐久嶋依里&加藤たく郎、編集は相良直一郎、アクションコーディネーターは諸鍛冶裕太、音楽は やまだ豊、主題歌『儚くない』はSUPER BEAVER。
演は北村匠海、吉沢亮、山田裕貴、杉野遥亮、今田美桜、間宮祥太朗、高良健吾、永山絢斗、村上虹郎、高杉真宙、鈴木伸之、眞栄田郷敦、清水尋也、堀家一希、磯村勇斗、田中偉登、今村謙斗、山口大地、堀丞、長田拓郎、栗原類、豊田裕大、西洋亮、原沢侑高、アシダユウキ、阿邊龍之介、今田竜人、岡田地平、齋藤隼之介、篠田一斗、松原大貴、三木一輝、村上和也、山崎朋弥、赤名竜之輔、浅見和哉、上野凱、大川航、真丸、新井敬太、鈴木武、長谷川大、長谷部光祐、浜島大将、福居惇平、南北斗、吉川颯人、吉田興平、吉田大輝、武田一馬、樽田泰宏、山中雄輔、渡邉龍太郎、米玉利佑樹ら。


和久井健の漫画『東京卍リベンジャーズ』を基にしたシリーズ第3作。
監督の英勉、脚本の橋泉は、いずれも前作からの続投。
タケミチ役の北村匠海、マイキー役の吉沢亮、ドラケン役の山田裕貴、直人役の杉野遥亮、ヒナタ役の今田美桜、稀咲役の間宮祥太朗、キヨマサ役の鈴木伸之、三ツ谷役の眞栄田郷敦、半間役の清水尋也、パーちん役の堀家一希、敦役の磯村勇斗は1作目からのレギュラー。
真一郎役の高良健吾、場地役の永山絢斗、一虎役の村上虹郎、千冬役の高杉真宙は、前作からの登場。

『血のハロウィン編』は「運命」と「決戦」の2部作で製作されており、前編は90分だった。この後編は96分なので、前編よりも上映時間が6分長くなっている。
しかし10分ぐらいは前編と同じ映像の使い回しなので、実質的には短くなっている。しかも半分ぐらいはザックリ言うと「ただ戦っているだけ」なので、話の中身は前編に輪を掛けて薄い。
さらに言うと、千冬が場地との出会いについて語る回想パートは、尺を稼ぐためでしかない。
そんなモノを申し訳程度に挿入したところで、所詮は焼け石に水だ。どうせ「場地と千冬の絆」を活用したドラマで盛り上げることなんて、まるで出来ていない。
極端に言えば、千冬の存在を丸ごとカットして、そこの仕事を全てタケミチに割り当ててもいいぐらいなのだ。

やたらと威勢のいいことばかり口にするタケミチだが、行動は全く伴っていない。「東卍のトップに立つ」と何度も力強く宣言しているが、それを実現できそうな戦闘能力は全く持ち合わせていない。
じゃあ力が足りない分は知恵でカバーできるのかと言うと、そっちも足りていない。力が無いのに真正面からぶつかるし、勢いだけで乗り切ろうとする。
本人も自覚があるのか、千冬に「1人じゃ何も出来ない」と漏らすが、舌の根も乾かぬ内に場地にタイマンを要求するアホっぷり。
あっさりボコボコにされると「明日は絶対に死なないで」と言うが、「何がしたかったのか」と呆れ果てるばかりだ。

「1人じゃ何も出来ない」と分かっているのだから、周囲に助力を要請して「チーム」として立ち向うのかというと、そんな動きも無い。
千冬と手を組むのも、向こうから誘ってくれたからだ。
ピンチで三ツ谷が駆け付けるのも、事前にタケミチが頼んでいたわけではない。
たまたま周りに気のいい連中が何人か揃っているから、タケミチが能無しでも助かっているだけなのだ。
タケミチはオツムの弱すぎる行動を繰り返し、しかも結果として場地は命を落としているので、ホントに何の役にも立っていないのだ。

タケミチは決戦が始まるまで稀咲の企みが何なのか分かっていないが、それでも「この戦いでマイキーが一虎を殺し、場地も殺される」という事実に関しては知っている。そして血のハロウィンまでに、それなりの時間はあったはずだ。
にも関わらず、それを防ぐための策を何も用意せずに、当日を迎えているのだ。それはあまりにも愚かしいでしょ。
第1作で似たような出来事を経験しているのに、そこから何も学んでいない。
学習能力が完全にゼロなのだ。

マイキーが一虎をボコボコにしている間、周囲の面々は傍観しているだけで何もしない。もちろんタケミチも、ただ立ち尽くしているだけだ。
この様子には「馬鹿の極致だな」と呆れ果ててしまう。
「マイキーを止めに入れよ」とか「一虎を助けに行けよ」とか、そういうことを言いたいわけではない。その直前に場地が背中を刺されているんだから、それに対して何かしらの行動を取れよ。
場地を心配して駆け寄るとか、救急車を呼ぶとか、病院に運ぼうとするとか、そういう行動を誰も取らないのは、どういうつもりなのかと。

一虎に背中を刺されて深手を負っていた場地が立ち上がり、腹を刺して自殺するってのは「なんでだよ」と言いたくなる。
本人の説明によると「一虎に殺されるのではなく自殺という形を取れば、マイキーが一虎を殺す理由が無くなる」ってことらしいけど、「そんなことで理由は無くならねえよ」と呆れるばかりだ。
実際、場地が自分の腹を刺した後、マイキーは怒り狂って一虎をボコボコにしているわけで。なので下手をすると、「完全なる無駄死に」で終わっていたかもしれないのだ。頭が悪すぎるだろ。
なので、これっぽっちも悲劇だとは思わないし、心に刺さるモノなんて皆無だぞ。

あと、ここでタケミチが「場地くんは2人(マイキーと一虎)のために命張ったんだぞ」と怒鳴ってマイキーを止めようとするんだけど、「お前には何も言う資格が無いわ」と言いたくなる。
タケミチだけが未来を分かっていたのに無力で役立たずだったから、場地の死を阻止できず、マイキーも一虎を殺し掛けているわけで。
とりあえず、お前は色々と反省することがあるだろうと。
マイキーが一虎を殺さずに済ませるのも、たまたま落ちたお守りを見て過去を思い出したからであって、タケミチのおかげじゃないし。
なんでこんな役立たずが、参番隊の隊長に抜擢されるのかと。

(観賞日:2024年9月1日)

 

*ポンコツ映画愛護協会