『東京喰種 トーキョーグール【S】』:2019、日本

人気モデルのマーガレットが13区のマンションに戻ると、マスクで顔を隠した月山習が部屋に潜入して待ち受けていた。月山は2つの瞳を見て心が一杯だったと言い、怯えるマーガレットに歩み寄った。彼はマーガレットの眼球を抉り取り、口に運んで堪能した。マーガレットは窓から突き落とされ、近くにいた群衆は即死した彼女を見て驚いた。テレビでは彼女の転落死事件が報じられ、喰種評論家の小倉久志はグルメと呼ばれるグールの犯行だろうとコメントした。
喫茶店「あんていく」での仕事を終えたカネキは、トーカと共に外出した。目的地へ向かう途中、2人はグールによる犯行現場で捜査官の宗太が電話を掛けている姿を目撃した。カネキは人気のない場所へ行き、トーカに戦闘訓練をしてもらう。強くなりたい理由を問われた彼は、「人間もグールも、誰も傷付けたくないからかな」と答えた。トーカはカネキを圧倒し、カグネを出すよう要求した。カネキが拒むと、彼女は「怖いんでしょ。アンタはもう人間じゃないる半分はグールなんだよ」と指摘した。
トーカはカネキに、大学の親友であるヒデと縁を切るよう指示した。カネキが困惑していると、彼女は「もしアンタがグールだとバレたら、私があいつを殺すから」と告げた。そんなトーカにも、彼女をグールと知らずに付き合っている依子という親友がいた。ウタが14区のバーへ行くと、店主のイトリが1人の男と約束を交わして見送っていた。ウタが「約束って?」と訊くと、「ちょっとしたギャンブル」と彼女は答えた。イトリはカネキに興味を抱いており、会わせてほしいとウタに頼んだ。
学校を休んだトーカがカネキと「あんていく」で仕事をしていると、月山がやって来た。トーカは「めんどくせえ奴が来た」と嫌がるが、月山は意に介さなかった。彼はカネキの匂いに強い興味を示し、「また来るよ」と告げて去った。トーカは月山が20区の厄介者だとカネキに教え、関わらない方がいいと忠告した。翌日、カネキが大学にいると月山が現れ、本が好きなマスターのいる行き付けのカフェに誘う。高槻泉も来ると聞いたカネキは前向きな態度を見せ、月山は次の日曜日に行く約束を交わした。
月山と別れたカネキが大学を出ようとすると、四方蓮示が待っていた。彼は会いたがっている相手がいると言い、イトリとウタが待つバーへカネキを連れて行く。イトリはリゼの死が事故ではなく、何者かに殺されたのだと教える。彼女は「調べてあげてもいい」と持ち掛け、それと引き換えにグールレストランを調べてほしいと依頼した。グールしか入れないレストランがあるが、場所が分からないのだと彼女は話す。月山なら知っているだろうと聞き、カネキはイトリの依頼を引き受けた。
日曜日、カネキは月山と共にカフェを訪れ、フランスの美食家の初版本を見せてもらう。月山は偶然を装い、カネキが指先から出血するように仕向けた。彼はハンカチを差し出し、止血するよう促した。行き付けのレストランに招待すると言われたカネキは、その誘いを快諾した。ハンカチを受け取った月山はトイレに行き、血の匂いを堪能した。月山はレストランに着くと「後で会おう」と言い、先に入った。残されたカネキは店員に別の部屋へ案内され、シャワーを浴びて着替えるよう指示された。
カネキが指示に従うと、店員は仮面の面々が人肉解体のショーを見物して楽しんでいる場所へ連れて行く。カネキは怖くなって逃げようとするが、店員たちに取り押さえられた。そこへマスクを装着した月山が現れ、「続いて私の食材です」と客にカネキを紹介した。カネキが人間の香りのするグールだと月山が説明すると、客は大いに興奮した。しかし眼帯を剥ぎ取られたカネキが隻眼だと知った彼は、調理人を始末して解体作業を阻止した。
喰種対策局の亜門鋼太朗たちがレストランに突入し、激しい銃撃戦が勃発した。カネキは混乱に乗じ、店から逃げ出した。「あんていく」に戻った彼は、芳村が用意したコーヒーで一服した。トーカが学校に来ないのを心配した依子は「あんていく」を訪れ、手作りの肉じゃがを差し出した。トーカは「要らない」と拒否し、肉じゃがを誤って床に落としてしまった。依子は「ごめんね。要らなかったね」と笑顔で取り繕い、店を後にした。
カネキは3人の男たちに暴行されているニシキを目撃し、少し迷いながらも助けに入った。彼は3人組を簡単に叩きのめし、衰弱しているニシキをアパートへ運んだ。するとニシキは、貴未という人間の恋人と同棲中だった。貴未はニシキがグールだと知りながら、交際していた。カネキが「怖くないですか、先輩が人を殺していても?」と尋ねると、彼女は「親や友達でも殺されない限り、見て見ぬフリをすると思う」と答えた。カネキはニシキを助けるため、人肉を持って来ることを彼女に約束した。
カネキが「あんていく」から人肉を持ち出そうとすると、トーカが気付いた。ニシキを助けるためだと知ったトーカは、「なんで?殺され掛けたのに?」と口にする。物音がしたので2人が様子を見に行くと、カネキをディナーに招待する月山の手紙が置いてあった。その手紙には、貴未を誘拐したことが記されていた。カネキが助けに行こうとすると、貴未が人間だと聞いたトーカは放置するよう告げた。そこへニシキが来たので、カネキは月山の手紙を見せた。ニシキが助けに向かおうとするので、カネキは同行した。月山はカネキに貴未を食べさせてから自分が食べる考えを、嬉しそうに語る。カネキとニシキが攻撃すると、彼は軽く蹴散らした。そこへトーカが駆け付け、月山に襲い掛かる。カネキはトーカと協力して戦うが、月山に力の差を見せ付けられる…。

監督は川崎拓也&平牧和彦、原作は石田スイ「東京喰種トーキョーグール」(集英社 ヤングジャンプ コミックス刊)、脚本は御笠ノ忠次、製作総指揮は大角正、エグゼクティブプロデューサーは吉田繁暁、プロデューサーは永江智大&福島大輔&高橋潤、共同プロデューサーは樋口慎祐、撮影は小宮山充、照明は保坂温、美術は小泉博康、アクション監督は横山誠、視覚効果スーパーバイザーは桑原雅志、特殊スタイリストは百武朋、オリジナルコスチュームデザインは森川マサノリ、録音は田中博信、編集は武田晃、音楽は小田朋美&菊地成孔、音楽プロデューサーは茂木英興&宮地洋佑、主題歌「Introduction」は女王蜂。
出演は窪田正孝、山本舞香、松田翔太、村井國夫、蒼井優、相田翔子、大泉洋、鈴木伸之、小笠原海、白石隼也、木竜麻生、森七菜、桜田ひより、新田真剣佑、知英、マギー、ダンカン、蜿r太郎、坂東巳之助、道岡桃子、平川博晶、小池樹里杏、ジャスティス岩倉、川合つと、伊藤裕一、橋渡竜馬、村本明久、飯泉博道、松澤千晶、荒井雄一郎、高嶋宏一郎、森野茂行、寒川守、片田ミチル、木村彩花、イチコ、石川澪美、杉口秀樹、高嵜百花、増本尚、上田一成、ヒョンギ、いろさわえみ他。


石田スイの漫画を基にしたシリーズ第2作。
同期のCMディレクターである川崎拓也と平牧和彦が、共同で映画初監督を務めている。
TVアニメ版のシリーズ構成を担当していた御笠ノ忠次(現・伊藤栄之進)が、脚本を手掛けている。
カネキ役の窪田正孝、亜門役の鈴木伸之、ヒデ役の小笠原海、ニシキ役の白石隼也、ヒナミ役の桜田ひより、芳村役の村井國夫、四方役の蜿r太郎、ウタ役の坂東巳之助らは、前作からの続投。
トーカ役が清水富美加(現・千眼美子)から山本舞香、依子役が古畑星夏から森七菜に交代している。他に、月山を松田翔太、貴未を木竜麻生、宗太を新田真剣佑、イトリを知英、マーガレットをマギーが演じている。

この映画の最も大きな欠点はハッキリしていて、それは「中身が薄すぎる」ってことだ。
1作目で描いた内容に比べて、ここまで極端にボリュームを下げてしまった理由は何なのか。
原作のコミックスと比較すると、1作目が第1巻から第3巻、2作目が第4巻から第5巻ってことになる。1巻分の分量が減っているわけだが、それ以上に中身が薄くなっている印象を受ける。
っていうかさ、原作って無印だけでも14巻で、続編の「:re」も16巻あるのよ。こんなスローペースで映画化していたら、絶対に最後まで到達しないぞ。

そもそも、月山習というキャラクターをメインに据えて話を作っている時点で失敗だと思うのよね。そうなると、カニバリズムを売りにした悪趣味な残酷映画として作るぐらいしか手は無くなっちゃうでしょ。
これがB級ホラー映画なら、それでも別にいいかもしれないよ。ただ、人気漫画を基にしたヒット作の続編としては、それだと厳しいでしょ。
極端なことを言っちゃうと、原作における月山メインの部分って、映画版だと丸ごとカットでもいいぐらいなんだよね。
そこってスケール的には小ぢんまりとまとまっちゃうし、ストーリー的にもそんなに面白くないよ。

月山のモーニング・ルーティーンとか、彼がピアノを弾くシーンとか、そういうトコを丁寧に描いている。
ストーリー展開だけを考えれば、そんなのは何の必要性も無い描写だ。しかし月山だけを描写するシーンは何度も用意されており、今回の実質的な主人公と言ってもいい。
ただ、この映画における彼のポジションを考えると、明らかにヴィランなのだ。だから本来ならカネキに倒されるのが望ましいのだが、彼は原作だとこんなトコで死なないどころか、後でカネキの仲間になるキャラなのだ。
だから当然のことながら、映画版でも彼は死なない。そこを大胆に改変するような、思い切ったことはやっていない。
それは決して間違っちゃいない判断だけど、月山がヴィランとして退治されずに終わるってのが、この映画を退屈にさせている原因の1つではあるんだよね。

月山の描写がたっぷりと用意されていることによって、彼のキャラクターはアピールされている。でも、それは物語を引っ張る力としては、充分とは言い難い。
また、あまりにも月山ばかりを重視したせいで、前作からの流れという意味でも厳しくなっている。前作から登場している主要キャラの面々の存在感が、すっかり薄まっているのよね。
それだけでなく、リゼ、入見カヤ、古間円児については全く登場しないし。
その結果、ただ月山のグルメっぷりばかりが強調される結果となっている。

ただし困った問題があって、本来の主人公であるカネキが、まるで冴えない奴なんだよね。
グール・レストランのエピソードが描かれている辺りのカネキって、まだ完全に受け身で流されているだけのキャラなのよ。主体性や積極性に欠けるので、物語を牽引してくれない奴なのよ。
なので、実は主人公としては、ちょっと取り扱いが難しいのよね。
「トーカのトレーニングで強くなりました」ってことは申し訳程度に触れてあるけど、まだキャラとしては弱い。

でも月山も1本の映画を引っ張るラスボスとしては、かなり物足りない。それは戦闘能力が物足りないってことじゃなくて、キャラクターとしてね。
こいつの特徴って、「グルメなグール」という一点突破みたいなトコがあるんだけど、そこの描写も実は弱いからね。
血の匂いを嗅いで嬉しそうにするような描写はあるけど、こいつが劇中でカニバリバムのために殺すのって、実は冒頭のマーガレットだけなのよ。しかも、そこは眼球を飲み込むだけなので、実は「月山が人を殺して肉を食らう」というシーンは全く無いのだ。
原作通りっちゃあ原作通りの展開ではあるんだけど、映画としてはキャラや話の弱さに直結している。
そこに全て頼らざるを得ないような内容なんだし、もっと際立たせないと、どうにもならないでしょ。

前作で「20区のグールと喰種対策局(CCG)の人間との戦い」という構図があったんだから、この続編では「グールvs人間」の戦いをエスカレレートさせたり、スケールを大きくしたりという形で発展させた方が望ましいはずだ。
にも関わらず、グールである月山がカネキを狙うエピソードをメインに据えているのは、それが原作通りの展開だからだ。
ただ月山は美食を楽しむために個人で動いている奴なので、どうしても話のスケールか小さくなってしまうんだよね。
あと、これも原作通りなので、クライマックスの戦いでもカネキが大して活躍できないまま終わっちゃうのよね。
やっぱり、大幅に改変した方が良かったんじゃないかねえ。

(観賞日:2021年3月25日)

 

*ポンコツ映画愛護協会