『探検隊の栄光』:2015、日本

一世を風靡した人気ドラマ『情熱探偵』で有名になった俳優の杉崎正雄は本格骨太バラエティー『探検サバイバル』という番組の企画を引き受け、ロケーションが行われるベラン共和国へ赴いた。彼は『驚愕!三つ首の巨獣ヤーガはベラン共和国 秘境 洞穴に実在した!』と題された企画書を読み込み、探検隊の隊長を演じるイメージを膨らませる。杉崎がプロデューサーの井坂善三に「台本は?」と尋ねると、「後で渡しますね」と軽く告げられる。
杉崎が隊長は悩むタイプなのかと尋ねると、井坂は「いいですね、それ頂きましょう」と言う。杉崎は井坂&現地ガイドのマゼランと共に車へ乗り込み、隊長の衣装を渡される。他の隊員はディレクターの瀬川学、カメラマンの橋本政明、音声・照明の小宮山秀一、新人ADの赤田たまきである。赤田から台本を渡された杉崎は、その薄さや「いつもの大きいリアクション」といった雑な指示に驚いた。井坂は「ドーンとしたやつ欲しいよね」と軽く言い、一行は近くの村へ向かって歩き始めた。
杉崎が「台詞入れてからやりたいんで、時間もらってもいいですか」と言うと、瀬川は「いいねえ」と口にするが、無視して歩き続けた。マゼランの故郷である村に到着すると、瀬川は「部族が原始的な生活を送っていた」というイメージで撮影したいと考えるが、実際は現代の電子機器が普通に使われている近代的な村だった。瀬川は怒鳴り散らしている村人を見ると、杉崎に「絡んできて。ヤーガのこと訊いてきて」と指示する。杉崎が「台本の何ページですか」と訊くと、彼は「載ってないって。行ってきて」と告げる。
杉崎は言葉が通じないまま声を掛けるが、村人はゴミを店の前に放置した犯人に怒っているだけだった。しかし実際の番組では、彼が「ヤーガに近付いちゃダメだ」と警告しているような日本語吹替の音声が入った。マゼランの祖母であるバゼルバの家に到着すると、台本を見た杉崎は「マゼランの祖母は占い師らしいので一応話を聞いてみる。」と書かれてあるのを確認した。井坂は演出を尋ねる杉崎から台本を取り上げ、とりあえず話し掛けるよう指示した。
実際の番組ではバゼルバが「ヤーガ伝説を知る老婆」として登場し、「ヤーガを見つけるには、3つの守り神を見つけるべし。聖なる戦が行なわれる時、神々の化身はその姿を現すだろう。天にヤギの生贄を捧げよ」などという日本語の音声が入った。井坂と瀬川は良いシーンが撮れたと喜ぶが、杉崎は全く付いて行けずに困惑する。探検隊がジャングルへ向かう途中、井坂が騒ぎ始める。「クモに刺された」と彼が叫ぶと、番組では「恐怖の毒グモ タランチュラなのか」という文字が出た。
実際はクモなど出現しておらず、井坂は心配する杉崎に笑いながら「こういうの入れとかないと、パッとしないからさ」と言う。瀬川が「もうちょっとテンションげていきましょうか」と告げると、杉崎は血糊を付ける。橋本がテープチェンジしている最中、小宮山が坂から滑落する。瀬川は「カメラ回ってなかった。もう一回やって」と言い、実際に「杉崎が滑落する小宮山を救助する」というシーンが撮影された。井坂たちは演出としてオモチャの蛇を使ったり、ピラニアに食い殺された人の骨としてチキンの骨を使ったりする。
杉崎が第2の守り神であるジャイアントアリゲーターと格闘するシーンでは、巨大ワニのヌイグルミが使われた。井坂たちの指示を受けた杉崎は、上半身裸になって熱い芝居を繰り広げる。撮影が終わって「良かったですよ。ドーンとしてた」と井坂に拍手された彼は、「これがドーンなのか」と理解した。
ぬかるみに足を取られた小宮山が川で溺れると、井坂と瀬川は「撮れ高あるんで」と軽く笑う。杉崎は本当に危険だと気付き、小宮山を助けた。杉崎は小宮山に「本当に危ない時の合図を決めませんか」と提案され、赤田とマゼランも含めた4人の話し合いで「トゥルース」と叫ぶことに決定した。その夜、赤田は全く見たことが無い『情熱探偵』について杉崎に質問する。 杉崎は「とにかく熱い役で」と言い、ヒットしたが熱いイメージが付いてしまったと話す。
「新しいことに挑戦したくて、今回の仕事も受けたんだけどね」と杉崎が話すと、「バカバカしいですよね。いい大人が恥ずかしいっていうか。たぶん小学生で成長が止まってるんですよ」と赤田は告げる。彼女が「くだらない撮影ばかりやって、何の意味があるんだって思いません?」と冷めたように言うと、杉崎は「あの人たち、ホントに楽しんでるんじゃない?そういうのって見てる人に伝わるんじゃない?。とにかく頑張るしかないって思ってる」と語った。
翌日、瀬川は第3の守り神を撮っていないことに気付くが、井坂は洞穴に到着してから決めようと告げる。探検隊が洞窟に到着して撮影を始めると、小宮山の姿が見つからない。「トゥルース」の叫び声を聞いた杉崎たちが捜索に行くと、小宮山は武装した反政府軍のミゲルと部下2名に捕まっていた。探検隊も拘束され、マゼランが杉崎の事情説明を通訳する。しかしミゲルは納得せず、「カメラとテープを破棄しなければスパイとして抹殺する」と告げる。
赤田はバカな映像しか無いと告げ、杉崎はテープを見てほしいと訴える。反政府軍はカメラとテープを没収し、確認に向かった。瀬川は「さっきのが撮れてればなあ。だって、あいつらこそヤーガを守ってるって感じがするじゃないですか」と悔しそうに漏らすと、井坂は「いねえよ、ヤーガなんか」と冷めた口調で言い切った。井坂が「中止だ」と静かに告げると、「せっかくいい絵が撮れてるんだから、完成させましょうよ」と瀬川は訴えた。
戻って来たミゲルは「テープは全く無意味だった」として探検隊を解放するが、テープは念のために破棄すると通告した。杉崎は激昂し、「争うことしか能がねえテメエらに何が分かるんだよ。バカだとか無意味だとか簡単に言ってくれるけどな、そもそも意味って何なんだよ。本気でリアクションやってんだよ。カメラの前じゃ、いつでも本気なんだよ」と熱く訴える。彼が「俺たちはこれを命懸けでやってんだよ。お前たちが今やるべきことは何だ?」と言うと、ミゲルたちは撮影に協力して原始猿人の役を担当した。
その夜、探検隊とミゲルたちは夕食を取りながら、明日のクライマックスの演出について話し合う。瀬川が生贄のヤギを丸焼きにしようと言い出すと、ミゲルは「ヤーガは蛇なのに、焼いた肉の方が好きなのか」と疑問を口にした。探検隊は「そうか、生だな」と気付き、一斉に笑った。ミゲルは部下から30人以上の政府軍が来ると聞かされ、無線で情報を確認する。彼は探検隊に対し、あと24時間で政府軍本隊が攻撃してくるから逃げろと告げる。
井坂は「帰りましょう。中止にしましょう」と言うが、杉崎は「ここで逃げたら番組が全部ムダになるじゃないですか」と反対する。彼の「大事なのは熱意だって気付かせてくれたのは、貴方たちじゃないですか。最後まで撮り切りましょうよ」という訴えを受け、井坂を除くクルーは全員が乗り気になる。井坂も仕方なく承諾し、撮影の続行が決定した。次の日、政府軍が洞窟に迫る中で、探検隊とミゲルたちはクライマックスの撮影を開始する…。

監督は山本透、原作は荒木源『探検隊の栄光』(小学館刊)、脚本は徳尾浩司&金沢達也&山本透、製作は中村理一郎&大田圭二、共同製作は久保雅一&坂東浩二&武田邦裕&早川正&余田光隆&佐竹一美、エグゼクティブプロデューサーは井口高志&古澤佳寛、企画は蔵本憲昭&高橋敦司、プロデューサーは東幸司&鈴木聡&宇田川寧、共同プロデューサーは花田聖、制作プロデューサーは本島章雄、撮影は小松高志、照明は蒔苗友一郎、録音は高島良太、美術は将多、編集は相良直一郎、視覚効果は松本肇、CGディレクターは佐竹淳、CGデザイナーは黄仁福&神野郁也、音楽は兼松衆。
主題歌はウルフルズ 『ボンツビワイワイ』作詞:トータス松本、作曲:トータス松本、編曲:ウルフルズ&菅原龍平。
出演は藤原竜也、ユースケ・サンタマリア、小澤征悦、田中要次、川村陽介、佐野ひなこ、岡安章介(ななめ45°)、望月ムサシ、尚玄、マイキー、田鍋謙一郎、大山うさぎ、龍坐、隅倉啓美、副島淳、ジャン(ギャルソン)、田島賢太、謝花弘規、佐藤ジャマル、トニー摩周湖、河合寛之、野村大地、田邉真悟、川畑和雄、JIGOROH、ペレーラ飛鳥、田中ナターシャ、チョアウン カン、ワーファ リサ、ミア 良人、小林杏、岡田和夫、永瀬実愛、石山リザリオン、石山メイサ、アービーアリーア飛鳥、エイキンス愛伊ヴィクトリア、ドゥルー雅カトリーヌ、村山沙羅、福田賢二ら。
ナレーションは古賀慶太。


荒木源の同名小説を基にした作品。
ただし原作からは設定が大幅に変更され、コメディーとしてのテイストが強くなっている。
監督は『キズモモ。』『グッモーエビアン!』の山本透。脚本はTVドラマ『ロストデイズ』『理系の人々』の徳尾浩司、TVドラマ『ハンマーセッション!』『ラッキーセブン』の金沢達也、山本透監督による共同。
杉崎を藤原竜也、井坂をユースケ・サンタマリア、瀬川を小澤征悦、橋本を田中要次、小宮山を川村陽介、赤田を佐野ひなこ、マゼランを岡安章介(ななめ45°)が演じている。

実際に放送されていたTV番組『水曜スペシャル』の「川口浩探検隊シリーズ」が、モチーフになっていることは誰の目にも明らかだ。
だが、杉崎のキャラ造形からすると、たぶん「川口浩探検隊」じゃなくて「藤岡弘、探検隊」バージョンを意識しているんだろう。
ただし杉崎のキャラは藤岡弘、に寄せているだけじゃなくて、藤原竜也の役者としてのイメージを重ね合わせている部分も強いのだろう。
その上で、藤原竜也にセルフ・パロディー的な芝居をさせているわけだね。

ただ、もう初期段階で失敗しているという印象が強い。
まず「杉崎がドラマと同様に、隊長の役を演じるつもりで参加している」という時点で引っ掛かる。
「バラエティー」って企画書に書いてあるじゃねえかと。
それを理解できないとしたら、もはやイメージが云々という問題じゃなくて、「ちょっとヤバい奴」か「天然度数が高すぎる奴」になっちゃうでしょ。
彼は「情熱のイメージが付いてしまい、実際も情熱の強すぎる役者」というキャラのはずなのに、そこからズレちゃってんのよ。

そこはたぶん藤岡弘、のイメージなんだろうと思うけど、せっかく藤原竜也にセルフ・パロディー的なことをやらせているのなら、そっちへ完全に寄せた方が良かったんじゃないの。
つまり、「それが探検バラエティー番組であることは理解しているが、慣れない仕事なので困惑する」という形で良かったんじゃないかと。
実際にジャングルを探検する番組なら、ビッチリと台詞や展開が書かれている台本なんて存在しないのは当たり前のことであって。
なので、その段階で困惑されちゃうと、なんか違うなあと。

まず探検する場所が「ベラン共和国」という架空の国になっている時点でマイナス。
この映画は「ノンフィクションを装ったフィクションを撮っているクルー」を描く内容だ。だったら、表向きの部分は全て「ノンフィクション」にしておく必要があるはず。
それなのに、その段階で「ベラン共和国」という虚構を用意しちゃったらダメでしょ。そこは実在する国じゃないと意味が無いでしょ。
実在しない国を探検の地として堂々と提示しちゃったら、その段階で「架空の国なんだから、そこを舞台にした番組の内容も全てフィクションでしょ」ってことになっちゃうでしょ。

潤沢な予算が用意されていたわけではないようだから仕方が無いのかもしれないが、「全てのシーンを日本、それも関東でのロケーションで済ませている」ってのも大きなマイナスだ。
前述したように、この映画は「ノンフィクションを装ったフィクションを撮影するクルー」を追い掛ける内容だ。
それなのに、その外側に「外国という設定でロケーションしているけど、実際は国内」というフィクションが存在するのは、ものすごく邪魔なのだ。
そこはリアルな「南海の孤島」じゃないと、根幹となる仕掛けが死んでしまうのよ。

撮影している様子と、実際に番組で使われた映像を、並行して配置している。
それによって、「撮影の時はこんな感じだったけど、番組になると全く内容が変わりました」ってのを表現しているわけだ。
やり方としては、大きく間違っているわけではない。でも、それが面白い効果を生んでいるかというと、答えはノーと言わざるを得ない。
むしろ、「切り替える度に流れがブツブツと切れる」というデメリットの方が遥かに大きい。

それと、「撮影シーンと番組の映像を交互に見せる」という方法がダメというよりも、差異の付け方が中途半端という印象がある。
何より引っ掛かるのは、「杉崎がヤラセ演出を全てスルーしてしまう」ってことだ。
彼は撮影が続く中で困惑した様子こそ見せるものの、何度もヤラセ演出が入っているのに、「それはヤラセじゃないんですか」と疑問を呈したり、抗議したりすることが無い。
最初から全ての演出を普通に受け入れている。

っていうか、そもそも村人と話すシーンなんかは、「えっ、おじさん、ヤーガのこと知ってるの?」「分かりました、ヤーガはそれほど恐ろしい生き物なんです」などと言っているけど、それって変でしょ。
相手の言葉が全く分からないのに、なんで普通に「相手はヤーガのことを話している」と理解したような台詞が出て来るのかと。
ともかく彼が全てのヤラセを受け入れ、井坂たちのペースでサクサクと撮影が進むのだが、それが「小気味よいテンポ」じゃなくて「浅薄な内容」になっちゃってるのだ。

ここで問題になるのは、「杉崎がドラマの役を演じる意識で番組に参加している」ってことだ。
それを「リアルな探検」じゃなくて「隊長を演じる撮影」として捉えているとすれば、その中で「ヤラセ」があったとしても構わないってことになる。ドラマであれば、演出が入ることは当たり前だからだ。
「リアルな探検を撮影した番組」だとすれば、もちろんヤラセはダメだ。だけど、その場合、そもそも「隊長の役を演じる」という心構えからして間違っているってことになるでしょ。
そういうことを考えても、やはり杉崎の初期設定を間違えていると感じてしまうのよね。

「井坂と瀬川がノリとテンションだけで撮影を続ける」ってのも、大いに引っ掛かるポイントだ。
彼らの言動を見ている限り、番組を真剣に作っているようには到底思えない。っていうか実際、ふざけたノリで適当に作っている。
それじゃあダメでしょ。
「ノンフィクションを装ったフィクションだから、真面目な人は批判したくなるかもしれない。だけど彼らは彼らなりに、熱い魂を持って真剣に番組を作っているのだ」という形にしておくべきじゃないのかと。
「ふざけた番組だから、ふざけたノリで作ってます」じゃダメでしょ。

そういう意味では、ヤラセ演出に使われる小道具の安っぽさも大いに疑問だ。
そこは「撮影している段階では嘘がバレバレだけど、番組になると本物っぽく見える」ということを意識しなきゃいけないんじゃないかと。
だけどチキンの骨にしろ、ワニのヌイグルミにしろ、番組として加工されたところで嘘がバレバレでしょ。
行き当たりバッタリで撮影が行われているってのも、違うんじゃないかなあと。それは、もはや「川口浩探検隊シリーズ」に対する冒涜にも繋がっているんじゃないかと。もっとリスペクトしようぜ。

諸々の問題を考慮すると、色んなことを大幅に変更した方が良かったんじゃないかと。 まず杉崎は、「番組出演に乗り気じゃなかったけど、何らかの事情で仕方なく引き受ける」という初期設定にしておく。いざ現地へ行くと、「リアルな探検番組だと聞いていたのにヤラセが続くので反対したり抗議したりする」という動かし方にする。
井坂と瀬川は、熱い思いで真剣に「ヤラセ演出」に取り組む。
最初は否定的だった杉崎も、彼らの情熱に心を動かされて賛同するようになる。
そういう展開にでもした方が良かったんじゃないかと。

反政府軍に捕まった時、銃を向けられているのに瀬川がカメラとテープの破棄を拒否したり、「完成させましょうよ」と訴えたり、急に「番組に対する熱い思い」をアピールするのだが、それは不自然だわ。
あと、そこに来て「ヤーガの存在を全否定し、あっさり中止を決定しようとする井坂」と「撮影を続けて完成させようとする瀬川」に大きな熱量の差が出るのは、キャラの動かし方として違うんじゃないか。
この2人は「同じ志で結ばれた盟友」として動かし、考え方の違いを見せたいなら他のキャラを使うべきじゃないかと。

杉崎は反政府軍がテープを破棄しようとすると、「そもそも意味って何なんだよ。本気でやってんだよ。本気でリアクションやってんだよ。カメラの前じゃ、いつでも本気なんだよ。」と熱く訴える。
だけど、「アンタは今回の撮影で初めて参加しただけだろ」と言いたくなる。そういうのは、ずっと探検隊の番組を作り続けてきた人間が訴えてこそ意味がある言葉じゃないのか。
なので、そこで杉崎に言わせたいなら、前半で「杉崎が番組をバカにしたり批判したりして、それに対してクルーの誰かが熱くて真剣な思いを語る」という手順を用意しておくべきだ。そして、それに感化された杉崎が、反政府軍に対して同じような情熱をぶつけるという形にしておけばいい。
そうすれば、そこで杉崎が語っても腑に落ちる。

ただし、その熱い訴えを受けた反政府軍が撮影に協力するという展開は、余計なトコに手を伸ばしちゃったなあと感じる。
そこまでの撮影は全て、撮影隊サイドが用意した演出だけで「ヤラセ」が成立していた。
村人や老婆の台詞は勝手な吹き替えを用意しただけだし、探検の途中で起きるトラブルは全て撮影隊が用意した小道具や仕掛けで成立させていた。
しかし反政府軍が協力するってのは、撮影隊サイドの工夫だけでは成立しない。
「ミゲルたちが杉崎のスピーチを受けて協力することに」という部分は、ヤラセではないのだ。

だけど、それが「本当に起きた出来事」として提示されていることが、逆に嘘臭さを強調してしまう。
そんなことで反政府軍が撮影に協力するなんて、嘘丸出しでしょ。そこに「虚構」を用意するのが得策とは思えない。
「虚構」は撮影隊が用意したヤラセの部分だけに限定して、他は全て「リアル」にしておいた方がいいよ。
なので、それに関連して「政府軍が洞窟へ突入するが、探検隊が策略を用いて退散させる」という筋書きも要らない。

本物のヤーガが出現し、政府軍の国防相が「ヤーガは実在した。我々はヤーガの怒りに敗北した」というコメントを出し、反政府軍と和平協定を結んで内戦が終結に至るってのも、まるで要らない展開だ。
それは本作品が目指すべきクライマックスだとは思えないのよ。
あと、そもそも本物のヤーガを出現させる必要性からして全く感じないぞ。そこはファンタジーにしておけばいいでしょ。
本物のヤーガを登場させた段階で、そこも「ハッキリとした虚構」になっちゃうんだからさ。

(観賞日:2017年4月26日)

 

*ポンコツ映画愛護協会