『Dear Friends ディア フレンズ』:2007、日本

女子高生のリナは、友達ヒロコの彼氏ツヨシと軽いノリで肉体関係を持った。2人がベッドにいるのを発見したヒロコが「友達でしょ」と 責めても、リナは悪びれることなく「友達だから借りたんじゃん」と言う。部屋を去ろうとするとヒロコが追い掛けてくるので、リナは 「友達、友達って、うるさいよ。友達って利用するもんだろ」と不機嫌そうに言う。
「そんなの友達じゃないよ」とヒロコが言うので、リナは「じゃあさ、アンタにとって友達って何?」と尋ねる。するとヒロコは、「相談 したり、助け合ったり」と口にする。リナは冷笑し、「そんなの、ただ傷口舐め合ってるだけじゃん。必要な時だけ利用すればいいんだよ」 と告げた。リナはクラブへ行き、仲間のエミと合流した。エミの携帯にはヒロコからのメールが届いていており、リナとツヨシのことが 伝わっていた。エミは羨ましそうに、「いいなあ、リナは可愛いから、誰でもやれちゃう」と口にした。
エミはヨーロッパから帰ってきたDJの洋介に目を付け、「やりたい」と言い出した。店員のケイゴは「洋介はいい女としかやらないから 、お前じゃ無理。まあリナなら出来るかも」と告げた。リナは洋介に目を付け、フロアに出て踊り始めた。他の客は輪を作り、リナに歓声 を浴びせた。洋介がフロアに出て来てリナに近付き、体を密着させて踊り出した。
リナは洋介とセックスしようとするが、「やっぱやめた」と言う。そこへエミが来たので、「この子とやれば?」と持ち掛けた。エミは 「えっ、いいの?」と喜ぶ。リナは「いい男としかやんないから」と洋介に告げて立ち去った。帰る途中、彼女は吐き気を催した。エミが 「ガキでも出来た?」と冗談めかして言うと、リナは「大丈夫だよ。ピルだって飲んでるから」と返した。
夜遅くに帰宅したリナは、声を掛けた母・加奈子に冷たく対応し、「ダルいから寝る」と告げた。加奈子が心配して部屋に来ると、リナは 「うぜえんだよ」と悪態をついた。翌朝になっても、具合は良くならなかった。父の幸三は、加奈子に「いっそこのまま病気にでも なっちまえばいい。あいつは都合のいい時だけ親を利用するような奴だ。放っておけ」と告げた。
リナは制服に着替え、バスに乗り込んだ。中年女性の乗客は、リナの目の前に立っている盲目の女性に気付き、「席を譲ってあげたら?」 と告げた。しかしリナは、ぶっきらぼうに「先に座ったもん勝ちでしょ」と言い放った。バスを降りたリナは、また吐き気を催した。学校 に到着したリナは、教師から「このまま学校や試験をサボッてばかりいたら進級できなくなるわよ。ますますクラスでも孤立して、友達も いなくなって」と言われ、「アンタに関係ねえだろ」と言い放った。
廊下をスタスタと歩いたリナは、女子生徒2名が運んでいる備品をカバンで弾き飛ばした。その内の一人に抗議され、「うっせえ、ブス」 と言い放った。抗議しなかった方の生徒・マキは、去って行くリナを見つめた。リナは雑誌の読者モデルもしており、マキからすると、 キレイで可愛くてカッコ良くて、女の子が欲しがるものをみんな持っている存在だった。
リナは過去に肉体関係を持ったトシを電話で呼び出し、「ガキが出来たみたいなんだ」と告げた。「マジに俺のガキ?」と困惑するトシに 、リナは「責任取ってくれるんだろ。ダメなら恋人のトモミに言うから」と脅しを掛けた。リナはトシから大金をせしめた。彼女はクラブ でドンペリを注文し、他の客にシャワーとして浴びせた。フロアに出て踊り出したリナだが、すぐに倒れてしまった。意識が戻った時、 リナは病院のベッドにいた。
担当医師の木下はリナに、「直接の原因は軽い貧血だが、他にも疑わしい点があるので詳しい検査をしたい。数日は入院が必要だ」と 告げた。洋介はケイゴから話を聞いてリナに電話を掛け、「土曜のパーティーには出て来んだろ?俺がDJやるから、来いよ」と誘った。 病室にマキがやって来たが、リナは「アンタ、誰?」と言う。小学校から同じ学校だとマキは言うが、リナは全く覚えていなかった。 「アタシもこの病院に通ってて、リナちゃんが入院したって聞いて」と遠慮がちにいうマキに、「余計なお世話だ、さっさと帰んな」と リナは荒っぽく告げる。「また来るね」と言って、マキは去った。
夜中にリナがトイレへ向かうと、同室の少女・カナエが付いてきた。彼女はリナに懐いて、「お姉ちゃんって可愛いねえ。私も早く大きく なりたいなあ」と明るく言う。カナエは「お友達がいて、いいねえ」と、マキのことをリナに言う。カナエが「入院ばかりしてるから、 お友達がいないんだ。お友達になってくれる?」と言うので、リナは困惑しながらも「ま、いいよ」と承諾した。
翌日、検査を終えて廊下を歩いていたリナは、無菌病棟に移されたカナエを目撃した。そこへ婦長が現れ、「今朝早くに、ここに移された 。物心付いた時から、ずっとああなの。辛いはずなのに、小さな体でよく耐えている」と語る。「退院しても、カナエちゃんに会いに来て くれる?手紙でもいいわよ」と婦長に言われたリナは、冷たい表情で「アタシ、そういうの嫌いなんだよね。ボランティアとかって、結局 、偽善じゃない」と言い放った。
退院することになったリナは、ロビーでマキと遭遇した。「良かった、何でも無かったんだね」と、マキは嬉しそうに言う。加奈子から声 を掛けられたマキは、「アタシ、リナちゃんが大好きなんです」と言った。リナはクラブへ行き、洋介と踊った。今度こそセックスしよう とする洋介に、リナは「アタシを満足させてくれるの?」と挑発的な言葉を投げた。洋介はキスをしてくるが、リナは「それで終わり?」 と冷たく告げて立ち上がる。洋介は「ぜってえ惚れさすからよ」と告げた。
帰宅したリナは両親に呼ばれ、検査の結果が判明して再入院が必要になったことを告げられた。リナは「二度とあんなとこ行くかよ」と 吐き捨て、傲慢な態度を取る。カッとなった幸三は加奈子が止めるのも聞かず、「お前はガンなんだ」とリナに宣告した。病院を訪れた リナは、相変わらず傲慢な態度を取り続けた。怒った幸三は、「もう面倒は見切れん」と吐き捨てて病室を出ていった。看護婦に対しても、 リナは反抗的な態度を取った。
マキが「婦長さんに聞いた」と言って、リナの病室にやって来た。彼女は持参したオルゴールを棚に置き、「これ聞くと勇気が出るんだ」 と言う。「また来ていい?」と尋ねるので、リナが「なんで?」と言う。「友達だから」と応えるマキに、リナは投げやりな口調で「勝手 にすれば」と告げた。するとマキは泣きながら、「また来る」と告げて病室を後にした。
その夜、リナは髪の毛がゴッソリと抜けた。クラブでは、ヒロコが新しいフロアの主役になっていた。そこへオシャレな服に身を包んだ リナが現れるが、ひどく顔色が悪かった。ヒロコはリナに近付き、「鏡見てないの?まるでババアみたいだよ」とリナを嘲った。ヒロコに 酒を浴びせたリナは、洋介に制止された。倒れた弾みにリナのカツラが脱げて、薄くなった頭部が露になった。クラブを飛び出した彼女は 倒れて意識を失い、駆け付けたマキが助けを呼んだ。
リナは病院食に全く手を付けず、すっかり弱々しくなった。毎日、病室を訪れているマキが「ちゃんと食べないと」と言っても、リナは 「こんなにまでなって、治療なんか受けたくない」と言う。婦長と会ったマキは、カナエが無菌室から出られたことを知った。マキはリナ の車椅子を押して、カナエの部屋へ連れて行く。カナエは、毛髪が全て抜け落ちていた。
「もうダメかも」と弱々しい声で言うカナエに、リナは「死ぬの?」と尋ねた。「たぶん」とカナエが応えると、リナは「死なないで くれるかな」と涙ぐみながら言う。リナは被っていた帽子を脱ぎ、ツルツルになった頭を見せた。それから彼女は、「アンタと私は、友達 っていうか、仲間なんだ」と告げた。カナエはリナを見つめて、「あたし、頑張るね」と口にした。
次の日からリナは、ちゃんと食事を食べるようになった。マキがカナエを病室に連れてきて、「退院できるようになったんだって。後は 新しい病院で治療することになったんだって」と告げた。カナエは、空気が美味しくて海がキレイな場所にある病院へ移るのだという。 カナエは「元気になったら遊びに来てね」と言い、退院していった。
リナはマキに、「なんでいつもここに来てんの?」と訊く。マキが「だって友達だから」と言うので、リナは「いつ友達になったんだよ?」 と尋ねた。するとマキは、「オルゴール聴いてくれた?」と質問してきた。リナはオルゴールを聴いた。すると『今日の日はさようなら』 のメロディーが流れた。マキは、「元々はリナちゃんの物だったんだよね」と口にした。
マキは、小学校の時にリナと同じクラスだったことを告げた。ある時、リナの誕生パーティーがあり、マキも招待された。だが、マキの家 は貧乏だったので、プレゼントを買えなかった。それでマキは、摘んだ花を持って行った。するとリナはヌイグルミに花を飾り、みんなに 「どう、可愛い?」と見せた。その時、マキはリナのことを優しいと思ったのだという。
パーティーの最中、マキはリナの家に置いてあるオルゴールに目を奪われ、そのメロディーを聴いた。「いい音だよ。勇気が出る」と言う マキに、リナは淡白な態度で「まだあったの。あげるよ」と告げた。「なんでくれるの?」とマキが尋ねると、「なんでって、友達だから」 とリナは言った。「あの時の言葉が、今までアタシを支えていてくれたんだ」と、マキは病室のリナに語った。
加奈子はリナの病状について、木下から「リンパ腺の腫れは引いたが、別の問題が生じた」と告げられた。廊下を歩いていたリナは、 カナエが助からなかったことを看護婦たちが話しているのを耳にした。さらに看護婦たちは、リナのガンが胸に転移したことも喋った。 ショックを受けたリナは屋上へ行き、そこから飛び降りようとする。
リナがフェンスを乗り越えたところへマキが現れ、婦長と加奈子も駆け付けて止めようとする。「手術すれば必ず治る」と言われるが、 リナは「胸が無くなるんだろ。生きてたってしょうがねえんだよ」と喚いた。マキは「リナちゃんが死んだら、アタシも生きていけない」 と泣いて、カバンからカッターナイフを取り出した。そして彼女は「リナちゃんと同じ痛みを味わう」と口にすると、カッターで自分の胸 を刺した。彼女は失神し、病室のベッドで意識を取り戻した。
マキはリナに「こんな性格だから、いつもイジメられて、死のうと思って」と言い、何度もリストカットしたことを打ち明けた。それから 「でもリナちゃんのことを思い出したら生きていこうと思った」と口にした。さらにマキは、カナエから「あたし、もう戻ってこれないと 思うから、マキちゃんがリナちゃんを助けてあげて」と頼まれたことを語った。
リナは病気と闘う気持ちになり、手術を受けた。木下は加奈子に、「左の乳腺は切除したが、数週間で退院できる」と告げた。一方、マキ は婦長から、「貴方も自分自身のことを考えなくてはね。そろそろ通院だけで治療するのは難しいと思うの」と言われる。「そんなに進行 してるんですか」と訊くマキに、婦長は「残念ながら」と返答した。マキは婦長に、「アタシの病気のことは、リナちゃんには内緒にして おいてください」と頼んだ…。

監督は両沢和幸、原作はYoshi、脚本は両沢和幸&三浦有為子、企画は中曽根千治、プロデューサーは河瀬光、製作統括は生田篤、撮影は 上野彰吾、編集は大畑英亮、録音は室薗剛、照明は赤津淳一、美術は和田洋、音楽は藤原いくろう、音楽プロデューサーは津島玄一。 主題歌SOULHEAD『Dear Friends』written by SOULHEAD、special produced by Yoshi、produced by SOULHEAD & OCTOPUSSY。
出演は北川景子、本仮屋ユイカ、大杉漣、宮崎美子、小市慢太郎、大谷直子、黄川田将也、通山愛里、佐々木麻緒、松嶋初音、 野波麻帆、仁科克基、根岸季衣、西川風花、松原静香、伊藤留菜、小林愛里香、安藤咲良、路川あかり、小川飛鳥、荒井健太郎、 菊池裕子、佐野元哉、平野麻樹子、中山俊、川口りさ、上原あい、戸田れい、萩原未奈、藤田侑、久保田悠来、丸尾博志、井上裕史、 八巻博史、辻内南季、藤川千尋、上久保英里、加納匠悟、野貴葵、上野亮、小林且弥、あすか他。


Yoshiの小説『Dear Friends リナ&マキ』を基にした作品。
監督は『ナースのお仕事 ザ・ムービー』の両沢和幸。
リナを北川景子、マキを本仮屋ユイカ、幸三を大杉漣、加奈子を宮崎美子、木下を小市慢太郎、婦長を大谷直子、洋介を黄川田将也、ヒロコを通山愛里、 カナエを佐々木麻緒、エミを松嶋初音、リナの担当看護婦を野波麻帆、ケイゴを仁科克基が演じている。

冒頭、リナが病院の屋上から飛び降りようとする場面が描かれ、そこにマキの「友達って何ですか。必要なもの、邪魔なもの、助け合う もの、足を引っ張り合うもの〜」という長いモノローグが被さる。
ここでマキの声が完全に鼻づまりなのはダメだろ。
あと、BGMはオルゴールの『今日の日はさようなら』なんだが、「いつまでも絶えることなく友達でいよう」という歌詞が あるのね。モノローグでも「友達って云々」と言っているし、過剰に「友達」をアピールしすぎ。
っていうか、その曲を選ぶセンスは寒いよ。

リナは友達であるヒロコの彼氏と、サバサバとした態度でセックスして、非難されても全く悪びれた様子は無い。
で、そんな奴が、服を着るためにベッドのシーツでスッポリと全身を隠したまま着替えるかよ。もっと思い切ってバサッとベッドから 起き上がって、堂々とヒロコに裸を見せ付けたまま着替える方が、それらしいだろ。
別に北川景子の裸を見せろとは言わない。そんなの絶対に無理だし。
ただ、表現として、「裸を隠そうともしない」という形にすべきでしょうに。
そこはガバっと立ち上がったところでカットを切り替えて画面には裸を映さないとか、スタント・ダブルを使うとか、そういう形でいい から。

リナはヒロコに「友達、友達って、うるさいよ」と言うが、この映画自体が、やたら「友達」と言いすぎて、うるさいよ。
バスに乗れば中年女性が「そんなんじゃ友達なんか出来ないわよ」と言い、学校でも先生が「ますますクラスでも孤立して、友達もいなく なって」という。
友情の大切さを訴えたいのは分かるけど、「友達」というキーワードを、何度も何度も言うなよ。
で、リナは「友達って利用するもんだろ」と言うが、その考え方は変だろ。そんな考えをするぐらいなら、「そもそもヒロコを友達とは 思っていない」という方が自然じゃないのか。

リナは学校の廊下で備品を運んでいた生徒の邪魔をして、抗議されると「うっせえ、ブス」と言い放つ。
こいつは一体、何にイライラしているんだろうかと思ってしまう。
リナって、ただ傲慢とか生意気とかいうレベルじゃなくて、常に苛立っているように見える。
でも、何にイライラしているのかは分からない。
っていうか、たぶんイライラしているキャラ設定ではないんだろう。

強い執着を示す洋介を含めて、みんながリナをチヤホヤしてメロメロになっている理由が良く分からん。
そんなにイイ女かな、リナって。
そもそも「誰もが羨むルックス」という設定の北川景子が、個人的には「そこまで言うほどか?」という疑問があって、いや、そりゃ美人 の部類ではあるんだけど、「全く男にはモテなくてイジメを受けている冴えない女の子」であるマキを演じるのが本仮屋ユイカなので、 こっちの方が可愛いしモテそうだよなあと思ってしまう。

やたらと周囲に当たり散らすリナだが、トイレへ行く時に付いてきたカナエが「おしっこ」と言うと、笑って「そっか、わりい、わりい」 と対応する。
「お友達になってくれる?」と言われると、「ま、いいよ」と困りながらも承諾する。
そこは「うっせえ」とか邪険に言わないのね。比較的、優しく接するのね。常にトゲトゲしくてケンケンしているわけではないのね。

「友達って、困ったら助けてあげるんだよねえ」と、友達の定義について不自然に語るカナエは、不自然なまでに、最初からリナに懐いて くる。
わざとらしさ満開のキャラクターだが、そんな少女を登場させるぐらいなら、そいつとリナの関係を軸にすべきだろうに。
カナエがいれば、マキは要らない。
リナに「友達の大切さ」を教える役割は、一人でいいんだよ。どっちかに絞るべきなんだよ。

ロビーで加奈子に「アタシ、リナちゃんが大好きなんです」と言った後、「リナちゃんは、人に利用されるぐらいなら、こっちから利用 してやると思ってたんだね」というモノローグが入る。
それはマキの推測に過ぎないが、それが的中していたとして、なぜリナが「利用されるぐらいなら利用してやる」という考え方になったの か。
その理由、経緯が全く分からないぞ。

幸三が溜めを作って重々しく「お前はガンなんだ」と告げて、リナは激しいショックを受ける。で、すげえ深刻なシーンとして描写されて いるが、ガンにも色々とあるよな。
昔と違って、今はガンってのは「不治の病」じゃなくて、早期発見なら治る病気だ。だから、まるで「もう助からない」みたいなトーンで ガンを告知する演出には、違和感を覚えてしまう。
いや、まあ告知そのものは重々しくてもいいけど、すぐに「早期発見だから手術で治る」とか、そういうフォローを加奈子が入れたり するのが普通だろうに。リナの場合は手遅れの状態じゃないんだから。
なぜ医者も両親も、そういう詳しいことは全く言わないのか。
詳しいことと言えば、ガンの種類も言わないんだよな。何のガンか、ちゃんと言えよ。

ガンを告知された後、リナは医者にも看護婦にも反抗的な態度を取る。
でも、それって病気を知る前と、全く何も変わらないのよね。
「ガンだと知ったことで荒れる」という風に見えなきゃならないはずなんだけど、それ以前から「遊びまくっている。浮かれている」と いうだけじゃなく、常にイライラしていたので、ガンを知ったことによる態度の変化が見えない。

病院を抜け出してクラブへ行ったリナは、ヒロコから「鏡見てないの?まるでババアみたいだよ」と言われる。
ヒロコの言う通りで、なぜリナはオシャレな服に着替えているのに、顔はチェックしていないのか。それとも、チェックしてそれなのか。
でも、顔がババアみたいだと分かっていたら、プライドの高いリナがクラブに来るはずがないと思うんだが。
既にリナは頭髪が薄くなっているのだが、そんな頭で、なぜクラブへ行こうと思ったのかも良く分からないな。抜け落ちて大きなショック を受けたシーンの次に、それだからなあ。落ち込んで、出歩く意欲なんか無くなっても不思議じゃないんだが。そうなる前に、まだ顔色が 悪いだけの段階で抜け出すなら、分からないでもないが。
っていうか、どこで手に入れたんだ、そのカツラは。
あと、クラブを飛び出して倒れたリナをマキが助けるが、じゃあマキはリナをずっと尾行していたのか。お前はストーカーか。

クラブの外で倒れて病院に戻ったリナは、すっかり弱々しくなっている。
それまでは生意気で反抗的だったのに、その変化は急だなあ。
で、マキが小学校時代の出来事をリナに語り始める。誕生パーティーでマキを見たリナは「来たんだ」と冷淡に言うが、お前が呼んだから 来たんだろうに。その態度はどういうことなんだよ。
で、その後、リナはマキに「なんでって、友達だから」という言葉を言うのだが、それって流れやリナのキャラからすると、ちょっと 不自然なセリフに聞こえるなあ。

で、オルゴールを貰って「なんでって、友達だから」と言われたマキは、「あの時の言葉が、今までアタシを支えていてくれたんだ」と 言うが、そんな些細な言葉が未だに心の支えだというのなら、マキの置かれている状況をもっと示さないと説得力が無いよ。。
後になって、イジメを受けて何度もリストカットしていることが判明するが、「こんな性格だから」と言われても、イジメを受けるような タイプには全く見えなかったぞ。。
っていうかマキって、序盤の備品を運ぶシーンで友達と一緒にいたはずじゃなかったか。

リナが廊下を歩いていると、すぐ傍を患者が通るような場所で、看護婦たちが「カナエは助からなかった」「リナのガンが胸に転移した」 などと、ベラベラ喋っている。
で、自殺しようとしたリナは、「必ず治る」と言われ、「胸が無くなるんだろ。生きてたってしょうがねえんだよ」と口にする。
おいおい、ガンの転移そのものにショックを受けて、自殺しようとしたんじゃなかったのかよ。看護婦の話を聞いた時に、「胸に転移 したってことはオッパイを切除しなきゃいけない」ということまで考えが至って、それで絶望したのかよ。
妙に頭の回転が速い奴だな。
っていうか、なんか論点がズレてないか、それって。

飛び降りようとするリナの前で、マキはいきなりカッターナイフを取り出し、「おんなじ痛みを味わう」と、胸をカッターで切る。 完全に狂っている。
カナエにしろマキにしろ、なぜ、そこまでリナに強く肩入れするのか、サッパリ分からない。
あと、何度もリスカしているなら、その跡を隠そうとするはずなんだけど、そこまで極端に右の手首を隠そうとしているようには 思えなかったな。
長袖を着ていることで、それを表現しているってことなのかな。

手術を受けて退院したリナは、洋介から「本気で彼女にしたい。セフレとかじゃなくて」と告白される。で、「事故で顔がグチャグチャに なったらどうする?」「ずっとそばにいるよ」「交通事故で足が無くなったら?」「俺が足になってやるよ」という会話の後、裸になった リナに洋介が「わりい」と告げて立ち去り、リナが号泣するという展開があるが、どうでもいいなあ、そんなの。
洋介の扱いをもっと薄くして、あと15分か20分ぐらいは短くまとめればいいのに。
まあ短くしたからって、それでサルベージできるような作品じゃないけどさ。
で、また自殺しようと考えたリナは病院の屋上へ行くのだが、なぜ病院なんだよ。お前にとって飛び降りる場所は病院しか無いのか。
っていうか、せっかくマキの命懸けの説得で自殺を思い留まったのに、手術してすぐ、また自殺しようとするっていう、マキの行為を無駄 にしてしまうその展開は何なんだよ。

リナは「どうしてマキは一度も会いに来ないんだよ」と喚き、そこに車椅子に乗せられたマキを婦長が連れて来て、マキが病気だと 分かる。
でもさ、マキが一度も会いに来ないことをリナが「なぜだ」と思うにしても、そんな形で真実を明かさなきゃいかんかね。
そもそもマキは、早い段階で「アタシもこの病院通ってて」と言っていたのに、いつまで経っても、リナはマキが何の病気で通院して いるのか、全く気に留めない。
っていうか、たぶんリナは、マキが通院していることを忘れている。

婦長が「マキは指や手から萎縮が始まって体の筋肉が動かなくなる病気」と言うが、ちゃんと病名を言えよ、病名を。
リナのガンもそうだったが、なぜ病名を曖昧にしちゃうのかね。
で、マキは既に自力では歩けなくなっており、マトモに喋ることも出来なくなっている。
って、おいおい、マキって、それまで全く病気らしい伏線が無かったじゃねえか。なんで急に、そこまで病状が進行してるんだよ。リナの 見舞いをしている時に、普通にリンゴの皮を剥いたりしてたじゃねえか。
っていうか、その病気の設定があるなら、イジメで何度もリスカという設定は、ほとんど意味が無いと思うんだが。そんなの無くても いいでしょ。

リナが二度目の自殺を思い留まった後、リナがマキの世話をする日々が綴られるが、完全に蛇足。
まあ蛇足も何も、この映画そのものがムニャムニャ。
で、マキの「リナちゃん、友達がいるって、素敵なことだよね」というモノローグの後、リナの「マキの日記は、ここで終わっている」と いう語りが入る。
おい、今までのは全てマキの日記だったのかよ。なんだ、その恐るべき展開は。
もう伏線を張る作業とか、そういうのは完全にシカトなんだな。

(観賞日:2009年12月13日)

 

*ポンコツ映画愛護協会