『SUNNY 強い気持ち・強い愛』:2018、日本

専業主婦の阿部奈美は高校時代の楽しかった思い出を振り返り、目を覚まして朝食の準備を始める。彼女は夫と高校生の娘の3人で朝食を取りながら、『めざましテレビ』で取り上げられた安室奈美恵のデビュー25周年記念ライブの話題に目を留める。それに関連して当時の女子高生のブームも番組では取り上げるが、娘は全く興味を示さずチャンネルを変える。外車ディーラーの夫は仕事が多忙で出張も多く、家のことは全て奈美に任せている。娘との会話も最近は少なく、奈美は満たされない気持ちを抱えている。
骨折して入院した母の見舞いに出向いた奈美は、夫から預かった金を渡す。病院を去ろうとした奈美は、高校時代の親友である伊藤芹香が入院しているのを知った。芹香は半年前から癌で入院していること、家族もいないし未婚であることを彼女に話した。芹香が余命1ヶ月と主治医に宣告されたことを打ち明けたので、奈美は動揺して固まってしまう。芹香は「1つお願いがあるんだよね。サニーのバカたちに会いたいの」と言い、仲良し6人組で撮った当時のアルバムを差し出した。しかし奈美はサニーのメンバーと20年以上も会っておらず、連絡先も知らなかった。
高校時代、淡路島から東京の女子高に転校してきた奈美は、コギャルだらけの学校に戸惑った。見た目かダサいと言ってクラスメイトの美礼たちが奈美を馬鹿にするが、芹香が威圧して黙らせた。芹香は奈美に声を掛け、仲間の裕子、心、梅、奈々を紹介した。裕子はバストが小さいのがコンプレックスで心はテレクラで中年オヤジを釣って欲しい物を買わせている。小太りの梅は食べるのが大好きで、奈々は人気雑誌「egg」で読者モデルをしている。奈々は奈美がダサいと指摘し、芹香たちはルーズソックスを履くよう勧めた。帰宅した奈美はルーズソックスやカーディガンを買うための小遣いを欲しがるが、貧乏生活を余儀なくされている両親は認めなかった。23歳の兄は働かず、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』に夢中になっていた。
現在の奈美はサニーの情報を得るため、久々に母校を訪ねた。当時の担任教師と再会した彼女は、梅が会いに来たことを知らされる。梅は不動産会社で営業の仕事をしているが、成績はダントツの最下位だった。彼女は半年で一件の契約も取れず、上司から怒鳴られた。奈美は梅に連絡を取り、芹香の元へ連れて行く。梅は芹香との再会を喜ぶが、すぐに営業を掛けようとした。病室を出た後、奈美は芹香が幾つか会社を経営しているらしいと梅に教えた。学校でも他のメンバーの連絡先が分からないと言われたことを奈美が話すと、梅は探偵を雇うことを提案した。2人は目に留まった中川興信所を訪れ、3人の捜索を依頼した。1人つき10万円の成功報酬を提示され、奈美と梅は不安を抱きながらも承諾した。
高校時代の奈美は、芹香たちに誘われて遊びに行く。他のメンバーは最初から奈美を受け入れてくれたが、奈々だけは冷たい態度を取った。リーマン狩りをしている美礼たちを見つけた芹香は、挑発的な言葉を浴びせた。梅は奈美に、美礼が中学までは芹香と仲良しだったこと、高校デビューして遊び回っている内にドラッグにハマったことを教えた。奈美たちが梅の家で集まっていると、彼女の兄が仲間と共にやって来た。その中の藤井渉に、奈美は心を奪われた。奈美は芹香たちと過ごす内に、どんどんコギャルに染まっていった。
現在の奈美は中川から連絡を受けて、裕子が見つかったと知らされる。裕子は婚活パーティーで知り合った美容整形外科医の男と結婚し、豊胸手術を受けていた。セレブ生活を送る彼女は、過去について夫に嘘をついていた。奈美は事情を説明して芹香に会ってほしいと頼むが、裕子は「昔に引き戻されたくない。探偵に個人情報を知られたのも腹が立つ」と冷淡に拒否した。興信所に赴いた奈美は中川から、心と奈々の捜索が難航していること、故意に身を隠しているとしか思えないことを聞かされた。ちょうど中川の興信所には、裕子が浮気調査の依頼に来ていた。彼女は奈美に、夫には若い女が何人もいるので慰謝料を取って離婚しようと考えていることを語る。「アンタは旦那と幸せそうだね」と言われた奈美は、娘が産まれてから15年もセックスレスだと打ち明けた。
高校時代の奈美は芹香たちと街で遊んでいる時、渉を見掛けた。彼女は仲間と別れて渉を尾行し、クラブに足を踏み入れた。大人ぶってカウンターでビールを注文した彼女は、渉に気付かれた。渉は店でDJをしていると話し、「今度来てよ」と誘う。トイレへ行こうとした奈美は、店に来ていた美礼たちに襲われる。そこへ渉が駆け付け、美礼たちを威嚇して追い払った。彼は「知り合いの店でイベントをやるから、遊びに来てよ」と奈美に言い、チラシを差し出す。奈美が襲われたことを聞いた芹香たちは、美礼のグループに報復した。
現在の奈美は芹香から、遺影用の写真を撮影するためのメイクを頼まれる。奈美は芹香にメイクを教わった頃を思い出し、「あの頃が一番楽しかったなあ」と漏らす。「今は楽しくないの?」と問われた彼女は、「毎日の生活に追われて、考えもしないかな」と答える。病室に同席していた梅は、「奈美はまだ幸せだよ。パチンコ狂いの旦那のせいで、ずっとお金無いし。私が働いても働いても、使っちゃうしさ。仕事もすぐ辞めちゃうし」と愚痴る。「こんなはずじゃなかったのにな、私の人生」と彼女が言うと、芹香は「それは駄目だよ。私の分も、楽しんで生きて」と2人に告げた。裕子は泣きながら病室に現れ、夫が女子高生と浮気していることを話した。彼女が復讐心を口にすると、芹香は協力を申し出た。奈美たちは女子高生を詐称して裕子の夫を呼び出し、激しい暴行を加えた。
高校時代の奈美は、30万円の賞金が出るミュージック・フェスティバルに向けて仲間と練習を積む。彼女たちはグループ名を相談し、心の提案した「サニー」に決まった。奈美たちは盛り上がるが、奈々は「無理なんじゃない」と冷淡に言う。彼女はダンスの下手な奈美が足を引っ張っていると指摘し、降りると言って立ち去った。奈美は奈々の家を訪れ、一緒に踊るよう頼む。関西弁を喋る継母が来て奈美を招き入れようとすると、奈々は「アンタなんか母親じゃない」と家を飛び出した。奈美が後を追うと、奈々は実母が死んで1年も経たない内に大阪のホステスと再婚した父への苛立ちを吐露した。奈美と奈々はおでん屋台で日本酒を飲みながら、本音をぶつけ合う。すると奈々は酔っ払って泣きながら、実は奈美と仲良くなりたかったことを打ち明けた。
現在の奈美は中川から、心が見つかったという連絡を受ける。心は経営して美容室が潰れてしまい、数年前に離婚した。心は夫の暴力と本人のアルコール依存症が原因で離婚し、現在はスナックの雇われママとして働いている。心は多額の借金を抱えており、5歳の娘を実家に預けていた。奈美は開店前のスナックで心と会い、芹香のことを説明する。そこへスナックのオーナーをしているヤクザと舎弟が現れ、反抗的な心を恫喝する。奈美は財布から札束を取り出してヤクザに渡し、「この店を貸し切ります」と告げて追い払った。
「こんな仕事、もう辞めよう」と奈美が言うと、心は「アンタに何が分かんのよ。こんな仕事しか出来ないんだよ」と怒鳴った。彼女は「サニーって何だよ、くだらない。誰にも会いたくないんだよ」と喚くが、奈美が平手打ちを浴びせると「もう辞めたいよ、こんな仕事」と泣き出した。奈美は芹香の病室へ行き、心の状況を説明した。病状を問われた芹香は「そろそろエンディングかなって感じ」と答え、「でもさ、伊藤芹香物語の主役としては、悪くなかったかなあって」と告げた。
「奈美は?阿部奈美物語の主役として」という彼女の質問に、奈美は「結婚して、母親になって、ずっと自分がどこにいるか分かんなくなってた。でも芹香に会って、みんなを捜してる内にね、なんか久しぶりに自分を取り戻せたっていうか」と語る。芹香は奈美に、ずっと大切に持っていたDVDを渡した。帰宅した奈美が再生すると、それはサニーのメンバーが未来の自分に向けて話し掛けるビデオメッセージだった。全員が希望に満ち溢れた未来図を予想し、奈美は「何になってるか分からないけど、これからもずっとずっと、みんなと仲良くいてね」とカメラに語り掛けていた…。

脚本・監督は大根仁、原作は「Sunny」CJ E&M CORPORATION、製作は市川南、共同製作は上田太地&鄭泰成&弓矢政法&宮崎伸夫&広田勝己&瀧藤雅朝&見城徹&出來由紀子&渡辺章仁&橋誠&舛田淳&長坂信人&田中祐介&藤田晋、エグゼクティブプロデューサーは山内章弘、企画・プロデュースは川村元気、プロデューサーは市山竜次&馬場千晃、ラインプロデューサーは小泉朋、撮影は阿藤正一&橋本桂二、美術は都築雄二、照明は高倉進、録音は渡辺真司、編集は大関泰幸、振付は左 HIDALI、音楽は小室哲哉。
出演は篠原涼子、広瀬すず、板谷由夏、山本舞香、小池栄子、野田美桜、ともさかりえ、田辺桃子、渡辺直美、富田望生、池田エライザ、リリー・フランキー、三浦春馬、キムラ緑子、三田和代、橋本じゅん、坂口涼太郎、宮崎吐夢、高田聖子、小野花梨、吉田まどか、武イリヤ、岡部たかし、松本穂香、矢本悠馬、新井浩文、不破万作、橋爪淳、三浦俊輔、宮下今日子、米村亮太朗、松澤匠、鎌田豪、小山絵梨香、西田奈未、軽部真一、久慈暁子、中野英樹、師岡広明、しのへけい子、ふくまつみ、池本啓太、大友律、草野大成、木戸大聖、椎名琴音、山本昌督、金子ゆい、黒田浩史ら。


2011年の韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』をリメイクした作品。
脚本&監督は『SCOOP!』『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』の大根仁。
奈美を篠原涼子、高校生の奈美を広瀬すず、芹香を板谷由夏、高校生の芹香を山本舞香、裕子を小池栄子、高校生の裕子を野田美桜、心をともさかりえ、高校生の心を田辺桃子、梅を渡辺直美、高校生の梅を富田望生、奈々を池田エライザが演じている。
他に、中川をリリー・フランキー、若い頃の渉&渉の息子を三浦春馬、奈美の母をキムラ緑子、奈美の祖母を三田和代、奈美の父を橋本じゅん、奈美の兄を坂口涼太郎、奈美の娘を松本穂香、梅の兄を矢本悠馬、梅の上司を新井浩文、屋台のオヤジを不破万作、現在の渉を橋爪淳が演じている。

オリジナル版は1980年代後半の韓国が舞台となっていたが、リメイク版では1997年に変更されている。
オリジナル版の公開が2011年で、リメイク版は2018年。なので、「現在」から逆算して辻褄が合うようにするために、そこを変更するのは当たり前だろう。
しかし、単に年代を変更するだけで済むわけではない。1980年代後半の韓国韓国と1997年の日本では、当時の世相や風俗が全く異なっている。
そのため、それに合わせて内容も変更する必要があるわけだ。

1997年の日本を描く上で大根仁監督が注目したのは、「コギャル文化」である。
当時の日本でコギャルが元気だったこと、ブームを生み出していたことは紛れも無い事実だ。それに、当時の都会で暮らす女子高生を描くなら、コギャルという文化は避けて通れないだろう。
ただ、そこに焦点を絞り込んだことが、果たして商業映画として賢明な判断だったのかと。
それは刺さる対象をものすごく限定してしまう判断だったのではないかと。

勘違いしている人もいるだろうけど、当時のコギャル文化ってのは、あくまでも東京を中心にした一過性のブームだ。
そのブームは都市部では広まったが、田舎へ行けば行くほど影響力は弱かった。
淡路島から出て来たばかりの奈美が野暮ったい女子高生として描かれているが、それは決して「淡路島だから」ってわけではない。他の地域でも、コギャル文化が広まっていない場所は多かった。
ってことは、「当時のコギャル文化を見て、自分に重ね合わせて懐かしく思える観客層」ってのは、そんなに多いわけではないのだ。

とは言え、1997年の日本が舞台であっても、「当時を懐かしく思える人」しか楽しめないことが最初から確定しているわけではない。
本当に優れた映画ってのは、その時代に青春時代を経験していなくてもノスタルジーを感じ取ることが出来るものだ。
あるいは、ノスタルジーに浸れないにしても、別の部分で楽しめる仕上がりになっているものだ。
しかし残念ながら本作品は、「1997年に青春時代を過ごして、コギャル文化を懐かしく思える人」しか満足することが難しいような仕上がりなのだ。

この映画で大きな意味を持っているのは、1997年という舞台設定に沿って使われる音楽だ。しかし皮肉なことに、ここが本作品の大きな欠点になっている。
大根監督は本作品を手掛けるに当たり、真っ先に「小室哲哉に劇伴音楽をやってもらう」ってことを考えたらしい。
1990年代の邦楽業界は小室サウンドが席巻していたので、それは充分に理解できる。
しかし、それならサブタイトルに「強い気持ち・強い愛」という小沢健二のヒット曲の題名を使うのは絶対に違うだろ。そこでオザケンを使っておいて、劇伴音楽は小室哲哉に頼むのは、中途半端な姿勢じゃないか。

1990年代の邦楽業界では、小沢健二も間違いなく活躍していた。だから、彼の楽曲を使うのも、サブタイトルに題名を入れるのも、それは別にいい。
ただ、それなのに小室哲哉に劇伴を頼んだら、それは「なんかズレている」と言わざるを得ない。
しかも、劇中で使われている楽曲を見回すと、小室哲哉が手掛けた歌は11曲中の5曲。その割合は置いておくとしても、彼が参加していたglobeの歌は1曲も無いし、華原朋美の歌も同様。
その辺りに、中途半端さを感じずにはいられない。

高校時代の回想に移ると、最初にミュージカルシーンに用意されている。何となく『モテキ』を連想させるけど、それよりは『ラ・ラ・ランド』を意識した部分の方が大きいんだろう。
そこは賛否があるかもしれないけど、個人的にはどうでもいい。
それより気になるのは、「なんで最初のミュージカルシーンで使う楽曲が久保田利伸 with NAOMI CAMPBELLの『LA・LA・LA LOVE SONG』なのか」ってことだ。
そこは絶対に小室サウンドであるべきでしょうに。そもそも、「コギャルたちのミュージカル」という絵に『LA・LA・LA LOVE SONG』が全く合っていないしさ。
そこはTRFの曲でパラパラでもやらせた方がいいんじゃないかと。

ミュージック・フェスティバルへの参加を決めたサニーのメンバーは、「安室やtrfは他にやるグループがいるから狙い目」という芹香の考えで小沢健二の『強い気持ち・強い愛 Metropolitan Love Affair』を選んだ設定だ。
だけど、それは違和感があるんだよねえ。当時のコギャルが、そこを選ぶかねえ。
「芹香カは他のコギャルと全く違うオシャレなセンスの持ち主」ということなら、それは分からんでもないのよ。でも、そういう彼女のキャラが紹介されているわけではないからね。「コギャルグループのリーダーで、勝ち気で暴力的」という程度の情報しか伝わって来ないからね。
なんかねえ、最初から最後まで、「ミュージカルシーンでやりたいこと」と「使いたい楽曲」と「小室哲哉に伴奏音楽を担当してほしいという思い」が、バラバラで融合していないように感じられるんだよね。

原題が「サニー」だから、そこを使うのは必須条件という考え方は当然だろう。ただ、それは高校生時代に組んでいたグループの名前という設定で、ここに大きな問題が生じている。
ミュージック・フェスティバルに出場するチーム名として心が「サニー」を提案するけど、「なぜ急にサニーという名前を思い付いたのか」ってのが引っ掛かるのよね。意味を問われた心が「陽が当たるとか、陽だまりとか」と説明すると全員が賛同するんだけど、それだけでサニーに決まるかね。
オリジナル版だと由来があるけど、こっちは何も無いのよ。だから、そのグループ名が決まる手順が不自然なことになっている。
例えば、誰か近しい人間のニックネームだったとか、日産自動車のサニーに乗っていたとか、何でもいいから由来を用意した方が良かったんじゃないかと。

サニーのメンバーは、酒を飲むわ煙草を吸うわと、もちろん高校生は法律で禁止されている行動を取る。
だけど、それが当時のコギャルにおける「当たり前の行動」だったというイメージが全く無いんだよね。むしろコギャルと「酒やタバコ」って、遠い距離にあったように思うんだけど。
クラブのバーテンやおでん屋台の親父が、相手が高校生だと分かっているのに平気で酒を出すのも違和感があるし。それは「正しくない行動だから」ってことじゃなく、「そんなのが当たり前の時代ではなかったはず」という意味でね。
もっと根本的な問題として、「酒や煙草をやらせなくても1997年のコギャルを描くことは出来るよね」と。
わざわざ酒と煙草のシーンを用意する必要性が全く分からないのよ。美礼のドラッグに溺れている設定なんて、もっと要らないわ。ホントに邪魔だわ。

かつてサニーだったメンバーは大人になった現在、それぞれに悩みを抱えている。
この内、芹香の病気については、もう何も手を打つことは出来ない。だから間に合わなかったけど、「希望通りにサニーのメンバーが集まった」というトコで、ある意味では問題が解消される。
奈美は「日々の生活に追われて人生を楽しめていない」というのが悩みだが、そんなに大きな悩みではないし、たぶん解決できるだろう。
裕子は夫の浮気が発覚するが、仲間と報復したし、多額の慰謝料を貰って離婚を決めたので区切りは付いている。

問題は、梅と心だ。この2人の場合、抱えている悩みが大きすぎる。
どちらも「多額の借金を抱えている」「自分だけが動いて解決できる案件ではなく、クズな男が絡んでいる」という問題に苦しんでいる。
ここを解決するのは、かなりの難題だ。「何も解決されていないけど、仲間に会えて幸せだからOK」と軽く済ませるわけにもいかない。
どうするのかと思っていたら、「死んだ芹香が遺言を残しており、遺産で全て解決される」という形になる。
いや、作品の内容やテイストを考えれば、ある程度の御都合主義は甘受できるよ。
だけど、「金さえあれば大抵の問題は解決できる」って、そんな現実を淡白に突き付ける終わり方で、ホントにそれでいいのか。

最終的には「昔は良かったね。でも、それはそれとして、今を頑張ろうよ。そして明日に向かって歩いて行こうよ」という、「これから」に向けたポジティブなメッセージが最後に伝わらなきゃダメだと思うのよ。
だけど、この映画って「昔は良かったよね」という、過去を向いたまま、後ろ向きのままの姿勢で物語を終わらせちゃうのよね。
だから、表面的には明るく楽しいエンディングに見えるかもしれないけど、実はハッピーエンドとは言えないんじゃないかと。

(観賞日:2020年9月9日)

 

*ポンコツ映画愛護協会