『スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ』:2006、日本

ある夜、渋谷のスクランブル交差点に、一人の女子高生が張り詰めた表情で現れた。彼女は腹部に時限爆弾を巻き付けており、両腕は 縛られていた。爆破装置のカウンターがゼロになり、彼女は爆死した。それから数日後、一人の少女がニューヨークから強制送還されて きた。空港へ赴いた警視庁特務機関の吉良和俊は、その少女Kを移送したCIAのマーサ・ジョーダンと面会した。少女Kは拘束具を 付けられ、身動きが取れないようにされていた。
マーサは吉良に、Kの母親が2ヶ月前に逮捕されたことを告げた。絡んできた酔っ払いを病院送りにしたのだという。調べた結果、母親の 不法入国と不法滞在が判明した。さらに娘の不法残留も明らかになり、移民局が出向いた。しかしKが、警察官11名を病院送りにした。 マーサによれば、母親にはスパイ容疑が掛かっているため、送還されないという。マーサはKの母親について、「なぜ元警察官が13年間も 不法滞在していたのか」と吉良に尋ねた。吉良は、「彼女は正式な警察官ではない」と答えた。
Kは拘束具から抜け出し、見張りを倒して逃走した。しかし、母親とはぐれた少女を気にしている間に、吉良と警官隊に包囲された。Kは スタンガンで殴られて気絶し、吉良によって連行された。特務機関のボスである暗闇指令はKを見て、「あの名前を告ぐのにふさわしい」 と口にした。吉良は意識を取り戻したKに、「ウチの捜査に協力してもらう。タイムリミットは3日間。事件が解決できなければ二度と 母親には会えない」と告げた。
吉良は、Kの母親がアメリカの司法当局に拘束されていることを教えた。さらに彼は「3日後の裁判で有罪はほぼ確定だ。それを覆すには、 日本政府の司法取引しかない。政府を動かすには、お前の協力が必要だ」と告げた。吉良は自分の所属する組織について、「未成年の 特命刑事を育成、派遣する特務機関だ」と説明し、「お前を特命刑事に任命する」とKに言った。
吉良は、アングラ系サイト“エノラゲイ”のことを語り始めた。それは自殺の方法から爆弾の製造方法まで書き込まれるサイトで、発信元 は特定できていない。1週間前から、サイトのカウンターが数字を刻み始めたが、何を意味するのかが分からない。それを探るのがKの 任務だという。さらに彼は、「最近、渋谷で女子高生が爆死する事件があった。彼女は聖泉学園に潜入させた特命刑事だった。あの学校 には爆発物を巡るキナ臭い噂が絶えない」と語った。
Kは「世界で最も憎んでいるのは母親だ」と吐き捨て、協力を拒んで立ち去ろうとする。すると吉良は、牢屋に収監されている母親の映像 を見せた。結局、Kは特命刑事になることを承諾した。彼女は暗闇指令から、特命刑事の唯一の武器であり、特命刑事の証でもある桜の 代紋付きヨーヨーを受け取った。そしてKは、麻宮サキというコードネームを与えられた。
サキは高校2年生の転校生として、聖泉学園に潜り込んだ。第一日、学園では今野多英という生徒がイジメを受けていた。だが、教師は 見て見ぬフリを決め込んでいる。学園の女王・秋山レイカは取り巻きを連れて廊下を闊歩し、サキへの敵対心を露にした。レイカたちが多英 をイジメていると知ったサキは、連中のいる教室に乗り込んだ。取り巻きの男たちが挑発してきたので、サキは蹴散らした。彼女はレイカに 「タイマン張りてえなら一人で来い」と言い放ち、教室を出た。
サキは多英に、爆死した女子高生がつるんでいた相手を尋ねた。多英によると、彼女は亡くなる少し前、急に化学部の雨木&東山と親しく なったという。雨木と東山が起動していない爆弾を腹に巻いて遊んでいる現場に、サキが現れた。2人が別々に逃走したため、サキは東山 を追った。東山はショッピングセンターに逃げ込み、そこにいた多英を捕まえて盾にする。
サキはヨーヨーを投げるが東山には当たらず、後ろの壁にぶつかった。ヨーヨーは跳ね返ってサキの頭部に命中し、彼女は昏倒した。すぐ にサキは意識を取り戻し、東山は土下座して謝った。一方、学校に残っていた雨木は、爆弾のカウンターが動き出したため、激しく動揺 する。そこへ清掃夫の青年が現れ、「友達になろう」と穏やかに告げた。彼は爆弾を外し、窓から投げ捨てた。
夜、サキは吉良に会い、雨木の行方が分からないことを告げた。吉良は、捕まえた東山を取り調べた結果を説明した。東山は、エノラゲイ でロメオと名乗る人物と知り合ったこと、爆弾を作っていることを書き込んだら雨木の携帯電話に連絡があったこと、コインロッカーで 信管や起爆装置を受け渡したこと、ロメオの顔は知らないことを吉良に語っていた。
サキが「学校で見張っている奴がいた」と告げると、吉良は「ウチとは別に公安の特命刑事が潜入している」と教えた。吉良と別れてバス に乗り込んだサキに、一人の男が近付いた。雨木の爆弾を外した清掃夫だ。彼は無言のまま、携帯音楽プレーヤーのイヤホンをサキの耳に 差し込んだ。目的の停留所に到着したサキはバスを降り、青年はそのままバスで去った。
エノラゲイにロメオのメッセージが書き込まれ、「リアルタイムイベント配信決定。必見、22時」の文字が表示された。清掃夫は武装した 仲間を集め、準備を整えていた。彼がロメオだった。22時、公安の特命刑事であるレイカの手引きで、ロメオたちの隠れ家に乗り込んだ。 だが、待ち受けていたロメオの仲間たちの銃撃を浴びて死亡した。レイカはロメオに惚れて、寝返っていたのだ。
刑事が射殺される様子は、エノラゲイで配信された。その様子を見ていたサキの元に、吉良からの電話が入った。東山を家に帰したことを 聞かされたサキは「バカヤロー」と怒鳴り、急いで東山の家へ向かう。すると、東山はロメオの仲間たちによって、車に押し込まれるところ だった。サキは食い止めようとするが、一味は彼女に発砲し、車で走り去ってしまった。
第二日。サキが登校すると、教室に多英の姿は無かった。屋上へ赴いたサキの携帯電話に、多英から「遭いたい」と書かれたメールが 届いた。しかし、すぐに「やっぱり遭えません」というメールが届く。彼女は、今まで誰にも話さなかったことをサキにメールで伝えた。 去年、多英が大阪から転校して来た時、孤独だった彼女に神田琴美という友達が出来た。最初はネット上で、琴美がロメオ、多英が ジュリエットというハンドルネームで知り合った。そして、後で2人が同級生だと分かったのだ。
多英と琴美は、どちらもイジメを受けていた。そこで、同じような境遇の人々のためのサイト“ヴェローナ”を立ち上げた。大勢の人々が 、そのサイトに集まるようになった。琴美は学校の放送室で、イジメを見ても無視した教師に詰め寄った。しかし「イジメは存在しない」 と教師たちに冷たく告げられ、彼女は腹に巻いていた爆弾を見せた。教師たちは彼女を押し倒し、慌てて避難した。爆破事件を起こした琴美が 学校を去り、ヴェローナは閉鎖されたという。
そこまでサキがメールを読んだ時、屋上にレイカが現れた。彼女はサキに敵意を向けながら、「琴美には片思いの相手がいた。その人に 屋上で気持ちを打ち明け、代わりに爆弾を貰った」と告げて去った。さらに多英の話には続きがあった。ヴェローナを閉じた後、多英に メールが届いた。記されたアドレスをクリックすると、ヴェローナが表示された。そこに爆弾が投下され、エノラゲイというサイトに変貌 した。相手のハンドルネームはロミオで、サイトにはジュリエットという人物の書き込みもあった。
その頃、エノラゲイのサイト上では、集まった人々が「明日はロメオ様が降臨する」「決起集会で抗議の集団自殺だ」などと盛り上がって いた。サキは街で多英を発見し、彼女の案内で琴美がいる病院へ赴いた。琴美の怪我は既に治っていたが、心を閉じて何も話さなくなって いた。しかしサキが「誰に爆弾を貰ったのか」と聞くと、囁くように「キムラジロウ」という名を告げた。
多英はサキに、「学校は琴美の事件を無かったことにしている。明日はちょうど1年目。エノラゲイのカウンターは、学校で行われる集会 のことだろうと思う」と語った。夜、サキは吉良の自宅を訪れた。吉良は、かつて駆け出しだった頃、特命刑事だったサキの母親と一度 だけ組んだことがあることを語った。彼はサキに、「お前の父親になった男が指名手配中で、家族3人でアメリカに逃亡した。最近まで 母親が付き合っていた相手に工作員の容疑が掛かっているため、向こうで大変なことになっている」と言う。
サキは吉良に、「明日の記念集会で、全国からネット仲間が集まる。そこを奴らは狙っている」と説明した。吉良の家を出たサキの前に、 あの清掃夫が現れた。彼は別の場所にサキを導き、「僕を楽しませてくれよ」と楽しそうに言う。彼の名は騎村時郎だった。騎村はサキが 特命刑事だと分かっており、仲間を呼び寄せて取り囲んだ。サキは後ろから殴られ、気を失った。
多英がエノラゲイに「嬉しい出来事があった」と書き込んだ。騎村はロメオのハンドルネームで、彼女へのメッセージを書き込んだ。彼は 「明日、麻宮さんは学校に来ない。君につきまとわれて迷惑していると愚痴っていた。集会を止めたいなら方法がある。君がロメオに なるんだ」と、そそのかした。翌日、登校した多英は、レイカから爆弾を受け取った。
倉庫に監禁されていたサキは脱出し、体に巻き付けられていた爆弾を投げ捨てて学校へ向かう。同じ頃、決起集会が行われている講堂では、 レイカから「ロメオです」と紹介された多英が壇上に立った。彼女は自分の思いを語り、「みんな騙されている」と訴えた。彼女が体に 巻き付けた爆弾を見せて「逃げて」と叫んだため、集まった人々はパニックに陥った。
吉良は暗闇警視の指令を受けて、聖泉学園へ向かっていた。騎村は学校へ向かうパトカーを見送り、仲間に指示を出した。騎村の一味は 覆面を被り、神泉銀行渋谷西支店を襲撃して金を奪った。講堂にサキが駆け付けると、レイカは多英に「こいつは刑事、裏切り者よ」と 告げた。その時、銃を持った男が急に発砲する。騒然とする中、レイカと取り巻きは多英を連れて講堂から逃走した…。

監督は深作健太、原作は和田慎二、脚本は丸山昇一、アクション監督は横山誠、製作は山崎直樹&黒澤満、企画は松田仁&遠藤茂行& 長谷川安弘&薩山茂樹、プロデューサーは國松達也&近藤正岳、撮影は小松高志、編集は潮崎千恵子、録音は柴山申広、照明は渡辺三雄、 美術は山崎秀満、VFXスーパーバイザーは道木伸隆、ヨーヨー監修・指導は長谷川貴彦、音楽は安川午朗。
主題歌「Thanks!」 作詞・作曲:つんく♂ 編曲:西田昌史 唄:GAM。
挿入曲「蜃気楼ロマンス」作詞・作曲:つんく♂ 編曲:橋本由香利 唄:GAM。
出演は松浦亜弥、竹内力、窪塚俊介、石川梨華(美勇伝)、三好絵梨香(美勇伝)、岡田唯(美勇伝)、斉藤由貴、長門裕之、坂口拓、 ポーラ・ジョンソン、仁科貴、唐渡亮、木下ほうか、伊藤洋三郎、山西道広、あじゃ、坂本真、大谷雅恵、広瀬剛進、マーク武蔵、 清水一哉、中森祥文、北岡龍貴、松島圭二郎、正岡邦夫、田崎敏路、松本通徳、日隈雄一郎、矢島星児、明石きぶし、ワニ完才、 鎗田千裕、中里アミ、渡瀬夏樹、岡田茉奈、高木梓、松丸実希子ら。


和田慎二の漫画『スケバン刑事』(刑事は「デカ」と読む)を基にした作品。
と言うよりも、1980年代に当時の人気アイドルの主演で製作された、3本のTVシリーズの流れを汲む作品と言った方が正しいだろう。
ちなみに過去のTVシリーズは、南野陽子が主演した2作目と浅香唯が主演した3作目で、それぞれ1本ずつの劇場版が製作されている。
今回はアップフロントグループの企画協力で製作されており、アップフロントエージェンシー所属の松浦亜弥が主演を務める。レイカ役の 石川梨華、琴美役の三好絵梨香、多英役の岡田唯は、同じ事務所のユニット“美勇伝”のメンバーである。また、冒頭で爆死する特命刑事 を演じているのは、これまた同じ事務所のグループ“メロン記念日”の大谷雅恵だ。

吉良を竹内力、騎村を窪塚俊介が演じている。
彼の苗字の表記は「騎村」だが、劇中のイントネーションだと「木村」にしか聞こえない。
騎村の一味には坂口拓、仁科貴、唐渡亮といった面々がいる。
彼らはほとんど活躍することが無いので、かなり勿体無い使われ方だ。
暗闇警視役は、TVシリーズの全3作で暗闇指令を演じていた長門裕之。
つまり、この人だけがスケバン刑事全作品に出演しているということだ。
サキの母親役は、初代スケバン刑事だった斉藤由貴。

松浦亜弥は四代目のスケバン刑事・麻宮サキということになっている。
だけど、最初に渋谷のシーンで、潜入捜査中だった特命刑事が爆死しているよな。
だったら、そいつこそ四代目の麻宮サキじゃないのか。
特務機関の特命刑事でも、別のコードネームで動いている奴もいるってことなのか。その辺りの設定が良く分からんな。
で、サキの武器と言えばヨーヨーなのだが、そんなに有効活用していない。
あと、レイカもヨーヨーを使っていたが、そこは別の武器にしておくべきでしょ。

「スケバン」と称されているけど、今回のサキってスケバンっぽさが無いよな。
スケバンなら、やはりスカートは長く無いと。
まあ、それを言い出したら3代目スケバン刑事も、それらしさは微塵も無かったんだけどさ。
でも、だから原作者は3代目スケバン刑事を嫌っていたはずで、その原作者がゴーサインを出した映画版でもサキにスケバンらしさが 無いってのは、いいのか、それで。

やたら陰気で暗いし、殺伐としている。
そりゃ大勢の人が死んでいるんだから、陽気で能天気にやれとは言わない。
だけどね、「女子高生の刑事がヨーヨーで戦う」という枠組みは、どうやったってバカバカしいモノなのよ。
だから、そこには「荒唐無稽な話」としての、ある種、開き直ったような解放感が欲しいのよ。
基本的に、スケバン刑事って特撮ヒーロー物に近いと思っているんだが、監督も脚本家も、そういう意識が著しく欠けているんじゃないか 。これをシリアスなサスペンス・アクションか何かと勘違いしてないか。

一方で、軽いノリで爆弾を作る化学部の連中や、ゲーム感覚で犯罪を行う騎村、「漏れ」などと言いながら集会でトチ狂う男、ネットの 書き込みなどは、陳腐で薄っぺらい。
それを陰気でシリアスなテイストの中で描くことで、ますますチープさが際立つ格好となっている。
そんでシリアスにやっているくせに、サキが自分の投げたヨーヨーを頭にぶつけて昏倒するシーンがあるが、それはギャグのつもりなのか。
だとしたら、演出が笑いの方向をちゃんと見ていないし、しかもギャグシーンはそこしか無いから浮いているし。

ボスキャラの騎村は、キャラ造形に太い芯が通っていない。
無言で携帯音楽プレーヤーのイヤホンを差し込むシーンなども、ミステリアスというのではなく、ただ気持ち悪いだけ。
っていうか、そんなとことをされて、なぜサキは普通に受け入れているのか。
なぜ「お前は誰だ」「何のつもりだ」と問い詰めないのか。
相手は薄気味悪いヤローなのに。

騎村はサキを監禁しながらも、見張りは誰も付けない。
サキの腹に爆弾を巻き付けるが、簡単に外せるようになっている。
アホだな。
で、こいつを演じる窪塚俊介も、「色気のあるミステリアスな悪党」としては、明らかに役者不足。
ここは及川ミッチーでも連れて来いよ。
キャラ造形が薄くても、たぶん本人の持ち味で、それなりに形を付けてくれたと思うぞ。

吉良は「なぜ自分たちで捜査しないのか」と尋ねるKに対し、「家庭や学校は警察が入れない唯一の聖域だ」と説明する。
もう「家庭」と「学校」の2つを挙げている時点で「唯一」ではないのだが、それはともかく、「女子高生が爆死しており、その学校では爆発物の噂が 絶えない」ということなら、どう考えても警察は介入するでしょ。もはや「聖域だから警察は手が出せない」とかいうレベルじゃないぞ。
そんで「入れない聖域」と言っていたくせに、決起集会の時には警察が駆け付けているし。
やはり爆発騒ぎなんか起こすと、そういうことになるのよ。そもそも、今まで警察が介入していないことが、おかしいのよ。

サキは学校を調査するために、高校生として潜入する。
しかし、「学校」という舞台と、「爆弾」や「アングラ系サイト」という要素が上手く絡み合っておらず、学校が舞台としての機能を 失っている。
そこは「学校で起きている事件」という作りにしておくべきだろう。
エノラゲイに集まる不特定多数まで巻き込んでしまうと、それは学校じゃなくてネット社会の話になるぞ。

学校には監視カメラが設置されており、あらゆる場所を教師が監視している設定になっている。
だが、その設定は、何の意味も無いものになっている。
サキにしろ敵側にしろ、監視カメラを利用することは無い。
また、監視社会の問題や恐ろしさを描いているわけでもない。
ネットの生中継を含め、監視映像を絡めようとしている節も見られるが、どういう狙いなのかは不明。

潜入して以降、サキが母親のことを気にする様子は全く見られない。
もはや「母親のために仕方なく任務を遂行している」という感じは受けない。
では、それ以外に彼女を突き動かしている物は何かというと、これがボンヤリしている。
友情なのか、正義感なのか。
っていうか、終盤にレイカと戦う時に、「好きで警察の仕事をやっているわけじゃない」という旨のことを言うんだよな。
ってことは、やはり「母親を助けるために仕方なく」ということなのか。
でも、それじゃダメでしょ。

潜入初日の夜、吉良はサキに「1年前に爆破事件があったが、学校は無かったことにしている」と説明する。
でも、学校で爆弾が爆発しているんだから、無かったことにするのは無理だろ。そんなの隠しようが無いぞ。
あと、そのことを、なぜ最初に吉良は言わなかったのか。
これからサキに潜入捜査をさせるのであれば、そういう情報は教えておくべきでしょうに。

雨木は爆弾のカウンターが動き出して慌てているが、カウンターを止められないのは遠隔操作だから分かるとして、なぜ爆弾を外せなく なっているのか。
自分で装着したのなら、外せるはずでしょ。
っていうか、そもそも「なぜテメエたちの腹に爆弾を巻いていたのか」という段階で無理を感じるんだけどさ。
そこへ騎村が現われるのも、何の意味があるのか良く分からんし。

騎村は雨木の爆弾を外し、窓から投げ落とす。
で、その爆弾が爆発する。
いやいや、そんなことしたら、校舎が吹っ飛んでテメエたちも被害を受けるだろ。
それに、そんな場所で爆発が起きたら騒ぎになるし、もはや「警察は介入できない」とかいう話じゃなくなるだろ。
もっと目立たないように、秘密裏に犯行を重ねてこそ、「警察が介入できない」という言い訳は成立するものだぞ。

吉良は簡単に東山を帰らせてしまい、彼が拉致されるとサキに対して「完全にこっちのミスだ」と謝るが、何だよ、その愚か過ぎるミスは 。
特務機関が、そんなミスをやらかして大丈夫なのか。
で、その後も東山と雨木の行方を捜索している様子は全く見られないし。
悪党一味に拉致された東山がどんな状況にあるのかも描かれないし。
拉致された後は、もう放置されるのよね。ひでえ扱いだな。

琴美は腹に巻いた爆弾を爆発させているのだが、なぜか普通に生きている。
いやいや、テメエの腹に巻いた爆弾が爆発したんだから、どう考えたって死ぬだろ。
それで死なないのなら、冒頭の特命刑事も死なないだろ。
そこの整合性はムチャクチャだな。
で、その事件を知ったサキが「どこで爆弾を手に入れたのだろうか」と考えていると、都合の良いタイミングでレイカが現れて、「琴美は 片思いの相手に爆弾を貰った」と教える。なぜか、そんな都合の良いことを教えてくれるのだ。
っていうか、「気持ちを打ち明けた代わりに爆弾を貰った」と言うが、「告白の代わりに爆弾」って、どういう論理かサッパリ分からん。

多英はサキに「学校は琴美の事件を無かったことにしている」と言う。
吉良がサキに同じことを説明した時にも思ったが、爆破事件が起きたら警察も動いているはずだし、無かったことにするのは無理だと 思うぞ。
いや、それでも「学校は忘れようとしている」「教師は口にしないよう努めている」という意味なら、まだ分からないでもない。
でもね、無かったことにしようとしているのなら、なぜ学校で決起集会を開かせてくれるんだよ。

騎村から「君がロメオになれ」と言われた多英が爆弾を腹に巻いて登壇するのは「ハア?なんで?」としか思えない。 どういう行動原理なのか、サッパリ分からん。
で、エノラゲイが開設されてから、その決起集会までは、約1年が経過している。
つまり騎村は、その集会に合わせて行動を起こすために、1年も前から長々とネタを引っ張ってきたわけだ。
で、最終的に騎村が何をやるかというと、1年前の爆破事件とは何の関係も無い銀行強盗なのだ。
やっぱりアホだろ、こいつ。
「警察に別の場所をマークさせて、その間に銀行強盗をやる」という『ダイ・ハード3』から拝借した犯行をやるために、わざわざ1年と いう長い月日と面倒な手間を掛けて、決起集会で何かやらかすような偽装をしていたのかよ。
ご苦労なことで。

アクションには、特に見るべきモノは無い。
やたら爆破シーンが多いが、それが映画の盛り上がりに繋がることは無い。
全て安っぽいCGだし、爆破の規模も中途半端だし、途中から「もういいよ」と思ってしまう。
脚本をスーパー戦隊シリーズのライターにでも頼んで、室賀厚監督にでも撮ってもらえば、もう少し何とかなっったんじゃないか。

最後の戦いを始める前に、サキが「傷だらけの街ニューヨークから、訳も分からず強制送還、今じゃ何の因果かマッポの手先。(中略) 期間限定、スケバン刑事!」と啖呵を切るシーンがある。
その箇所だけは唯一、「分かっている」と感じさせる。
でも、その時にサキは学生服じゃなくて戦闘服に着替えているのよね。
だから、やっぱり根本的に分かっていないんだよな。
分かった上で、この出来映えだとしたら、なおさら問題は深刻だし。

(観賞日:2009年2月2日)

 

*ポンコツ映画愛護協会