『水上のフライト』:2020、日本

体育大学3年生で走り高跳び選手の藤堂遥は、2年間も無敗を誇っていた。彼女は記録会に参加し、後輩の村上みちるを破って優勝した。記者たちに囲まれた彼女は、「学生選手権では無敵、オリンピックでも優勝圏内ですよ」と称賛されても冷たい対応を取った。見守っていた後輩たちが拍手してコーチが「オリンピック強化選手は間違いないだろう」と声を掛けても、彼女は笑顔さえ見せなかった。コーチに「お前の練習メニューを村上にも教えてやってほしい」と頼まれた遥は断り、「みちるが跳べないのは、ただ弱いからです。弱いのは努力が足りないだけですから」と言い放った。
遥の母の郁子は翻訳家をしており、編集者と会っていた。郁子は遥からメールで迎えにくるよう頼まれ、打ち合わせで行けないと返信する。道路に飛び出した遥は、車にひかれて大怪我を負った。遥は病院で意識を取り戻し、付き添っていた郁子は慌ててナースセンターに連絡を入れた。遥は脊髄を損傷しており、主治医は両脚が二度と動かないことを伝えた。退院した遥は、取材を受けるみちるの姿をテレビで目にした。彼女は全く表情を変えず、気遣いを見せる郁子にぶっきらぼうな態度を示した。
郁子は亡き夫の親友だった宮本浩に電話を掛け、家に来てもらった。宮本はスポーツ管理の施設管理者として働きながら、カヌー教室の講師も務めている。遥も小学生の頃、彼の指導でカヌーに乗っていた時期があった。宮本は子供たちのためのブリッジ・スクールを始めたと言い、久しぶりにカヌーに来ないかと遥を誘う。遥は「やってたのは小学校の頃。それに、今の私は1人じゃ何も出来ない」と断るが、宮本は「それでもいいから、遊びに来てみろ」と語った。
遥は前向きな態度を見せず、「脊髄損傷だし、そりゃあ下半身も動かなくなるって」と自虐的な言葉を吐いた。郁子は泣き出し、「本当にゴメンね。お母さんがあの時、ちゃんと迎えに行ってれば」と謝罪した。遥が「それはもういいって」と告げると、宮本は「ただの気分転換だ」と改めてカヌー教室に来るよう誘った。後日、遥はカヌー教室を見学するため、母の車で江戸川へ赴いた。宮本は笑顔で歓迎し、小学生の教え子である佐藤達也や杉下里奈たちを紹介した。遥は宮本からカヌーに乗るよう勧められ、「無理だって言ったじゃん。普通に溺れるし」と面倒そうに断った。
達也は遥に許可を貰って車椅子を触らせてもらい、「このタイプはお姉ちゃんには合わないよ。シートの幅が合ってないし。もっと小回りの利くタイプに変えた方がいい」と語った。里奈から「カヌー、乗らないんですか」と訊かれた遥は、「脚が使えないから」と説明した。里奈が「カヌーに乗ったら大丈夫ですよ」と言うと、達也は「無理だよ。怖がってるから泣いちゃうよ」と口にした。その言葉にカチンと来た、遥は、カヌーに乗ることにした。
遥は子供たちと一緒に、カヌーで川に出た。宮本が「スカイツリーの下まで行くぞ。ここから30分ぐらいだ」と言うので、遥は「そんなに持ちません」と焦る。しかし宮本は、「すぐに慣れる。また漕ぎたくなる。俺はお前を知ってるぞ」と告げる。達也と里奈の様子を見た遥は、「カヌーに乗れば、みな同じ」と呟いた。後ろから来たカヌーが自分を追い抜くと、遥はスピードを上げようとする。「無茶すんな」と宮本が止めても彼女は耳を貸さず、バランスを崩してカヌーは引っ繰り返ってしまった
宮本に救助された遥は、陸に戻って服を借りた。宮本は彼女に、「誰でも引っ繰り返る。チンする。だが、また這い上がって乗ればいい。それが面白いんだよ」と話す。彼は登校拒否やネグレクトなど、自分の力ではどうにもならない事情を抱えた子供たちが通っていることを教えた。「遊びに来いよ」と宮本が言うと、遥は「気が向けば」と答えた。彼女は図書館へ行き、カヌーの本を探す。遥が高い場所にある本に手を伸ばすと、それを見た加賀颯太という青年が取ってくれた。彼は「その車椅子って」と何か言い掛けるが、遥が訊こうとすると「いや、じゃあ」と去った。
後日、また遥はカヌー教室へ行き、宮本に「この前、負けたじゃないですか。普通の人に。ストロークの角度が甘かったと思うんですよ。私、負けるの嫌いなんで」と語った。遥は漕ぎ方を考えながら1人でカヌーを漕ぎ続け、宮本と子供たちは慌てて後を追った。郁子は遥に、体育大学から他の大学に移籍するよう持ち掛ける。遥は「逃げるように辞めたくない」と拒否し、母が「今ならまだ間に合う。他にも道があると思う」と諭すと「ほっといて。自分のことは自分で考えてるから」と声を荒らげた。
遥は陸上記録会の会場へ行き、みちるの様子を密かに見学した。みちるは新記録を出し、コーチは遥に気付くが無言で去った。カヌー教室に参加した遥だが、元気が無いので子供たちは心配する。そこへ颯太が来て、遥に気付いた。宮本は遥に、颯太は昔の教え子だと紹介した。彼は颯太に競技用のカヌーを持って来てもらい、遥に「もっと早くなりたいって言ってただろ」と告げる。「どういうこと?」と遥が訊くと、宮本は「カヌーはパラリンピックの種目だ。やってみないか、パラカヌー」と提案した。
宮本が「新たな目標だよ。俺が全力でサポートする。一緒にパラリンピック目指そう」と語ると、遥は「ふざけないでよ。馬鹿じゃないの。そんなに簡単なものじゃないんだよ。陸上がダメだからってカヌーで頑張ればいいって、都合のいいもんじゃないんだよ」と激怒した。颯太は遥に、「一つ聞きたいんだけど。なんでカヌーの練習してたの?楽しかったからじゃないの」と話す。「君の気持ちは分からないけど、楽しいならカヌーは続けたら」と言われた遥は、無言で去った。帰宅した彼女は、動かない脚を叩いて泣いた。
翌日、母が仕事に向かった後、遥は車椅子で江戸川へ向かった。彼女は坂に着くと目を閉じ、猛スピードで走り出した車椅子にブレーキを掛けずに転倒した。遥は太陽を見上げ、力無く笑った。達也と里奈が遥を発見し、颯太と宮本に電話で伝えた。颯太が車で駆け付け、遥と壊れた車椅子、達也と里奈を乗せた。颯太は自分の作業所へ遥を連れて行き、車椅子の改善すべき問題を遥に教えた。「車椅子だったら何でもいい」と遥が適当に告げると、颯太は「そういうこと、ここで言うか」と不快感を示した。
颯太は遥を抱き上げ、作業所にあった別の車椅子に乗せた。動かすよう促された遥は、その軽さに驚いた。颯太は義肢装具士であり、多くのパラアスリートに関わっていた。パラリンピックでは装具が重要になると語った彼は、「だから装具は体の一部なんだ。何でもいいってわけじゃないんだよ」と言う。遥が「そうかもね。私はもう誰かの助けが無いと、自分の体を動かせないんだもんね」と自嘲気味に漏らすと、彼は「じゃあお前はさ、車椅子になる前は、誰の手助けも受けなかったの?方法が変わっただけなんじゃないの」と告げた。
遥が「貴方に居場所を無くした人の気持ち、分からないでしょ」と腹を立てると、颯太は「分かるよ。俺なんて最初からそんなモンねえし。お前は生きてるんだから、また探せばいいんじゃねえの」と述べた。遥は颯太が車椅子を使う男性と一緒に写っている写真を見つけて、「これって、この人と同じ車椅子?」と尋ねた。颯太は「ああ、そいつの車椅子だったから」と答え、「この人も何かの選手?」という遥の質問に「バスケット。で、俺の親友」と告げた。
遥はブリッジ・スクールの林間合宿に参加し、颯太も技術サポートとして同行した。子供たちが練習している間に遥はカレーを作り、颯太も手伝った。夜、遥は作業所の写真に写っていた車椅子の男性について、「もしかして、もういない?」と颯太に問い掛けた。すると颯太は、「うん。もうすぐ2年になる。病気だったんだ。でもあいつは、最後まで頑張った」と答えた。遥は「カヌーのことだけど、ホントは楽しかった」と言い、しかしカヌーでパラリンピックを目指すのは早すぎると思っていることを打ち明けた。「もう諦めなきゃいけなくなるじゃん。ちゃんと分かってるんだけど。好きだったんだ、走り高跳びが。私の全てだった。でも、もうホントに諦めなきゃいけない。私はもう二度と空を飛べない」と遥が話すと、颯太は「良く言えたな」と頭を優しく撫でた。
翌朝、遥はカヌーで山中湖に出た。彼女は宮本に、カヌーでパラリンピックを目指すと宣言した。合宿から戻った遥は、郁子に「やっぱり大学は辞めない。勉強して、ジュニアスポーツ指導員を目指そうと思う。ずっとスポーツに関わっていたい」と決意を明かす。遥は上半身の筋力トレーニングを開始し、宮本の指導でカヌーの技術を学んだ。彼女が颯太について「自分にも厳しいよね」と評すると、宮本は颯太が小学3年生の時に両親が離婚したことを教える。両親が2人とも引き取りを拒否したため、颯太は祖父母に育てられた。彼は自分にも厳しくすることで、存在価値を証明したいのだろうと宮本は語った。
颯太は遥のために、フルオーダーメイドのカヌーを用意した。宮本はパラリンピックサポートセンターを訪れ、遥のファイルを職員に渡す。現在のタイムを確認した職員は、選考レースに参加して記録を出すよう勧めた。宮本は職員から、9月に日本選手権が開催されることを聞いた。遥は彼から、パラカヌーの第一人者である朝比奈麗香と勝負する必要があると説明された。遥は麗香の記録を超えるため練習に励み、颯太はカヌーの道具の能力向上を目指す。子供たちは遥を応援し、カヌーにメッセージを書き込んだ…。

監督は兼重淳、脚本は土橋章宏&兼重淳、企画は土橋章宏、製作は中西一雄、共同製作は堀内大示&平野健一&有馬一昭&杉田成道&根本浩史&安部順一&吉川英作、プロデューサーは遠山大輔&田中美幸、スーパーバイジング・プロデューサーは久保田修、アソシエイト・プロデューサーは小林麻奈実、ライン・プロデューサーは原田文宏、撮影は向後光徳、照明は斉藤徹、美術は布部雅人&春日日向子、録音は大竹修二、編集は川瀬功、音楽は上野耕路、主題歌『ひとりで生きていたならば』はSUPER BEAVER。
出演は中条あやみ、杉野遥亮、小澤征悦、大塚寧々、高月彩良、冨手麻妙、高村佳偉人、平澤宏々路、菟田高城、陰山泰、竹井亮介、田中嘉治郎、加藤雅人、嶋村太一、荒川浩平、木下咲、南雲唯壮、村山碧、東原武久都、直井美優羽、中村姫亜、大木彩加、近藤ゆき、栗並真琴、瀬野るりか、大條瑞希、赤松怜音、山根舞、鈴木歩己、大間剛志、宇賀神亮介、寺田浩子、尾方萌利、宇田川萌、佐藤千春、恵利川瑞季、山田昭貴、藤村千紘、眞田友紀乃、勝俣優郎、川村珠乃、都築千空姫、押野愛香、小林未加子、片山桜子、永嶋美佐子、稲葉敏彩、村本明久、黒川聖菜、平林晃季、青木ちか、阿出川浩之、堀靖明ら。


企画の土橋章宏が、パラカヌー選手である瀬立モニカとの交流から着想した作品。
監督は『泣くな赤鬼』『461個のおべんとう』の兼重淳。
脚本は『超高速!参勤交代』『引っ越し大名!』の土橋章宏と兼重淳監督による共同。
遥を中条あやみ、颯太を杉野遥亮、宮本を小澤征悦、郁子を大塚寧々、みちるを高月彩良、麗香を冨手麻妙、達也を高村佳偉人、里奈を平澤宏々路が演じている。

序盤、遥が「オリンピック」と呟き、ニヤニヤしながら道路に飛び出すと、走って来た車にひかれる。このシーンが、ものすごくマヌケに見えてしまう。
実は登場人物が車にひかれるシーンって、意外に表現が難しいんだよね。
だけど、そこを解決する簡単な方法があるのよ。それは「事故のシーンを描かない」という方法だ。
例えば、遥が浮かれネードで走り出す様子だけ描いて、暗転の中で車にぶつかる音だけを出すとか。
あるいは衝突音さえ使わず、「母が連絡を受ける」という描写で事故があったことを表現してもいいし。

遥は走り高跳び選手として2年間も無敗で、スポーツ記者から注目を集めている存在だ。
しかし「将来の成功が約束されていて、順風満帆で未来はバラ色」という華やかなアスリート生活の描写は皆無に等しい。そして、「冷淡で無愛想な奴」という印象ばかりが強くなっている。
だけど、むしろ「冷淡で無愛想」という要素よりも「スター選手」としての栄光をアピールしておくべきだろう。
そうじゃないと、「遥は栄光からの突然の転落に気持ちが付いて行かない」というトコが上手く伝わらないのよ。

遥はカヌーに乗るよう宮本に誘われた時、「今の私は1人じゃ何も出来ない」と断っている。だけど、それなら「1人では何も出来ない」ってことを先に示しておくべきなのよ。
だけど実際のところ、事故で両脚が使えなくなってからリハビリに励む様子も、介護を受けている様子も、まるで描かれていない。
退院してから、「日常生活で今まで普通に出来ていたことが、母の手を借りなきゃ出来なくなっている」という描写も無い。
それに遥が苛立ったり落ち込んだりする様子も、まるで描かれていないのだ。

宮本に誘われても、里奈に促されても、遥は「今の私は1人じゃ何も出来ない」「脚が使えないから」と理由を付けてカヌーに乗ろうとはしなかった。
ところが達也の「無理だよ。怖がってるから泣いちゃうよ」という言葉を聞いた途端、カヌーに乗ることを決める。
「負けず嫌いなので達也の言葉に腹を立てた」という設定なのは、もちろん一目瞭然で誰にでも伝わるだろう。
でも、「そんなに簡単にカチンと来て積極的な行動を取れるような奴なら、それまで延々と塞ぎ込んでいるのって変じゃね?」と言いたくなっちゃうのよ。

それまでも遥は、周囲の人間の些細な言葉に反発心が刺激されることはあったんじゃないかと。
それによってリハビリに励むとか、「いつまでも家に閉じ篭もっていられない」と感じるとか、そういうことは無かったのかと。
みちるのインタビューをテレビで見ても彼女は何の反応も示さなかったけど、それこそ負けず嫌いの気持ちが頭をもたげることは無かったのかと。
そこで全く心が動かなかったのに、なんで初対面のガキが「怖がってるから泣いちゃうよ」と軽く言っただけでムキになれるのかと。

遥はカヌーに乗った時、「カヌーに乗れば、みな同じ」と呟く。でも、これって全く要らない台詞だよね。
それを台詞で説明させている時点で不細工だけど、もっと根本的なことを言ってしまうと、ここで遥が「カヌーに乗れば、みな同じ」と感じたってことを表現する必要も無いと思うのよ。
負けず嫌いで始めたことを示しているし、追い抜かれてカッとなってスピードを上げたのも描いている。だったら、そこは別に「負けず嫌いの精神でカヌーを続けようと思った」ってことでもいいでしょ。
「カヌーに乗れば、みな同じ」だから続けよう思ったってのは、モチベーションとしてもピンと来ないし。
何がどう「みな同じ」なのか、ちょっと分かりにくいんだよね。

宮本は遥にカヌーでパラリンピックを目指すよう勧めた時、「最初から考えていたわけじゃなく、だんだん上手くなるのを見て決めた」と説明している。
だけど、その時点で遥がカヌー教室に来るのは3度目なのよ。つまり、宮本は遥の上達を2度目の練習で見ただけなのよ。
それで「だんだん上手くなるのを見て」とか言われても、「いや嘘だろ」とツッコミを入れたくなるぞ。
ひょっとすると何度も来ていた設定なのかもしれないけど、だとしても全く伝わっていないし。

遥が作業所で車椅子を使う男性の写真を見つけ、颯太に「これって、この人と同じ車椅子?」と尋ねるシーンがある。颯太は「そいつの車椅子だったから」と答え、今もバスケット選手なのかと問われると少しためらってから「ああ」と答える。
その辺りの会話で、車椅子の親友が既に亡くなっていることは簡単に予想できる。なので、その時点で明かしてもいいんじゃないかと感じる。
どうせバレバレになっているので、隠していることが無駄に思えてしまうんだよね。そこを隠して引っ張っても、それに見合うだけの効果が得られているとは全く思えないし。
どうせ林間合宿では明かすんだし、中途半端に引っ張っても意味は無いでしょ。

林間合宿には遥もカヌーの練習で参加したのかと思いきや、子供たちが湖に出ているのに彼女はカレーを調理している。
どういうことかと困惑してしまったが、バイトで手伝いに来ているという設定なのだ。
彼女は作業所のシーンで新しい車椅子が高額なのを訊いているし、山中湖に着いた時に颯太は「新しい車椅子のためにバイトしないとな」と言っているので、手掛かりが無いわけじゃないのよ。でも、それだけでは分かりにくいよ。
もっとハッキリと「バイトで合宿に参加した」と示す手順なんて、簡単に用意できたはずでしょ。

遥は林間合宿の夜、颯太に「もう諦めなきゃいけなくなるじゃん。ちゃんと分かってるんだけど。好きだったんだ、走り高跳びが。私の全てだった。でも、もうホントに諦めなきゃいけない。私はもう二度と空を飛べない」などと熱い気持ちを吐露する。
だけど、そこまでの情熱が、まるで表現されていないのよ。「走り高跳びが人生の全てだった。そこに全てを懸けていた」という印象は皆無なのよ。
それと、そんなことを言い出した翌朝には、もうパラリンピックを目指すと宣言するのも、ちよっと手順を端折ってないかと。
前夜に「まだ早い」と言っていたのに、翌朝にはスパッと気持ちを切り替えているのかよ。だったら、「基本的には前向きだけど、まだ踏ん切りが付かない」という状態じゃなきゃダメなはずでしょ。
でも林間合宿までの遥は、どう見ても全く前向きじゃなかったぞ。

選考レースへの参加が決まると、パラカヌーの第一人者として朝比奈麗香という人物の存在が出て来る。「遥がパラリンピックに出場するためには、彼女に勝つ必要がある」という展開になる。
でも、終盤になって急に「麗香との対決」という構図を示されても、ライバル関係なんて何も描かれていないのでドラマを盛り上げる要素として成立しない。
そこは単純に、「レースで優勝する」とか「記録を出す」という風に「自分との戦い」で良かったんじゃないか。「麗香との対決」なんて排除して、「支えてくれた仲間との絆」でクライマックスを構築すれば良かったんじゃないかと。
あと、みちるとの関係にも少しだけ触れているけど、こっちも長きに渡って放っておいた要素なので、残り少なくなってから慌てて処理に走っても感動なんて無いよ。

(観賞日:2022年6月27日)

 

*ポンコツ映画愛護協会