『シンガポール・スリング』:1993、日本

新婚旅行でオーストアリアを訪れている中西達也と亜美。行く先々で写真を撮影、ガソリンスタンドでも日本人らしき男にカメラを向ける。立ち寄ったバーでもケンカを始めた男にシャッターを切り、カメラを取り上げられる。
ホテルに戻った二人の元に2人組の刑事が訪れる。コカイン所持の疑いがあるという刑事に怒った達也は誤って刑事の一人を殺してしまう。終身刑を言い渡され、刑務所に入った達也はジャスパーという黒人と親しくなる。
亜美は母が死去したため日本に戻ろうとするが、空港に向かう途中、誰かに尾行されていると気付き、街へ戻る。バーで会った男ケンを探し当て、カメラを返すように頼む亜美。フィルムには吉岡という男が写っており、それが達也の逮捕に関係あると考える亜美。
警察にフィルムを持ち込んだ亜美だったが、警察も吉岡の仲間だった。指名手配されてしまった亜美を助けたのはケン。ケンは仲間のチャーリーと共に刑務所を襲撃し、達也を救い出すのだが…。

企画&原案&音楽は徳永英明、監督は若松孝二、脚本は丸内敏春&上野火山&若松孝二、製作総指揮は鵜之沢伸&徳永英明、撮影は鈴木達夫、美術はデビット・コッピィング。
出演は加藤雅也、秋吉満ちる、白竜、原田芳雄、デビッド・ハドソン、レイフ・チャールトン、ケルビン・レア、ボリス・ブリック、ジョス・マックウィリアム他。


ある意味で凄い映画。ここまでデタラメな話を良く作れるよなあ。B級のVシネマでも100倍はマトモな話を作るぜ。どうして若松孝二氏が絡んでいるのに、こんなダメ映画になっちゃうのかねえ。
簡単に言うと、アメリカのB級映画で女囚物ってあるでしょ。あれの男バージョン。

達也が刑務所に入れられたのに、面会に来るのが亜美だけっていうのが凄い。何のヒントも無いのに「フィルムが怪しい」と亜美が思うのも凄い。吉岡も撮影された時点でカメラを奪えば済むことなのに、面倒なやり方で証拠隠滅を計るのが凄い。

夫が刑務所に入れられたのに、亜美が楽しそうにダンスしてるのも凄い。なぜ刑務所を襲撃する必要があるのかがイマイチ不明なのも凄い。しかもたった二人で乗り込むのも凄い。

凄い箇所を挙げればキリが無い。
しかし、こんな映画を世の中に出してしまったことが何よりも凄い。

 

*ポンコツ映画愛護協会