『新聞記者』:2019、日本

2月20日、深夜2時14分。千代田区の東都新聞社会部に、匿名のファックスが送られて来た。2時16分、千代田区の吉岡宅。社会部の記者である吉岡エリカは討論番組『官邸権力と報道メディア』を見ながら、仕事をしていた。2時18分、霞ヶ関の内閣情報調査室(内調)。他に誰もいないオフィスで、杉原拓海は吉岡と同じ番組を見ていた。2時21分、中央区銀座。公安の三好宗吾は元文科省大学教育局長の白岩聡が野党の女性議員と密会する現場を盗撮した。杉原は三好からのメールを受け取って写真を確認し、上司に報告を入れた。何枚も続いたファックスの最後は、羊の絵が描かれたページだった。
翌朝、白岩の密会は各社の新聞で大きく報じられた。出社した吉岡は同僚の倉持大輔や関戸保たちと共に集められ、デスクの陣野和正から各社の新聞を見せられる。白岩は大臣の息子を不正入学させたのがバレて辞職しており、「官邸からの指示だった」と主張していた。全国で同じ記事が一斉に出ていることから、陣野たちは内調のリークだと推理した。吉岡が「反逆者を殺すのに新聞が加担した」と口にすると、陣野は「その通りだ」と告げた。
陣野は吉岡に「預かってくれ」と言い、昨晩に送られて来たファックスを渡す。それは新潟特区に建設予定の新設大学院大学の設置計画書で、目的は「ウイルス研究と最先端高度医療に特化された医療系大学で、トップクラス人材育成のため」となっていた。認可先が文科省ではなく内閣府であることから、官邸の肝煎りであることは明らかだった。経営は民間に委託されると書いてあり、何か裏がある可能性が高かった。陣野は吉岡に、どこからファックスが届いたか調べるよう指示した。
杉原や同僚である河合真人たちは、白岩が記者たちに追い回されているテレビのワイドショーを見た。最近はゴシップを拡散する仕事が増えていることを河合が語ると、先輩は上司の多田智也が何も考えずに指示しているはずはないと告げた。杉原は多田から、白岩の一件で「良くやってくれた」と言われる。多田は外務省からの出向である杉原に、最近は誰かと連絡を取っているかと訊かれる。取っていないと杉原が答えると、彼は「何かあったら連絡しろ」と告げた。杉原は帰宅し、出産を控えている妻の奈津美と話した。
翌朝、総理御用達の記者として知られる辻川がレイプ事件を起こしたにも関わらず、官邸が揉み消しを画策して逮捕が見送られたという記事が週刊誌で報じられた。杉原は多田から、被害者の後藤さゆりが不服として会見することを聞かされる。多田は杉原に、彼女の弁護士が野党絡みだというチャート図を作るよう命じた。それは今回の一件でさゆりのハニートラップであるかのように仕立て上げるための策略だが、多田は「国のための大事な仕事だ」と告げた。
吉岡はさゆりの会見場へ赴き、彼女の話に耳を傾けた。会見場を去ろうとした彼女は、アメリカ時代の友人であるジムと久々に再会した。ニューヨークタイムズで働くジムは、東京支局長として日本に来ていた。ジムから今回の件を大きく扱うべきだと言われた吉岡は、日本のマスコミの現状を考えると難しいことを告げる。しかしジムは彼女の父が日米両国で活躍したジャーナリストであることから、「君なら出来る」と言う。ジムは吉岡の父が、日本のメディアに殺されたと考えていた。「あれから進展は?」と彼が訊くと、吉岡は「証拠が全く無いの」と残念そうに述べた。
杉原と同僚たちは多田から、後藤を中傷する文書をバラ撒いてネットに書き込むよう指示された。彼は北京の日本大使館時代の上司である神崎俊尚から、久々に電話を貰った。神崎は杉原を食事に誘い、場所と時間が決まったら連絡すると告げた。吉岡はさゆりの会見を大きく扱おうとするが、小さなベタ記事扱いにされた。彼女は陣野に抗議するが、冷たくあしらわれる。納得できない吉岡は、自身のツイッターでセカンドレイプを厳しく糾弾した。
吉岡はネットで検索し、白岩が発言のせいで内調にマークされていたという記事を見つけた。内調がチャート図で印象操作を行ったという記事が週刊誌に出ることが判明し、杉原は多田から批判される。杉原が「指名された協力者にチャート資料を渡しただけです」と言うと、多田は「後藤さゆりが野党と繋がっているとの情報を与党ネットサポーターに拡散しろ」と指示した。杉原は神崎と食事に出掛け、5年前に一人で責任を取らせたことを謝罪した。「あの時は上からの指示ですよね」と彼が訊くと、神崎は「責任を取ったら、今後も面倒を見てやると言われた」と明かした。杉原は酔い潰れた彼を家まで送り、妻の伸子と娘の千佳に挨拶した。
吉岡は白岩と会い、設置計画書を見せた。白岩は大学の設置目的が分からず、文科省は断ったと告げる。資料をリークした人物の心当たりについて吉岡が尋ねると、白岩は内閣府に出張していた人間の可能性があると告げた。吉岡はネットで調べ、内閣府で特区を担当している都築亮一に注目した。杉原は元同僚の都築亮一と再会し、神崎の後任で今月中に新設大学の申請をしなければいけないと聞かされる。杉原が「何の話ですか?」と訊くと、彼は神崎が内調にマークされていたことを語った。杉原が何も知らないことに気付くと、都築は「今のは聞かなかったことにしてくれ」と立ち去った。
吉岡は都築に接触し、設置計画書について尋ねる。都築は何も知らないと告げ、前任者に訊いたらどうかと告げて去った。吉岡は神崎に連絡しようとするが、内閣府の担当者に病気療養中だと言われる。神崎は杉原に電話で「俺たちは一体。何を守って来たんだろうな」と言い残し、ビルの屋上から飛び降りて死んだ。そのことを知った杉原は多田に「知っていたんですよね」と詰め寄るが、「子供が産まれるそうじゃないか」と脅された。吉岡は神崎の死を知り、父が自殺に追いやられた時のことを思い出した。
杉原と同僚たちは、神崎の自殺原因に関する嘘をネットで拡散するよう指示された。神崎の通夜に出席した杉原は、マスコミに囲まれる伸子と千佳を守りながらタクシーに乗せようとする。千佳の姿を見た吉岡は過去の自分を重ね合わせ、質問した記者を鋭く非難した。杉原は伸子と千佳をタクシーに乗せた後、吉岡に声を掛けた。「どうして?君はあっち側だろ」と彼が言うと、吉岡は「私は神崎さんが死んだ本当の理由を知りたいんです」と語った。
杉原は電話を受けて病院に駆け付け、破水して担ぎ込まれた奈津美の容態を医師に尋ねる。医師は彼に、命に別状はないが安静が必要だと告げた。杉原がスマホを確認すると、奈津美から何度も連絡が入っていた。彼は都築と会い、5年前にマスコミに出ては困る文書を改ざんしたこと、上からの指示なのに神崎が責任を全て被ったことを口にする。「どうして神崎さんが死ななければならなかったのか」と杉原が憤りを吐露すると、都築は「内調だろ。自分で調べろ」と突き放した。
毎朝新聞が「公的文書改ざんの疑い」という記事を一面トップに掲載し、陣野は部下を集めて取材を指示した。彼は翌日発売の週刊誌に掲載される「神崎の自殺で新大学プロジェクトが頓挫」という記事のゲラを吉岡に見せ、「もう追うな。リスクが大きすぎる」と忠告した。しかし吉岡は納得できず、個人で調査を続けることにした。多田は内閣総辞職を要求するデモ隊の写真を杉原に渡し、公安に渡して全員の経歴を洗ってもらうよう指示した。杉原が「一般人ですよ」と言うと、彼は「犯罪予備軍だ」と口にした。
デモに参加した人を取材していた吉岡は、杉原を見つけて声を掛けた。彼女は設置計画書が届いたことを明かし、送り主が神崎ではないかと考えていることを語る。彼女は杉原に名刺を渡し、何かあれば連絡してほしいと告げた。吉岡は倉持から、まだ新大学プロジェクトが頓挫していないという情報を知らされる。倉持は他の国家戦略特区に場所を変えてプロジェクトを仕切り直すのではないかと推理しており、まとめた資料を吉岡に渡した。
吉岡は杉原を尾行するが、すぐに気付かれた。杉原は神崎が死んだ理由について質問され、情報漏洩が原因で自殺するような人ではないと告げる。吉岡は父が新聞記者だったこと、誤報の責任を問われて自殺したことを話した。吉岡は父が簡単に自殺するほど弱い人ではないと思っていたが、死の真相は分からないままだった。彼女が「記者として真実を届けたい」と言うと、杉原は「まだ大学の計画は終わっていません」と告げる。彼は神崎が情報を残しているはずだと述べ、このままだと来月には申請されることを吉岡に教えた。
吉岡は陣野に呼ばれ、新聞社のトップに圧力が掛かっていることを聞かされる。内調は吉岡の父の件も持ち出し、脅しを掛けていた。杉原は多田に呼ばれ、吉岡の動きについて説明される。多田は出産祝いを杉原に渡すが、それは余計な行動を取るなという意味だった。吉岡は伸子を訪ね、神崎が資料を送った確証を掴む。彼女が協力を要請すると、伸子は神崎の机を調べるよう勧めて鍵束を渡す。吉岡は引き出しを調べ、アメリカの生物兵器実験場における羊の大量死を描いたノンフィクション本『DUGWAY SHEEP INCIDENT』を発見する…。

監督は藤井道人、原案は望月衣塑子「新聞記者」(角川新書)&河村光庸、脚本は詩森ろば&高石明彦&藤井道人、企画・製作は河村光庸、製作は瀬井哲也&堀内大示&宮崎伸夫&有馬一昭、エグゼクティヴプロデューサーは河村光庸&岡本東郎、プロデューサーは高石明彦、共同プロデューサーは行実良&飯田雅裕&石山成人、アソシエイトプロデューサーは花田聖&塩沢葉子、企画協力は森達也&菊地健雄&寺脇研、撮影は今村圭佑、照明は平山達弥、録音は鈴木健太郎、美術は津留啓亮、編集は古川達馬、音楽は岩代太郎、主題歌「Where have you gone」はOAU。
出演はシム・ウンギョン、松坂桃李、田中哲司、北村有起哉、本田翼、岡山天音、高橋和也、高橋努、西田尚美、郭智博、長田成哉、中村公隆、宮野陽名、イアン・ムーア、金井良信、東加奈子、石坂美樹、中村僚志(現・岩永ひひお)、尾関伸次、野々山郁也、福吉寿雄、水野直、中村佳奈、渡部遼介、望月衣塑子、前川喜平、マーティン・ファクラー、南彰ら。


東京新聞社会部記者である望月衣塑子の同名ノンフィクション書籍を基にした作品。
監督は『光と血』『青の帰り道』の藤井道人。
脚本は劇団風琴工房を主宰する劇作家の詩森ろば、『引き出しの中のラブレター』『4月の君、スピカ。』の高石明彦、藤井道人監督による共同。
吉岡をシム・ウンギョン、杉原を松坂桃李、多田を田中哲司、陣野を北村有起哉、奈津美を本田翼、倉持を岡山天音、神崎を高橋和也、都築を高橋努、伸子を西田尚美が演じている。

吉岡には「父は日本人で母は韓国人、アメリカで育ったが日本で記者をしている」というキャラクター設定がある。その設定がストーリー展開において大きな意味を持っているかというと、そんなことは無い。ハッキリ言って、ほぼ意味は無い。
そんな必要性の乏しい設定を持ち込んだ理由は簡単で、韓国人であるシム・ウンギョンが吉岡を演じることになったからだ。当初は日本人女優を探したが、政治的な色が付くことを嫌がって誰も引き受けなかったのだ(っていうか事務所が断ったんだろうけど)。
オーディションで無名女優に目を向ければ見つかっただろうけど、「ある程度の知名度」という条件を付けると難しかったってことだね。そのため、シム・ウンギョンがカタコトの日本語でヒロインを演じることになったわけだ。
本人は罪は無いけど、そこが余計なノイズになっていることは否めない。

ただ、シム・ウンギョンを責める気には全くならないし、「そんなのは些細なこと」と思ってしまうほど、他が酷いことになっている。
実際に起きた政治的な問題を連想させるエピソードを幾つも盛り込んでいるんだし、本作品は「現実を投影した内容」ってことを強く意識しているはずだ。
ところが冒頭シーンから、リアリティーの大きく欠如した描写が次々に到来するのだ。
むしろ導入部で「これは現実を投影したリアル志向の強い作品です」ってのをアピールすべきなのに、真逆になっているのだ。

吉岡の部屋が映し出されるシーンからして、もうリアリティーを感じない。壁に記事の切り抜きが大量に貼ってあるのが、かなり嘘臭い。
また、吉岡が討論番組を見ているシーンが「謎の作業」になっている。彼女は短い英語の文節を、何枚かの小さなメモに書き留めている。
まず「日本語で書けよ」とは思うが、それは後から「アメリカ育ち」ってことが明らかになるので、まあ良しとしよう。それは置いておくとして、何のための作業かサッパリだ。
彼女は改ざんや汚職に関するスクラップブックを見ているが、それとメモの関係性も不明。それは「英語だから」ってことも、かなり関係しているけどね。

次に内調のオフィスで杉原が討論番組を見ている様子が写し出されるが、ここも嘘臭い。無人のオフィスに1人だけ残っているが、電気を付けずに真っ暗な中で待機しているのよね。
そんで彼は公安のメールを受けて上司に報告するけど、そのためだけに深夜のオフィスで待機していたのかよ。何だ、その仕事は。
で、そこが暗いのは「夜だし秘密の仕事だから暗くしている」ってことなのかと思ったら、翌朝のシーンでもオフィスが薄暗いのよ。
そんで内調の面々は全員がパソコンに向かっているけど、これも何の作業なのか謎。

それ以降も内調の面々って同じようにパソコンに向かって無機質に作業をしている様子ばかりが写るんだけど、なんかディストピアを題材にしてSF映画みたいになっちゃってんのよね。映画『1984』の世界観なのかと。
そういう方向性で進めようとしているわけじゃないはずでしょ。そもそも、架空の近未来を舞台にした話じゃないんだし。
ってことは、「これが内調のリアル」ってことで描いているんだろう。
そりゃあ内調の実態なんて簡単には分からないだろうから、ほぼ想像で描くしか無いとは思うのよ。ただ、そこのディティールを詰める意識がゼロだから、「あたかもリアリティー」が全く見えて来ないんだよね。

吉岡が後藤さゆりの件がベタ記事にされた後、自宅で作業をしているシーンでは、英単語をメモする時に「内閣府」「医療系大学」「羊」といった日本語テロップが出る。
じゃあ冒頭でも出せば良かったんじゃないかとは思うが、日本語テロップで意味は分かっても、その作業の意味はサッパリ分からない。
いちいち1つずつ別の紙に書き留める理由は何なのか。1冊のノートにでもまとめて書けばいいでしょ。
ただ単語を書いたところで、作業としては何も進展している様子が見えないし。

あとさ、もっと根本的なことを言っちゃうけど、吉岡って記者らしい仕事、ほとんどしてないよね。さゆりの会見に出席するとか、会社でデスクと話すとか、そういうシーンを並べることで何となく「記者として活動している」ってことをアピールしているけど、肝心な「足を使って取材する」というシーンは、そんなに無いのよ。
さゆりの件で憤りを感じても、彼女に取材を申し込むことは無いし、独自で調査することも無い。設置計画書にしても、ネットで検索して情報を調べている。
しかも、そこで判明した「白岩が発言のせいで内調にマークされていた」という情報なんて、今さら調べなくても記者なら何となく分かるだろ。
あと、白岩が発言のせいで内調にマークされていたというのは憶測に過ぎず、裏取りもしていないし。

吉岡は白岩に会って話を聞くが、「文科省が大学設置を断った」ということぐらいしか情報は得られていない。
リークした人物に関して心当たりは尋ねているけど、「内閣府に出向していた人物の可能性」なんてのは自分で推理しても出て来そうな推理だし。
都築に接触しているけど、何の情報も得られていない。
明らかに都築は何か知っている雰囲気だが、そこを突っ込んだりせず、あっさりと諦める。神崎が自殺した後も、改めて都築に当たって食い下がろうともしていない。

杉原は都築から「内調が神崎をマークしていた」と聞かされるが、寝耳に水といった反応を示す。
でも彼は5年前の出来事に関わっていて、内調がどういう仕事をしているのかも分かっているのに、「きっと神崎もマークされているんだろうな」とは微塵も思わなかったのか。
何の確証も無かったにしても、都築から話を聞いた時に「これっぽっちも頭に無かった」という反応なのは、ボンクラにしか見えないぞ。
もしかすると「純粋で真っ直ぐな人間」ってのをアピールしたいのかもしれないけど、そんな好意的には受け取れんよ。

都築の言葉によって、神崎が内閣府で大学特区の仕事をしていたことが明らかになる。そこまで観客に全く情報を教えてくれないのは説明が上手くないと感じるが、それはひとまず置いておこう。
それより引っ掛かるのは、そんな官邸肝煎りの大事な仕事を神崎が任されているってこと。
神崎は5年前の問題で責任を全て被り、外務省を辞めているんだよね。そんな人間を、大学特区の責任者に据えるかねえ。
自分が官邸の人間だったらと考えた時、その人事は腑に落ちないなあ。

特に多田というキャラに顕著なのだが、エンタメ色を濃くしようと考えた結果なのか、バカバカしい誇張が苦笑を誘う。
そりゃあ、姑息な裏工作とか、卑怯な脅迫とか、そういうのが内調では日常茶飯事に行われているのかもしれない。でも、全てが陳腐にしか思えない。
あと、多田が悪党のラスボスみたいなポジションになっているけど、政治家が全く登場しないのは変だろ。それは話のリアリティーや重厚さ、奥行きを失わせている。
「官邸の肝煎り」とか「官邸の圧力」とは言っておきながら政治家を絡ませないのはダメだろ。なんか肝心なトコから逃げているように感じちゃうぞ。

劇中で内調がやっている仕事は、「嘘の情報をネットに書き込んで拡散する」ってのが大半だ。それ以外だと、「デモ隊の参加者を全てチェックし、公安に渡して経歴を調べてもらう」なんて仕事もある。
そんな様子には、バカバカしさしか感じない。
内調って、よっぽど暇なのか。それとも、そんなチンケな仕事しかさせてもらえない程度の組織なのか。
もはやギャグにしかならないような「悪の組織」として内調のオフィスが描写されている中で、やってる仕事の内容が内容なので、ものすごく陳腐になっちゃってんのよね。

後半、吉岡は神崎の引き出しを調べ、「政府が新大学で生物兵器について研究しようと企んでいる」という事実を掴む。たぶん製作サイドとしては、それぐらいスケールのデカい陰謀にしないとエンタメ的に盛り上がらないだろうと思ったんだろう。
でも、もちろん大学設置を巡るエピソードが何をモデルにしているかってことは、誰でも容易に分かるわけで。そんな中で、そこに「実は生物兵器の研究を目論んでいた」という要素を持ち込むと、「いや無いでしょ」と呆れてしまうのよ。ただのトンデモ映画になっちゃってるぞ。
いや、日本政府が絶対にそんなことをやらないかと言われたら、断言は出来ないよ。ただ、現時点ではトンデモにしか思えないわ。
映画の中でも、その陰謀にリアリティーを持たせるような流れは全く作れていないしね。

(観賞日:2021年4月8日)


2019年度 HIHOはくさいアワード:第9位

 

*ポンコツ映画愛護協会