『催眠』:1999、日本

3人の男女が同じ日に不可解な死を遂げた。彼らは皆、死ぬ直前に「ミドリの猿」という言葉を言い残していた。心理カウンセラーの嵯峨は彼らが催眠によって操られたのではないかと考え、ベテラン刑事の櫻井に協力して事件を調査することに。
やがて2人はテレビ番組で「ミドリの猿」と口にしていた入絵由香という女性に接触。だが彼女は実相寺という催眠術師によって精神的に不安定な状態に陥っていた。由香を尾行した嵯峨は彼女の中にもう一つの人格があることを知る。
実相寺が奇怪な死を遂げたことから、由香の調査をする櫻井と嵯峨。そして2人は由香が拒食症で入院していた際、謎の男に催眠術を掛けられていたことを知る。だが催眠を認めようとしない警察の上層部は由香を厳しく追及。そして彼女の中に潜んでいた3つ目の恐ろしい人格が現れる…。

監督は落合正幸、原作は松岡圭祐、脚本は落合正幸&福田靖、製作は柴田徹&原田俊明、プロデューサーは櫻井武晴&濱名一哉、 協力プロデューサーは田上節朗、撮影は藤石修、編集は深沢佳文、録音は宮内一男、照明は粟木原毅、美術は清水剛、助監督は手塚昌明、 音楽プロデューサーは柴田新、音楽は[くさかんむりに配]島邦明、主題歌はSaju『deep inside』。
出演は稲垣吾郎、菅野美穂、宇津井健、升毅、渡辺由紀、小木茂光、佐戸井けん太、白井晃、中丸忠雄、大杉漣、高橋克実、甲本雅裕、 堀部圭亮、四方堂亘、絵沢萠子、長田江身子、でんでん、伊藤洋三郎、大鷹明良、石川真希、及森玲子、木村多江、吉田真由子、 春木みさよ、星野亜希(ほしのあき)、安藤裕子、須見太勇(現・須見太輔)、前田昌明、喜多道枝ら。


個人的には、原作者の松岡圭祐氏が出演していた深夜のエロ番組『A女E女』のパロディをやってる部分が一番印象に残ったなあ。
『A女E女』ってのは松岡氏が催眠術で女を脱がせたりイカせたりするという、とっても低俗な番組だったのよ(もちろんヤラセですぜ)。

さて、一応サイコホラーとされている作品だが、中身は完全にオカルト映画。菅野美穂が順調に日本一の怪奇派女優への道を進んでいることが確認できる。
それがいいことなのか悪いことなのかは別にしてね。

しかし、ここまで伏線を無視できるのってのは凄いなあ。前半で提示された謎を、後半でいったいどう解き明かしてくれるのかと思って見ていたら、何にも解決しないままで終わっちまう。
恐怖ではなく、脚本の粗さに度肝を抜かれますな。

催眠を掛けられた人によって死に方がバラバラなのも酷いよな。最初の人達は「ミドリの猿」と言い残し、つらい過去を思い出して死ぬんだけど、後半になると何にも言い残さず、過去を思い出すことも無く死んでいく人もいるし。
そこは統一しましょうよ。別の催眠っていうことなの?

「催眠に対して誤解してほしくない。催眠は恐ろしいものではない」という嵯峨のスタンスは原作者の考え方を代弁しているようなのだが、この映画を見たらみんな催眠が恐ろしいモノだって誤解すると思うよ。
“催眠で人を自殺に追い込める”というのも肯定しちゃってるしね。

 

*ポンコツ映画愛護協会