『サブイボマスク』:2016、日本

生まれ故郷の道半(みちなかば)駅に降り立った雪は、幼い娘の華から「意外とここ、いいトコだね。空気が美味しくて、ロハスな感じがする」と言われて「ロハスじゃなくて、ただ田舎なだけ」と告げた。ハローワークを訪れた彼女は、東京でモデルをやっていたと職員に話す。ネット検索した職員は、彼女が尿漏れショーツのモデルだったことを知ってニヤニヤした。「こんな田舎にモデルの仕事なんかあるわけないでしょ」と言われ、雪は腹を立てる。
職員は雪が渡會家の娘だと気付き、「東京で旦那に浮気されて戻って来るって町内会で噂になってたわ。もうこの町に仕事なんか無いよ。ゆめのまちに行ったらあるけどね」と告げた。ゆめのまち市ではドリームタウンという大型ショッピングモールを建設し、ゆるキャラのピョンコを使って盛り上げようとしている。ゆるキャラ県予選が開かれ、道半町からは青年団員の春雄が発案した笑顔君が参加する。彼は幼馴染の権助にキグルミを被せたのだが、そのビジュアルに集まった子供たちは怯える。さらに権助が饅頭を見て舞台から飛び降りたため、子供たちは一斉に逃げ出した。
長ネギ君の中に入っていた男から声を掛けられた春雄は、キグルミ作りに1年を費やしたことを話す。男は隣町の役所で働いていると言い、「くだらん年寄りばっかりで、こんなことして田舎盛り上がるわけないんだよ」と愚痴る。しかし春雄は「帰られない明日なんて無い」と正拳突きを始め、それを見ていた権助は真似をした。すると男は、最初から県予選の1位はピョンコに決まっていることを教える。ゆめのまち市長が県知事に手を回していたことを教えた彼は、「こんな田舎町だからこそ、政治は政治」と告げた。
小さい頃に両親を亡くした春雄は商店街の人々に育ててもらったため、恩返しのために力を尽くしたいと考えていた。その商店街は今や廃墟と化しており、道半町は消滅可能性都市に認定されようとしていた。道半町の若者である佐吉はストリートセンターという暴走族を自称し、一人で改造バイクを走らせていた。春雄や大蔵から笑われると、佐吉は声を荒らげた。シングルマザーの早苗は一人娘のキララを伴い、役所の福祉町民課を訪れた。生活保護を取り上げてほしいと職員に言われた彼女は、「こんな田舎でどうやって暮らせってんだよ」と睨み付けた。彼女が「働けってんなら、働ける場所を作れ」と怒鳴り散らすと、キララも同調した。彼女の他にも、役所には大勢の生活保護申請者が来ていた。
春雄は商店街で豆カラを使って熱唱するが、聴いているのは生気の無い老人2人と権助だけだった。通り掛かった雪は春雄に気付くと、華を連れて走り去った。春雄は町コンパーティーを主催し、みつわ精肉店の店舗を貸してもらう。若い女性5人が集まったが、相手の虎二たちは商店街のハゲ中年ばかりだった。春雄は亡くなった父の「みんなを笑顔にする人間が最強」という家訓を守り、日々を過ごしていた。茂雄はサブイボマスクというプロレスラーで、「笑うことは感動なんだ。笑えば明日がやって来るさ」と観客に訴えていた。春雄は父に憧れ、大きくなったらサブイボマスクになりたいと思った。茂雄はトラックにはねられ、命を落としていた。
父のことを思い出した春雄は、「みんなを笑顔にするには、感動させなきゃいけなかったんだ」と呟く。そのために彼は、サブイボマスクのマスクを被って活動することに決めた。それを知った大蔵は「今のままで充分だ」と言うが、春雄は「俺がこの町に感動を取り戻す」と告げる。彼がサブイボマスクというシンガーとして歌うことを告げると、大蔵は感動した。翌日から春雄はサブイボマスクとして商店街で歌うが、老人たちは彼の正体を知っていた。
春雄は雪と遭遇し、声を掛けた。雪は彼に、「まだ歌ってたとはねえ。東京のあの一件で辞めたと思っていたのに」と告げる。かつて春雄はミッチーナカバーマッチーというハードロックバンドのボーカルとして活動し、雪の紹介で東京のワイドショー番組に出演した。しかし爪痕を残したかった春雄は放送禁止用語を連発し、チャンスを棒に振っていた。春雄が「みんなが笑って生きられる町を取り戻す。俺はサブイボマスクだ」と言うと、どういう考えがあるのかと雪は尋ねた。春雄が「この町で歌い続ける」と告げると雪は呆れるが、「協力してやる」と口にした。
雪は「町おこし大作戦」を大蔵たちに提案し、春雄には定期的なライブを続けるよう指示した。春雄はブティックを経営する虎二の元へ行き、サブイボマスクのTシャツを作ってほしいと頼んだ。虎二は「自信が無い。この町はもう死んでる」と難色を示すが、雪が説得して承知させた。佐吉はゆめのまち市に住む不良のよっちゃんと交際しており、族のメンバーは30人だと嘘をつく。よっちゃんが幼馴染の晋介が仕切る夢の町連合が掲載されている雑誌を見せると、佐吉は「大した数じゃねえな」と強がった。
雪は春雄がサブイボマスクとして歌う様子を撮影し、ユーチューブにアップした。再生回数は全く上昇しなかったが、雪は「これから、これから」と言う。彼女は離婚したTVプロデューサーに電話を掛け、あることを頼んだ。数日後、雪がニコニコ動画に流した動画は馬鹿にするコメントだらけになったが、3万6千を超える再生回数を記録していた。彼女は春雄のために、東京の知人にアレンジしてもらった伴奏CDも用意していた。
商店街の面々は春雄の活動を見て店を再開し、若い人々も訪れるようになった。定期ライブの観客も大幅に増え、春雄は感動で涙を流した。春雄は雪から、元旦那に頼んでテレビ番組で取り上げられることを知らされた。ニコニコ動画の書き込みは好意的なコメントが多くなり、ライブの観客も一気に増えた。夢の町連合の面々もサブイボマスクのファンになり、商店街へ来てサインをねだった。観光客は50%もアップするが、不良たちが暴れたりゴミを道に捨てたりする問題も起きるようになった。
人気の出た春雄は調子に乗り、雪が注意しても全く気にしなかった。春雄は早苗から、「サブイボマスク、辞めてくんねえかな。役所の奴らがウチへ来て、景気がよくなったから働けってうるせえんだよ」と抗議される。「みんなの働く場所を作るために歌ってるし」と春雄が言うと、彼女は「お前のやってることは善意の押し売りって言うんだよ」と怒鳴った。彼女は道半町のような場所で働いて稼げる金より、生活保護を貰っている方が遥かに高額なのだと主張した。
大蔵は刑事から、空き巣が老女を殴って意識不明にする事件が起きたことを知らされる。老人を狙った空き巣は、今月に入って5件も発生していた。しかし県知事が予算の引き上げるつもりだと知っているため、刑事は今まで明かしていなかったのだ。県知事は今度のライブを見てから、予算を決めることになっていた。サブイボマスクのポスターに何者かが落書きし、みつわの家が放火される事件が発生した。サブイボマスクを被った男の姿が防犯カメラの映像に写っており、刑事は春雄を恨む何者かの仕業だと確信した。他にも多くの問題が発生しており、虎二とみつわは明日のライブを中止するよう春雄に促した。春雄が断ると、彼らは「お前がサブイボをやってから、この町は変わった」と言い、もう手伝わないと告げた…。

監督は門馬直人、脚本は一雫ライオン、製作は椎木隆太&堀義貴&尾辻重信&遠藤茂行&木下直哉&坂本健&間宮登良松&依田巽&伊藤主税、プロデューサーは伊藤主税&鈴木基之&紙谷零、アソシエイト・プロデューサーは和田有啓&平野宏治、ライン・プロデューサーは角田道明、撮影は葛西幸祐、照明は金子康博、録音は芦原邦雄、美術は三浦真澄、編集は和田剛、プロダクション・スーパーバイザーは岩崎雅公、キャラクターデザインはわるいだ〜、音楽は堤裕介。
主題歌「ブラザー」ファンキー加藤 作詞・作曲:ファンキー加藤&田中隼人、編曲:田中隼人。
出演はファンキー加藤、小池徹平、平愛梨、泉谷しげる、温水洋一、斉木しげる、いとうあさこ、小林龍二(DISH//)、武藤敬司、大和田伸也、渡辺大、岡まゆみ、浜田晃、団時朗、加冶屋凛、甲斐愛鈴、蜂谷晏海、あべこ、YORI(DA PUMP)、おむすび、えんじ則之、永田卓也、島本和人、小林夏子、松田幸恵、西興一朗、松本沙樹、蘭、長浜之人(キャン×キャン)、大谷章文、村山大侑、スカルリーパーA-JI、上田馬之助、新泉浩司、奥田彩香、山田沙梨奈、岡島彩花、馬場雅治、そらんハト子、上野慶幸、古元美保子、牛島修、長谷川純一、佐藤昭浩、古崎金治ら。


元「FUNKY MONKEY BABYS」のファンキー加藤が初主演を務め、主題歌の『ブラザー』も担当した映画。
監督は『ホテルコパン』の門馬直人。脚本は『ホテルコパン』でも門馬監督とタッグを組んだ『前橋ヴィジュアル系』『TAP 完全なる飼育』の一雫ライオン。
春雄をファンキー加藤、権助を小池徹平、雪を平愛梨、大蔵を泉谷しげる、虎二を温水洋一、みつわを斉木しげる、早苗をいとうあさこ、佐吉を小林龍二(DISH//)、茂雄を武藤敬司、刑事を大和田伸也が演じている。
他に、県知事役で浜田晃、ゆめのまち市長役で団時朗、長ネギ君の中の人役で渡辺大、権助の母親役で岡まゆみが演じている。
華を演じる加冶屋凛とキララを演じる甲斐愛鈴は、ロケーションが行われた大分県のオーディションで選ばれた。

冒頭、自転車の2人乗りで商店街を走る春雄と権助が登場すると、それがアニメーションに切り替わる。そこは直後にタイトルが入る流れだったので、一瞬だけ「どういう演出?」と困惑はしたが、まだ許容範囲だった。
しかし権助がサブイボマスクの絵を描いて春雄に見せた直後、アニメとして「春雄が試合を観戦する中、茂雄が笑うよう観客に訴える様子」「夜の町で茂雄が春雄と話した後、老女を救うけど自転車に激突され、トラックにひかれて死ぬ」といった様子を描くシーンが訪れると、完全に「そりゃダメだろ」と言いたくなる。
そこをアニメで描く意味なんか無いし、メリットも皆無だ。どう考えたって、普通に実写で描いた方が得策だ。
その直後には実写でも茂雄が登場する回想シーンを挟むんだから、ますます「じゃあアニメの部分なんて要らないだろ」と言いたくなる。

「その面倒で疎ましい趣向は何のつもりなのか」という疑問に対しては、「ディー・エル・イーがプロデュースしているから」ってのが答えになる。
ディー・エル・イーってのは、蛙男商会を始めとする多くのFlash職人が所属している会社だ。つまりアニメーションを使った商売をしている会社なので、それを持ち込むのは当然なのだ。
作品のバランスを考えるとか、本当に演出として効果的かどうか配慮するとか、そんな意識は全く無いのだ。とにかく、何が何でも自分の会社の作ったアニメーションを使いたかったのだ。
その後も何かに付けてアニメ映像を挿入するが、その全てが邪魔になっていようとも、ディー・エル・イーは平気なのだ。

春雄のキャラクターは、「暑苦しいぐらい真っ直ぐ前向きなメッセージを訴える、純粋でバカ正直な男」という造形になっている。
これは、FUNKY MONKEY BABYS時代からストレートな応援歌を歌い続けてきたファンキー加藤のパーソナル・イメージと重なるモノがある。まるで当て書きされたかのようなキャラクターだ。
ところが厄介なことに、公開直前になって、ファンキー加藤がアンタッチャブル柴田英嗣の元嫁と不倫して妊娠させていたスキャンダルが明るみになった。もはや爽やかなイメージは完全崩壊してしまい、この映画の興行は惨敗に終わった。
ただ、そんなことが無くてもコケていた可能性は高いので、言い訳が出来て良かったんじゃないかな。

っていうか、実際に映画を見ると、ある意味ではスキャンダルを起こしたファンキー加藤にピッタリなんじゃないかと思うように思える。
と言うのも、春雄のキャラクターは、スキャンダルを起こす前のファンキー加藤が漂わせていたイメージを馬鹿にしたような造形になっているのだ。
まず彼は1年も掛けて笑顔君というゆるキャラを作るが、完成度は恐ろしく低いし、まるで可愛くない。
そもそも「笑顔君」というネーミングからして、なかなかのセンスだ。

でも春雄は自信満々の態度で、子供たちに「みんな、笑顔君と一緒に大きな声で笑おう」と言い、「ワッハッハ、ワッハッハ」と振り付けと共に口にする。
長ネギ君の中の人が「こんなことで田舎が盛り上がるわけが無い」と真っ当なことを言っても全く気にせず、なぜか唐突に正拳突きを始めて「帰られない明日なんて無い」と告げる。
「超が付くほどのポジティヴ・シンキング」というキャラにしてあるのだが、それが見事なぐらい好感度に繋がらないのである。

春雄は閑古鳥が鳴いている商店街で熱唱し、観客が全く聴いていない老人2名と権助だけでも全く気にしない。ノリノリで歌い続け、通り掛かった若者たちを見つけると「エールを送るぜ。頑張れ」と叫ぶ。若者たちから疎ましがられるが、それでも彼は全く気にしない。
若者が「寒いな」と言うが、その通りなのだ。
春雄は「商店街を何とかしたい」と言っているが、ホントに何とかしようと思うなら、そんな状況のままじゃマズいと感じて手を打とうとするはずだ。
しかし彼は、全く観客がいなくても気にしていない。
ってことは、春雄は熱唱する自分に酔っているだけであり、ただの自己満足ヤローなのである。

春雄の部屋の壁には松岡修三のポスターが飾ってあり、「お前がやりたいかどうか」「熱く熱く」「挑戦あるのみ」と墨で書いた紙が何枚も貼ってある。そして家訓として、「悪口を言わず、みんなに優しく、みんなを笑顔にする人間が最強」という茂雄の文字が、掛け軸として飾られている。
そんな春雄は、何も考えずに自分のエゴだけで感動を押し売りする、ただの「痛い奴」にしか見えない。
だから前述したように、まるでファンキー加藤を茶化しているようにも思えるのだ。
ただし困ったことに、「そんな主人公を茶化す喜劇」ではなく、どうやら製作サイドは本気で春雄を「感動を呼ぶ熱血ヒーロー」として描いているようだ。
だから、そんな製作サイドが「痛い奴ら」になっているのである。

茂雄は試合の途中で、「みんな、笑ってるか。俺は笑ってるぞ。全てが思い通りになるわけじゃない。でも君が笑えば、この町にいる誰かに、きっとその笑顔が伝わる。笑うことは、感動なんだ。心が動いて感動すれば、何でも出来る」と訴える。
だけど何の脈絡も無く、唐突にそんなことを言うので、ただの痛い奴にしか見えない。
それで観客が盛り上がっているのだが、無理があり過ぎて全く乗れない。それは「喜劇だから許される」という問題ではない。
喜劇としても、全く成立していない。

そんな茂雄のことを思い出した春雄は、「みんなを笑顔にするには、感動させなきゃいけなかったんだ」と口にする。その考えからしてズレているように感じるが、そこはひとまず置いておくとしよう。
「感動させるにはサブイボマスクになる必要がある」ってのも全く筋が通っていない考えだが、そこも受け入れよう。
しかし、「謎のシンガー、サブイボマスクになって感動を町に取り戻す」と言い出した時、さすがに「それは無理」と拒否したくなる。
「大きくなったらサブイボマスクになりたい」と言っていたのは、父のようなプロレスラーになりたいってことじゃなかったのかよ。
マスクを被って歌うってことになると、それは単なるサブイボマスクのファンだぞ。

サブイボマスクになった後も、春雄のオナニーショーは変わらない。
早苗が「クソみてえな歌、歌ってんじゃねえよ。気持ち悪くて鳥肌立ったわ」と言うと、春雄は「気持ち悪かろうが、サブイボ立てばそれでOK。そして君に一つ伝えよう。君はたぶん孤独に震え、寒いよ寒いよって泣いてる。でも君が流すその涙は、いつか大きな海となり、自分自身を照らすんだ」などと熱く語る。早苗に怒鳴られると、彼は「みんなが笑えば、それが幸せ」と能天気に言う。
つまり、早苗の反応なんて全く気にしちゃいないのだ。
彼は自分が熱く語った時点で満足しており、それで満ち足りているのだ。

そんな春雄の熱いアピールに、雪は「協力してやる」と言い出す。
もちろん周囲の人間が協力するようにならなきゃ話は先へ進まないし、ヒロインだから真っ先に協力を申し出るのも段取りとしては当然のことだ。でも、そこに納得させる力は全く無い。
雪が「この町の未来はサブイボマスクに懸けるしかない」と口にしても、「いや絶対に他の方法があるだろ。っていうか、むしろ他の方法を選択すべきだろ」と言いたくなる。
ホントに「サブイボマスクに懸けるしかない」という状況だとすれば、そんな町は既に死んでいるし、おとなしく消滅してダムに沈んだ方が幸せだと思うぞ。

とは言え、もちろん「サブイボマスクが活動しても全く商店街に活気は戻らない」ということでは映画として成立しないので、もちろん「彼がライブを続けると少しずつ活気が戻ってきて」という展開が用意されている。
商店街の面々は、「あいつの頑張り見てたら、何かやらなきゃっていう思いになって」と言い、店を再開させる。
動画の再生回数も、着実に増えて行く。
雪が協力を申し出た時と同様で、そこに納得させる力など全く無い。

大体さ、春雄の頑張りで店主たちが心を打たれるのなら、サブイボマスクになる前から彼は頑張っていただろうに。その時には、なぜ店を再開させる気にならなかったのかと。
サブイボマスクになる前と後で、春雄のやってることは何も変わっちゃいないぞ。
そこは本作品の大きな破綻でしょ。
「春雄がサブイボマスクとして活動するようになったから、商店街が活気付く」という話にしたいんでしょ。だったら、彼がサブイボマスクになった後の活動は、それ以前と全く違うモノにしておく必要があるんじゃないのか。

やがてサブイボマスクのライブに多くの若い女性が押し寄せ、まるでアイドルを見るかのようにキャーキャー騒ぐようになる。
コメディーとしての描写ではあるのだが、見事なぐらい寒いだけだ。
まさにサブイボだね。
それはともかく、多くの若者が来てくれるなら嬉しいことのはずだが、この映画では「若者は来るけど色々な問題も起きるし、盛り上がるのはサブイボマスクのイベントだけなので、地元の人々は全く喜ばないどころか疎ましく思う」という内容になっている。

前述したように、この作品は大分県でロケーションしているが、地元の名物や名産品は全く登場しない。
つまり、地域活性化をテーマにしているはずの映画だが、大分県の活性化には全く貢献する気が無いのである。
さらに凄いのは、この映画が最終的に「若者を呼んでも町が荒れるだけだから要らない。地元の人々と一緒に仲良く過ごすことが何よりさ」という答えに至ることだ。
つまり地域活性化をテーマにしておきながら、その答えは「地域活性化なんて要らない」ってことになっているのだ。
凄いね。サブイボだね。

(観賞日:2018年1月31日)

 

*ポンコツ映画愛護協会