『サラリーマン金太郎』:1999、日本
曲がったことが大嫌いな、ネプチューン原田泰造のような男、矢島金太郎。元暴走族の総長で現在はヤマト建設のサラリーマン。今回、彼は東北営業所へ配属となった。赴任先の所長は伊郷洋造。雀荘で遊び呆けているような男だ。
金太郎は東北市の公共事業をモノにしようとするが、不正と談合の渦巻く業界の壁が立ち塞がる。同じ頃、理由も無くヤマト建設が公共事業から外されるという動きが本社でも問題となっていた。そんな中、金太郎はなんとか東北市民ホールの増改築工事の入札への参加を成功させる。
だが談合の席上、芝幡工務店が横槍を入れてきた。芝幡工務店のバックには市の公共事業をずっと牛耳ってきた北東総建の存在があった。脅しをかけて仕事を奪おうとする芝幡に対し、金太郎は全面対決を宣言し、談合は決裂する。
指名競争入札が行われることになったが、北東総建は市役所幹部や暴力団の天保組と裏でつながっていた。その影で糸を引くのはヤマト建設潰しを企む代議士の谷岡だ。谷岡は天保組を使って金太郎を潰そうとするが、金太郎の熱い思いを感じた伊郷がピンチを救う。
だが天保組は攻撃の手を緩めない。営業所に送られた小包爆弾で、伊郷は重傷を負った。さらに金太郎の一人息子である竜太を狙い、絵本に見せかけた爆弾が送り付けられた。ついに金太郎の怒りは頂点に達した…。監督は三池崇史、原作は本宮ひろ志、脚本は中園健司&原田菜緒子、製作は児玉守弘、撮影は山本英夫、美術は稲垣尚夫、録音は中村淳、照明は金沢正夫、編集は島村泰司、音楽は遠藤浩二、音楽プロデューサーは前田亘輝、主題歌はTUBE。
主演は高橋克典、共演は羽田美智子、恵俊彰、斎藤陽子、水野美紀、山崎努、榎本加奈子、勝村政信、保坂尚輝、島田智之介、山城新伍、野際陽子、津川雅彦ら。
宣伝コピーに「この男の器、テレビだけでは収まらない!」とあったのだが、テレビ版だけで充分だ。
これを製作した人達は大きな勘違いをしている。確かにテレビ版の『サラリーマン金太郎』はそれなりに人気があったが、それはあくまでも「テレビだから成立する人気」なのである。金太郎は映画で光るキャラクターではない。東北で働く金太郎だが、なぜか東京から通勤。たぶんテレビ版のレギュラーを出演させるための策なのだろうが、無理がありすぎるだろ。
だったら最初から舞台を東京にすればいいことで、逆に東北を舞台にするなら、テレビ版のレギュラーを無理な形で出演させるのはやめるべきだった。それでもクライマックス、関東八州連合だったメンバーを引き連れてバイク軍団で東北へ向けて爆走する場面はカッコイイなあと思っていたのだが、なんと逮捕されて有罪になる。で、悪役達は検察に逮捕されて一見落着。
おいおい、金太郎とは無関係に事件解決かよ。ダメじゃん。そんな感じで、とにかく脚本が酷すぎ。
原作はバカだけど、力技で持って行くからなあ。この映画にはそこまでの強引な力技は無いし。
ところで、「曲がったことが大嫌い」なはずの金太郎が、談合には参加しているのだが、談合って曲がったことじゃないのかなあ。それでいいのか、金太郎。