『女子ーズ』:2014、日本

ワカメ怪人のワカメヌルンと戦闘員たちは採石場で砧博士を捕まえ、設計図を渡すよう脅していた。砧が拒否すると、ワカメヌルンは増殖するワカメで追い詰める。そこへ戦隊「女子ーズ」の赤木直子、黄川田ゆり、緑山かのこ、紺野すみれが駆け付け、砧を危機から救った。しかしメンバーの青田美佳が到着しておらず、直子が電話すると「マツエク中」と言われる。5人が揃わないと必殺技の女子トルネードは使えないので、直子は早く来るよう説得する。しかし美佳は「怪人退治よりマツエクが大事」と言い、今回は必殺技無しで戦うよう告げて電話を切ってしまった。
1ヶ月前、直子たちは急に見知らぬ場所へ転送された。そこにチャールズという男がホログラムで現れ、正義の戦隊の司令官だと自己紹介した。彼は宇宙から世界征服を企む怪人が地球へ来ていること、皆の目に触れない内に戦隊が倒していることを語る。しかし任期満了で戦隊が解散することになり、後任として5人が選ばれたのだと彼は説明した。チャールズは「今の時代は女が強いと聞いた」という理由で、次は女子で行こうと決めていた。
直子が5人の選抜理由について尋ねると、チャールズは適当なことを言って誤魔化そうとする。しかし正直に話すよう追及されると、苗字に色の付いている女子をランダムに選んだのだと打ち明けた。彼は戦隊の名前を勝手に「女子ーズ」と決め、正義のために戦うよう説いた。しかし美佳たちは全く相手にせず、その場を立ち去ろうとする。すると直子が4人を引き留め、熱い口調で「私たちがやらないと、地球が滅んじゃうんだよ」と訴えた。
豊島建設のOLである直子が社内のコンセンサスを取るよう課長に訴えていると、チャールズから怪人出現の連絡が入った。彼女と他のメンバーと共に採石場へ赴き、エリンギ怪人エリンギモルグと戦闘員たちを女子トルネードで倒した。ゆりは実家への仕送りと弟の学費捻出のため、建築現場で働いている。チャールズからの連絡が入り、彼女は採石場へ行く。女子ーズはジュンサイ怪人ジュンサイドルドと怪人たちを相手に会話を交わした後、任務を遂行した。
美佳はアパレルショップのアルバイト店員で、かのこは演出家の皆川が主催するアングラ劇団「カオスの彼方」の劇団員、すみれは財閥の令嬢だ。連絡を受けた3人と直子、ゆりは採石場に集まり、カメムシ怪人カメムシゲルゲをキンチョールで倒す。その後の飲み会を兼ねた作戦会議で、ゆりは「全員集まらなくて良くない?」と言い出す。今回はキンチョールでも倒せたし、女子トルネードを使わなくても退治できる怪人が続いたからだ。しかし直子は「強い怪人が出て来たら5人揃わないと勝てない」と言い、かのこも賛同した。
しかしキツツキ怪人キツツキツツキーが出現した時、採石場には直子、ゆり、かのこしか集まらなかった。セールで多忙だった美佳は遅刻して到着するが、すみれは現れない。直子が電話を掛けると、すみれは行かない理由を「野暮用」と説明した。説得しても彼女の気持ちが変わらなかったため、直子は「仕方ないね」と諦めて電話を切った。キツツキツツキーと戦闘員たちを倒した後、5人はチャールズから「真面目にやれよ」と叱責された。
ゆりはチャールズに、報酬は出ないのかと質問した。美佳が「怪人を倒す度、1人につき1万円」と提案すると、チャールズは善処すると告げて誤魔化した。直子は「女子ーズはダサいので改名してほしい」と訴えるが、チャールズが不真面目な反応なので腹を立てた。その帰り道、直子は同期の成瀬輝彦と遭遇する。成瀬は彼女に、もう同期が自分たちしか残っていないことを話す。彼が急に告白したので、直子は困惑を隠せなかった。しかし不意にキスされると、ときめく気持ちを感じた。
直子は課長から、かすみの森美術館再建の競合プレゼンが決まったことを知らされる。美術館の建設は直子にとって念願であり、彼女は気合いを入れて準備に取り組んだ。成瀬から呼び出された直子は結婚を前提に付き合ってほしいと言われ、戸惑いを抱きつつも承諾した。プレゼン当日、直子はチャールズからの通信で、怪人が出現したことを知らされる。今回は強敵なので5人揃わないと厳しいとチャールズは話すが、直子はプレゼンを選んだ。
スネーク怪人スネークネルネと対峙した美佳たちは、直子に電話を掛けても通じないので、仕方なく4人で戦う。苦戦を強いられる4人だが、夕方になるとスネークネルネが寒さを理由に立ち去ったので助かった。直子に何かあったのではないかと心配した4人は、彼女のアパートへ赴いた。直子が外せない仕事があったのだと説明すると、4人は怒りを露わにした。直子が「アンタたちも普段から適当な理由で休んでたんだから、こんな時ぐらい休ませてくれたっていいじゃん」と反発すると、4人は軽蔑の眼差しを浴びせて立ち去った。
直子は課長からプレゼントで勝利したことを知らされ、全力でプロジェクトに取り組む。チャールズから怪人出現の連絡が来ても、彼女は無視を続けた。設計家が無難な案しか出さないことに不満を抱いた直子は、「設計は私が決める」と宣言した。しかし彼女の提案書を見た美術館の館長は、「奇をてらい過ぎじゃないですか。建物がアートである必要は無い」と言う。納得できない気持ちを抱く彼女の元に、チャールズから連絡が来た。今回は怪人出現の報告ではなく、呼び出しが目的だった。チャールズは直子に、彼女が無視を決め込んでいる間も他の4人が頑張って怪人と戦っていたことを話す…。

脚本・監督は福田雄一、製作は重村博文、プロデューサーは森山敦&山下義久&松橋真三、アソシエイトプロデューサーは平野宏治、コスチュームデザインは島本和彦、撮影は吉沢和晃&工藤哲也、美術は尾関龍生、照明は小西章永、録音は高島良太、特殊メイク・造型進行は飯田文江、編集は栗谷川純、音楽はミラクル・バス。
主題歌「A S A P」E-girls 作詞:Yu Shimoji、作曲:Kanata Okajima・Albi Albertsson・Ricky Hanley。
オープニングテーマ「女子ーズのテーマ」 作詞:福田雄一、作曲:瀬川英史、歌:浪川大輔。
出演は桐谷美玲、藤井美菜、高畑充希、有村架純、山本美月、佐藤二朗、きたろう、大東駿介、安田顕、岡田義徳、志賀廣太郎、野添義弘、大河内浩、ムロツヨシ、黄川田将也、落合モトキ、皆川猿時、上地春奈、大木洋介(ラバーガール)、平子祐希(アルコ&ピース)、酒井健太(アルコ&ピース)、猪塚健太、今井隆文、大村学、高橋秀行、結城洋平、岡山智樹、佐藤正和、山本泰弘、太田恭輔、金子伸哉、鎌倉太郎、野村啓介、伊藤麻実子、赤木遥香、中川晃徳、前田龍輝(現・龍輝)、井上奈津希、庄司智子ら。


『コドモ警察』『HK/変態仮面』の福田雄一が監督&脚本を務めた作品。
直子を桐谷美玲、美佳を藤井美菜、ゆりを高畑充希、かのこを有村架純、すみれを山本美月、チャールズを佐藤二朗、砧をきたろう、成瀬を大東駿介、皆川を安田顕、豊島建設の課長を岡田義徳が演じている。
他に、工事現場のオヤジ役で野添義弘、すみれの父親役で大河内浩、迷惑な乗客役でムロツヨシ、すみれを口説こうとするイケメン役で黄川田将也、設計課デザイナーの吉村役で落合モトキ、すみれの恋人役で皆川猿時が出演している。
特撮ヒーロー物の熱烈なファンである漫画家の島本和彦が、コスチュームデザインを担当している。

冒頭に「怪人と戦闘員が採石場にいると、戦隊ヒーローが駆け付ける」という戦隊ヒーロー物では定番のシーンを配置し、でも1人だけ来ない様子を描く。
「これは戦隊ヒーロー物をネタにした喜劇ですよ」ってことを、冒頭でアピールしたいのは分かる。
だけど、女子ーズの1人だけ登場しないままオープニング・タイトルに入るってのは、どう考えてもバランスが悪いだろ。これが例えば「最初に欠席したブルーはそのまま脱退し、二代目が登場する」ということならともかく、そうでもないんだし。
しかもオープニング・タイトルでは5人全員が紹介されるわけで、ますます不格好に感じられる。

上映時間の限度があるとは言え、女子ーズが結成される経緯や事情を全てチャールズの台詞だけで説明するのは、すんげえ雑に感じるぞ。
前任者が任期満了で解散するとか、女子が強いらしいから女子だけで戦隊を作ろうと決めるとか、その辺りをエピソードとして描写すれば、それも1つのコントになったはずでしょうに。
コントを串刺し式に並べて構成するにしても、そこは映画的なアプローチを施すべきだし、笑いを損していることになるわけだし。

チャールズがホログラムでしか登場しないのも、勿体無いなあと感じる。その場に登場しないことで、女子ーズは彼と直接的に絡むことが出来ないわけで。
上手く使えばホログラムでの登場ってのが活きたかもしれないけど、この作品だと絡み方が遠くなることがマイナスにしか作用していない。
あと、チャールズが5人を集めたホントの理由を隠して適当なことを言うシーンは、完全に「佐藤二朗ショー」だね。
っていうか彼のおかげで助かっているけど、実際はモタついているだけだよ。そこはテンポ良く進めた方がいいトコだ。

あそれと、いきなり5人が1ヶ所に集められている状態から始めるより、まず1人ずつのキャラクター紹介を済ませて、それから集められる形にした方がいいと思うんだよね。
そうじゃないので、チャールズと話す段階では、まだ5人がどういう人物なのか全く分かっていない。
それによって、掛け合いの印象にも影響が出る。
5人の態度や反応を見ても、事前に「そういうキャラ」ってのが伝わっていないので、掛け合いの面白さを楽しむシーンじゃなくて、人物設定を把握するためのシーンになってしまうのだ。

直子は苗字でランダムに選ばれたことや、女子ーズというネーミングを聞いて、不愉快そうな反応を見せている。ところが他の4人が立ち去ろうとすると、熱い口調で「私たちがやらないと、地球が滅んじゃうんだよ」と訴える。
真面目な熱血キャラという造形のようだが、だったら直前のリアクションも違うでしょ。
「地球を悪の手から守るために戦う」という任務は最初から明らかにされているわけだから、最初から一貫して直子だけは「戦隊としての活動に前向き」という立場にしておくべきでしょ。
直前までは他の4人と同様に乗り気ではない様子だったのに、急に熱くなるのは、キャラがブレていると感じるぞ。

女子ーズの結成シーンを描いた後、直子の仕事風景→怪人との戦い→ゆりの仕事風景→怪人との戦いという構成になる。
そういう構成にするのであれば、そのまま「誰かの仕事風景」→「戦い」で5人全員を消化すべきだろう。
ところが美佳、かのこ、すみれは1パックで片付けてしまうので、中途半端になっている。
っていうか根本的な問題として、「誰かの仕事風景」→「怪人との戦い」という手順を繰り返すのがモタついていると感じる。先に全員の私生活を描写してから、怪人との戦いに入った方がスムーズだよ。

直子はともかく他の4人は女子ーズの活動を嫌がっていたのに、エリンギ怪人エリンギモルグと戦うシーンでは、普通にコスチュームを着用して採石場に駆け付け、敵と戦ってノリノリで女子トルネードを繰り出している。
それは整合性が取れていないでしょ。例えば、「こんなダサいコスチュームは嫌だ」と駄々をこねるとか、採石場まで遠いから愚痴をこぼすとか、戦う時も気持ちが入っていないとか、そういう形にしておくべきでしょ。
なんで全員が普通に戦隊ヒーローとして活動するのよ。おかしいでしょ。
現場でグダグダと喋る様子でパロディー化しているけど、そもそもコスチューム姿で現場へ来て戦っている時点で、すんげえ真面目じゃねえか。

「初めての戦い」における女子ーズの新鮮な反応は、バッサリとカットされている。初めてコスチュームを着る時の反応、初めて怪人や戦闘員と対面した時の反応、初めて戦う時の反応、そういったモノは全く描かれない。
エリンギモルグと戦うシーンでは、既に慣れた様子を見せている。
戦いはド素人だったはずなのに、普通に戦闘員を倒しているという奇妙なことも起きている。
その辺りをザックリと省略しているのは、「ユルさ」じゃなくて、ただ雑なだけだよ。

結成当初は5人全員が集まっているが、キツツキツツキーをキンチョールで退治した次の任務では、すみれが来ない。
でも、もう冒頭で「美佳がマツエクが決まらないという理由でサボる」という出来事を描いているでしょ。
なので、「初めて5人全員が揃わない。しかも来ない理由がバカバカしい」というネタが完全に殺されてしまい、シーンとしてもダラッとしてしまう。
あと、熱血&真面目キャラの直子が、すみれの「野暮用」という理由を「仕方ないね」と済ませてしまうのは、またキャラがブレていると感じるぞ。

チャールズから「真面目にやれよ」と叱責さた帰り道、直子が落ちていた空き缶を蹴ると猛スピードで飛んで行き、直撃を受けたチンピラは吹っ飛んで気絶する。
で、直子は「強くなってる」と自覚するんだけど、なんでコスチュームも着用していない状態でスーパーパワーが出るようになってるんだよ。
そういう特殊な訓練を積んだわけでもないし。
しかも、その「いつの間にか強くなっている」ってことが物語の中で活用されるわけじゃなくて、「チンピラが吹っ飛ぶ」とうネタをやるためだけのモノになってるし。

直子と成瀬の恋愛劇は、心の底から「要らねえ」と言いたくなる。
これが「直子が恋をすることで女子ーズの活動に影響が出てしまう」という展開に繋げるのなら、もちろ恋愛劇を入れてもいいだろう。
しかし成瀬にトキメキを感じて交際を始めることは、女子ーズの活動に全く影響を及ぼさないのだ。
直子が怪人退治をサボるのはプレゼンのためだし、強敵の出現で「どっちを選ぶべきか」と悩むのは二度目のプレゼンだ。つまり成瀬との恋愛はバッサリと削除しても支障が無いし、そっちの方が絶対にスッキリするのだ。

直子が大事なプレゼンのために女子ーズの任務を休んだ時、ゆり&かのこは劇中で描かれた怪人退治のシーンで皆勤だったから、怒りをぶつけてもいいだろう。
しかし美佳&すみれに関しては、「前が言うな」ってことになるでしょ。
しかも美佳は「マツエクが決まらない」、すみれは「野暮用」という理由なんだし。
それなのに、まるで直子だけが一方的に悪いような扱いになり、彼女が反省して謝罪するという流れにするのは、どうにもスッキリしないわ。

直子は建設プロジェクトで設計課の無難なアイデアに不満を抱き、門外漢なのに「私が設計を決める」と言い出す。で、「美術館だからアーティスティックであるべきだ」という考えに基づいて提案書を出し、やんわりと館長から「美術館だからって建物がアートである必要は無い」と諭される。
ここまでなら、「設計課を信頼せず暴走する直子が間違っていた」ってことになる。
ところが同席した設計課の吉村が「私もずっとそう思ってました」と言い、建物が周辺環境に馴染むことを重視するべきだという考えを述べる。
なので、その筋が成立しなくなってしまう。

「直子の考えは間違っている。建物がアートである必要は無い」と思っていたとしても、館長の目の前で「私は上司と違う意見でした」と言い出すのは、部下として絶対にダメでしょ。
それは直子の顔を潰すだけでなく、「会社の中でコンセンサスが取れていない」ってことになるからプレゼンにも悪影響が出るはずで。
そういうことを言い出すと、「こんな奴に任せなかった直子の判断は正しい」ってことになっちゃうぞ。
そこは「直子は信頼できない、役に立たないと思っていた部下の吉村が、実は正しい考えを持っている優れた社員だった」という形にしておくべきでしょうに。

直子はチャールズから呼び出され、他の4人が怪人と戦っていたことを知らされる。
ところが、「どうしても来れないとかあるから、日によって人数はまちまちだったけど頑張ってた」とチャールズは言うのだ。つまり、4人が必ず怪人退治に来ていたわけじゃなく、やっぱり休むこともあるってことだ。
そうなると、「だったら直子が休んだのも別にいいじゃねえか。なんで彼女の時だけ他のメンバーから批判されなきゃならんのか」ってことになっちゃうでしょ。
チャールズは「お前が来ないから女子トルネードは無しだよ」と言うけど、人数がまちまちなら直子が行ったとしても使えないだろ。

っていうかさ、「マツエクが決まらない」とか、「野暮用」とか、そんなバカバカしい理由で簡単に休んでいた奴らが、なんで生真面目に女子ーズの活動を続けているのか、ちっとも腑に落ちないわ。そのモチベーションがどこから湧くのか、サッパリ分からんぞ。
それなら、いっそ「つまらない理由でサボる」ってのを無しにした方がいい。
そして、「ずっと真面目&熱血だった直子がプレゼンを優先して活動を休んだ後、残る4人が頑張っていたことを知らされ、愚痴や不満は多いし不真面目そうな態度も取っていたけど、休まずに来ていたことに気付く」という形にでもした方が、諸々を考えると都合が良かったんじゃないかと。
そうしておけば、「直子がプレゼンを優先して休んだ時、他の4人が非難する」という展開も、納得できる形で成立するでしょ。

二度目のプレゼン直前に怪人出現の知らせを受けた直子は、吉村に後を任せて採石場へ向かう。で、シーンが切り替わると採石場にいる彼女の1ショットがあり、「待て、全員が自己紹介するから」と言うんだけど、その時点で「ああ、他の4人は来ていないのね」ってことがバレバレになっている。
つまりオチが先に割れているわけだから、笑いの作り方として失敗ってことだ。
そもそも、「そろそろ戻って来い」とチャールズが直子に告げた後、別の日に二度目のプレゼンがあって、そこで怪人出現の連絡を受けるという手順からしてモタつきを感じる。そこは1パックにした方がいいでしょ。
つまり二度目のプレゼン直前に強敵出現の連絡を受け、そこで「他の4人は頑張っていた」と知らされた直子が、会社の仕事より女子ーズを選ぶという流れにすればいいわけで。

あと、他の4人の頑張りを知った直子が二度目のプレゼンを蹴って怪人退治に赴いたのに、そこで「他の4人は来なかった」というオチに繋げるのも、わずかな笑いを取るために大事な物を失っている気がするぞ。
その段階に来たら、もう大枠では「直子が反省して謝罪し、5人が結束して戦う」というベタな熱血路線でいいんじゃないかと思うのよ。
それなのに、「怪人に待ってもらい、4人の居場所を次々に尋ねて説得する」という手順を入れるのは、すんげえダラダラしているとしか感じない。
それに、「やっぱりサボるんじゃねえか」と感じるし、そういうのって前半でやるようなシークエンスじゃないかと思うし。

あと、戦隊ヒーロー物のパロディーをやるんだったら、ベタベタかもしれないけど、過去に本物の戦隊ヒーロー作品に出演していた役者をカメオ出演させるような遊びがあってもいいんじやないかと思うぞ。
ただ、福田雄一って『コドモ警察』の時も思ったけど、パロディーを舐めている人なんだよな。
「どうせパロディーだから、この程度でいいでしょ」という手抜き感覚が見えちゃうのよ。
で、パロディーから外れた要素を持ち込んで、それが面白さに繋がるわけでもないから、単なる邪魔な脱線になるという始末なのよね。

色々と文句ばかり書いたけど、これが深夜枠で放送される30分の連続ドラマなら、それなりに楽しめたんじゃないかという気がする。
っていうか本作品に限らず、基本的に福田雄一が監督&脚本を務める作品って、その手のノリが多い気がするぞ。
ようするに『コドモ警察』や『HK/変態仮面』と同じで、ザックリ言っちゃうと「ユルいコント」なんだよね。
で、それでも上手くやれば1本の映画として楽しめるだろうけど、「テレビの深夜番組向き」ってのが、良くも悪くも福田雄一という人の持ち味なんだろう。

(観賞日:2015年9月19日)

 

*ポンコツ映画愛護協会