『ジヌよさらば 〜かむろば村へ〜』:2015、日本

東北・かむろば村行きのバス乗り場に高見武晴が到着すると、チンピラの青木が女子高生の青葉に「猫になりてえ」などと話している。武晴が時刻表を確認すると、「スーパーあまのにご連絡」という紙が貼ってある。青木から「見てただろ」と因縁を付けられた武晴は、慌てて否定する。そこへ天野与三郎のマイクロバスが到着すると、青葉が青木に「帰って」と告げて乗り込む。村長の与三郎は武晴の名前を確認すると、迎えに来たことを告げて名刺を渡した。
百姓になりたがる武晴は与三郎から理由を問われるが、答えようとしなかった。写真を撮る人物に気付いた武晴が質問すると、与三郎は「なかぬっさん。神様だ、この村の」と言う。スーパーあまのでバスを停めた与三郎は、そこで働く妻の亜希子を武晴に紹介した。亜希子は武晴に、村には病院も学校も警察も郵便局も無いことを教えた。だから用事がある時だけ、与三郎がバスで送っているのだという。かむろば村の高齢化率は40%、人口は494人で限界集落寸前の状態だ。
武晴は村のボロ家を100万円で購入し、みょんつぁんと呼ばれる住人の田んぼを借りていた。与三郎が携帯電話の番号を訪ねると、彼は「捨てました。もう要らないので」と言う。すると与三郎は呆れた様子で、「こんなトコで携帯も無しで暮らせねえぞ。電力会社に連絡とかどうするんだ?」と問い掛ける。武晴が「電機は使いません。水道も引きません。井戸を掘ります。ガスも引きません」と言うと、与三郎は「死ぬぞ」と声を荒らげる。すると武晴は泣きそうな顔になり、「お金、使いたくないんです。一銭も使わないために、ここへ来たんです」と述べた。
与三郎が「こっちの夜の冷え込み、舐めんなよ」と言うと、武晴は「尋常じゃない分量のヒートテックを持って来たんで」と口にする。しかし村の冷え込みは彼の予想以上で、ヒートテックだけでは全くダメだった。帰宅した与三郎は、武晴が東京の銀行で一悶着あったことを亜希子に話した。雷雨の中、与三郎は武晴を心配して捜しに行く。伊佐旅館の女将である奈津に電話を掛けるが、武晴は見ていないと言われる。なかぬっさんが武晴の前に現れ、怪しく眼球を光らせた。「付いて来い」という意味だと理解した武晴が彼に同行すると、武晴はナイフで火を起こすための枝を切っていた。
与三郎は薪で火を起こしてやり、弁当を与えた。翌朝には朝食も持って行き、田んぼまで送ってくためにマイクロバスに乗せる。彼は先に乗っていた村人たちに挨拶させ、町の役場や郵便局へ送るのだと説明した。武晴は村で金を一銭も使わないで生きて行くつもりだと与三郎が話すと、村の老人は「死ぬぞ」と口にした。田んぼに到着した武晴は、みょんつぁんに挨拶する。「長靴は?」と問われた武晴は、用意していなかったので「裸足で」と述べた。
みょんつぁんが「舐めてんの?」と告げると、与三郎が「これ履け」と武晴に自分の長靴を渡した。与三郎は田植え機も使ったことが無く、「買うつもりは無いので、手植えで」と言う。みょんつぁんが「時間足んねえから。馬鹿なの?」と尋ねると、武晴は失神した。役場に出勤した与三郎は、助役の伊吉から武晴について「早く住民登録してもらわないと健康保険も作れないよ」と言われる。伊吉の妻であるトキは役場の職員をしており、田舎の村でスーツを着て政治家ぶっている夫を馬鹿にした。意識を取り戻した武晴は、なかぬっさんが写真を撮っている姿を目にした。武晴が体を起こすと、みょんつぁんが田植えを全て終わらせていた。
翌朝、亜希子が朝食を持って武晴の家を訪れ、「東京で、お金でなんかやらかした?」と質問する。武晴は小さな銀行で、融資を担当していた。しかし経営不振で大手と合併する際、融資を縮小せざるを得なくなった。お金が原因で死ぬ顧客を何人も見て来たことで、お金が怖くなったのだと彼は亜希子に話す。武晴はATMには行けず、通帳も見られなくなり、病院で金アレルギーと診断された。亜希子は「それで、こんな物捨てちゃったんだ」と言い、武晴が捨てた預金通帳と印鑑を見せた。与三郎やパート店員・いそ子とゴミの分別をしていた時、それを見つけたのだ。通帳には648万円が預金してあり、亜希子は「二度と捨てないで」と告げた。
亜希子は武晴に自転車をプレゼントし、「ウチでバイトしない?どうせ刈り入れまで、すること無いでしょ」と提案した。武晴「お金、触りますよね」とが困惑していると、彼女は「そんな感じになるなら、いいや。考えといてね」と笑って去った。青葉は通帳の情報を聞き付け、武晴を誘惑して家に上がり込む。武晴は青葉に欲情して襲い掛かるが、「淫行ですよ」と突き飛ばされる。青葉は「また、遊びに来るから」と言い、家を後にした。次の日、武晴は給料を現物支給で貰う形を取り、スーパーあまので働き始めた。
地域の猟友会は伊佐旅館で宴会を開き、青石町の町会議員である青砥は一発も当たらなかった伊吉を馬鹿にする。青砥は合併話を進めたいと考えており、町長に立候補するよう伊吉を焚き付けた。青砥は奈津を口説いて着物に手を入れるが、なかぬっさんが来て肩に触れると「お開きにすっぺ」と口にした。旅館に野菜を届けた武晴は、奈津から宴会の余り物である天ぷらを貰った。奈津の幼い息子である進が来ると、武晴は与三郎に瓜二つだと気付く。彼が戸惑っていると、板前の勝男が「色々あるんだ、田舎だから」と口にした。
翌日、進がスーパーに来て商品を手に取り、武晴に千円札を差し出した。武晴は震えながら紙幣を受け取り、緊張の面持ちでレジに向かう。しかしレジが開いて大量の金が目に入ると、彼は倒れ込んでしまった。武晴が家にいると青葉が現れ、「逃げて、青木が来るから」と言う。誘惑したのは青木に命令されたからで、脅迫に来るのだと話す。しかし青木が来るのは青葉がメールしたからであり、彼女は武晴に襲われた時の様子を撮影していた。
乗り込んで来た青木は、「動画を警察に持って行くか?それとも村にバラ撒くか?」と武晴を脅す。「どちらも同じです」と答えた武晴は、青木に殴られる。なかぬっさんは、その様子を見て「これは厄介なことになるな」と述べた。いさ子は武晴が青木と青葉に連行される様子を目撃し、与三郎に連絡した。青木は武晴を銀行へ連れて行き、100万でもいいから下ろして来いと要求した。しかし銀行に入った武晴は意識を失いそうになり、外へ出た。
与三郎が駆け付けて青木と格闘している間に、青葉は武晴をマイクロバスに押し込んで「東京へ連れてって」と頼んだ。武晴はバスを運転するが、10年以上もペーパードライバーだった。武晴は猫を避けて事故を起こし、バスを横転させてしまった。なかぬっさんは暴行の様子を収めた写真を青木に見せ、動画と交換することを承諾させた。大怪我を負って病院に運ばれた武晴は、なかぬっさんや奈津と温泉に入る夢を見て意識を取り戻した。
退院した武晴は、新しいバスの購入費と立て替えてもらった入院費として、300万円を与三郎に差し出す。すると与三郎は「ふざけんな」と激怒し、武晴を殴り倒す。武晴はバスのネーミングライツ権を買うと説明するが、与三郎の怒りは収まらない。いさ子は武晴が必死になって銀行から金を下ろしたことを説明し、与三郎を何とか説得した。武晴が家に戻ると、青葉の手紙が置いてあった。そこには100万を拝借して村を去ったことが綴られており、彼女と結婚するつもりだった武晴はショックを受けた。
泥酔した武晴は、訪ねて来た与三郎に八つ当たりする。「頼めば何でもやってくれるんでしょ。だったら亜希子さんとドライブさせろ」と武晴が絡むと、与三郎は険しい表情で彼を投げ飛ばした。武晴が「ほでなす号」と名付けたバスの披露式が情報番組で紹介され、彼はリポーターのインタビューを受けた。番組を見たヤクザの多治見は村に赴き、与三郎の家へ腐った荒巻鮭を届けた。彼は「人殺し号」とバスに落書きしたり、スーパーの玉ねぎに何匹ものミミズを這わせたりした。
多治見が自分の前に現れたため、与三郎は「何しに来た?」と詰め寄る。多治見に妻のことで挑発された与三郎は、ライターの火を押し当てる。多治見が「その男、人殺しだぞ」と叫んで逃げると、与三郎は追い掛けて暴行を加えた。かつて多治見は村で女を強姦し、警官だった与三郎は荒巻鮭で多治見を殴り、片脚をグチャグチャに潰していた。多治見が「アンタにカタワにされて4年も懲役食らったんだぞ。奥さんを試させろよ。それでチャラにしてやるよ」と薄笑いを浮かべると、与三郎は息の根を止めようとする。「死んじゃいますよ」と武晴が止めに入ると、我に返った与三郎は「救急車呼んで」と告げて立ち去った。
伊吉は青砥から改めて村長選への考えを訊かれ、「村長選挙に出ます」と宣言した。一方、多治見の嫌がらせは続き、目出し帽でスーパーを襲撃する。武晴はバットで殴り倒され、亜希子は拉致される。武晴から電話を受けた与三郎は、「警察に連絡するのはやめてくれ」と頼んだ。武晴は「俺に任せて下さい」と言い、いそ子と共に亜希子を捜索する。武晴は金が無くなって村に戻った青葉から、自分の家に多治見がいたことを聞く。家に乗り込んだ武晴は、多治見から雑誌をコピーした紙を見せられる。そこには、与三郎が恋人を殺害した容疑を報じる記事が掲載されていた…。

監督・脚本・出演は松尾スズキ、原作は いがらしみきお『かむろば村へ』(小学館ビッグコミックス スペシャル刊)、製作代表は木下直哉&奥村健&長坂まき子&都築伸一郎、エグゼクティブ・プロデューサーは坂本雅司、プロデューサーは武部由実子&中田由佳里、撮影は月永雄太、照明は宮尾康史、録音は古谷正志、編集は上野聡一、美術は岩本浩典、ラインプロデューサーは古賀奏一郎、音楽は佐橋佳幸。
主題歌『ZEROMAN』OKAMOTO'S 作詞:オカモトショウ&松尾スズキ、作曲:オカモトコウキ、編曲:OKAMOTO'S&佐橋佳幸。
出演は松田龍平、阿部サダヲ、松たか子、西田敏行、松尾スズキ、荒川良々、皆川猿時、二階堂ふみ、片桐はいり、中村優子、三谷幸喜、村杉蝉之介、伊勢志摩、オクイシュージ、モロ師岡、宍戸美和公、近藤公園、顔田顔彦、堀田眞三、安竜麗(現・安竜うらら)、田中仁人、飯田孝男、五頭岳夫、木下貴夫、田辺功、菱沼つる子、司容熱子、生来、長谷妙子、星明彦ら。


いがらしみきおの漫画『かむろば村へ』を基にした作品。
原作のファンである『恋の門』『クワイエットルームにようこそ』の松尾スズキが監督と脚本を務め、多治見役で出演している。
武晴を松田龍平、与三郎を阿部サダヲ、亜希子を松たか子、なかぬっさんを西田敏行、青木を荒川良々、青砥を皆川猿時、青葉を二階堂ふみ、いそ子を片桐はいり、奈津を中村優子、伊吉を村杉蝉之介、トキを伊勢志摩、勝男をオクイシュージ、みょんつぁんをモロ師岡が演じている。
トキが「人殺し号」の落書きを隠す時に使うのは「三谷幸喜ディナーショー」のポスターで、三谷幸喜は「特別出演」として出演者表記されている。

序盤で感じるのは、強烈な嫌悪感だ。
武晴は「一銭も使わないで生活する」と宣言しているが、自分の力では何一つとして満足にすることが出来ていない。食事を取るのも、暖を取るのも、田植えをするのも、まるで出来ていない。
それも当たり前で、武晴は「一銭も使わない生活」のための準備を何もしていないのだ。
事前に「どうやったら金を使わずに済むか」という勉強もせず、そのために必要な道具を自作して持ち込んでいるわけでもない。
知識も道具も無い状態なので、ただ口先だけのバカ野郎でしかないのだ。

それでも武晴が一銭も使わない生活を続けることが出来るのは、全て周囲の人々が親切に助けてくれるおかげだ。
夜の冷え込みがあれば、与三郎が火を起こして温かい弁当を与えてくれる。翌朝には火を消してくれるし、朝食も届けてくれる。長靴が無いまま田んぼに入ろうとすると、自分の物を貸してくれる。
田植えを手作業でやるという馬鹿なことを言っていると、みょんつぁんが終わらせてくれる。亜希子は自転車をプレゼントし、バイトも斡旋してくれる。
武晴は何もやっていないのだ。
村人たちの親切に、ただ甘えているだけだ。

「本人は頑張っているけど、不器用だから空回りしたり失敗を繰り返したりする。それを見ていた周囲の人々が、放っておけなくなって手を貸す」という形なら、それを受け入れることは難しくなかったかもしれない。
でも、武晴は全く頑張っていないのだ。
自分の力だけでは絶対に出来ないことを「やる」と宣言しただけで、それを実践するための努力は何も見せないのだ。
なので、そんな同情できない愚か者を周囲の人々が助けてやる内容に、まるで気持ちが乗らないのだ。

そして武晴は、自分の準備が足りなかったとか、甘く考えていたとか、そういうことで反省する様子も見せない。
人々に甘えてばかりの状態に、「これではダメだ」と一念発起して生活を改める様子も無い。
「なにも買わない!なにも売らない!」と書いた紙を用意して「一念発起して今日から」と言っているけど、そんなのは一念発起でも何でもない。
村に到着した時から、それを目指していたはずでしょ。それまでに貼り付けていた「売らない」「買わない」という紙と同様で、「ただ書いただけ」に過ぎない。

武晴は「一銭も使わない」と宣言し、実際に金を使わない生活を送っているが、周囲の人々は彼を助けるために金を使っている。
例えば食事を用意するために、亜希子は食材を買っている。つまり武晴は金を使っていないが、彼が生活するためには間違いなく金が動いているわけで。そもそも彼が村に来た時点で、亜希子からスーパーで買った食材を渡されているわけで。
あと、彼は「お金を使わずに寒さを凌ぐため、ヒートテックを大量に持って来た」と説明しているが、ヒートテックは金が無きゃ買えないでしょうに。
武晴は拝金主義や貨幣制度を否定して「一銭も使わない」と決めたわけではなく、「お金を触るのが怖いから」ってのが理由だ。つまり、自分が触らなければ、どれだけ周囲で金が動こうと平気なわけだ。
そう考えると、「周囲の人々が金を使って武晴を助ける」ってのは、ある意味では理に適っていると言える。
ただ、だからって腑に落ちるわけではないからね。

雑情報が多いってのも、かなり気になる。
なかぬっさんは「怪しく眼球を光らせ、与三郎を武晴の元へ案内する」とか、「青砥の肩に触れると手から光が放出し、青砥が奈津へのセクハラを中止する」とか、不思議な力を持っていることが示される。でも、それは「武晴が一銭も使わずに生活する」という筋とは何の関係も無い。
「武晴が水筒のお茶をこぼしたので与三郎がバスを停めると、老人たちが町に到着したと勘違いして降りてしまう」とか、「伊吉とトキが掴み合いを始めるが、こう着状態が続く」とか、その辺りの「ユルい笑い」を生み出そうとする仕掛けも、やはり「武晴が一銭も使わずに生活する」という筋とは何の関係も無い。
与三郎と進が瓜二つってのも、それに関連して「進がスーパーに来ると、与三郎が慌てて逃げ出す」とか「亜希子は進に笑顔で接するが、持っていた鉛筆を真っ二つに折る」という描写も、やはり「武晴が一銭も使わずに生活する」という筋とは何の関係も無い。
与三郎が青木と格闘する内に我を忘れるとか、武晴が10年以上もペーパードライバーなのでバスを横転させてしまうとか、そういうのも同様だ。
バスに関しては後の展開に繋がるものの、「なんか違うなあ」と感じる。

別にね、「武晴が一銭も使わずに生活する」という筋に全ての要素を関連付けなきゃダメってことではないのよ。そんな厳しい条件を要求したら、コメディーとしての幅が恐ろしいぐらい狭くなってしまうしね。
だから、色んな飾りは持ち込んでいいと思うのよ。
ただ、軸になる部分に笑いとしての肉付けが乏しく、その一方で無関係な地域で笑いを取ろうとする姿勢が見られるので、それは違うんじゃないかと。
そういう形を取られると、笑いの部分が雑情報になってしまうんじゃないかと。

後半に入ると、「多治見が村に来て嫌がらせを繰り返す」という展開が用意されている。
だが、こいつは与三郎と因縁のある人物であり、武晴とは何の関係も無い。そして彼が嫌がらせを繰り返す展開は、武晴の「金を使わない生活」に何の影響も与えない。
前半でチョロっと触れていた青砥の存在や、そそのかされた伊吉が村長選挙に立候補する展開も同様だ。
その2つの要素は、「多治見の罠で与三郎が留置され、武晴が村長選挙に出る」という展開に繋がって行く。
だけど、それも全て含めて、「武晴が一銭も使わずに生活する」という筋書きと上手く結び付いていないのよね。

多治見が村に来ると、「彼と与三郎の因縁」「与三郎の隠された過去」という要素が大きく扱われるのだが、それと武晴は何の関係も無いわけで。
「与三郎の世話になっている」ってことで関わる形は取るけど、明らかに脱線している。
選挙戦も同様で、そんなことより「いかにして武晴が金を使わずに暮らすのか「ってトコを掘り下げた方がいいんじゃないかと。
話が進むに従って、どんどんピントがボヤけていく。
まあ最初から不鮮明ではあるんだけどさ。

武晴が村で初めて役に立つことをするのは、「壊したバスを弁償するため、ネーミングライツ権という形で新しいバスを購入する」という行動を取る時だ。
その際、彼は銀行から金を下ろし、それを使っている。つまり、お金を使うことで、彼は初めて役に立っているのだ。
ただ、武晴は「この村に来て、初めてみんなの役に立ちそうです」と言っているのだが、「お金を使わないと役に立たない。
っていうか、お金を使わないはずなのに使っている」という自覚は全く無いのよね。

そこを認識することで、「お金を避けていたけど、お金が無いと世の中は回らないのだ」と武晴が気付く展開に流れて行くのなら、まだ分からなくもないのよ。
だけど、劇中で「武晴が生活する上で金は動いている」「金を使わなきゃ武晴は何の役にも立たない」ってことを明確に提示しておきながら、「お金を使わずに暮らせる村を作りたいと訴える武晴が村人たちの喝采を浴びる」というトコへ着地するので、「それは違うんじゃないか」と言いたくなるのよ。
演説に集まった人々の前で武晴が札束を燃やすのも、ただ不愉快なだけだし。
その金を使えば助かる人々もいるはずで、それは「金を使わない」んじゃなくて「金を無駄に使っている」としか思えんのよ。

(観賞日:2016年9月13日)

 

*ポンコツ映画愛護協会