『将軍家光の乱心 激突』:1989、日本
5日後に元服の儀式を控え、3代将軍家光の嫡子である竹千代は日光で静養だったが、突然、謎の集団に襲われる。それは家光の送った刺客だった。家光は竹千代が自分に似ていないことが気に入らず、竹千代を殺して次男の徳松に後を継がせようと考えたのだ。
竹千代の護衛を請け負った浪人軍団は刺客を撃退。竹千代は元服の儀式のため、浪人軍団と共に江戸へ向かうが、それはむざむざ殺されに行くようなもの。将軍職をあきらめてどこかに逃げるという選択肢もある。だが竹千代は江戸へ行き、家光と対決することを選択する。
江戸へ向かって旅を続ける竹千代と浪人軍団に対し、家光は次々に刺客を放ってくる。激しい戦闘が続く中、浪人軍団は一人、また一人と傷付き死んでいく。果てして、竹千代は無事に江戸に辿り着くことが出来るのか…。監督は降旗康男、アクション監督は千葉真一、原作&脚本は中島貞夫&松田寛夫、撮影は北坂清、美術は井川徳道&岡田一佳、編集は玉木濬夫、照明は渡辺喜和、音楽は佐藤勝。
主演は緒形拳、共演は千葉真一、長門裕之、松方弘樹、二宮さよ子、京本政樹、丹波哲郎、加納みゆき、胡堅強、織田裕二ら。
いやあ、凄い迫力だ。のっけから飛ばしてくれる。大きな湯船の水を抜くと底の隠し扉から地下の秘密部屋に通じる仕掛けがあったり、紐を引くと屋敷の屋根が爆発する仕掛けがあったり。
面白そうだと感じるのよ。最初はね。いやね、アクションは凄いよ。断崖からの大ジャンプあり、体に火をつけての敵陣への突進あり。カンフーとチャンバラの対決もあるし、馬に乗っての格闘や、鉄の槍を持った刺客との対決も面白い。
さすがに千葉真一がアクション監督をしているだけのことはある。でもね、アクション以外はボロボロなので、差し引きするとマイナスなんだよね。
まず序盤での人物配置が不充分。主人公側と敵側との対決姿勢が明確に描かれていないのも厳しい。ボスである家光は最後に少しだけ登場して終わりだし、ボスの片腕である老中なんて善玉として描かれている。旅の途中で妙にユーモラスなシーンを入れるのは邪魔。竹千代が雪上滑りで遊ぶシーンなんかスローで撮影してどうするんだか。
せっかく盛り上がるはずの集団戦闘の場面でアルフィーの曲が挿入されるのも邪魔。雰囲気をぶち壊している。で、大規模な戦闘ががクライマックスのはずだが、その後も話は続く。
ようやく家光と老中が登場し、竹千代と対面する場面がラストシーン。というか、完全に付け足しだよな、この場面。蛇足もいいトコだよ。最後まで話はヘナヘナのままで終わり。
千葉真一の頑張りを無駄にしてしまった作品。