『サーキットの狼』:1977、日本
1976年、雨の富士スピードウェイで日本初のF1レースが開催された。売り子のバイトをしている風吹裕矢は、仕事そっちのけでレースに見入った。バイクで帰ろうとした彼は車で来ていたローリング族「極道連」の連中に馬鹿にされ、「今に見ていろ」と腹を立てる。彼は目の前にあった車をバイクで飛び越え、猛スピードで走り去った。風吹は売り子だけでなく、矢田部行雄が営む矢田部モータースで整備士の仕事もしていた。しかし2週間も無断欠勤していたので、矢田部から注意される。矢田部は風吹に、ランチァ・ストラトスのチューンナップを今日中に終わらせるよう命じた。
風吹はロータス・ヨーロッパが欲しくて複数の仕事を掛け持ちしており、他にもカースタントの賞金で稼ぎ、ようやく85万円の頭金を手に入れた。風吹は姉のローザと2人暮らしだ。ローザはオート・スナック&ディスコ『ロッサ』を営んでいる。風吹が店を訪れると、姉はカーレーサーをしている恋人の飛鳥ミノルと楽しそうに踊っていた。風吹は飛鳥に歩み寄り、いきなり殴り掛かった。部屋に戻った風吹は、追い掛けて来た姉に寂しさを感じたことを吐露した。
風吹は自分の運転技術に自信を持っており、既に飛鳥も敵ではないと考えていた。彼は頭金を支払ってロータス・ヨーロッパを手に入れ、すぐに公道へ飛び出した。風吹は車を走らせながら、亡くなった両親のことを回想する。父がロータスの技術陣に呼ばれてグランプリに行ったのは、風吹が小学2年生の頃だ。しばらくして、スイスの山で事故に遭った両親が亡くなったという知らせが届いたのだった。
風吹がロータスを走らせていると、カモ扱いしたナチス軍が挑発して来た。風吹は待ってましたとばかりに勝負を受け、一味を圧倒した。その後も風吹は公道レースを続け、勝利の数だけボンネットに星形シールを貼った。ある日、風吹が矢田部モータースで仕事をしていると、BMWに乗った早瀬ミキという女が現れた。一級整備士で、今日からアルバイトさせてもらうことになっているのだと彼女は説明する。生意気な女だと腹を立てる風吹だが、整備の腕は一流だった。
夜、ミキがBMWを走らせていると、ナチス軍が絡んで来た。ミキは冷たくあしらい、車のスピードを上げて去った。彼女が『ロッサ』に入ると、ナチス軍会長の藤河徹が仲間を率いて追い掛けて来た。藤河が強引にミキを連れ出そうとするのを見た風吹は、「悪いな、俺の女なんだ」と割って入った。既に風吹は「ロータスの狼」として有名になっており、藤河はミキを賭けての勝負を持ち掛けた。するとミキは、「面白いじゃない」と乗り気な態度を示した。
明朝の晴海13埠頭、風吹は藤河とゼロヨン競争で勝負することになった。ただしコースには大量の油が撒かれ、普通のゼロヨン競争とは違っていたが、怯まずに戦った風吹は勝利を収めた。風吹が勝利の余韻に浸りながら公道を走っていると、パトカーが追い掛けて来た。軽く撒こうとした風吹だが、沖田という警官のパトカーが先回りして行く手を塞いだ。スピード違反と信号無視で検挙しようとした沖田だが、免許証の名前を見て顔を強張らせた。
沖田に解放された直後、ミキがやって来てロータスに乗り込んだ。風吹は道路に飛び出した息子と助けようとした母親をひきそうになり、慌ててブレーキを掛けた。何とか事故を起こさずに済んだ風吹は、母親のことを思い出した。母親はひき逃げされており、犯人は未だに捕まっていない。当時、パトカーが犯人を目撃したという情報があったのだが、警察署に抗議しても取り合ってもらえなかった。
風吹がミキと海辺でキスを交わしていると、ポルシェ・カレラに乗った男が現れた。ミキは彼に「乗れ」と指示されると、おとなしく従った。男は風吹「お前とは改めて勝負を付けてやる。せいぜい腕を磨いておくんだな」と告げ、ミキを乗せて去った。一方、沖田はレストランで藤河と彼の父である実業家の鉄一郎に会う。鉄一郎が小切手を渡すと、沖田は「アンタに相談を掛けたのはこんなことじゃなかったはず」と言う。
沖田は藤河の傷害致死事件を知りながら黙っており、それと引き換えにスポンサーになるよう鉄一郎に要求していた。会社経営者の鉄一郎だが、数億が必要な話に即答は出来ず、「もう少し待ってくれ」と頼んだ。彼らが会っている様子を、同じ店で食事をしていたポルシェの男が目撃していた。暴走族の「ナチス軍」に包囲された風吹は、「総統が特別に御目通りしてやると言ってる」と告げられる。そこに現れたのは、あのポルシェの男だった。
総統は風吹と同じように、公道レースで勝った数を車に刻み込んでいた。風吹に勝つと、それが40に到達するという。それを知った風吹は、互いの星を賭けての勝負を持ち掛けた。勝てば全ての星を貰い受け、負ければ公道レースから足を洗うという条件で戦おうというのだ。トラックと接触した影響で敗れた風吹だが、素直に負けを認める。しかし総統は「勝負は預かっておこう。お前のマシンがベストで戦える日までな。俺の名は早瀬左近。お前のようなライバルと出会えて嬉しい」と言い、「フェアレディZのマッポに気を付けろ。お前の探している奴に関係があるはずだ」と警告した。
ローザが借金取りから200万円の支払いを求められていると知った風吹は、ロータスをディーラーの飯島に引き取ってもらい、頭金の中から45万円だけ返してもらう。しかし事情を知った飛鳥はロータスを買い戻し、ローザの借金も肩代わりしてくれた。驚く風吹に、飛鳥は余裕の笑みで「店のことは心配いらないよ。今度のヨーロッパグランブリで優勝すれば、たんなり賞金が貰えるんだ」と告げた。
飛鳥は風吹に、「俺も昔は街道レーサーだったが、そこで名を挙げても所詮は野良犬どものボスに過ぎない。男が命を懸けてスピードに挑戦するつもりなら、本物の狼になることだ」と説いた。沖田と勝負した風吹は、「アンタは俺のお袋を引き逃げした犯人を知ってる。教えてくれ」と追及するが、「知らないね」と冷たく言われる。風吹は「人の銭を利用してスピードを買った」と彼を批判した。
風吹は矢田部から、優勝賞金200万円の鈴鹿オールスターレースで一般参加者を募集していることを教えられる。しかし風吹は、「出たいことは出たいけど、大馬力のライバルが相手じゃ、俺のヨーロッパが勝てる可能性は無いですよ」と弱音を吐く。するとミキは、「貴方のヨーロッパにもターボキットを取り付けられるのよ。あれさえ付ければ、互角に戦えるチャンスがあるはずよ」と告げる。矢田部の協力を得てターボキットを装着した風吹は、警官を辞職した沖田もレースに出ることを知る…。監督は山口和彦、原作は池沢さとし(現・池沢早人師) 少年ジャンプ・連載 集英社 刊、脚本は中西隆三&山口和彦、企画は矢部恒&坂上順、撮影は出先哲也、録音は長井修堂、照明は梅谷茂、美術は北川弘、編集は田中修、助監督は深町秀煕、音楽は鈴木宏昌。
主題歌「サーキットの狼」作詞:池沢さとし、作曲:子門真人、編曲:鈴木宏昌、唄:子門真人。
出演は風吹真矢、矢吹二朗(千葉治郎)、山内恵美子、横本メイ、佐藤仁哉、夏木陽介、池沢さとし、倉石功、今井健二、榊ひろみ、藤山浩一、高品正弘(現・高品剛)、町田政則、大蔵晶、伍代守、芦沢道子、岡久子、高橋国光、星野一義、瀬川雅雄、杉浦克彦、長谷見昌弘、中島悟、長坂尚樹、石川茂、宮崎三男、三原利彦、高月忠、沢田浩二、神宮司、大西義弘、山村圭二、小林春成、栗原敏、井上清和、市川清美、細野輝利、加藤公二ら。
池沢さとし(現・池沢早人師)が1975年から1979年に掛けて週刊少年ジャンプで連載していた同名漫画を基にした作品。
『女必殺拳』や『空手バカ一代』の山口和彦が監督を務めている。
風吹を風吹真矢、沖田を矢吹二朗(千葉治郎)、ローザを山内恵美子、ミキを横本メイ、早瀬を佐藤仁哉、矢田部を夏木陽介(特別出演)、飛鳥を倉石功、鉄一郎を今井健二、裕矢の母親を榊ひろみ、借金取りを藤山浩一(藤山浩二)、藤河を高品正弘(現・高品剛)が演じている。
原作者の池沢さとしも風吹の先輩役で1シーンだけ登場し、日産レーシングスクール校長だった辻本征一郎と共に風吹真矢と絡んでいる。製作協力として複数の企業名が表示されるのだが、映画を見ていて悪い意味で存在感が際立っているのがロッテだ。
映画にはプロダクト・プレイスメント(劇中広告)が付き物だが、そのアピールが酷すぎる。
冒頭のF1世界選手権のシーンでは、観客の背後に設置されているロッテガムの看板がデカデカと写し出される。
沖田に行政処分を食らった風吹の車に乗り込んだミキは、まあカッカしないで。クールに行こう」と言い、ロッテのクールミントガムを差し出す。車が売りの映画ということで、スーパーカーが登場する度に「ランチァ ストラトス(イタリア) V型6気筒 DOHC 2418cc ミッドシップ 190馬力 最高速230km/h 5速」「キャデラック・ラサール(アメリカ) 1935年型 8気筒 4067cc 105馬力 最高速90km/h 」といった文字が表示される。
クライマックスとなるオールスターレースでは、車が走って来て情報が表示された後、それを運転する中島悟、瀬川雅雄、高橋国光、長谷見昌弘、星野一義、石川茂、長坂尚樹、三原利彦、杉浦克彦というレーサーの名前も表示される。
だが、彼らにセリフは無い。
「こんな有名レーサーも出演してますよ」というアピールをしたかっただけだ。映画が始まると、まずは子門真人が歌唱だけでなく作曲も担当した主題歌が流れて来る。
カーレースの映画だけに、テンポの速いノリノリな曲なのかと思いきや、ギターがブルージーに泣いている壮大なロッカ・バラードで、いきなり「コレジャナイ感」を強く抱かせる。
ただ、劇中で使用されているBGMは、それほどミスマッチじゃない。それなりに、ちゃんと映画の雰囲気に合わせてある。
クライマックスとなるオールスターレースのシーンにスピード感が無いのはどうかと思うが、それはBGMだけの問題じゃなくて、映像の方でもスピード感が足りないのでね。公道レースの時の方が、よっぽどスピード感があるのよね。原作では、「金持ちのボンボンでもなければ大金を稼ぐ仕事をしているわけでもない風吹が、なぜか高級車であるロータス・ヨーロッパに乗っている」という設定だったと思う。
デタラメな設定だが、当時の読者は受け入れていた。
しかし映画版の風吹は、サーキットの売り子や整備士のバイトでコツコツと稼いでおり、物語が始まった時点では車を所有していない設定になっている。
当時の東映なら、そういうトコに整合性や説得力を持たせていない映画は幾つもあったと思うんだけど、妙に真面目なのね。
ただ、漫画の読者からすると、「そんな風吹は見たくない」という気持ちだったかもしれないが。「車を手に入れるための努力をしている」という部分で妙に真面目な一面を見せている風吹だが、でもバカはバカ。
売り子のバイト中、レースに見入っていて観客から「見えねえよ」と退けるよう怒られると、「バイトがレース見て文句あっか」と逆ギレする。
いや、見てもいいけど、観客の邪魔しちゃダメだろ。
っていうか、良く考えるとバイトがレース見ちゃダメだわ。それより仕事に集中しないと。風吹はバカなだけでなく世間を舐め切ったような奴なのだが、なぜか周囲の連中は優しくて、彼を甘やかす。
例えば矢田部は、風吹が2週間も無断欠勤したのにクビにもせず、「腹の具合がおかしくて」という嘘バレバレな言い訳で「分かった分かった」と許してしまう。
そもそも、なんで2週間も無断欠勤してんだよ。F1レースを見たかったとしても、2週間は要らないだろ。
ロータスを手に入れるために頑張って働いているのなら、無断欠勤でクビにされるリスクを負うのはアホだろ。休みが欲しけりゃ、先に申し出ろよ。オート・スナック&ディスコ『ロッサ』を訪れた風吹は、姉と踊っている飛鳥を見つけると、いきなり憎しみたっぷりにパンチを浴びせる。
何か嫌なことでもされたのか、過去に因縁でもあったのかというと、そういうのは何も無い。
「私があの人と踊っちゃいけないの?」と姉から訊かれた彼は、「急に一人ぼっちになったみたいでさ」と言う。ようするに、シスコンの青臭い嫉妬心だ。
しかし、中学生や高校生じゃあるまいし、すげえガキっぽい奴だな。
で、なぜか飛鳥もローザも、そんな風吹を責めたり怒ったりせず、簡単に許してしまう。
それどころか、飛鳥はニキ・ラウダのポスターまでプレゼントしてくれる。いい人だなあ。自宅にあるロータスのプラモデルが頭に落ちて来ると、風吹は「なんだ、おめえか。いてえじゃねえか」と話し掛ける。まるで少女が人形に話し掛けるかのようだ。
で、本物が展示されている場所へ風吹が行くシーンに切り替わり、「ロータス・ヨーロッパ・スペシャル。イギリスが世界に誇る名車だ」という彼の声が聞こえて来る。
てっきりナレーションによる説明なのかと思ったら、車に試乗した風吹が「見てくれ、レーシングカー並みにエンジンを真ん中に置いたミッドシップ」などと詳しい情報を喋り続ける。
お前さ、誰に向かって説明してるんだよ。風吹がロータスを最初に運転する時、死んだ父と母の写真を1枚ずつ並べて話し掛ける。
で、「お袋、待っててくれ。奴はきっと、このロータスの前に現れるはずだ。その時、俺はそいつを絶対に許さねえ」と心に誓う。
でも、なぜ「ロータス・ヨーロッパを運転していれば必ず犯人が現れる」ということになるのか、その論理がサッパリ分からん。
犯人が高級車を狙う暴走族グループだという情報でも掴んでいるのか。で、そういう情報があったとしても事故はスイスで起きているわけで、日本に犯人がいる可能性は低いと考えるのが普通じゃないかと思っていたんだが、後になって短い回想シーンが入り、どうやら父と母は別に死んでいるらしいってことが分かる。
つまり、スイスの事故で死んだのは父親だけで、母親は日本でひき逃げされて死んだという設定なのね。
そこ、無駄に分かりにくいわ。
父の事故が語られた後、その流れで「お袋、待っててくれ」と言ったら、そりゃあ両親が殺されたと誤解するのは仕方が無いでしょ。母親を殺した犯人ってのは藤河なのだが、これが犯人としては小物感が高すぎる。グラサンで生意気な態度を取っており、無駄に荒々しくて、いかにもチンピラっぽい野郎なのだが、「殺人犯」には似つかわしくない。
犯人を藤河じゃなくて鉄一郎にしておいた方が、腑に落ちるわ。あるいは、藤河が「最初は風吹と反目するが、同じカーキチとして仲良くなっていく」というポジションで、早瀬が犯人という設定の方が合うんじゃないかと思ってしまうぞ。
何しろ、早瀬って「風吹と友情が芽生えて行く」というキャラなんだけど、こいつが仕切っている暴走族はその名も「ナチス軍」で、車には堂々とハーケンクロイツのマークを書いてあるんだぜ。
お揃いのコスチュームを着ているメンバーはハーケンクロイツの腕章を付けているし、早瀬が現れるとナチス式の敬礼をする。
明らかにヤバい連中だろ。風吹は激しいレースを繰り返した上に接触事故まで起こして明らかに商品価値の落ちまくっているロータスを、「頭金全部とは言わないから」と言い、ディーラーの飯島に45万円だけ返してほしいと頼み込む。
どう考えても無茶な要求なのだが、なぜか飯島は優しくて、その頼みを了承する。
っていうか、そもそもローザが200万円の支払いに苦しんでいるのは、借金取りが卑劣な手口で借金を背負わさせたとか、あこぎな利息を増やしたとか、そういう描写は無いんだから、単に経営能力が低いからじゃないのか。
だとすれば、ここで風吹が金を工面したとしても、また同じことが起きる可能性は高いぞ。風吹は沖田に「俺も好きでポリ公になったわけじゃない。貧乏人の倅が気の利いたスポーツカーなんて買えるか?スピードと食うためと、その両方を手に入れるにはな。てめえらみたいな脛っかじりとは違うんだよ」と言われ、「貧乏人の倅はアンタだけじゃない。俺だって親父もお袋もいない。そのロータスを手に入れるために食う物も食わずに金を溜めた。人の銭を利用してスピードを買ったんじゃない」と言う。
まあ確かにロータスを買うためにコツコツと稼いでいたので、間違ったことは言っちゃいない。
ただ、ディーラーに引き取ってもらったロータスを買い戻してくれたのは飛鳥なので、それは「人の銭を利用した」と言えなくもないぞ。風吹はミキがポルシェの男の車で去った時点で、その関係が気になっているはずだ。
ところが、それについてミキに問い質すのは、随分と経過してからだ(そもそも、そのシーン以降、なかなかミキが再登場しないという事情もあるのだが)。
で、彼は「あのポルシェ野郎とどういう関係だよ」と尋ねるのだが、既に風吹はポルシェ男が早瀬左近という名前であることを知っている。つまり、ミキと同じ苗字だ。
だったら「ひょっとして兄弟や親戚?」とか思わないのか。なぜ全く気付かないのか。クライマックスのオールスターレースは、最初はサーキットを走っていたのに、5周を過ぎると「これから山岳コースに入ります」ということで、舞台が公道に切り替わる。
そして山岳コースに入った途端、有名レーサーが運転している(という設定の)高級スーパーカーは、一挙に姿を消す。
つまり、中島悟や高橋国光、星野一義といった実力のあるレーサーたちが、全く優勝戦線に絡まないってことだ。レース終盤、藤河に行く手を遮られた沖田がカッとなって車をぶつけ、事故を起こす。藤河の車は崖下に転落し、炎上してしまう。
藤河がどうなったのかは描かれないが、たぶん死んだってことだろう。
で、沖田は風吹に、母親殺しの犯人が藤河だと教える。でも、既に藤河は死んでいるので、「犯人を知った風吹が仇討ちに燃える」という展開は描写できない。
まあ藤河が仮に生きていたとしても、もう上映時間が残っていないんだけど。まだレース中にも関わらず風吹は車を停めて沖田と話していたので、もちろんレースに優勝できるはずがない。
と思っていたら、シーンが切り替わると、無人のサーキット場で風吹がミキから「優勝おめでとう」と言われている。
おいおい、あれで優勝したのかよ。他に有名なプロレーサーが何人も参加していたのに、そいつらに勝ったのかよ。
どんだけ他のレーサーは情けないんだよ。
あと、「レースに復帰した風吹がトップでゴールする」というシーンを描かないって、どういうセンスだよ。映画のラストは、風吹とミキが無人のサーキットで会話を交わす様子で締め括られる。
ここでミキが事故に巻き込まれた早瀬について「兄さん、車にはしばらく乗れなくなったわ」と言い、「来年は私が兄さんに代わって、 貴方にチャレンジするわ。今日限り、ロータスの狼は私のライバルよ」と唐突なライバル宣言をする。
彼女が車に乗り込むと、風吹はポケットから取り出したクールミントガムを投げる。
それぞれの車に乗り込んだミキと風吹がガムを噛んで、さよならを告げて「完」と来たもんだ。
ロッテのプロダクト・プレイスメントで締め括られるという、誰もが驚愕するオチなのであった。(観賞日:2014年5月8日)