『7月7日、晴れ』:1996、日本

山部健太は仲間の神田絵里子、島岡正道、城戸英一郎、佐藤麻琴と共に、山へキャンプにやって来た。彼が仲間と離れて一人で川釣りをしていと、望月ひなたが現れて「何やってんの?」と話し掛けて来た。釣りをしていることを話すと、ひなたは近くに座り込んで見物する。相手の正体を知らない健太は、着飾っている彼女を見て「何やってんの、そんな格好で」と疑問を口にする。すぐに「ああ、別荘だ」と自分で答えを出した健太を、ひなたはじっと見つめた。
「知らない?」と顔を覗き込む彼女に健太は困惑し、「前にどっかで会ったっけ?」と言う。ひなたが「初めて」と当惑していると、健太は「変な奴だな。友達いないんじゃないの」と告げる。すると、ひなたは「今度、東京でデートしようか」と誘い、健太の掌に電話番号を書いて「連絡して」と口にする。「なんで?」と健太が訊くと、ひなたは「友達いないからよ」と言い、その場を去った。東京に戻った健太は、ひなたの巨大看板を見て驚いた。
パシフィック自動車の車輛事業部で勤務している健太は、同僚の池田公彦が持っている雑誌の表紙をひなたが飾っているのに気付いた。池田はひなたの大ファンで、CDや雑誌などのグッズを集めていた。健太は池田の説明で、ひなたが海外で活躍する大物歌手であること、ライブ以外ではマスコミの前に登場しないこと、日本人ということ以外は謎に包まれていることを知った。健太は部長の大津善三から、宣伝会議へ資料を持って行くよう指示された。会議では、宣伝部長の岸和田聡がRV市場への参入を熱く訴えていた。健太が資料を渡して去った後、岸和田はひなたをイメージキャラクターに起用することを会議で発表した。
健太はひなたに電話を掛け、デートの約束を交わす。待ち合わせの場所に、ひなたはリムジンで現れた。ひなたは映画館や高級レストランを貸し切りにして、健太と2人の時間を過ごす。最初は緊張していた健太だが、デートが終わる頃には気持ちもほぐれていた。ひなたがリムジンで去る際、健太は「今度は俺が誘うよ」と告げた。岸和田はひなたの世界初となるCM出演を実現させるため、マネージャーの三ツ木紘一と会う。しかし三ツ木は「検討させて頂くとは申し上げましたが、お受けすると約束した覚えはありません」と話し、好条件でのオファーを断った。ひなたを送り届けたリムジン運転手の滝本は、三ツ木から「何か変わったことはあったか」と問われて「いえ、別に」と返答した。
7月7日、ひなたは健太と2度目のデートをするが、大勢の人々に気付かれてしまう。健太はひなたの手を取り、慌てて逃げ出した。娘と一緒に出掛けていた岸和田は、2人を目撃した。雨が降り出す中、ひなたは健太に、今日が誕生日であることを告げる。ひなたは「これで星が一杯見えたら文句ないのに。7月7日って、いっつも雨だから」と口にした。「七夕生まれのくせに、星なんか数えるほどしか見たことが無いんだ。一度でいいから天の川が見てみたい」と彼女が言うと、健太は「じゃあ今度、天の川を見に行こう」と告げた。
後日、健太はひなたを仲間たちに紹介し、一緒にキャンプへ出掛ける。夜、健太が天の川を見せると、ひなたは「ありがとう」と頬を緩ませた。仲間たちはテントに入り、ひなたと健太を二人きりにさせた。ひなたが「当たり前の生活を見ずに三倍速で生きてた。頭の上にこんな天の川があることも忘れて、20回も7月7日を通り過ぎちゃったのね」と言うと、健太は「まだ20回だ。7月7日はまたやって来るし、天の川はずっと無くなんないから。そこにあるって信じて空を見上げれば、天の川は必ず見えるはずなんだ」と告げた。
「来年の誕生日は、きっとこの天の川が見える。一緒に見るって約束しよう」と健太が言うと、ひなたは笑顔で「うん」とうなずいた。岸和田は関本社長と松前常務の接待ゴルフに出掛け、RVの宣伝についてプレッシャーを掛けられた。絶対にひなたを起用したい岸和田は、健太を宣伝プロジェクトのメンバーとして引き抜いた。岸和田は12月に新車の発表会を開くことを健太に話し、絶対に成功させるという強い気持ちをぶつけた。健太は発表会の準備で多忙になり、ひなたもツアーの準備で忙しくなった。会えない日々が続くが、その間も2人は電話で頻繁に連絡を取る。新車の発表会が12月15日なので、それが終われば仕事も少し落ち着くことを健太が話すと、ひなたは「じゃあクリスマス前には会えるね」と口にした。
健太は岸和田から、「宣伝部になんか来たくなかったんだ。営業一筋でずっとやって来た。派閥の力学だか何だか知らないが、松前の奴が俺を宣伝に放り込んで失敗するのを待ってる」と聞かされる。岸和田は「だからこそ今度のRVは売ってみせる」と言い、「発表会の当日、望月ひなたを連れて来てくれないか」と健太に頼む込む。「客席の片隅にいたっていいんだ。それだけで盛り上がる」と土下座された健太は、「聞くだけ聞いてみます」と告げた。
ひなたから電話が掛かって来たので、健太は発表会のことを口にする。ひなたは発表会に来る気満々だったが、健太は「来ない方がいいんじゃないかと思ってさ」と告げる。ひなたの「行っちゃいけないって、誰かに言われたの?」という問い掛けに、彼は「そういうことじゃないんだけど」と言う。ひなたが「じゃあ、いいでしょ。健太の仕事も見たいし、久しぶりに会えるし」と話すので、健太は彼女が会場に来ることをOKした。
発表会の当日、健太は岸和田がイベントの最期でひなたにスポットライトを当て、ステージに引っ張り上げるよう部下たちに指示していることを知った。健太は慌てて止めようとするが、スタッフに取り押さえられた。岸和田の目論み通り、司会者に促されたひなたはステージに上がる。だが、未契約のタレントをイベントに使ったことで岸和田は関本に非難され、処分が決まるまで謹慎するよう命じられた。
三ツ木は健太を呼び出し、「貴方に伝えてくれと頼まれました。もう二度と、自分の前に姿を現さないでくれと。これ以上、望月ひなたに付きまとわないで下さい。彼女は貴方に失望したんです」と告げた。後日、三ツ木はひなたに、パシフィック自動車とCM契約を交わすことを話す。彼は「パシフィック自動車は無断で望月ひなたを利用した。いつでも訴えることは出来た。だが、その代わりに10億で計画を持ち掛けた」と説明した。
ひなたが「最初からこうするつもりだったの?」と訊くと、「起きてしまったトラブルを、最も適切に処理しただけだ」と三ツ木は述べた。健太が罪悪感を抱きながら歩いていると、ひなたが現れた。彼女が「知ってるよ、健太があんなことしないって」と言うと、健太は「俺がひなたと付き合ったのは、ひなたのことを利用するためだったんだ」と嘘をつく。ひなたはショックを受けながらも、「私も、ただ貴方のことをからかってみただけ」と強がりを口にした…。

監督は本広克行、脚本は戸田山雅司、制作は村上光一、企画は重村一&久板順一朗、エクゼクティブ・プロデューサーは松下千秋&阿部秀司、プロデューサーは小牧次郎&宮澤徹&堀部徹、ラインプロデューサーは安藤親広、アソシエイトプロデューサーは金子公一&小笠原恵美子&皆川知行&鈴木吉弘&田川龍介&渡辺肇、撮影は袴一喜、照明は平野和義、録音は細井正次、美術は上條安里、ポストプロダクションスーパーバイザー/編集は掛須秀一、音楽監督は中村正人、音楽はドリームズ・カム・トゥルー。
出演は観月ありさ、萩原聖人、伊武雅刀、仲谷昇、西岡徳馬、田中律子、榊原利彦、うじきつよし、taeco(西野妙子)、升毅、きたろう、山本太郎、西村雅彦、大高洋夫、小木茂光、高杉亘、川平慈英、中島陽子、麻生久美子、長野里美、大村彩子、三浦賢二、甲本雅裕、国井修、道又隆成、古都雅浩、宮本大誠、TAKA、鈴木ひろ子、天池勝義、安達桂子、関仁史、野口浩子、藤井典子、本山新之助、山田哲也、内田忠克、河野恵美子、野田薫子、松井まさみ、安本卓史、祐介、ジャズリー・ヘンダーソン、パブロ・タンズ他。


本広克行監督の映画デビュー作。
当時の本広監督は、フジテレビ系列の連続ドラマでセカンドやサード演出を担当していた。まだ1番手のディレクターではなかったわけだから、大抜擢と言えよう。
また、脚本の戸田山雅司も、これが映画デビューとなる。
ひなたを演じる観月ありさは、1991年の『超少女REIKO』となる久々の映画出演。健太を萩原聖人、岸和田を伊武雅刀、関本を仲谷昇、松前を西岡徳馬、絵里子を田中律子、島岡を榊原利彦、城戸をうじきつよし、麻琴をtaeco(西野妙子)、三ツ木を升毅、大津をきたろう、池田を山本太郎、滝本を西村雅彦、松本を小木茂光、レコーディングディレクターを高杉亘、RV発表会の司会者を川平慈英が演じている。

分かりやすく言うと、『ローマの休日』的な話である。「平凡な男と有名な女による、身分違いの恋」ってやつである。
健太が恋する相手は王女様ではないが、世界的なアーティストなので、身分違いってのは確かだ。
ここで問題になるのは、そんな世界的アーティストを観月ありさが演じているってことだ。
どう頑張っても無理があるぞ。
しかも、世界規模で活躍する歌手のはずなのに、劇中で彼女は一度も歌わない。だから「世界的歌手」と言われても、そこに説得力は皆無なのである。

もちろん、観月ありさが歌った場合、「その歌唱力じゃ世界で通用しないぞ」というツッコミが入るのは確実なのだが、それを怖がって歌わせないぐらいなら、最初からキャスティングすべきじゃないし。
っていうかさ、どうしても「世界的歌手」じゃなきゃダメなのか。
この映画で必要なのは「身分違いの恋」という部分なんだから、ヒロインの職業は歌手じゃなくていいでしょ。
観月ありさを起用するのであれば、それこそ人気モデルとか、そういうことでも良かったんじゃないのか。

ひなたと健太の出会いのシーンには、ものすごく無理がある。
まず健太の方は、仲間とキャンプに来たはずなのに、一人で釣りをしている。
彼が仲間と一緒にいるのは、ほんの一瞬だ。だったら仲間の存在って要らないでしょ。最初から一人で釣りに来たことにでもすればいい。
「仲間とキャンプに来た」という設定にしてあるのなら、まずは仲間とキャンプを楽しんでいる様子があって、そこから彼が一人になるような自然な流れを作っておくべきだ。
釣りを始めるにしても、近くに仲間がいないってのは不自然極まりない。

一方、ひなたの方は、ヘリで山へ到着し、そこで撮影をしていたはずなのに、こちらも一人で川へ来ている。
そもそも山奥まで大勢のスタッフが行くのは大変なんじゃないか、そこまでして山奥で撮影している意味ってあんのか、という疑問は置いておくとして、ひなたはスーパースターのはずなのに、簡単に一人で抜け出せているってのは不自然極まりない。
せめて、どうやってマネージャーやスタッフの目を盗んで抜け出したのかを描くべきじゃないかと。

あと、どうでもいいことだけど、健太に同じ趣味を持つ4人の男女の仲間がいて、みんな違う仕事をしていて、健太とひなたの恋の応援をするってのは、『私をスキーに連れてって』を連想させる設定だね。
『私をスキーに〜』はトレンディードラマの先駆けと呼ばれる映画だけど、これもトレンディードラマっぽいし。
『私をスキーに〜』はユーミンの楽曲を多く流し、楽曲が流れている間はPV状態になるという構成だったけど、この映画はドリカムの楽曲を多く使用しており、楽曲が流れるとPV状態になる箇所もあるし。

健太がひなたを知らないってのも、相当に無理があるよ。
東京に戻った彼は巨大看板を見てひなたの正体を知るのだが、看板にデカデカと出ているぐらいのアーティストなんでしょ。そして健太は、東京の大手企業で働いている人間なんでしょ。
それで、今まで看板やポスターの彼女を一度も目にしたことが無かったってのは、ちょっと厳しいぞ。
しかも、会社で向かいの席に座っている同僚がひなたの大ファンで、机の引き出しに彼女のグッズを集めているんだぜ。そういう環境で、ひなたを知らないってのは無理があり過ぎるわ。
全く外に出ないとか、二次元の女にしか興味が無いとか、そういうわけでもないんだし。

ひなたが健太をデートに誘うのも、これまた相当に無理がある。
自分を知らない男がいたことに驚くのも、それで興味を持つのも、それは分からんではない。
しかし、だからって、会ったばかりの相手をデートに誘って電話番号を教えるってのは、尻軽な女にしか見えんぞ。
「言動が突飛で風変わりな女性」ということなのかもしれんが、それ以降の言動からすると、そんなキャラ設定には見えないし。

ひなたが健太に惚れる要素が「自分を知らない初めての相手」という以外に見当たらないのは引っ掛かる。
まずは「自分を知らない相手なので興味を抱く」という程度から始めて、そこから彼の優しさや純粋さを知って好意を抱くようになるとか、そういうステップを全く踏んでいない。
もう最初から、ひなたは健太に好意を寄せているみたいなんだよな。
2人の気持ちが深まっていく恋愛劇が薄っぺらいので、っていうか皆無に等しいので、そう解釈せざるを得ない。

そりゃあ、世の中には「出会った時にビビビと来た」という恋もあるだろうけど、そういうことだとしたら、「一目惚れした」ってのをキッチリとアピールしておくべきだろう。
でも、そういうのも無いし。
っていうか、ひなたが健太に一目惚れしたという設定のようにも見えないし。
単純に、ホントは少しずつ恋心が高まっていく経緯を描くべきなのに、その作業が出来ていないだけにしか思えない。

それと、ひなたって特別扱いのスーパースターであり、事務所はミステリアスな存在として売っているはずなんだけど、そういう「ひなたのスターとしての生活ぶり」ってのが、ちっとも見えて来ないんだよね。
見えて来ないのは当然で、なぜなら描写されていないからだ。
ひなたは山で健太と出会い、彼と街へデートに繰り出し、山へキャンプに出掛ける。その間、「ひなたの普段の生活ぶり」というのは、これっぽっちも描かれていない。
だから、健太とのデートが、どれほど彼女に「普段とは違う、新鮮で自由で解放された時間」を与えているのかってことが、まるで伝わらないのだ。

岸和田が健太を宣伝部に引き抜いたのは、ひなたを宣伝に使いたいからだ。
しかし引き抜いた直後に彼を呼んで2人きりになった時には、ひなたのことは全く口にしない。
だから、健太を上手く騙して彼女を起用する作戦でも用意しているのかと思いきや、「健太もひなたも多忙になりました」という処理があった後、真正面から「ひなたを発表会に連れて来てくれ」と頼み込む。
何の仕掛けも無く、マトモに頼む込むのであれば、もう引き抜いた時点で口に出す形にした方がいい。

岸和田が健太を引き抜いた後、しばらく時間が経ってから頼み込む形にするのなら、「最初は回りくどい方法でひなたと近付くことを目論むが、なかなか上手く行かず、発表会が迫って来たので、土下座して頼む込むことにした」という流れにでもしておいた方がいい。
最初から「土下座で頼む」という方法以外の手を用意していないのなら、その手を出すまでに時間を掛けている意味が無いよ。
あと、そこまでやったのなら、岸和田の作戦は、とりあえずは「成功」で着地しなきゃダメでしょ。
その直後に「未契約のタレントを勝手に使った」ということで非難され、謹慎処分を食らうって、そのストーリー展開は無いわ。

あと、岸和田に土下座で頼まれたからって、「ひなたを会場に連れて来てくれ」という頼みを引き受けちゃう健太は、人としてダメだろ。
ひなたとの電話では「来ない方がいいんじゃないかと思ってさ」と言っており、「彼女が来ることを望んだから」という形にしてあるけど、それは健太を善人に見せるための卑怯な手口だ。
仲間との会話で「彼女を利用しようなんて思ってない」と弁明するような言葉も発しているけど、会場に来ることをOKするってことは、ひなたが宣伝に利用されるのを黙認しているのと同じことでしょ。

ひなたにスポットライトを当ててステージに立たせるってのは岸和田が健太に内緒で仕掛けた作戦であり、それによって「岸和田が悪い、健太は騙された被害者」という風に見せ掛けているけど、それも健太を弁護するための卑怯な手口だよな。
彼は岸和田から、「ひなたが片隅にいるだけでも盛り上がる」とは事前に聞かされている。
つまり、どういう形であれ、宣伝に利用されることを承知で、健太はひなたを会場に呼んでいるわけで。
だから、その時点で罪人なのよ。下手な言い訳を用意したって、そりゃ無意味だ。

終盤、ひなたはラジオ番組に出演し、用意された原稿を読んで「私の目の前には天の川があります。空にではなく、足元に広がるネオンやライトの流れ。都会の天の川は、その夜景です。都会に住んでいる私には、本当の星なんか要りません。なぜなら、ここから見る夜景は本当の星より綺麗だからです」と語る。
だが、途中で耐えられなくなり、「違うよ、本当の天の川は、こんなんじゃない」と言い出す。
そのシーン、「ネオンやライトによる夜景は本当の星より綺麗」とか書いた放送作家も、それをOKしたディレクターも、ボンクラとしか思えないぞ。
そんな言葉で、多くのリスナーから賛同が得られるとでも思ったのか。
ひなたじゃなくても、マトモな感覚の持ち主なら、その原稿には納得できねえと思うぞ。

で、ひなたは「私は本当の天の川を見たの。教えてくれたの、本当に大切な物は、すぐ近くにあるって。星空だって、都会にあるのに。でも、まぶしくて、色んな物が邪魔して見えなくなってるだけだって。それを教えてくれたのに、私は言えなかった」と語り出す。
まるで、ひなたの方が悪いみたいなコメントになっちゃってるけど、そうじゃねえだろ。
2人が別れたのは、明らかに健太の方に非があるからだ。
だから、反省して謝るべきは健太の方なのよ。

その後、ひなたは「お願い、明かりを消して。今付いてる街の明かりを全部消すことが出来たら、きっとこの街からでも本物の天の川を見ることが出来るから」とリスナーに訴える。
すると、街の明かりが全て消えていくのである。
いやいや、そのラジオの聴取率、どんだけあるんだよ。東京都民の全てが番組を聴いていたのかよ。
だとしても、東京タワーや公共施設の明かりまで一気に消えるって、んなアホな。
そこの責任者は、ひなたの訴え掛けをどうやって知ったんだよ。

これが深夜帯の30分枠のドラマであれば、「ボーッとしながら気楽に見ることの出来るユルい番組」として、楽しめたかもしれない。
でも、それをそのまんま映画にしちゃダメだわ。なんでもかんでも映画にすりゃあいいってモンじゃないのよ。
そもそも私は、ちょっと視聴率が良かったからってTVドラマを安易に映画化することに対して否定的な考えを持っているのだが、これは「TVドラマの映画化作品」ということを抜きにしても、映画にすべきモノではないよ。
でもレッドヴィーナスは壊滅していないし、特殊捜査課の面々も子供の姿のままだし、続編を意識していたんだろうなあ。

東京中の全ての明かりが消えることを「奇跡だ」という言葉で表現しているけど、それは奇跡じゃなくて、陳腐な絵空事でしかない。
百万歩、1千万歩、いや1億歩譲って「ヒロインの訴えに応えて東京中の全ての明かりが消える」という展開を「奇跡」と認めるにしても、それを素直に受け入れさせるための土壌が作られていないから、やっぱり無理なモンは無理だ。
それを受け入れさせるには、魔法が必要なのだ。
そのためのファンタジーの魔法が、この映画には全く足りていない。

(観賞日:2013年10月11日)

 

*ポンコツ映画愛護協会