『劇場版ポケットモンスター セレビィ 時を越えた遭遇(であい)』:2001、日本

サトシは最強のポケモンマスターになるため、故郷のマサラタウンを後にして、仲間のカスミやタケシと共に修行の旅を続けている。定期船でホワイトという男に出会ったサトシ達は、多くのポケモンが住む森のことを聞き、そこへ向かうことにした。
ホワイトの故郷の村から森に入ったサトシ達は、気を失って倒れている少年ユキナリを発見する。ユキナリはハンターに追われていた幻のポケモン“セレビィ”を救おうとして、時を超える力に巻き込まれて40年前からタイムスリップしてきたのだった。
サトシ達はユキナリと共に森に戻り、傷付いていたセレビィを発見する。そこへロケット団の最高幹部である仮面のビシャスが現れた。ビシャスはポケモンを邪悪化するダークボールを使って、セレビィを捕まえようとしていたのだ。
逃げ出したサトシ達は村へ戻ろうとするが、再びビシャスが襲って来た。ダークボールに捕獲されて邪悪化したセレビィは、木々を集めた集合体を形成して暴れ始めた。サトシとユキナリは伝説のポケモン“スイクン”の協力を得て、セレビィを救おうとする…。

監督は湯山邦彦、原案は田尻智、脚本は園田英樹、製作は河井常吉&君島達己&富山幹太郎&芳原世彦&宮川鑛一&福田年秀&八木正男、プロデューサーは吉川兆二&松追由香子&盛武源、エクゼクティブプロデューサーは久保雅一&川口孝司、演出は日高政光&越智浩仁&吉村章&井硲清高、キャラクターデザインは一石小百合&松原徳弘&玉川明洋、総作画監督は玉川明洋、アニメーション監修は小田部羊一、撮影監督は白石久男、美術監督は金村勝義、音楽は宮崎慎二、音楽プロデューサーは齋藤裕二。
声の出演は松本梨香、大谷育江、飯塚雅弓、上田祐司、関智一、林原めぐみ、三木眞一郎、犬山犬子、石塚運昇、佐野史郎、藤井隆、鈴木杏、山寺宏一、杉山佳寿子、戸田恵子、小山茉美、田中正彦、こおろぎさとみ、かないみか、冬馬由美、坂口侯一、小西克幸、江川央生、ゆきじ、柚木涼香、河野智之、並木伸一、辻香織、茂木優ら。


人気TVアニメ『ポケットモンスター』の劇場版4作目。
TVシリーズのレギュラー陣に加え、佐野史郎、藤井隆、鈴木杏、山寺宏一の4名が特別出演という形で吹き替えを担当している。ビシャスの声を佐野史郎、ホワイトの声を藤井隆が担当している。

ひょっとしたら、この映画の製作会議において、「興行成績を上げるために、どうすればいいのか」という話し合いがあったのかもしれない。そして、「ヒットしているアニメの真似をすればいいんじゃないですかね」という意見が出たのかもしれない。
日本でヒットしているアニメといえば、何と言っても宮崎駿監督の作品である。
だから、宮崎アニメに近付けばヒットするはずだと、製作サイドが考えたのかもしれない。

というわけで、この映画は「真ん中に湖がある森の中」という舞台からして、宮崎アニメっぽい。
傷付いたセレビィが森の中にある湖の力によって癒されるシーンや、セレビィが作り出した集合体が森の中を移動するシーンに、『風の谷のナウシカ』や『もののけ姫』と類似していると感じる人は多いだろう。スイクンをシシガミと重ね合わせる人も多いだろう。

自然(森)との共生をテーマとして打ち出し、宮崎アニメに近付いたポケモン劇場版が出来上がった。しかし、CGが普通のアニメ部分から浮き上がっているという辺りを見ても、どうやら「絵のクオリティー」という部分では、宮崎アニメに近付けなかったようだ。

セレビィのキャラクターデザインは、個人的には良く出来ているし可愛いと思う。
ただ、そのセレビィとサトシ&ユキナリの関係、サトシとユキナリの友情といったものは、かなり軽い印象を受ける。あと、ムサシやコジロウ達が存在場所を見つけられずにフラフラしている。
彼らを上手く使いこなせないと、作品が締まらないと思うぞ。


第25回スティンカーズ最悪映画賞

ノミネート:【最悪の続編】部門

 

*ポンコツ映画愛護協会