『蔵』:1995、日本

大正8年、新潟の亀田、蔵元の田乃内家に産まれた女の子。当主の意造によって烈と名付けられた彼女は、病弱な意造の妻・賀穂の希望で、賀穂の妹・佐穂が養育係を務めることになった。烈は佐穂を慕い、すくすくと成長していく。
だが大正15年、烈の目に異変が起こった。彼女は夜盲症と診断された。次第に視力を失っていく烈。賀穂は越後三十三か所札所の巡礼に出るが、病に倒れて死亡。周囲は佐穂を意造の後妻に迎えるものと考え、佐穂もそうなることを予想していた。
しかし、意造は若い芸者・せきを後妻に迎えることにする。居場所の無くなった佐穂は故郷に帰ろうとするが、烈に懇願され、田乃内家に残ることになった。やがて烈は成人を迎えるが、その頃には完全に目が見えなくなってしまった。
意造とせきの間には丈一郎という男の子が産まれたが、事故によって死亡。脳卒中で倒れた意造は蔵を閉めようとするが、烈は蔵を自分が開けると決意。蔵への女性立ち入り禁止という古いしきたりが残る中、烈は自らの意思を貫き通すのだった…。

監督は降旗康男、原作は宮尾登美子、脚色は高田宏治、製作は亀岡正人&妹尾啓太&川野知介、製作総指揮は松方弘樹、撮影は森田富士郎、編集は玉木濬夫、録音は伊藤宏一、照明は増田悦章、美術は西岡善信、音楽は服部隆之&さだまさし、音楽プロデューサーは酒井政利&高桑忠男。
出演は浅野ゆう子、一色紗英、松方弘樹、西島秀俊、蟹江敬三、夏川結衣、黒木瞳、加藤治子、朝丘雪路ら。


いやあ、面白くないですな。
音楽だけはやたら壮大だが、それが空回りして余計にスカスカ感を伝えてしまう。話はダラダラ、盛り上がりは無し、無理にエピソードを詰め込みすぎて処理し切れず、人物描写は薄く、エトセトラエトセトラ。

大体、色んなことを描きたいと考えすぎじゃないかな。連続ドラマならともかく、1本の映画で多くのことを描こうとしすぎ。烈の蔵への情熱、恋愛、蔵の熱気、佐穂と意造の関係、エトセトラエトセトラ。
全て描ければ文句は無いけど、どれも半端に終わってる。
蔵元を描く映画としても失敗してるし。

宮沢りえの降板によって烈役に抜擢された一色紗英だが、途中で目が見えない役だということを忘れさせるほどの迷演。たどたどしい台詞回しが映画をさらに沈めていく。
ただ、烈の少女時代を演じた子役も下手だった。あれじゃ感動できませんぜ。

どの演者も、異常に臭い芝居をする。松方弘樹は臭い芝居をする人だからともかくとして、全員が臭い芝居ってのはどういうことなんだろうか。ワザとやらせたのかな。意図した演出なのかな。
なんだか出来損ないの大映ドラマみたいだったぞ。

 

*ポンコツ映画愛護協会