『高校デビュー』:2011、日本

長崎晴菜は中学時代、ずっとソフトボールに明け暮れている日々を送った。彼女は高校に入ったら、恋に全てを捧げると決めていた。だが 、高校生になって半年が経過しても、まだ彼氏は出来ていなかった。そんな晴菜は、その日も忠犬ヌク公の前でナンパ待ちをしていたが、 誰も声を掛けて来ない。アンケート係に声を掛けられた彼女は「ナンパですよね」と言い、怖がられてしまう始末。彼を追い掛けて転倒 した彼女は、靴を飛ばしてしまう。その靴を、通り掛かった二枚目の若者が拾ってくれた。晴菜は「モテそう」と呟いた。
翌日、登校した晴菜は、中学時代からの親友である高橋真巳に彼氏が出来ないことを相談した。真巳に「やっぱり独学じゃ無理なのかも。 晴菜には、どうやったら男受けするか教えてくれるコーチが必要なのよ」と言われ、晴菜は納得する。コーチ役として彼女は、前日に遭遇 した若者のことを思い浮かべた。その時、教室の外を、その男が歩いていくのが見えた。彼は一学年上の先輩・小宮山ヨウだった。
晴菜はヨウを追い掛け、「私をモテる女にしてください」と頼む。ヨウの妹・麻美は、「面白そう。やってあげなよ」と言う。しかしヨウ は冷たく拒み、「女って面倒じゃん。勝手に思い込んで好きとか嫌いとか言うし、すぐ信じらんないとか言うしさ」と吐き捨てた。麻美は 晴菜に「お兄ちゃん、モテるんだけど、色々あって女の子のこと、信じられなくなったのよ。みんな敵だと思ってるの」と語る。
麻美は晴菜を自宅に招き、自分の服を着せてあげた。晴菜はヨウが好きなタコ焼きを土産として持参していた。ヨウはタコ焼き1個分の アドバイスとして、服が合っていないことをクールに指摘した。「恋愛なんて、いいことばっかじゃねえよ」と口にしたヨウに、晴菜は 「辛いこともあると思うけど、一生懸命やってれば後悔しないと思う。だから全力でやってみたい」と述べた。
その夜、麻美は晴菜がソフトボール大会で優勝した時の映像を見た。ヨウが何気無く視線を向けると、インタビューを受けた晴菜が号泣 して「一生懸命頑張れば夢は叶う」と語っていた。翌日、晴菜がヌク公の前で男に声を掛けられようと立っていると、そこにヨウが現れて 「気合いが表に出すぎてて近付けない」と言う。彼はコーチをする条件として、「俺のことを絶対に好きになるな」と要求した。晴菜は 大喜びし、「絶対なんない」と承諾した。
ヨウは晴菜に、「今時、ナンパ待ちで彼氏を作る奴なんていない」と告げた。彼は「アンタに似合うスカートを探す」と言い、洋服店へ 晴菜を連れて行く。だが、どのスカートを着せても似合わないので、ヨウは頭を抱える。彼は晴菜を家へ連れて行き、「基本的に男物の服 が似合うな」と言って、自分の服を着せることにした。晴菜がビーズのブレスを見つけて手に取ると、ヨウは血相を変えて奪い返し、 「それはダメ、捨てるから」と告げた。
晴菜が男物の服に着替えると、ヨウは「確かに似合うけど、これは男受けということとは違うんだ」と言う。そこへ麻美とヨウの友人・ 田村史也、朝丘唯の3人が興味本位で覗きに来た。ヨウは晴菜に似合う服をデッサンするため、席を外した。その間に麻美たちは、「ヨウ は中学時代からモテていた。そのせいでクラスの女子が二分して、争いになったこともあった」という情報を晴菜に教えた。
さらに麻美は、ヨウがバスケ部の頃にマネージャーと付き合っていたこと、彼を好きだった別のマネージャーにバレたこと、その女に「私 がヨウと付き合ってるの」と嘘をつかれた恋人が本気にしてヨウに別れを告げたこと、その恋人が部員に相談したことでヨウは「二股か」 と批判されたこと、シカトされて試合にも負けたこと、恋人からビーズのブレスをプレゼントされていたこと、その一件があってからヨウ が女性不審になっていることを語った。部屋に戻って来たヨウは、晴菜に似合う服のデッサンを渡した。
ヨウは晴菜に、史也とデートをするよう指示した。晴菜から付いて来てほしいと頼まれたヨウは、仕方なく「遠くから見ててやる。それで メールで色々と教える」と告げる。ヨウは携帯のメールで指示を出しながら、2人のデートを見守った。晴菜がマズい行動を取る度に、 ヨウが修正するための指示を送った。史也に「晴菜ちゃんみたいな真っ直ぐな子、俺は好き」と言われた晴菜は、告白されたと思い込んで 浮かれる。「勘違いするな」というヨウからのメールが来ても、無視してしまった。
デートが終わった後、晴菜はヨウに謝ろうと思って家を訪れた。そこで彼女は史也と麻美がキスしている様子を目撃し、慌てて走り去る。 帰宅したヨウは、史也から「俺たち付き合うことになったんだ」と明るく言われる。ヨウは公園で泣いている晴菜の元へ行き、「こういう 時は泣いていいんだ。俺が絶対、いい男見つけてやる」と励ました。晴菜は「次はもっと幸せになれるよう頑張るから」と言い、大声で 叫んで、すぐに立ち直った。
ある日、麻美は晴菜に、「ダブルデートしようよ」と持ち掛けた。そこで史也と麻美、ヨウと晴菜の組み合わせで、ダブルデートをする ことになった。晴菜は麻美の可愛い仕草や言動を真似しようとするが、ことごとくピントがズレてしまう。帰り道、後輩の竹本たちが練習 しているグラウンドを通り掛かった晴菜は隠れようとするが、見つかってしまう。「もうソフトは封印したし、男子受けしないし」と晴菜 が言うと、ヨウは「別に。やってくれば」と告げる。
グラウンドに下りた晴菜は、後輩たちからヨウが彼氏だと勘違いされる。彼女は後輩たちにせがまれ、時間を忘れて練習に付き合った。 そんな晴菜の生き生きした様子を、ヨウはずっと見学していた。戻って来た晴菜に、ヨウは「アンタはそれでいいのかもな。無理しない方 がいいよ。アンタのペースに付き合わされるの、嫌いじゃない男もいるよ」と告げる。嬉しくなった晴菜は、帰宅してから「それって好き になっちゃった?」と自分に問い掛け、すぐに「ダメだ、ヨウはコーチだ」と否定した。
月曜日、晴菜が登校すると、ヨウと付き合っていると思い込んだ女子たちからの嫌がらせが待ち受けていた。教室へ行くと、「放課後、 体育館の倉庫で待つ ヨウ」というメモが机に入っていた。倉庫へ行くと、ヨウも偽の手紙で呼び出されていた。その時、倉庫の扉に鍵が 掛けられ、2人は閉じ込められてしまう。携帯は圏外なので、外部に連絡も出来ない。風邪で具合の悪いヨウのため、晴菜は自分の上着と 毛布を掛けた。1時間が経過し、晴菜が寒がっているのに気付いたヨウは、毛布に入るよう促した。
しばらく毛布に入ってヨウと寄り添っていた晴菜だが、「私がヨウを守る」と立ち上がり、扉に体当たりする。ヨウは「一緒にやるよ」と 言い、一緒に扉へ突っ込む。その時、ちょうど史也や麻美たちが助けに来てくれた。晴菜はソフトボール部時代のライバル・松阪麗央奈が 犯人だと気付き、グラウンドへ走った。そこには麗央奈だけでなく、晴菜がヨウと付き合っていると誤解している女子たちも集結していた 。麗央奈は試合に負けたのでリベンジを誓っていたのに、晴菜がソフトを辞めてヨウと付き合い始めたことに腹を立て、絶対に別れさせて やろうと考えたのだった。
勝負を要求する麗央奈に、晴菜は「私が買ったら、金輪際、私たちに構わないで」と言い、剛速球でレオナのバットを砕いた。晴菜はヨウ から「今日、ありがとね」と礼を言われ、完全にハートを撃ち抜かれた。「でもコーチだから恋をしたはダメ」と、すぐに彼女は自分を 戒めた。晴菜はヨウの前でギクシャクしてしまい、「一緒に帰ろうか」と誘われて逃げ出した。クリスマスまでに彼氏を作るようヨウに 言われるが、どの男子を指名されても「ダメ」と否定した。
そんな中、晴菜はバス停で泣いている女子・栗原まことに遭遇した。まことは「元カレが忘れられなくて。気が付いたら電話なんか しちゃってて。でも、全然出てくれないの。私からサヨナラ言っちゃったけど、気持ち、続いたままで。だから、もう一度、会いたいの」 と語る。それを聞いた晴菜は、「その人の家、行けばいいじゃん。私、付き合ってあげるから」と告げた。帰宅した晴菜は、「人の相談に 付き合ってる場合じゃないのに」と頭を悩ませた。
晴菜は公園でヨウに声を掛けられ、告白しようと決意した。彼女は「好きになっちゃいました」と言うが、ヨウは自分のことだと気付かず 、サラッとした口調で「朝丘だろ。付き合ってみればいいじゃん」と告げる。晴菜は「バカ!ヨウなんかコーチ、クビ」と怒鳴り、泣いて 走り去った。まことが元カレの家へ行くというので、晴菜は付き合うことにした。すると、まことが足を向けたのはヨウの家だった…。

監督は英勉、原作は河原和音(集英社マーガレットコミックス)、脚本は福田雄一、企画・プロデューサーは山田雅子、製作は豊島雅郎& 藤岡修&鳥嶋和彦&山本浩&小崎宏&北川直樹&雨宮俊武&白石泰史&喜多埜裕明、脚本協力は山田エイジ、アート・ディレクターは 小杉幸一、プロダクション・スーパーバイザーは上原英和、撮影は藤本信成、照明は尾崎智治、録音は室薗剛、美術は佐久嶋依里、編集は 宮島竜治、振付は振付稼業air:man、音楽は吉川慶&横山克。
主題歌『フォーリン・ラブ』は7!!(セブン・ウップス)、作詞・作曲:KEITA、編曲:7!!&SHUNSUKE SUZUKI。
出演は溝端淳平、大野いと、菅田将暉、逢沢りな、古川雄輝、宮澤佐江(AKB48)、増田有華(AKB48)、今野浩喜(キングオブ コメディ)、温水洋一、塚地武雅(ドランクドラゴン)、岡本玲、池田依來沙、長友光弘(響)、木本武宏(TKO)、木下隆行(TKO )、デーブ・スペクター、喜多陽子、南羽翔平、アレックス藤岡、岡本紗里、秋月三佳、広村美つ美、上間美緒、小手伸也、 栗城亜衣、才川コージ、小宮有紗、室田晋、橋本わかな、中田晴大、茂呂田絵理、笹山純平、金城李有奈、笹山哲平、佐瀬弥咲、北村友彦 、矢野未来、上田辰也、佐達ももこ、中村太亮、相楽咲花、坂木亮太、田村真莉、深田將之、橘花梨、間嶋柳介、高橋梨奈、四家聡、 若林春花、佐々木秀崇、松口陽香、安川純平、三浦ちはる、松永智、山田知奈、横溝一真、山浦果奈、太田将熙ら。


河原和音の同名漫画を基にした作品。
監督は『ハンサム★スーツ』の英勉。
晴菜を演じる大野いとは雑誌「Seventeen」の専属モデルで、これが女優デビュー作。
ヨウを溝端淳平、史也を菅田将暉、麻美を逢沢りな、朝丘を古川雄輝、真巳を宮澤佐江(AKB48)、麗央奈を 増田有華(AKB48)、アンケート係を今野浩喜(キングオブコメディ)、ヌク公を温水洋一、竹本を池田依來沙が演じている。

「冴えないヒロインがイケてる男によって美しく変身させてもらい、その男と恋人関係になる」という大枠は、ようするにアメリカ映画 『マイ・フェア・レディ』や『プリティ・ウーマン』と同じである。
いつの時代になっても、シンデレラ願望を抱く女子は多いってことだろう。
これは、そんな風に恋愛に対して夢を抱いている女子中高生、あるいは妄想を膨らませている腐女子向けの映画だ。

とにかく本作品を楽しく観賞するためには、「全てを寛容な気持ちで受け入れる」ということが必要になる。
「幾ら少女漫画が原作だからといって、さすがにキャラの動かし方やストーリー展開がデタラメすぎるんじゃないか」などと、疑問を 抱いたり、マジになって怒ったりしてはいけない。
あと、「大野いとの演技は『のだめカンタービレ』の上野樹里を真似しているだけなんじゃないのか」なんてことを感じてしまった人は、 気付かなかったフリをしてあげよう。

ヨウの晴菜に対する「アンタ」という呼び方は違和感しか無いし、終盤に「俺、アンタが好きだ」と言ってもピンと来ないけど、それも 「オラオラ系でSっ気のある男子を大好きな女子」に成り切ってしまえば、きっと受け入れられるはずだ。
浮かれた気分になって、目がハートになって見ていられるはずだ。
体育会系で上下関係にキッチリしているはずの晴菜が、先輩であるヨウを呼び捨てにしてタメ口で喋っているのも違和感が強いが、そこも 受け入れてやろう。

などと、ここまで頑張って擁護しようとしてきたが、やっぱ無理だなあ。
だってワシ、妄想女子じゃなくて妄想男子だし。
だから、この映画を楽しむことは無理。ポンコツ映画にしか感じられない。
そもそも「モテ女になりたい晴菜がヨウにコーチを頼む」という初期設定の段階で無理。
ヨウはモテるかもしれないけど、だからって男受けのコーチになれる素質があるとは限らない。男受けのコーチになるためには、色んな女 と付き合って、どういう女がモテるのか、モテないのかということを判断する目が養われている必要があるはず。

しかしヨウは女嫌いで、女との交際経験はそんなに無いみたいだし、「モテる」ということに対して、そんなに敏感にアンテナを張って いないんでしょ。
だったら、コーチにふさわしいとは思えない。
本当にモテ女になりたかったら、遊びまくってるチャラ男に聞いた方がいいんじゃないのか。
っていうか、モテ女になりたいのに、男にコーチをしてもらうという時点で、どうなのかと思ってしまう。
モテ女になりたいんだったら、コーチ役はモテ女の方がいいんじゃないかと。
でも反対に女が男をモテモテに変身させた漫画『Bバージン』には何の引っ掛かりも感じなかったから、やっぱりディティールの問題なんだろうなあ。

「晴菜がどんなスカートを履いても、店にいる全員がガッカリ」というシーンがあるが、それはスカートが合っていないんじゃなくて、 上着と合ってないだけでしょうに。
それを「晴菜はスカートが全く似合わない」という表現にしているのは無理がある。
麻美たちがヨウの女性不審の原因を語るシーンでは、「そんな程度で女性不審なのかよ、それは、まことが悪いわけじゃなくて、騙した別 のマネージャーが悪いんでしょうに」と呆れてしまう。

ヨウは似合う服をデッサンして晴菜に渡すが、それって何の意味があるのか。
デッサンした服を、ヨウや晴菜が作れるわけでもないでしょ。
で、描いたような服を探しに行くのかというと、そういう展開もないし。さっさと次の「実践デート篇」のステップに写ってしまい、 「晴菜に似合うスカートを探す」というステップは捨てられてしまう。
ひょっとして晴菜が史也とデートしている時の服って、ヨウがデッサンした服という設定だったりするのか。
でも、ダサいと言われていた時の格好と全く変わり映えしていないようにしか見えない。
ダブルデートの時の服装も、やっぱり全く変化していないように見える。

史也とのデートにおける奔放な振る舞いを見ている限り、晴菜が本気で「モテ女になりたい」と思っているようには見えない。
本気でモテ女になりたいと思っている奴が、そこまで好き勝手に行動するはずがないのだ。
「どうやったらモテるだろう、どうやったら相手の男に好かれるだろう」ということを常に考えて行動するはず。
緊張してガチガチになっていたのも、電話でデートの約束をする時と、現場に到着した時だけだ。
晴菜はものすごくリラックスして、がさつに行動している。海岸で子供たちと昆布を持って走り回ったり、ガツガツと飯を食べたりして いる。
雑誌や漫画で、モテ女について色々と勉強していたんじゃなかったのかよ。

「楽しくて、つい忘れてしまう」ということなのかもしれんが、本気でモテ女になりたいのであれば、そんな大事なことを、大事な時に 忘れるようなことは無い。
例えば、「それまではモテ女になりたくて自分を装っていたけど、楽しくて普段の自分が出てしまう。
でも、それを見て相手の男が好きになってくれる」という展開として、「モテ女になることを忘れて振る舞う」というシーンが用意されて いるなら、それはOKだよ。
だけど、そうじゃないからね。

ギャグを入れるのは別にいいけど、麗央奈の仲間として出て来るミツコに扮した長友光弘(響)や、ストリートミュージシャンで出て来る 塚地武雅(ドランクドラゴン)といった芸人の使い方は、外してるなあと感じる。
特に、晴菜が妄想する天使と悪魔役で登場するTKOなんかは、終盤の1シーンだけで済ませちゃダメでしょ。晴菜の妄想で天使と悪魔が 言い合うのであれば、それは1シーンだけじゃなくて、彼女が自宅で考える時は必ず登場するようにしておくべきでしょうに。
なんで終盤になって、そんなのを1シーンだけ急に思い付いたように盛り込むのか。撮影しながら脚本を書いていたわけでもあるまいに。
それを何度かやっていて、終盤の1回だけデーブ・スペクターが出て来て、「お前、誰やねん」という悪魔のツッコミがあれば、デーブが ギャグキャラとして成立するだろう。でも、そのシーンで初めて妄想の天使と悪魔が出て来たのに、さらにデーブが出て来てしまったら、 ただゴチャゴチャしているだけだ。
あと、脇役の面々も、ほとんど活用されていないし。真巳なんて、何のために出て来たのかサッパリ分からない扱いだぞ。

晴菜とまことの遭遇が唐突で不自然すぎるし、そこで晴菜が彼女に協力を申し入れるのも無理を感じる。
それと、「彼の家へ行けばいい、付き合う」と晴菜が言ったのなら、その流れで行くべきで、他のシーンを挟むのは構成として 上手くない。
他のシーンを挟むのなら、「晴菜がまことに遭遇する」→「ヨウに告白するけど誤解され、クビを宣告する」→「晴菜がまことに再び会い 、元カレの家へ付き合おうと言い出す」という構成にすべき。
つまり最初にまことと会った時点で、家へ付いて行く約束をしなければいいのよ。

あと、まことって、他の部員たちに相談しちゃったのは軽率だけど、それを除けば、そんなに悪い女じゃないよね。
むしろ、悪い女に騙された被害者と言ってもいい。
そんで今もヨウは彼女のことを引きずっていて、まこともヨウのことが好きなんだから、「ヨリを戻せばいいじゃん」と思っちゃう。
っていうか正直、ヨウが魅力的な男だとは全く思えなかったんだけど、そこは妄想女子が好きになるタイプなんだろうから、それは しょうがないわな。

ヨウと晴菜がくっついて、話としてはハッピーエンドになっていても、まことのことを考えると、どうにもスッキリしないんだよな。
彼女が不幸せになってるじゃねえか、救いが無いじゃねえか。
「ヨウがまことと会い、ちゃんと話をして、まことが別れを納得する」というシーンがあれば、こっちも納得できるかもしれんけど、 そこは描かれていないのよね。
そこはヨウという男の好感度を上げるためにも、絶対に描写すべきだと思うぞ。
まことが放り出されて、ちゃんと処理されないままで終わってるのはダメでしょ。

(観賞日:2012年1月21日)


第8回(2011年度)蛇いちご賞

・新人賞:大野いと

 

*ポンコツ映画愛護協会