『恋と花火と観覧車』:1997、日本
50才を目前に控えた商社の課長・森原邦彦は、大学生の一人娘・ひとみと暮らしている。彼は8年前に妻を亡くして以来、恋愛とは無縁の日々を送っていた。ある日、彼は取引先で定期入れを落とす。拾ってくれたのは野々村史華という若いOLだった。
史華は定期入れに奥さんの写真が入っているのを見つけ、新婚みたいだと微笑むが、上司から森原の奥さんが8年前に亡くなっていることを知らされ、心を動かされる。一方、森原はひとみによって、強引に結婚情報サービス会社に登録させられる。
その気は無かった森原だが、出会いを求めるパーティーに出席することになった。居心地の悪さを感じる彼に、声を掛けた女性がいた。それは史華だった。彼女も結婚情報サービス会社に登録していたのだ。親子ほども差のある2人だったが、次第に惹かれ合うようになっていく…。監督は砂本量、原作は秋元康、脚本は砂本量&秋元康、企画は秋元康、プロデューサーは室岡信明、撮影は加藤雄大、編集は奥原好幸、録音は井上宗一、照明は岡野敏二、美術は佐々木修、音楽は周防義和、音楽プロデューサーは和田享。
主演は長塚京三、共演は松嶋菜々子、生瀬勝久、深浦加奈子、酒井美紀、樹木希林、佐野重樹、風吹ジュン、横山通代、金田明夫、鶴見辰吾、大杉漣、椎名桔平、峰野勝成、菅田俊、石塚英彦、つるの剛士ら。
オシャレで上品で女性受けしそうなラブ・ロマンスだなあと思った。
そしたら、なるほど、秋元康さんの企画でした。恋愛映画だが、ヒロインである野々村史華に関する描写が少なく、そのために彼女が薄っぺらい女性に感じられてしまう。
保険外交員のオバサンの方が、よっぽどイイ女に見えるのよね。パターンの域を出ないキャラ設定、わざとらしいカメラワークと台詞回し。
それが気になるのは、スムーズに進んでいかないからだ。なぜなら繊細な配慮が必要な種類の映画なのに、カット割りや演出に細かい心配りが感じられず、どうにも荒っぽさがあるからだ。
例えば人物の顔に対する光の当たり具合などは、もっと注意すべきだった。大事な場面でヒロインがキレイに映っていなかったりするのは厳しい。いいところを挙げるとすれば、なんといっても長塚京三の渋い存在感。そして彼に惹かれる保険外交員を演じる深浦加奈子の味のある演技。松嶋菜々子とくっ付くより、この2人がくっ付いた方が絶対に面白いと思うけどね。
しかし、それでは女性受けしないわな。