『仮面ライダー×仮面ライダー ゴースト&ドライブ 超MOVIE大戦ジェネシス』:2015、日本
ロイミュードを撲滅してから3ヶ月後、泊進ノ介は警視庁捜査一課の刑事として仕事をしていた。しかし進ノ介は、どんよりした気持ちを抱えたままだった。一方、街では目に見えない犯人による宝石強盗事件が発生し、野次馬の中にいた月村アカリと御成は眼魔の仕業だと確信する。そこへタケルが駆け付け、仮面ライダーゴーストに変身して眼魔を倒そうとする。すると眼魔は「俺、争い事は嫌いやねん。盗み専門やから」と言い、タケルの隙を見て逃亡した。
詩島霧子は進ノ介を見つけると、警視庁の理事官となった本願寺純の元へ連れて行く。本願寺は進ノ介に、極秘捜査を指示されたことを明かした。霧子は街で頻発している超常現象について進ノ介に説明し、どの現場でもアカリと御成が目撃されていることを告げる。捜査協力を要請された進ノ介は、霧子と共に大天空寺へ赴いた。アカリと御成が事情を説明していると、眼魔がムサシ眼魂を盗んで逃走する。タケルはゴーストに変身し、眼魔と戦い始めた。
進ノ介と霧子には眼魔が見えないため、ゴーストの行動は奇妙にしか思えなかった。そこへ詩島剛が現れ、ハーレー博士に頼んで作ってもらったというマッハドライバー炎とシフトデッドヒートを進ノ介に渡した。剛はマッハに変身し、ゴーストが破壊行為を繰り返す悪人だと誤解して襲い掛かる。続いて深海マコトが現れ、スペクターに変身してゴーストに加勢する。進ノ介はマッハドライバー炎とシフトデッドヒートでデッドヒートドライブに変身し、マッハと共闘する。
アカリが不知火を放射したことで、進ノ介たちも眼魔が見えるようになった。4人のライダーは眼魔を退治し、タケルはムサシ眼魂を取り戻した。進ノ介たちはタケルから詳しい事情を聞き、協力することにした。その直後、寺にワームホールが出現し、タケルと進ノ介は吸い込まれて姿を消した。2人が意識を取り戻すと、そこは10年前の大天空寺だった。進ノ介は庭に落ちていたベルトさんを発見し、タケルは薪を割っている父の天空寺龍を目撃した。
タケルは父に声を掛けようとするが、進ノ介が「名乗り出たって驚かせるだけだ。しばらく様子を見よう」と言う。しかし龍に気付かれてしまったため、進ノ介は「ゴーストハンターになりたくて。修行しに来ました。弟子にして下さい」と咄嗟に嘘をついた。龍がタケルと進ノ介に厳しい修行を要求していると、8歳のタケルと9歳のアカリがやって来た。2人が遊びに出掛けると、龍は「ここまでとする」とタケルたちに告げて立ち去った。
チビタケルとチビアカリはレオナルド・ダ・ヴィンチ展が開催されている市立美術館へ行くが、その日は休みだった。しかしチビアカリはチビタケルを誘い、勝手に美術館へ忍び込んだ。チビアカリはダ・ヴィンチについて熱く語るが、チビタケルは全く興味を示さなかった。そこへ眼魔が現れ、警備員に化けてチビアカリを連れ去ろうとする。そこへ龍が立ちはだかり、チビアカリを奪還する。龍が眼魔と戦っていると、タケルと進ノ介が駆け付けた。眼魔はラファエロ眼魔に変身し、龍を圧倒した。
タケルと進ノ介はライダーに変身し、ラファエロ眼魔に襲い掛かる。龍が止めを刺し、タケルはラファエロ眼魂を手に入れた。2人が仮面ライダーだと知った龍は、「頼もしい弟子を持ったもんだ」と笑顔を見せた。一方、現在の大天空寺。霧子たちは沢神りんなを呼び寄せ、ワームホールを作って欲しいと要請する。しかしブレン、メディック、ハート、大量のロイミュードが一気に復活したため、スペクターとマッハは戦いを挑む。
タケルはチビタケルと入浴し、父を「ゴーストハンターなんて時代遅れ」と切り捨てる彼に激しく反論した。タケルはマコトから連絡を受けてカレンダーに目をやり、その日が2005年12月19日だと知った。霧子は進ノ介に、バタフライ・エフェクトによってロイミュードが復活したことを教えた。アカリからワームホールの完成を急いでいることを聞かされたタケルは、「俺は残る。まだやらなきゃいけないことがあるんだ」と告げた。
翌朝、タケルは進ノ介に、「今日なんです。父さんが殺された日」と告げる。さらに彼は、「父さんの命を奪った眼魔を倒せば、父さんは死なずに済むかもしれません。でももう一つ、大切なことが」と言う。そこへチビタケルが現れ、「父さんがいなくなった」と話す。龍はチビアカリを拉致したミケランジェロ眼魔を追い掛け、林に入っていた。タケルと進ノ介が駆け付けると、龍は傷を負って倒れていた。彼は眼魔を倒してミケランジェロの眼魂を入手したものの、チビアカリは連れ去られていた。
寺へ戻った龍は、眼魔の狙いがチビアカリだったことを話す。チビアカリがダ・ヴィンチに憧れていたため、眼魔は彼女の思いを利用してアイコンを召喚しようと企んでいるのだ。チビタケルが父にチビアカリを助けるよう要求すると、タケルは「アカリは大切な友達だろ。だったら、どうして自分で助けようとしないんだ」と説教する。チビタケルが泣き出すと、彼は「泣くな。男なら自分を信じて立て」と告げた。するとチビタケルは、「俺、アカリを助ける」と強い決意を口にした。
龍はチビタケルに『世界偉人録』の本と刀を渡し、「知恵と力だ。この2つが、必ずお前を守ってくれる」と告げた。一方、現在。マコトと剛はロイミュードのアジトを見つけて乗り込もうとしていると、チェイスが現れて「俺も入れてもらおう」と言う。そこへロイミュードの幹部たちが来たので、3人は仮面ライダーに変身した。するとダヴィンチ眼魔が現れ、「ここは私が引き受けよう」とロイミュードに告げた。すると本願寺が駆け付け、「ならばこちらも、私が引き受けましょう」と口にする。
本願寺は止めようとする追田現八郎を振り切って仮面ライダー純に変身するが、ダヴィンチ眼魔に瞬殺された。マコトたちは寺へ戻り、本願寺の葬儀を執り行う。しかし本願寺は目を覚まし、夢の中で仙人に会って現世へ戻されたことを話した。タケルはアカリに電話を掛け、眼魔にさらわれた場所を思い出すよう頼む。しかしアカリは拉致されたことさえ覚えておらず、「記憶にロックが掛かっているのかもしれない」と進ノ介は推測する。
アカリはタケルに、ダヴィンチの眼魂を持った眼魔が現れたことを教えた。進ノ介は龍とチビタケルに、自分たちが10年後の未来から来たことを告白する。タケルは『世界偉人録』で三大偉人について知り、ミケランジェロとラファエロの眼魂を利用すればダヴィンチ眼魔を倒せると考える。進ノ介は2つのアイコンを缶に入れて隠し、10年後の霧子たちに見つけてもらう方法を思い付いた。タケルたちは裏口の煉瓦を掘り、缶を埋める。すると進ノ介は「もう考えるのはやめた」と呟き、指輪を入れた箱も埋めた。
霧子がアイコンを掘り返すと、進ノ介はマコトに渡すよう指示した。「もう1つは、お前にだ」と言われた霧子は、指輪を見て「バカ」と嬉しそうに呟いた。アカリはりんねの装置で「大きなステンドグラス」という記憶を取り戻し、チビタケルはシラクラ大聖堂だと悟った。タケル、進ノ介、龍、チビタケルは、バイクと車で大聖堂へ向かう。スペクター、マッハ、チェイスは改めてロイミュードのアジトへ乗り込み、戦いを挑む。ダヴィンチ眼魔がロイミュードの幹部たちと共に現れたので、スペクターとマッハは2つの眼魂を取り出した。しかし彼らが眼魂を使おうとしても、何も起こらなかった。
ダヴィンチ眼魔はスペクターたちを圧倒し、2つの眼魂を手に入れた。スペクターとマッハに質問したチェイサーは、偉人に関する知識が無かったためにシンクロしなかったのだと悟った。タケルたちは廃墟となっている大聖堂に足を踏み入れ、奥へと進む。するとチビアカリが磔にされており、口からダヴィンチ眼魔が放出された。ダヴィンチ眼魔が大量の眼魔を出現させると、龍は「ここは任せろ」と告げる。チビタケルがチビアカリを解放すると、龍は2人を守って脱出させる。
タケルと進ノ介は仮面ライダーに変身し、ダヴィンチ眼魔に戦いを挑む。2人がダヴィンチ眼魔を倒すと、現代の日本ではダヴィンチ眼魔とロイミュードの幹部たちが消滅した。チェイサーは状況を理解し、剛に別れを告げて消滅した。変身を解いたタケルと進ノ介の元へ、龍とチビタケルが戻って来た。チビタケルはダヴィンチ眼魂を取りに行くが、危険を感じた龍が慌てて制止した。彼はチビタケルの盾となり、復活したダヴィンチ眼魔の攻撃を受けた。
死を装っていたダヴィンチ眼魔は、激怒するタケルたちの前から姿を消した。龍はチビタケルに、「英雄の心を学び、心の目を開くんだ。お前ならきっと出来る」と告げる。彼はタケルの正体に気付いており、「お前を呼んだのは私だ。お前の役目は終わった」と言う。彼は出現したワームホールで戻るよう指示し、泣き出すタケルに「命を未来に繋げてくれ」と言う。進ノ介はタケルを強引にワームホールへ引き込み、息を引き取った龍とチビタケルを残して現代へ戻った…。監督は金田治(ジャパンアクションエンタープライズ)、アクション監督は宮崎剛&石垣広文(ジャパンアクションエンタープライズ)、特撮監督は佛田洋(特撮研究所)、原作は石ノ森章太郎、脚本は林誠人、製作は鈴木武幸(東映)&平城隆司(テレビ朝日)&間宮登良松(東映ビデオ)&高木智悌(アサツー ディ・ケイ)&木下直哉(木下グループ)&垰義孝(バンダイ)、企画は白倉伸一郎(東映)&林雄一郎(テレビ朝日)&加藤和夫(東映ビデオ)&波多野淳一(アサツー・ディ・ケイ)&小助川典子(木下グループ)&小野口征(バンダイ)、スーパーバイザーは小野寺章(石森プロ)、エグゼクティブプロデューサーは佐々木基(テレビ朝日)、プロデューサーは高橋一浩&大森敬仁&望月卓(東映)&菅野あゆみ(テレビ朝日)、撮影は倉田幸治、照明は斗沢秀、美術は大嶋修一、録音は堀江二郎、編集は須永弘志、整音は曽我薫、クリーチャーデザインは島本和彦とビッグバンプロジェクト&竹谷隆之、キャラクターデザインは田嶋秀樹&伊津野妙子(石森プロ)&小林大祐(PLEX)、音楽は坂部剛&鳴瀬シュウヘイ&中川幸太郎。
主題歌『はじまりの日』作詞・作曲:1 FINGER、作曲・編曲:守尾崇、歌:1 FINGER。
挿入歌『我ら思う、故に我ら在り』作詞・作曲:綾小路翔、編曲:木内健、歌:氣志團。
出演は西銘駿、竹内涼真、山本涼介、上遠野太洸、稲葉友、大沢ひかる、内田理央、柳喬之、片岡鶴太郎、竹中直人、西村和彦、吉井怜、浜野謙太、井俣太良、溝口琢矢、勧修寺玲旺、山田日向、吉岡千波、松島庄汰、馬場ふみか、蕨野友也、磯村勇斗、森下能幸、加藤泰平(テレビ朝日アナウンサー)、藤岡大樹、高岩成二、渡辺淳、永徳、今井靖彦ら。
声の出演はケンドーコバヤシ、クリス・ペプラー、悠木碧、高戸靖広、じろう(シソンヌ)、長谷川忍(シソンヌ)ら。
その時に放送されている仮面ライダーと、前作の仮面ライダーが競演するクロスオーバー作品『MOVIE大戦』シリーズの第7作。
今回は『仮面ライダーゴースト』と『仮面ライダードライブ』の劇場版になる。
『ゴースト』からはタケル役の西銘駿、マコト役の山本涼介、アカリ役の大沢ひかる、御成役の柳喬之、仙人役の竹中直人、龍役の西村和彦、アラン役の磯村勇斗、西園寺役の森下能幸らが出演。
『ドライブ』からは進ノ介役の竹内涼真、チェイス役の上遠野太洸、剛役の稲葉友、霧子役の内田理央、本願寺役の片岡鶴太郎、りんな役の吉井怜、西城役の浜野謙太、追田役の井俣太良らが出演。
ダヴィンチ眼魔の声をケンドーコバヤシ、ラファエロ眼魔をじろう(シソンヌ)、ミケランジェロ眼魔を長谷川忍(シソンヌ)が担当している。今までの『MOVIE大戦』シリーズは、それぞれのライダーの物語を描くパートがあり、最後の「MOVIE大戦」パートで共闘する構成になっていた。しかし今回はシリーズで初めて、1本の大きなストーリーとして構成されている。
新しい試みは、それだけに留まらない。今までのシリーズは監督も脚本も、ライダー作品に慣れた人を起用してきた。
このシリーズはスケジュールが厳しいので、その世界観や作風に慣れ親しんでいる人の方が何かと都合がいいのだ。しかし今回は、監督こそ御馴染みの金田治だが、脚本には『ストロベリーナイト』『無花果の森』の林誠人を起用している。
彼がライダー作品に携わるのは、これが初めてだ。今まで一度もライダーシリーズに携わったことのない脚本家を起用するのは、決して悪いことではない。ずっと続けているとマンネリに陥るリスクがあるので、新鮮味や変化を出すための工夫を講じるのは賛同できる。
ただし問題は、ライダーシリーズを全く知らない人物に脚本を任せるための状況が全く整っていなかったということだ。
林誠人が打ち合わせに入った段階では、まだ『ドライブ』終盤の脚本も決まっていなければ、『ゴースト』の内容も定まっていない状態だった。脚本を執筆している段階や撮影に入った段階でも、『ゴースト』に関しては現在進行形で製作が進められている状態だった。
そんな状態なのに、ライダー作品の新参者に脚本を任せるってのは、正気の沙汰とは思えない。
新しい人に仕事を頼むなら、それなりの環境を整えてあげなきゃダメでしょ。このシリーズに限らず、東映の特撮ヒーロー映画はスケジュールがメチャクチャで、ゲスト出演者へのオファーも撮影直前という状態だ。
1年に劇場版とTVシリーズの両方を作らなきゃいけないし、スケジュールが厳しくなる止むを得ない事情はあるんだろう。
なので、このシリーズに質の高さが期待できないのは、今に始まったことではない。これまでの作品だって、お世辞にも出来が良いとは言えないモノばかりだ。
ただ、そんな中でも、これはダントツでドイヒーな仕上がりになっている。
そうなってしまった最大の要因は、前述したように「新参者の脚本家を招聘しておいて、そのために環境が全く整っていない」ってことだ。そもそも、「なぜタイムスリップが起きたのか」ということからして、良く分からない。
もちろん「ワームホールに吸い込まれたから」ってことは分かるけど、「なぜワームホールが出現し、タケルと進ノ介をタイムスリップさせたのか」ってのが分からないのよ。
龍が死ぬ間際に「お前を呼んだのは私だ」と言うけど、「どういうこと?」と訊きたくなる。そこの詳しい事情は、何も教えてくれないんだよね。
そもそも、龍にワームホールを出現させる能力や装置なんて無いはずだし。序盤、タケルがゴーストに変身して眼魔と戦い始めると、進ノ介と霧子には「仮面ライダーが一人で暴れている」と見える。
だけど、眼魔だけじゃなくゴーストだって普通の人には見えないはずなのに、どういうことか分からない。
そこへ剛が現れ、ハーレー博士に頼んで作ってもらったというマッハドライバー炎とシフトデッドヒートを進ノ介に渡す。
だけどロイミュードは全滅したんだから、そんな物を作る必要は全く無いはずだ。
おまけにマッハドライバー炎の出番は、そのシーンだけで終わってしまう。タケルと進ノ介が2005年の大天空寺へタイムスリップすると、庭にベルトさんが落ちている。だけど、そこにベルトさんが落ちている理由は全く分からない。
ともかく、それは進ノ介にとって久しぶりの再会であり、そこから「進ノ介とベルトさんの絆を描くドラマ」を描いていくのかと思いきや、そんなのは何も無い。タケルに関わるのドラマに重点が置かれているため、進ノ介のドラマは皆無に等しい。
彼には「霧子に求婚しようか悩んでいる」という設定もあるが、こちらも雑に片付けられている。
っていうか、「プロポーズで悩んでいるから事件が起きても全く気持ちが入らない」って、それは進ノ介のキャラを破綻させてねえか。ロイミュードとチェイスが復活した理由については、詩子が「バタフライ・エフェクトが起きた」と説明している。
だけど、そんなの説明とは呼べないだろ。ぶっちゃけ、「何でも有り」と言っているのと同じだぞ。
タイム・スリップの要素を使う時にはタイム・パラドックスの問題が必ず付きまとうんだけど、ちゃんと整合性を持たせようとか、それっぽい理屈を用意しようとか、そういう気が全く無いのね。
全てを御都合主義だけで片付けようとしている。ロイミュードは復活したなら復活したで、それなりの目的を持って行動するべきだろう。
ところがロイミュードたちは、何がしたいのかサッパリ分からない動きを見せる。街で暴れるわけでもなく、何かを手に入れようとするわけでもなく、ただ仮面ライダーと戦うだけ。
なぜかアジトに戻っているが、その理由も良く分からない。
チェイスにしても同様で、復活してスペクター&マッハと共闘しているけど、何のために登場したのか分からない扱いだ。なので彼が消滅しても、心に響くモノは何も無い。
っていうかスペクター&マッハにしても、敵と戦うシーンはあるけど、「敵を退治する」という手順は無いのよね。何しろ戦っている途中で敵が消滅しちゃうので。大量のロイミュードが一気に復活したため、スペクターとマッハは戦いを挑む。そこでカットが切り替わり、また過去のパートに移る。
なので、スペクター&マッハの戦いはどういう結果になったのかと思っていたら、また現代パートに戻るとマコトと剛は大天空寺にいる。
いやいや、あれだけ大勢のロイミュードを相手に戦いを挑んだのに、なんで普通に戻っているんだよ。戦いに勝ったわけじゃないから、途中で退散したのか。だとしても、そう簡単には逃げられないだろ。
そこの経緯がサッパリ分からんぞ。ロイミュードのアジトで戦うシーンにも、同様の不可解な現象が見られる。
仮面ライダー純に変身した本願寺がダヴィンチ眼魔に瞬殺され、カットが切り替わると大天空寺で葬儀が執り行われているのだ。
いやいや、おかしいだろ。なんでアジトでの戦いが続いていないんだよ。
ダヴィンチ眼魔やロイミュード幹部は、マコトたちを見逃したのかよ。見逃さなかったとしたら、隙を見て脱出に成功したのかよ。
その経緯がサッパリ分からんぞ。チビタケルが龍に連れ去られたアカリを助けるよう求めると、タケルは「お前はそうやって、いつも人に頼むのか。自分で何もやろうとしないで、いつも誰かを頼るのか。アカリは大切な友達だろ。だったら、どうして自分で助けようとしないんだ」と説教する。
だけどさ、チビタケルはまだガキだし、何か特別な能力を持っているわけでもないんだぜ。
そんな奴に「眼魔と戦ってチビアカリを奪還する」という仕事を強いるのは、無理があるだろ。
龍は刀を渡し、それをタケルと進ノ介は笑顔で見守るけど、それでホントにいいのか。ある意味、幼児虐待じゃねえのか。大聖堂で敵が出現すると、龍はタケルと進ノ介に「ここは任せろ。お前たちはダヴィンチを」と指示する。
だけど、目の前に大勢の眼魔がいるんだから、そいつらをスルーして他の行動を取るなんて絶対に無理でしょ。
実際、タケルと進ノ介は眼魔と戦うこととで精一杯になり、ダヴィンチ眼魔の元まで辿り着けていないし。
彼らがダヴィンチ眼魔と戦うのは、龍がチビタケルとチビアカリを連れてその場を去った後だ。なので龍の指示は、何の意味も無い。今回のラスボスはダヴィンチ眼魔なのだが、ロイミュード幹部が彼に協力している理由はサッパリ分からない。
そもそも、ダヴィンチ眼魔の目的からして良く分からない。
彼は2005年の段階でチビアカリを拉致し、ダヴィンチ眼魂を手に入れている。だが、そこから10年間は、ずっと姿を消していることになる。それは何のための潜伏期間なのかと。
「タケルが眼魂を集め出すのを待っていた」と説明するけど(15個の眼魂を一気に入手しようとしたってことだ)、そのためだけに10年も待つって、どんだけ我慢強いんだよ。10年もあるんだから、その時間を利用して眼魂を1つずつ生成すればいいだろ。
っていうか2005年にタイムスリップしたタケルと会っているんだから、戦って眼魂を奪えばいいだろ。
行動がデタラメすぎるわ。そんなダヴィンチ眼魔と戦うタケルの方も、これまた行動がデタラメだ。
彼は進ノ介に、「父さんの命を奪った眼魔を倒せば、父さんは死なずに済むかもしれません」と言っている。つまり父の死を阻止するってのが、彼にとって大きな目的のはずだ。
ところがチビアカリを救うために大聖堂へ向かう時、そこに敵がいることは明らかなのに、タケルは父が同行することに全く反対しない。
そして戦いが勃発した後も、父を守ろうとはしていない。
言葉と行動が全く合致してねえぞ。(観賞日:2017年5月7日)