『仮面学園』:2000、日本

川村有季と芦原貢は、私立光陽館高校に通う高校2年生。ある日、2人の元に、中学時代に同級生だった殿村秀治からのメールが届く。それは仮面パーティの招待状であった。中学時代、それは内気で友人が1人もいなかったが、招待状はクラスメイト全員に送られてきたらしい。
光陽館高校では、イジメが原因で登校拒否を続けていた段田徹が登校してきた。彼は不気味な仮面で顔を隠し、以前とは全く違う堂々とした態度で姿を現した。段田は殿村から仮面のことを教えてもらったらしい。その日を境にして、学校では仮面を着ける生徒が次々と現れるようになった。
有季と貢は、仮面パーティの会場に向かい、中学時代とは別人のようになった殿村と出会う。パーティの異様な雰囲気から逃げるようにして外へ出た有季は、何かに誘われるように仮面工房へと辿り着く。そこには仮面を作っている堂島暁という少年がいた。
仮面を着ける現象は光陽館高校だけに留まらず、社会現象へと発展していった。そして世間では仮面ファッションモデル・HIROKOが注目を浴びるようになる。そんな中、殿村が死体で発見された。不審を抱いた有季は、週刊誌記者をしている親戚・矢場の協力を得て、事件を調べ始める…。

監督は小松隆志、原作は宗田理、脚本は橋本裕志、プロデューサーは柘植靖司&石矢博、エクゼクティブプロデューサーは原正人、撮影は高橋比呂志、編集は足立浩、録音は武進、照明は赤津淳一、美術は内田哲也、音楽は真魚[ma−o]、音楽プロデューサーは浅沼一郎&安井輝。
主演は藤原竜也、共演は黒須麻耶、渡辺いっけい、石垣佑磨、栗山千明、小野麻亜矢、茂森あゆみ、麿赤兒、大杉漣、鈴木ヒロミツ、本田博太郎ら。


仮面を着けて自分を変えるとか、それによって武装するとか、あるいは匿名性の恐ろしさを描き出すとか、まあ言いたいことは良く分かる。
しかし、やっぱりこれは「いかにも角川書店とホリプロが製作に携わっている」と思わせる、藤原竜也の主演を売りにしたアイドル映画なのである。

何しろ、実際に仮面を着けた連中がゾロゾロ出てくるという光景を映像で見てしまうと、どうしてもバカっぽい印象を受けるのよね。
みんな同じタイプの仮面を着けてるのもマヌケだし。
同じ仮面ということで怖さを出そうとしているのかもしれないが、あのタイプの仮面は重いだろうし、他に様々な種類の仮面があって然るべきだと思うんだけどね。

仮面ファッションショーのシーンなんかは、ますますマヌケ。
モデルの連中は仮面を着けているし、観客席にいる連中も仮面を着けている。
さらには、スタッフまでが仮面を着けている。
前が見えにくいから、作業が難しいだろうと思うんだけど。
せめて、もう少し視界の広い仮面にすればいいのにね。

多くの若者達が仮面を着けて学校に行ったり町を歩いたりするという設定の段階で、それが映像になると、相当にバカっぽいテイストが漂ってくる。
だが、どうやらマジな作品として撮っているらしい。
「いつになったら特撮ヒーローが出てくるんだろうなあ」などと思ってしまった私は、たぶん相当に失礼な男なんだろう。

本当は事件の真相がどうなっているのかを気にするべきなんだろうけど、仮面だらけの光景がマヌケなので、「事件なんてどうでもいいや」という気持ちになってしまう。
どうせ謎解きの伏線は無いし、終盤になれば藤原竜也が土曜ワイド劇場みたいに真相をベラベラ喋って説明してくれるしね。

たぶん、本来は入り組んだストーリー展開で引っ張っていきたい作品なんだろう。
だけど、実際には物語よりも、不条理な(もしくは滑稽な)世界観とヴィジュアルで勝負するような(せざるを得ないような)作品になっている。
登場人物の感情は伝わってこないし、どこかフワフワした感じになってるしね。

 

*ポンコツ映画愛護協会