『GODZILLA 決戦機動増殖都市』:2018、日本

恒星間移民船アラトラム号では、船長のウンベルト・モーリたちが上陸艇からの最後の通信を確認していた。「上陸艇は全滅。残存勢力は不明。突然、ゴジラが」という声が記録されており、最後の映像には巨大すぎるゴジラの姿が写っていた。ゴジラが熱線を発射した場合、大気圏を突破してアラトラム号まで到達することがコンピュータの計算で判明した。ビルサルドの族長であるハルエル・ドルドは、「一刻も早く月軌道まで退避すべきだ」と主張する。
副長のタケシ・J・ハマモトが「救助艇を送れなくなるぞ」と反対すると、ドルドは「彼らはもう全滅したんだ」と言う。「まだ生存の可能性はあるはずだ」とエクシフ族長のエンダルフが意見を述べると、モーリは48時間だけ無人機による捜索を行うと決定した。ハルオ・サカキが意識を取り戻すと、人間の住居で介抱されていた。無線も測位システムも使えず、外部との連絡は不可能な状態だった。そこへ住人である人間の少女が戻って来るが、ハルオが目覚めたのを知って逃げ出した。
ハルオは慌てて後を追うが、姿を見失った。彼はアラトラム号と通信するため、揚陸艇を目指すことにした。ハルオは少女の尾行に気付くが、構わずに先へ進む。熱源反応を探知したサカキが近付こうとすると、少女は「おい」と叫んだ。ハルオは彼女が「危ない」と訴えていることを悟り、不気味な植物の襲撃から逃れた。ハルオは「助けてくれて、ありがとう」と言い、自分の名前を少女に告げる。少女は音を聞いて駆け出すが、追い掛けようとしたハルオの通信機にユウコ・タニの声が届いた。
ハルオが呼び掛けると、ユウコはアダム・ビンデバルトやリルエル・ベルベも生きていることを伝える。通信が途絶えたため、ハルオはユウコたちの元へ向かう。ユウコたちは何者かの攻撃を受けており、反撃に出た。相手が倒れたので近付くと、それは人間の少女だった。少女は立ち上がって襲い掛かろうとするが、ユウコたちの銃撃を受けると逃亡を図る。そこへハルオが駆け付け、ユウコたちに銃撃の中止を求めた。ハルオは今まで少女と一緒にいたことを訴えるが、ユウコたちが攻撃を受けていたと言うので困惑した。
ハルオたちは武装した現地のフツア族に包囲されたため、刺激することを避けて投降した。ハルオが出会った少女のミアナも、ユウコたちを攻撃したマイアも、彼らの仲間だった。ハルオたちは巨大な地底洞窟へ連行され、扉を塞がれた。すると、そこには仲間のマーティン・ラザッリやムルエル・ガルグたちが捕まっていたが、メトフィエスは含まれていなかった。ハルオは自分たちを捕まえた種族が人間の子孫ではないかと推察するが、ラッザリは「それは早計かもしれない」と言う。ユウコが「体から粉のような物を吹き出してた」と語ると、ラッザリは「鱗粉かな」と口にした。
ベルベやガルグたちは種族を殺してでも脱出すべきだと主張するが、ハルオは断固として反対した。司令官としての意見を求められた彼は、「揚陸艇へ行って母船と連絡を取る。後は残骸から武器と食料を調達する」という考えを述べた。ハルオたちは儀式の間に連行され、双子のマイアとミアナは精神感応の増幅器となって長老の言葉を伝える。ハルオは長老に、ゴジラから地球を取り戻すために来たのだと説明した。双子姉妹は「ゴジラには勝てない」と言うが、ハルオは「そんなことはない」と反発した。
ラザッリはハルオに、自分たちが倒したゴジラは亜種であること、森の全ての生命はゴジラとの類似性を示したことを話す。ラザッリは、地上の生物が生き残るために同質化しようとした結果、ゴジラの軍門に下ったのだという仮説を立てていた。マルコ・ジオーネはハルオがゴジラと再び戦おうとしていることに対し、「誰のせいでこんなことになったと思ってるんです?」と激しく非難した。ユウコは「そんな言い方」とハルオを擁護し、ベルベも「俺たちはハルオの作戦で1体目のゴジラを倒したじゃないか」と語る。
ハルオは「俺も迷った。だが、ここで引いたら、俺たちは何のためにここに来たんだ?」と語り、アダムに「正直、俺も奴に勝てるとは。スケールが桁違いですよ」と言われると「これは人類の手に地球を取り戻す最後のチャンスなんだ」と訴える。1人になった彼は、「俺は本当に正しいのか。メトフィエス」と呟いた。ハルオたちはフツア族の長老に外出許可を得て、武器を返してもらう。彼らが揚陸艇の捜索に向かおうとすると、マイアとミアナは同行を申し入れた。
ハルオたちは霧の深い森を進み、一団から離れて行動したユウコは植物に襲われる。ハルオたちが銃撃してもダメージを与えられなかったが、双子姉妹が矢を放って植物を撃退した。鏃に興味を抱いたベルベが「見せてくれないか」と頼むと、姉妹は毒だから危険だという理由で触らせなかった。一団はセルヴァムの襲撃を受けるが、メトフィエスの部隊が駆け付けてハルオたちを救う。アラトラム号には救助信号が届き、メトフィエスは揚陸艇付近へ部隊が集結していることをモーリたちに伝えた。
ハルオは中央委員会が太陽系を離れるつもりだとメトフィエスに聞かされ、部隊の前でゴジラ掃討作戦の続行を宣言する。彼はガルグとベルベに、メカゴジラの材料だったナノメタルを手に入れたことを説明してもらう。メカゴジラはゴジラに襲われて研究所ごと壊滅したが、進化した姿で生き延びていたのだとガルグたちは話するフツアの鏃にはナノメタルが使われており、採取場所を突き止めて充分な量を入手すればゴジラを倒せるというのがハルオたちの考えだった。
「制するつもりはない。自分で決めてくれ」とハルオが言うと、マルコを含む3人以外が残ることを選んだ。マルコを乗せた救助艇が離陸した後、マイナとミアナは部隊をヒカリゴケの群生地である洞窟へ案内した。ラッザリはハルオに、双子が怪獣の因子を持っているのではないかと語る。さらにラッザリは、今の地球がゴジラに奉仕する構造になっているのだと言う。ガルグとベルベは特別な信号を探知し、メカゴジラが生きていると確信する。
洞窟の出口に到達した一団が外へ出ると、セルヴァムが襲撃してきた。すると金属の鋭い針が地面から突き出し、セルヴァムを抹殺した。その向こうに一団が視線を向けると、ナノメタルで出来た機械都市「メカゴジラ・シティー」があった。フツアが迎えに来ると、姉妹は「あれ、禍々しい物。毒」とハルオに言い残して立ち去った。ハルオたちは都市に入り、発信源へ赴いた。するとナノメタルに覆われた人間の遺体が転がっていたが、ベルベは落ち着き払って「逃げ遅れた者の死体と同化したんだろう」と言う。
ハルオたちは発信源であるメカゴジラの残骸を見つけ、ガルグが人工知能にアクセスしてコントロールユニットを復元した。メトフィエスが「かつての対ゴジラ兵器を再生したところで、現状では役に立たないだろう」と言うと、「増殖したナノメタルを全て動員すれば、我々は圧倒的な物量作戦を展開できる」とベルベは自信に満ちた態度を示す。ベルベは都市構造を利用して罠を仕掛け、この町自体をゴジラを殺すためだけの処刑兵器に仕立て上げると語る。
通信の回復を受け、ハルオはモーリに連絡を入れてゴジラと戦うことを話す。彼はモーリの反対を聞き入れず、通信を打ち切った。ハルオは作戦会議を開き、ゴジラをメカゴシラシティーに引き入れる作戦を説明する。ハルオは「開発中の機動兵器を展開してトラップポイントに誘い込む」と言い、ベルベがナノメタルで強化した新兵器「ヴァルチャー」を紹介した。ナノメタルの運用を全てビルサルドが担当することについてラザッリは懸念を示すが、ベルベは余裕を見せた。
メトフィエスはガルグに、儀式で使う祭具のガルビトリウムを修理するため、ゲマトロン結晶体を復元するラボをナノメタルの力で再現してもらえないかと要請した。ユウコはヴァルチャーを試験運転し、その性能の高さに驚嘆した。ハルオはシティーに来てから体調の悪さを感じていたが、傷が完治していないのだろうと考えていた。しかし彼はラザッリから、「シティーに来てから体調不良を訴える兵士が何人かいる。その多くが、フツアの集落で怪我の手当てをしてもらったメンバーだった」と知らされる。ラザッリは「鱗粉とナノメタルの親和性が良くないのかもしれない」と言い、シティーから外へ出すと全員が回復したのだと話す。
メトフィエスはハルオに、ガルグが用意してくれた自分専用の工房を見せる。「今度の指揮官、俺でいいんだろうか。俺はナノメタルが、何か恐ろしい物のように感じてしまう」とハルオが相談すると、彼は「これは、本質的には邪悪なる物。怪獣と変わらない。それを崇拝するビルサルドの考え方は、あまりにも無機質だ。だが、それは本当に知性と呼べるのだろうか。彼らは怪獣と同質の物になろうかとしているかのようだ」と述べた。彼はエクシフが不吉と考えて隠していた破滅の名を教えると言い、「戦いの中で恐怖に飲まれそうになったら思い出せ。この宇宙には、より絶対的な破壊の力が潜んでいる。それに比べれば、ゴジラなど恐るるに足りないと」と語った。
ハルオはユウコに「もう迷わない。俺はゴジラを倒す。約束するよ。コジラを倒して本当の地球を見せてやる」と力強く言い、彼女のキスを受けた。その様子を、物陰からマイナとミアナが観察していた。不安を吐露する仲間と歩いていたアダムは、ビルサルドがナノメタルと同化する様子を目撃した。ハルオはゴジラが動き出したという報告を受けるが、シティーの完成まで12時間を必要としていた。そこで彼は、迎撃システムだけでも6時間で目途を付けるようベルベとガルグに頼んだ。
「ゴジラを刺激するだけでは?」とラザッリが意見すると、ハルオは「奴が気付くより先に、どこまで支度できるかが勝負だ」と告げる。ヴァルチャーは最終試験に至らず3機しか用意できていなかったが、他の準備は着実に進んでいることをベルベたちは話す。そこへアダムが駆け込み、「ナノメタルが暴走してビルサルドを取り込んでいます」とハルオに伝える。するとベルベとガルグは落ち着き払った様子で、「これは論理的帰結だ。彼らは肉体を捨ててメカゴジラシティーそのものになったのだ」と言い放った。ハルオは激しく反発するが、ユウコはビルサルドを擁護した…。

監督は静野孔文&瀬下寛之、ストーリー原案は虚淵玄(ニトロプラス)、シリーズ構成は虚淵玄(ニトロプラス)&村井さだゆき、脚本は村井さだゆき&山田哲弥&虚淵玄(ニトロプラス)、製作は大田圭二、エグゼクティブプロデューサーは古澤佳寛&高橋亜希人、プロデューサーは吉澤隆、副監督は安藤裕章&吉平“Tady”直弘、キャラクターデザイン原案はコザキユースケ、プロダクションデザインは田中直哉&Ferdinando Patulli、CGキャラクターデザインは森山佑樹、造形監督は片塰満則、演出は米林拓、CGスーパーバイザーは多家正樹、アニメーションディレクターは島田寛志、色彩設計/色指定は野地弘納、美術監督は渋谷幸弘、編集は肥田文、音響監督は本山哲、音楽は服部隆之、音楽プロデューサーは小林健樹。
主題歌『THE SKY FALLS』XAI、作詞:蒼山幸子(ねごと)、作曲・編曲・サウンドプロデュースは中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES)。
声の出演は宮野真守、櫻井孝宏、花澤香菜、杉田智和、梶裕貴、諏訪部順一、三宅健太、堀内賢雄、中井和哉、山路和弘、山本兼平、上田麗奈 、小澤亜季、柳田淳一、石谷春貴、藤井隼、佐々健太、辻井健吾、小松奈生子、洲崎綾、谷口淳志、山本満太、やまむらいさと、須嵜成幸、浜田洋平、高橋伸也、田島章寛ら。


東宝が生み出した世界的怪獣のゴジラを、長編3DCGアニメーション映画で描く3部作の第2作。
TVアニメ『シドニアの騎士』や『亜人』を手掛けたポリゴン・ピクチュアズが、アニメーション制作を担当している。
監督は映画『名探偵コナン』シリーズの静野孔文と、TVアニメ『シドニアの騎士 第九惑星戦役』『亜人』の瀬下寛之。
脚本はTVアニメ『シドニアの騎士』『シドニアの騎士 第九惑星戦役』の村井さだゆき&山田哲弥、TVアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』『PSYCHO-PASS サイコパス』の虚淵玄による共同。
サカキ役の宮野真守、メトフィエス役の櫻井孝宏、ユウコ役の花澤香菜、ラッザリ役の杉田智和、アダム役の梶裕貴、ガルグ役の諏訪部順一など、多くの声優が前作からの続投。今回から参加している主要キャストは、マイナ役の上田麗奈のみ。

前作と同じで、やたらと会話劇が多くなっている。
ゴジラとの戦いは終盤に入るまで描かれず、それどころかゴジラが登場することも無い。それまでの時間帯は、たまにセルヴァムとの戦闘シーンがあるものの、基本的には会話劇となっている。
それはゴジラとの戦闘に向けた助走としての力を持っておらず、期待を煽る物ではない。
その中で語られる内容の多くは、ザックリ言うと「オタク的ゴタク」である。
同じゴタクでも押井守に比べりゃ具体性はあるが、「退屈極まりないし何の興味もそそらない」という意味では同質だ。

前作のハルオは「ゴジラを倒す」という目的に固執し、そのせいで多くの犠牲が出た。しかし彼は全く反省しておらず、まだゴジラと戦う考えを捨てていない。
まだ「これまでの言動は愚かだった。浅はかで身勝手だった」と反省してくれれば、前回からのリカバリーは充分に可能だった。しかし、多くの犠牲を出しても変わらないので、「こいつは心底からダメだな」と呆れ果ててしまう。
「誰のせいでこんなことになったと思ってるんです?貴方が洗脳して俺たちをこんな所に連れて来なければ」と涙で非難されても、まるで気にしていないのだ。
「俺も迷った」と口では言うけど「嘘つけ。これっぽっちも迷ってないだろ」とツッコミを入れたくなる。
「ここで引いたら、俺たちは何のためにここに来たんだ?」と言うけど、ここへ連れて来たのもテメエの策略じゃねえか。

ハルオは強く主張した後で、一人になって「俺は本当に正しいのか」と呟く。
だけど、その程度では「葛藤がある」ってことを見せるには全く足りていないし、取って付けたような印象を受けるだけだ。
「葛藤がある」という設定にしてあるのなら、なぜもっとハルオに共感したくなるような描写にしておかないのか。
不快感を煽るだけ煽って、後で申し訳程度に「葛藤しているんですよ」とフォローしても、むしろ火に油を注ぐだけだ。

ゴジラ掃討作戦の続行を宣言する時も、ハルオは皆を連れて来たことを謝罪するけど、見事なぐらい上っ面だけの発言だ。
「それはそれとして、まだ戦うよ。だから協力してね」ってことを言いたいがための、形式上の前置きに過ぎない。
ハルオが自己判断に委ねると3名以外は戦うことを選択するけど、これも前作と同じで、巧妙に「ほぼ一択」へ追い込んだ上で「こっちが強制したわけじゃないよ。自分で決断したんだからね」という形を取るための策略でしかない。

後半に入り、ハルオはユウコの前で「今回の作戦は正しいのか。俺がゴジラにこだわるのは私怨かもしれない」と漏らすけど、私怨なのは最初から確定事項なのよ。
だから今さら迷いを見せられても共感なんて微塵も誘わないし、「そう思うのなら皆を巻き込まずに撤退しろ」と言いたくなる。
結局のところ、「迷ってます」とか「葛藤してます」ってのを申し訳程度に見せても、ただのポーズでしかないわけで。
「ゴジラと戦う」という作戦については、何も立ち止まらず、バカまっしぐらに進めているわけでね。

揚陸艇の捜索に向かう途中、ハルオが「ミアナとは昨日、ずっと一緒にいたからな」と言うと、ミアナは「ハルオ、イ」と彼の名を呼ぶ。その様子を見ていたユウコは一団から離れ、「何よ、あれ」と腹を立てる。
「ハルオを好きなで嫉妬心を抱いた」ってことを描きたいのは分かるけど、その程度で焼き餅を焼くかね。そんなチープな言動を取らせることで、ユウコというキャラが浅薄になってしまう。
彼女はヒロインのはずなのだが、そのポジションに見合う存在感を全く発揮できていない。そして、存在をアピールするためにバカみたいな行動を取らせた結果として、ヒロインとしての存在価値を貶める羽目になっている。
後半にはユウコを使ってハルオの人間らしさをアピールしようとしているが、これも不恰好でしかないし、そこまでのハルオの動かし方からすると焼け石に水だ。

それにしても分からないのは、「こいつらのモチベーションって何なのか」ってことだ。
ハルオに関しては、純然たる私怨だけで動いているボンクラ野郎なので、理由はハッキリしている。だけど他の連中が、なぜ必死になってゴジラを倒そうとするのか。
もはや地球は完全に、「ゴジラのための惑星」へと変化しているわけで。それでも地球を奪還するために大勢の犠牲を出してゴジラを倒す必要性が、私には全く分からないのだ。
「人類の故郷だから」というだけでは、何の説得力も無いしね。
実写シリーズならゴジラが地球を襲って来たので「防衛としての戦闘」という意義があったけど、今回は一種の侵攻だからね。

巫女の姉妹を登場させて鱗粉という要素も持ち込み、「ただの人類ではなく怪獣の因子を持っているのではないか」という推察まで語っておきながら、モスラは登場させない。
「メカゴジラ」という名称を使い、その材料であるナノメタルを登場させておきながら、機械怪獣としてのメカゴジラは登場させない。
どうやら製作サイドは、「観客の期待を煽っておいて裏切る」ってことを徹底しているようだ。
だが、そんな裏切り行為の連続で、誰が得をするのだろうか。
少なくとも、観客には何の得も無い。

あえて言うなら「製作陣が観客を裏切って喜ぶ」という部分に得があるのかもしれない。
でも、それは製作陣の自己満足でしかないよね。
これが芸術作品なら、作家の自慰行為でも構わないだろう。だけど、商業ベースで製作された純然たる娯楽映画なんだから、それじゃダメでしょ。
特にメカゴジラに関しては、その強引極まりない設定に呆れ果ててしまう。
メカゴジラの荒唐無稽さを嫌ったのかもしれないけど、じゃあメカゴジラ・シティーがリアルな手触りなのかというと、そんなことは無いんだし。

ゴジラには長きに渡って続いた実写シリーズがあるので、「それと同じことをアニメでやるだけじゃ意味が無い」と考えたのだとしたら、それは理解できなくもない。
ただし、だからと言って、期待を煽っておいて裏切る行為が全面的に肯定されるものではないのだ。
最初からモスラやメカゴジラを登場させるつもりなど無いのなら、変に期待を持たせなければ良かったはずだ。
期待させるから、「なぜ普通に怪獣バトルを描こうとしないのか」という不満が湧いてしまうわけで。

っていうかさ、期待を煽って云々という問題じゃなくて、普通に怪獣バトルを描けばいいんじゃないのか。
それで多くの観客は楽しめるはずだし、大いに満足してくれる可能性が高いと思うのよ。
変に捻りを加えて独自性を出そうとしたせいで、ゴジラ作品としての面白味が失われる結果に繋がっているようにしか思えない。
第1作目の批評でも触れたけど、この2作目でも「ゴジラである意味が無い」という印象は変わらないわ。

(観賞日:2019年9月4日)

 

*ポンコツ映画愛護協会