『ゴジラVSスペースゴジラ』:1994、日本

国連G対策センターではゴジラ対策として、2つのプロジェクトが進行していた。対ゴジラ兵器“MOGERA”で倒そうとするMプロジェクト と、ゴジラの後頭部にテレパシー増幅装置を撃ち込んで操ろうとするTプロジェクトである。G対策協議会に参加している進化生物学博士の大久保晋と、G研究所生物工学教授の権藤千夏は、Tプロジェクトへの協力を要請するためにサイキックセンター主任の三枝未希を訪ねた。未希はゴジラを操ろうとする計画を「人間の思い上がりです」と批判し、協力を拒む。すると大久保たちは、「協力が得られないなら、サイキックセンターの子供たちに頼むことになる」と言う。能力の伴っていない人間がテレパシー増幅装置を使うと本人に危険が及ぶ危険性があるため、未希は苦悩した。
Gフォース少尉の新城功二と佐藤清志はTプロジェクトのため、南太平洋のバース島へ赴いた。バース島は無人島だが、ゴジラを倒すことに執念を燃やすGフォース少佐の結城晃が一人で留まっていた。島に住んでいるベビーゴジラは成長してリトルゴジラとなり、すっかり結城に懐いていた。一方、G対策協議会は緊急会合を開き、行方不明になったNASAの友人惑星探査船についてアメリカ代表のフランク・レイノルズが報告する。NASAに送られてきた映像には、巨大モンスターらしき生物が探査船を襲って爆破させる様子が写っていた。大久保と千夏は、専門的な分析を依頼された。
未希の元にはフェアリーモスラが現れ、コスモスに「地球に危険が迫っています。凶暴な宇宙怪獣が地球に向かっているのです。ゴジラを倒すために。ゴジラが倒されれば地球も征服されます。地球を宇宙怪獣から守って下さい」と頼まれた未希は、Tプロジェクトへの参加を決めた。バース島では結城が功二と清志を扱き使い、砂浜に穴を掘らせていた。結城はゴジラを倒すため、地雷式の催涙ガスを埋めようとしていたのだ。彼は他にも仕掛けを施し、最後は血液凝固剤の入った弾丸をゴジラの心臓に撃ち込もうと目論んでいた。
Gフォース戦闘司令室の宇宙レーダーが、異常物体をキャッチした。副司令官の兵藤巌が宇宙望遠鏡の映像に切り替えると、高速で地球へ迫って来る宇宙怪獣の姿が写った。Gフォース司令官の麻生孝昭がMOGERAの整備を見守っていると、国連G対策センター長官の瀬川隆之がやって来た。瀬川は麻生に、MOGERAで宇宙怪獣を撃退してほしいという国連の要請を伝えた。「ゴジラ対策はどうするんです?」と麻生が訊くと、瀬川はTプロジェクトを優先することを告げた。
未希、千夏、大久保はヘリコプターで移動し、パース島へ降り立った。リトルゴジラが誤って催涙ガスの地雷を踏むが、結城は「あいつにやられちゃ、しょうがねえや」と頭を掻いた。海からゴジラが現れたので、功二と清志はテレパシー増幅装置を撃ち込もうと、結城は弾丸を撃ち込もうとして、それぞれ狙いを定める。功二はテレパシー増幅装置の撃ち込みに成功し、結城は失敗した。未希はテレパシーを使い、ゴジラに砂浜を歩かせて岬へ向かわせることに成功した。
MOGERAは宇宙怪獣と遭遇して交戦状態となり、戦闘不能に陥った。ゴジラの脳波には異変が生じ、大久保はテレパシー増幅装置を上げるよう千夏に指示する。限界に到達しても、大久保は千夏の反対を押し切って数値を上げようとするが、機械がショートしてしまう。未希は「宇宙怪獣が来る」と口にした。功二はチャンスが回って来たと感じ、ゴジラを倒そうと目論む。そこへ宇宙怪獣が現れ、リトルゴジラを襲った。ゴジラが助けに来るが、宇宙怪獣に圧倒される。宇宙怪獣はリトルゴジラを結晶体に封じ込め、島から飛び去った。
大久保はTプロジェクトが失敗したと考え、帰国することを千夏に告げる。しかし未希は、「残ります。心配なんです、ゴジラとベビーゴジラが」と述べた。ヘリコプターに乗り込もうとした功二だが、未希のことが気になった。彼は清志をヘリから降ろし、一緒に島へ残ることにした。千夏はG対策協議会の会議に出席し、MOGERAが持ち帰った宇宙怪獣の細胞がG細胞であることを発表した。彼女は宇宙怪獣について、「スペースゴジラと呼んでもいいでしょう」と言う。瀬川は対策として、MOGERAのパワーアップを急がせる。
麻生は結城を呼び、「Tプロジェクトは失敗。大久保博士はG対策協議会から外れた。後はMプロジェクトを成功させるしかないんだ。MOGERAを操縦してくれないか」と持ち掛けた。落ち込む未希の元にはフェアリーモスラが飛来し、「元気を出して。貴方がみんなの心を1つに合わすことが出来れば、宇宙怪獣は倒せるわ」と述べた。その夜、テントに複数の男たちが乱入して功二と清志を殴り倒し、未希をバース島から連れ去った。
翌朝、功二と清志は迎えに来た千夏と共に、ヘリコプターに乗り込んだ。犯人の心当たりについて、千夏は「日本に行ってから話すわ。結城さんが動いてることもあるし、その結果次第ってこともあるから」と述べる。清志が「苦手なんだよなあ、あのオッサン」と漏らすと、千夏は「彼の親友が亡くなってるの。ゴジラと戦って。権藤吾郎。私の兄よ」と話す。それ以来、結城はゴジラを倒すことに激しい執念を燃やすようになっていたのだ。
日本へ戻った功二と清志は、結城と共に企業マフィアの日本支部を張り込んだ。そこに未希が監禁されているのだ。実は企業マフィアの一味だった大久保は、未希のテレパシーをコンピュータに記録し、それを増幅させてゴジラに送り込む。スペースゴジラは札幌に出現し、山形の上空を通過していく。テレパシー増幅装置が火を噴いて大久保と企業マフィアの連中が慌てる中、功二たちが乗り込んだ。3人は銃撃戦を展開し、未希を救い出した。未希は超能力で、スペースゴジラが来ることを察知した。
神戸を通過して福岡に入ったスペースゴジラを倒すため、国連G対策センターはMOGERAを出撃させることにした。結城の所在が判明しないため、麻生は仕方なくセカンドチームを搭乗させようとする。そこへ功二、清志、結城が駆け付けたため、彼らがMOGERAに乗り込んだ。ゴジラは鹿児島湾に出現し、上陸して熊本から別府へと向かう。結城は命令を無視して進路を変更し、ゴジラに攻撃を仕掛けた。功二は結城を殴って昏倒させ、スペースゴジラの元へ向かう…。

監督は山下賢章、特技監督は川北絋一、脚本は柏原寛司、製作は田中友幸、協同製作は富山省吾、アソシエイトプロデューサーは鈴木律子、撮影は岸本正広、美術は酒井賢、録音は宮内一男、照明は望月英樹、編集は米田美保、音楽は服部隆之、ゴジラテーマ作曲は伊福部昭。
主題歌『ECHOES OF LOVE』作詞:NORICO、作曲:重藤功、編曲:デイト・オブ・バース。
出演は橋爪淳、小高恵美、米山善吉、柄本明、吉川十和子、中尾彬、斉藤洋介、上田耕一、佐原健二、今村恵子、大沢さやか、小堺一機、松村邦洋、宮坂ひろし、木下ほうか、ロナルド ヘアー、エド サーディー、エディ クインラン、トム ドーラン、草薙仁、堀崎太郎、牧村泉三郎、渡辺寛二、光岡湧太郎、篠原功、公平健一、服部亮久、GAZ、梅田秀之、大沢洋平、山崎功、伊崎寿克、狸穴善五郎、チャーリー クラスラブスキー、ロバート サンタナ、清水進一、フランク オコーナー、アンディ スミス、マクシーン マーチケビッチ、奈須真司、荒木美穂ら。


“ゴジラ”シリーズの第21作。
監督は『トラブルマン 笑うと殺すゾ』『19ナインティーン』の山下賢章、脚本は『あぶない刑事』『べっぴんの町』の柏原寛司。
三希役の小高恵美は、『ゴジラVSビオランテ』から5作連続で出演。
今村恵子&大沢さやかは前作にも出演していたが、コスモスとしての出演は『ゴジラVSモスラ』に続いて2度目。
麻生役の中尾彬、兵藤役の上田耕一、瀬川役の佐原健二は、前作『ゴジラVSメカゴジラ』と同じ役での続投。功二を橋爪淳、清志を米山善吉、結城を柄本明、千夏を吉川十和子、大久保を斉藤洋介が演じており、札幌のサラリーマン役で小堺一機と松村邦洋が1シーンだけ登場する。

結城はゴジラを倒すことに執念を燃やしているのに、リトルゴジラに懐かれていることに対しては、迷惑そうな表情を浮かべるシーンもあるものの、本気で嫌がっているわけではなさそうだ。むしろ、懐かれて何となく嬉しそうな様子も垣間見える。
だから当然のことながら、リトルゴジラに冷淡な態度を取ることも無ければ、ゴジラを倒すために利用してやろうと目論むことも無い。
それは中途半端だわ。
ゴジラを倒すことに執念を燃やしているのなら、もっと徹底して「復讐の鬼」にしておこうぜ。

そんな結城の目論んでいる「地雷式の催涙ガスを踏ませて、腋の下を見せたところで血液凝固剤の弾丸を撃ち込む」というゴジラ退治の作戦は、これまでのシリーズで最もしょっぱい内容だ。
舐められたもんだな、ゴジラも。
で、そんな結城を「現実の全く見えていない愚かな男」として描いているのかというと、そうじゃないんだよな。
それと、国連G対策センターがTプロジェクトをやろうとしているのなら、結城は邪魔なはずでしょ。なぜセンターの方針に逆らっている結城を拘束せず、そのまま放置しているのか。

あと、結城は「奴(ゴジラ)にだって鍛えようのないウイークポイントはある。ここだ」と右の胸を指差すんだけど、ゴジラも人間と同様に右胸の辺りに心臓があるとは限らないだろ。
それに、心臓は鍛えられなくても、それを防御する皮膚は鍛えられると思うぞ。
だから、そこいらの弾丸だと、たぶん心臓まで届かないと思うぞ。
それと、リトルゴジラが地雷を踏んでも全く眠らないんだけど、だったら催涙ガスの効き目が無いってことじゃねえか。

コスモスは「フェアリーモスラ」なるワケの分からない存在を地球に飛ばし、たぶん幻覚として三希の前に出現し、地球の危機を伝える。
なぜコスモスがフェアリーモスラを送り込めるのか良く分からんし、宇宙怪獣の存在を語るコスモスが「ゴジラが倒されれば地球も征服されます」と言うのには大いなる違和感を抱いた。
その言い草だと、まるでゴジラが地球を守るための存在になっちゃってるぞ。だけど、そうじゃないはずでしょ。
で、「地球の守り神ならモスラがいるでしょ」と言いたくなったが、『ゴジラVSモスラ』で地球に迫る大隕石の軌道を変えるために、なぜかモスラは宇宙へ旅立っているんだよな。
っていうか、「まだ戻って来ていないのかよ」と言いたくなったけど。モスラが登場しないのにコスモスだけが登場するのも、違和感が否めないし。

Tプロジェクトのためには、ゴジラの後頭部にテレパシー増幅装置を撃ち込む必要がある。だからバース島にゴジラが現れた時、清志は銃を構えている功二に「狙いは後頭部だ」と告げている。
ところが、なぜか彼らは、ゴジラを正面から見るような位置にいるのだ。
いやいや、言ってることと行動が合ってないだろ。後頭部を狙うなら、なぜゴジラの背後に回り込もうとしないんだよ。
ゴジラが急にクルッと背中を向けてくれて、だから後頭部にテレパシー増幅装置を撃ち込めているけど、それは下手な御都合主義に過ぎないからね。ゴジラに後ろを向かせるために、何か作戦を仕掛けたわけじゃないからね。

この映画は、これまでのシリーズで犯した失敗から全く学習せず、同じ過ちを幾つか繰り返している。
『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』で初登場したミニラは、子供受けを狙い過ぎてシリーズの陳腐化を強めたが、その失敗から何も学んでいないのがリトルゴジラの存在だ。
とにかく作り物感がハンパない。可愛さを意識し過ぎた顔のデザインは、リアルな生物としてのイメージを完全に放棄している。
また、その質感も酷くて、ただのデカいソフビ人形になっている。

Tプロジェクトも、やはり過去の失敗から学んでいないと感じさせる設定だ。
かつて『怪獣大戦争』と『怪獣総進撃』では宇宙人がゴジラを操っていたが、操縦されるゴジラなんて見たくない。
しかも今回は操るのが善玉のエスパーなので、ますます拒絶反応が出ててしまう。
そしてモゲラ。
このシリーズにヒト型ロボット(モゲラはモグラがモチーフだが、擬人化されて二足歩行するデザインなので、ヒト型ロボットと解釈していいだろう)が要らないってのは、ジェットジャガーで良く分かったはずじゃないのかと。

モゲラに関しては、「究極の対ゴジラ兵器」と言っているのに、なぜ宇宙怪獣を倒すために宇宙へ行かされるのかという部分が大いに疑問だぞ。
ゴジラ対策として作られたのなら、宇宙へ行くための設備は無いはずだろ。どうやって大気圏を突破したんだよ。
で、宇宙怪獣と交戦して「操縦桿が動かない」と言い、体当たりを食らってクルクル回転しながら飛んで行くんだけど、その様子だと明らかにクルーは死亡してモゲラも宇宙の塵になりそうなのに、普通に地球へ帰還している。どういうことだよ。
しかも、帰還した様子は描かれず、千夏の「モゲラが持ち帰った宇宙怪獣の細胞が云々」という説明で、無事に帰還していたことが分かるのだ。
雑だなあ。

今回の映画には功二&三希、結城&千夏という2組の恋愛劇が盛り込まれているが、まるで引き付けられるモノは無い。
三希は何でも戦いで解決しようとする功二の考え方を非難しており、この2人は険悪な関係から始まっているのだが、「最初は険悪だった2人だが、次第に気持ちが変化して」というベタな恋愛劇は全く描かれていない。
ヘリコプターで功二が去ろうとする時や、やはり島に留まることを決めた時の三希の表情からすると、その段階で既に好意が芽生えているように解釈できる。
でも、全否定だった気持ちの中に好意が芽生えるきっかけなんて、何も用意されていなかった。
結城&千夏に関しては、そんな2人よりも、さらに薄っぺらい。

功二&三希の恋愛劇に関しては、最初に三希が戦いで何でも解決しようとする功二を全面的に非難し、「大切なのは相手を理解すること。心を通わせることでしょ?」と話すシーンまであるんだから、本来なら「功二が三希の意見を理解し、行動理念を変化させる」という展開がなければダメなはずだ。
ところが実際には、功二はモゲラに乗り込んでスペースゴジラと戦うだけだから、「戦いで解決するのではなく、相手を理解する」というところへ着地することが出来なくなっている。
そして、功二の変化が描かれないまま、三希は彼を受け入れてしまう。
そうなると、この映画は「マッチョイズムの完全勝利」という、とても古めかしい形になってしまうのだ。

スペースゴジラがバース島へ飛来した目的はゴジラを倒すことだったはずなのに、なぜか相手を圧倒しながらも止めを刺さずに飛び去る。
そのことについて、目撃していた連中の中で「なぜ宇宙怪獣はリトルゴジラを封じ込めただけで飛び去ったのだろう」と疑問を抱く奴はいない。
また、後になって「あの時のスペースゴジラは、こういう理由で飛び去ったんだ」という答えが明かされるわけでもない。

ゴジラはリトルゴジラを助けるためにスペースゴジラと戦ったはずなのに、リトルゴジラが結晶体に封じ込められると、助け出そうともせずに立ち去ってしまう。
それも良く分からない。
Tプロジェクトの失敗で大久保や千夏が島を去るのは分かるが、結城まで帰国するのは良く分からない。
「ゴジラが島を去ったから」というのは理由にならない。これまでも、ずっとゴジラが島にいたわけではないんだから。
むしろ、まだリトルゴジラがいるんだから、戻ってくる可能性は充分に考えられるでしょ。

後のシーンで、実は結城が麻生に呼ばれていたことが明らかになるけど、だったら島を去る時点で、そのことに触れておけよ。そうじゃないから、後付けにしか思えない。
っていうか、今までの結城だって、命令に従ってバース島に留まり、ゴジラを退治しようと目論んでいたわけじゃないはずでしょ。それも組織とは無関係の勝手な行動でしょ。
だったら、なぜ今になって、麻生の要請に応じて帰国する気になったのかと。
登場人物の行動が、ものすごくテキトーに感じられるんだよな。

G対策協議会の会議に出席した千夏は、MOGERAが持ち帰った宇宙怪獣の細胞がG細胞であることを発表するのだが、なぜスペースゴジラが誕生したのかということについて、「ビオランテの破片か、モスラに付着したゴジラの肉片、いずれかのG細胞がブラックホールに飲み込まれ、ホワイトホールから放出される。急速な進化の中で結晶生物を取り込み、さらに恒星の爆発による超エネルギーを浴び、怪獣が誕生した」と説明する。
そもそもゴジラが登場する時点で荒唐無稽なので、スペースゴジラの出現理由も、徹底して現実的である必要性は無いと思うのよ。
ただ、それにしてもデタラメすぎやしないか、その説明は。
まだ当時は「ホワイトホールが存在しない」ってのが科学の常識じゃなかったから、それは受け入れるにしても、「結晶生物って何だよ」と思っちゃうし。

麻生は結城を嫌っているにも関わらず、MOGERAの操縦を依頼する。
「お前しかいない」という考えから頼んでいるのだが、でも結城ってGフォースのメンバーではあるものの、ロボット操縦のスペシャリストってわけじゃないでしょ。ずっとバース島にいたんだから、MOGERAを操縦するための訓練も受けていないはずだし。
そんな奴が、ずっとMプロジェクトに参加していた連中を差し置いてMOGERAの操縦を要請されるってのはワケが分からん。
それぐらい、Mプロジェクトの連中が役立たずってことなのか。

企業マフィアの一味であった大久保は、三希のテレパシーをコンピュータに記録し、それを増幅してゴジラに送り込む。
でも、テレパシーってのは本人が念じることで変化していくものだから、拘束した三希の脳波を記録しても、ゴジラを操ることは出来ないんじゃないかと。だって、その記録したテレパシーは、ゴジラに対して「暴れろ」とか「戦え」と命じているテレパシーじゃないわけだからさ。
それと、ゴジラを操る目的は「街を破壊させること」なんだけど、破壊させる目的が何なのかは分からないんだよな。
そもそも、企業マフィアの存在意義が皆無に等しいんだよな。ゴジラは海に出現するけど、すぐに装置が壊れているから、「企業マフィアがゴジラを操って街を破壊させる」ということは全く無いんだし。

スペースゴジラが札幌に出現して山形上空を通過した後、国連G対策センター長官付秘書官の加藤が瀬川に「山形は通過しましたので、首都圏は回避できないものと思われます」と話している。
ところがスペースゴジラは、神戸から福岡へと向かう。
どっちも首都圏じゃねえだろ。
で、だったら首都圏という予測が外れたことに対してG対策センターの誰かがコメントしたり、「なぜ福岡へ向かったんだ?」という疑問を口にしたりすべきなのに、誰も言及しないのよね。

スペースゴジラは福岡タワーで結晶体を作るのだが、そこにゴジラが現れて結晶体を壊し始める。
その様子を見ていた功二が「タワーから宇宙エネルギーを取り込み、結晶体を通してそれを吸収してる」と言い、清志が「あのタワーが使えたからか、スペースゴジラが福岡を選んだのは」と語る。
でも、それでスペースゴジラが福岡に来た理由について納得できる人は、あまり多くないと思うぞ。
なぜ福岡タワーから宇宙エネルギーを取り込めるのか、その説明は無いんだから。

(観賞日:2014年6月27日)

 

*ポンコツ映画愛護協会