『GO−CON!』:2000、日本
関根汰一、成瀬浩、江口甲斐の3人は、夜ごとレストランで合コンを繰り広げている。汰一はフェロモン、浩は子供っぽい可愛らしさを武器にして女を口説く。甲斐は必ず遅れて登場し、長野五輪の金メダリストだということをアピールする。
彼らの合コンには様々なルールが決まっている。まず、必ず男女は4対4でセッティングする。そして4人目の男は捨て枠として、デブや根暗といった自分達の引き立て役になるような人物を用意する。そんな風なルールに基づいて、女を口説くのだ。
合コンの相手はOLからデパガ、バスガイドやスッチーなど様々だ。時にはブスと合コンしてしまう時もある。また、捨て枠にカッコイイ男を用意してしまうという失敗をやらかす時もある。そんな3人の合コンを、レストランの従業員は賭けの対象にしている。
クリスマスイヴの夜、いつものように3人は合コンをしていた。だが、その日の合コンはいつもとは違っていた。相手の女性の中に、浩と互いの存在を気にしているレストランのウェイトレス・宮本純や、汰一の昔の恋人・綾野美雪がいたからだ。
浩は純のことを気にしながらも、美雪を口説き始める。汰一は美雪を口説こうとする浩の邪魔をしながらも、純を口説き始める。そんな中、4人目の男だった大倉聡の言葉をきっかけにして、合コンの席が険悪な状態になってしまう…。監督は新谷暢之、脚本はいずみ吉紘、プロデューサーは栗原美和子、撮影は宮田伸、編集は矢船陽介、録音は大宮健司、照明は海保栄吉、美術は渡部哲也、音楽はSUPER TRAPP、音楽監修は志田博英。
出演は川端竜太、安藤亮司、古坂和仁、内山理名、木村多江、いかりや長介、永堀剛敏、星野真里、遠山俊也、井口千寿瑠、谷口智、高橋克典、篠原涼子、島木譲二、道又隆成、上地雄輔、桧山豊、与座嘉秋、角田智美、佐藤満月、美崎涼香、西口真生、安井祐子、野仲美貴、渡辺朋子、杉本美保、高木りな、古沢あかね、福澄美緒ら。
フジテレビの深夜番組『つんくタウン』から生まれた映画の内の1本。
監督の新谷暢之と脚本はいずみ吉紘は、これが映画デヴューとなる。
捨て枠のカメラマン役で高橋克典、チーママ役で篠原涼子、トイレで暴れる男の役で島木譲二が友情出演している。この作品は、知られざる合コンのマル秘テクニックを徹底的に描いているわけではない。合コンの場で繰り広げられる、醜くも滑稽な人間ドラマを徹底的に描いているわけでもない。
どちらのポイントも、表面だけを軽く触る程度に抑えている。
前半は、とにかく3人が様々な女性と合コンする様子のダイジェストを繰り返しているだけだ。導入部分としてダイジェストを使っているのかと思ったら、その連続で前半を終わらせてしまう。
さすがに途中で飽きてくるが、そのことによって、合コンの連続に3人が熱を失わないという異常性を浮き上がらせる。シェフ役のいかりや長介に「ダメだコリャ」と言わせたり、島木譲二にパチパチバンチをさせたりする辺りの演出を見ても、マトモな映画を作ろうとしていないことが分かる。
たぶん、長尺の“コントもどき”のような作品を作ろうとしているのだろう。
ここで大切なのは、あくまでも“コントもどき”であるということだ。
決して長尺のコントではない。
なぜならコントとしては完成度が低すぎるし、笑えるような場面もほとんど見当たらないからだ。しかし、それはきっと作品の狙いなのだろう。合コンをきっかけにして、そこから物語が外に展開を見せていくようなことは無い。
あくまでも、物語は合コンという場所で収束する。
映画としての広がりの無さは、合コンがいかに広がりの無い空虚なものであるかを表現している。合コン相手の女性は大げさにステレオタイプ化されており、例えばガングロのコギャルがパラパラを踊るシーンなどは痛々しさを感じる。
女性達のキャラクターは総じて薄っぺらい。
それは、合コンがいかに薄っぺらいものであるかを表現している。3人の普段の生活風景を描けば、彼らのキャラクター造形に厚みが生まれただろう。
しかし、合コン以外のシーンはほとんど無く、彼らは表面上のキャラ設定だけを描写されている。
それは、彼らが合コンの駒の1つに過ぎないということを示している。後半に入ると、浩と純を急接近させたりしてドラマを展開させるが、ものすごくワザとらしくい形になっている。そして、全員に「いかにもセリフでござい」といったセリフや説明臭いセリフを喋らせ始め、急激に不和の状態を作り出す。
そこに感じられる恐ろしいほどのウソ臭さや寒々しさは、合コンがいかにウソ臭くて寒々しいものかということを表現しているのだ。
終盤には切なさを醸し出そうとしているようだが、それはこの作品が作られたことに対する切なさへと変化する。