『ガール』:2012、日本

滝川由紀子、武田聖子、小坂容子、平井孝子の4人が最初に出会ったのは、ホットヨガのスタジオだった。そこで仲良くなった4人は、一緒にフラやビーズアクセサリーの教室に通い、今はパン教室に通っている。聖子は34歳で、由紀子にとっては大学時代のゼミの先輩だ。最近は仕事で忙しい。同じく34歳の容子は、恋も男もめんどくさいモードに入っている。36歳の孝子はシングルマザーで、常に自分よりも息子の祐平を優先している。由紀子は29歳の誕生日を迎え、バーで3人に祝福してもらった。孝子の営業職復帰と、聖子の管理職昇進も、同時にお祝いした。
由紀子は最近、彼氏が出来た。大学時代から10年も友人関係だった森本蒼太から告白されたのだ。しかし由紀子は友人関係が長すぎて、今一つ実感が沸かない。オシャレが生き甲斐の由紀子は、その日も自慢の服で着飾っていた。しかし3人は彼女の日頃のファッションに関して、「29歳は若くもない。痛くなりつつある」と厳しい意見を述べた。幼少時代、由紀子は母から「女の子は幾つになってもお姫様」と言われ、可愛くてキラキラした手作りの服を着せてもらっていた。その頃の感覚を、彼女は今も持ち続けていた。彼女にとってオシャレは、生きる力だった。
広告代理店で勤務する由紀子は、指示されていた婦人服売り場の販促レポートを提出するが、女子とオシャレの関係について記した内容を「お前の日記か」と上司から批評される。しかし上司は由紀子に、桜田百貨店の婦人服フロアの新装イベントを担当させることにした。由紀子が同僚と一緒に喜んでいると、オシャレのセンスが合う営業部の先輩・光山晴美がやって来た。ファッションについて盛り上がる2人を見て、同僚は呆れた。
不動産会社に勤務する聖子は、三課の課長に昇進した。社内で最も平均年齢の若い部署であり、聖子は「チャレンジしていきましょう」と挨拶する。部下の北村裕子が「社内企画書は無駄だと思うんですけど。内容はクライアントと同じだし」と意見を述べると、彼女は「検討しましょう」と答えた。話を続けようとすると、部下の今井哲夫がウンザリしたように「もういいですか」と口を挟んだ。彼は冷淡な態度で「前例はぶち壊すんでしょ。まずは、くだらない挨拶からやめたらどうですか」と告げた。帰宅した聖子は、年下の夫である博樹の前で今井への怒りを吐露する。博樹も働いているが、稼ぎは聖子の方が多く、住んでいる家も彼女の収入で購入したものだ。
由紀子は晴美に誘われ、ディスコへ遊びに行く。楽しそうに踊る晴美を眺めている由紀子に、付き合わされた同僚は「由紀子は、おミツみたいになりたい?38歳で独身、仕事は出来るらしいけど、痛い女」と言う。「結局、会社はおじさんと若い女たちで回ってんの」と口にするので、由紀子は「私たち、まだ全然OKだよ」と呑気に告げる。同僚は「今だけだよ。30過ぎると早いらしいよ。痛くなってからじゃ遅いし」と言い、別れるつもりだった男とも現実を考えて交際を続行していることを話す。
聖子は博樹から、今井に歩み寄ってみるよう助言される。会議に参加した彼女は、重要案件の調整役を今井と裕子に依頼した。由紀子は百貨店の部長たちと会い、女性向けトークショーの開催をプレゼンする。彼女は若い女性たちに人気のあるゲストを呼ぶことを提案するが、部長たちは全く知らず、「タレントは呼べないの?」と言い出す。同席した晴美は部長と知り合いで、「ダメよ、もっとアンテナ張っておかないと」と告げた。
晴美がゲストについて説明すると、部長たちは笑顔で納得した。しかし百貨店社員の安西博子は、以前に行われた同様の催しで見込みの半分も客が集まらなかったことを指摘する。「知名度が低すぎるのは危険だと思いますが」という彼女の意見で、部長たちは考えを変える。晴美は女性誌の特集と連動させる狙いがあると説明するが、それは由紀子が全く考えていなかったことだった。晴美は「安西さんの言うことも尤もです」と言い、もう1つの目玉企画を彼女と一緒に考えることを部長に提案した。
博子から「代理店さんは随分と服装が自由なんですね」と嫌味を言われた由紀子は、新しい服や靴で着飾って気分転換した。文具メーカーで勤務する容子は、新人社員・和田慎太郎の教育係を任された。イケメンの和田は、女子社員たちの注目を集めた。由紀子は蒼太とデートするが、いつも同じ店なので苛立つ。しかし彼女が怒りをぶちまけても、オシャレしていることを説明しても、蒼太は呑気な態度を全く崩さなかった。彼がプレゼントを差し出したので、由紀子は喜ぶ。しかし中身が圧力鍋だったので、由紀子は唖然とした。
車の販売店で働き始めた孝子は、毎日の帰りが遅くなった。祐平の世話はベビーシッターに頼んでいるが、仕事が終わると、なるべく早くアパートへ戻るようにしている。仕事を始めても祐平のことは常に気にしており、親子の関係は良好だ。学校からの連絡帳を読んだ彼女は、祐平が運動を苦手にしており、逆上がりが出来ないことを知った。息子に教えたいと考えた彼女は、公園で逆上がりの練習に励む。そこへ通り掛かった男が「ストレスか」などと言うので、孝子は事情を説明した。すると男は「もう一回、やってみな」と言い、アドバイスを送って練習に付き合った。逆上がりに成功した孝子は、男と一緒に喜んだ。
聖子は今井に、重要案件の経過報告を求めた。すると哲夫は「任せるって言ってましたよね。荒っぽい連中も多いですからねえ、女が出ると舐められるんですよ。課長は接待でもしてて下さいよ」とバカにしたように告げた。聖子は上司に、なぜ年上で仕事も出来る今井を差し置いて自分が昇進したのか質問した。すると上司は、今井が大阪支社の人間の子飼いであり、勝手にいじれないのだと説明した。上司から「立ててやれよ。カチンと来るやつもいるんだからさ」と言われた聖子だが、納得は出来なかった。
容子は和田を連れて、担当地区の文具店へ挨拶回りに出掛けた。年上の女性たちは、みんな和田を見て心をときめかせた。容子は彼を「私の彼氏です」と紹介し、結婚する妄想を膨らませた。聖子は残業している裕子に気付き、「疲れてるみたいね?」と声を掛けた。裕子は思い詰めた表情で「私は今井さんのアシスタントですか」と問い掛け、悩みを打ち明けた。翌日、聖子は今井を呼び、裕子を軽く扱うことをやめるよう促した。しかし今井は女性を見下す態度を変えず、「だから女は使えねえんだよ」と吐き捨てた。
由紀子は晴美を伴い、博子を料亭で接待した。彼女は目玉企画について「イベントに必要な物は夢です」と言い、客にモデルとして参加してもらうファッションショーを提案した。すると博子は「お客様から選んだという体にして、プロのモデルを頼みましょう」と告げる。「それじゃあ意味が」と由紀子が反発すると、彼女は「素人モデルじゃ服が入りません。商品が台無しです」と述べる。博子は「百貨店は生き残りのために必死に知恵を絞ってるんです。サークルのノリじゃ困るんです」と鋭い口調で語った。
由紀子が「だから女子のための女子企画を」と訴えると、博子は「その女子という言葉、嫌いです。30になっても40になっても、女子という言葉で自分を誤魔化して、未熟なままで許されるつもりでいる。そういう考え方、どうかと思いますけど」と批判した。晴美は博子を二次会と称してバーへ連れて行き、酒を飲ませ、本音で話すよう促した。すると博子は、「女が全員、自分に自信を持っているわけじゃないんです」と話す。晴美は「自信なんて、みんな無いわよ。背伸びするのが女じゃない?」と彼女に告げた。由紀子は上司から、百貨店の担当を外れるよう指示された。
休日、孝子は祐平を公園へ連れて行き、鉄棒の練習をさせる。祐平は何度かチャレンジして逆上がりに成功し、孝子は彼と喜び合った。ベンチで弁当を食べていると、一組の父子がやって来てキャッチボールを始めた。孝子は後日、あの男に頼んでキャッチボールの練習に付き合ってもらう。男は「俺が代わってやろうか。大変じゃん、親父の代わりまでするのって。頑張り過ぎなんだよ」と告げた。
由紀子は派手な服に身を包み、蒼太の働く工場へ赴いた。悩みがあることを見抜いた蒼太に、彼女は「20歳の頃、29っていうと、ちゃんとした大人だと思ってた。せっかく貰ったチャンスも干されてるし、頭の中が空っぽなんだよね」と話す。すると蒼太は「なんで悩んでるか分かんないんだよね。まだ29じゃん」と軽く言う。由紀子は苛立ちを示し、「なんで正論ばっか言うの。理屈じゃないの。29になると、急にガールじゃなくなるの」と喚いた。しばらく間を置き、蒼太は「結婚、お前がいいなら、俺はいいよ」と口にした。由紀子は「どんだけ無神経なの?アンタじゃ全然ときめけない」と怒りをぶつけた。
後日、由紀子は容子に相談し、「慰めてって言えばいいのに。もっと素直になんなよ」と告げられる。由紀子は後頭部にハゲが出来ていることを打ち明けた。容子は「私は結構好きだよ、アンタの夢見がちなとことか。別に人生に目標なんか無くてもいいと思うし。たださ、自分のことは見失わないようにしないと、傷付くのは自分だよ」と話した。聖子は裕子から、彼女のデザインが今井に握り潰されたことを聞く。聖子は今井を呼び出し、「そんなに怖いんですか、女に負けるのが」と責める。すると今井は「気の毒にねえ、オタクの旦那。家でもメンツを潰すこと、平気でやってるんだろうなあ」と嫌味を言って立ち去った。
由紀子は地味な格好で蒼太と会い、「ここままじゃダメなんだよね。いつまでもガールじゃなくて、年相応の女にならなくちゃ。結局、夢や霞だけじゃ生きて行けないんだよね」と笑顔を取り繕って話す。蒼太は「それでなんか解決するわけ?お前のいい所はさ、何があっても能天気で前向きで、派手とか痛いとか言われても好きだって言える所じゃん。お前らしくさ」とと話すが、彼女は「私らしくじゃダメなんだよ」と声を荒らげた後、「もう私、頑張れないよ」と弱音を吐いた。
ゼミのOG会に参加した由紀子は、子供から「おばちゃん」と呼ばれて顔を強張らせた。一緒に参加した聖子と2人で休憩していると、由紀子と同学年の潮田美奈かやって来た。既に結婚して子供もいる彼女は、「いいなあ、由紀子も聖子さんも自由なんだもん。バリバリ働いて、男の人と張り合って。こっちは狭い世界で家事と育児だけ。焦っちゃう」と悲しそうに漏らす。聖子は「私たちもブルーだよ。先も見えないし、焦ってるのはこっち。きっとみんなそう。人生の半分はブルーだよ」と告げた…。

監督は深川栄洋、原作は奥田英朗『ガール』(講談社刊)、脚本は篠崎絵里子、エグゼクティブプロデューサーは濱名一哉、スーパーバイジングプロデューサーは那須田淳、プロデューサーは久保田修、共同プロデューサーは辻本珠子&幾野明子&八尾香澄、アソシエイトプロデューサーは石黒研三、ラインプロデューサーは原田文宏、撮影監督は河津太郎、美術は黒瀧きみえ、録音は林大輔、編集は今井剛、音楽は河野伸、音楽プロデューサーは溝口大悟、主題歌『私たち』は西野カナ、挿入歌『Revolution』『Just The Way You Are』はMiChi。
出演は香里奈、麻生久美子、吉瀬美智子、板谷由夏、檀れい、向井理、加藤ローサ、上地雄輔、要潤、林遣都、波瑠、段田安則、初音映莉子、吉田羊、黒川芽以、森崎博之、野間口徹、矢島健一、モロ師岡、池田成志、左時枝、諏訪太朗、中丸新将、天光眞弓、粟田麗、長田奈麻、廻飛呂男、粕谷吉洋、加藤満、俵木藤汰、根本亜季絵、田中えみ、山県みつき、菊妻亮太、光山文章、海老瀬はな、中野剛、有山尚宏、山田キヌヲ、松尾美紀、吉田智美、塩谷恵子、小川築舞衣、下塚恭平、高田郁恵、猫田直、内山千春、里久鳴祐果、桜井ふみ、小出ミカ、生津徹、松林慎司、神野崇、椙杜翔馬、成田ひより、小林里乃、小林美海、曽我夏美、中谷一博、原千果子、チェルシー他。


奥田英朗の同名小説を基にした作品。
由紀子を香里奈、聖子を麻生久美子、容子を吉瀬美智子、孝子を板谷由夏、晴美を檀れい、蒼太を向井理、博子を加藤ローサ、博樹を上地雄輔、今井を要潤、和田を林遣都、裕子を波瑠、百貨店の部長を段田安則、美奈を初音映莉子、由紀子の同僚を吉田羊、聖子の上司を矢島健一、容子の上司をモロ師岡、由紀子の上司を池田成志が演じている。
脚本は『映画 クロサギ』『あしたのジョー』の篠崎絵里子、監督は『洋菓子店コアンドル』『神様のカルテ』の深川栄洋。

原作は5本の短編で構成されており、映画では、その内の4本を再構成して1本の長編に仕上げている。それぞれの短編の主人公を親友という設定にして、4人それぞれの物語を並行して進めていく形にしてあるわけだ。
たぶん、『セックス・アンド・ザ・シティ』を意識しているんじゃないかなあという気はする。
原作が5本の短編で構成されているのに、4本だけを抽出し、ヒロインを4人の女性にして辺りからして、『SATC』を意識していることが透けて見える。
奥田英朗の作品だから、たぶん原作は、そんな「アーバンな女たちのライフスタイルをオシャレなタッチで描く物語」という内容ではないんだろうけど。

「たまたま4人のヒロインって部分が『SATC』と同じだけでしょ」と思うかもしれないが、そうではない。
冒頭、由紀子が着飾って走りながら、「オシャレは私のテンション。オシャレは命のビタミン」などと楽しそうなナレーションを語る浮かれポンチなシーンなんて、まんま『SATC』の世界だ。
4人がホットヨガのスタジオで知り合い、一緒にフラやビーズアクセサリー、パン教室に通っているという「生活にそれなりの余裕があり、趣味に使う時間がある」という設定なんかも、『SATC』っぽい。
トップ・オブ・トップの上流で暮らしているわけではないけど、決して一般庶民ではなくて、オシャレな仕事場で働いていたり、同年代の一般的月収に比べれば報酬が良かったり、その辺りも『SATC』っぽい。

別に『セックス・アンド・ザ・シティ』を意識しようが何だろうが、面白ければ別にいいんだけど、ちっとも面白くないんだな、これが。
ただ、「そもそもワシみたいな人間が見るべき映画ではないのかもしれない」という問題はある。
『SATC』は、TVシリーズは見ていないが、映画版は2本とも見た。しかし、ちっともハマらなかった。
そもそも『SATC』って完全に「オシャレな暮らしに憧れを抱く女性」をターゲットにしたような作品なので、その時点でワシみたいな人間は排除されていると考えた方がいいのかもしれない。
そして、それを意識して作っているのであれば、これもまた、ワシみたいな人間が見るべきではないのかもしれない。

ハッキリと言えることは、この映画がアラサーやアラフォー女性の共感を重視した作りになっているってことだ。
メインのヒロイン4人と同年代で、それも専業主婦ではなく仕事を持っている女性たちが、「ああ、分かるなあ」「私も同じ気持ちだ」と感じるようにってことを、何よりも意識しているんだろう。
ヒロイン4人は、それぞれに異なる問題、異なる悩みを抱えているので、「いずれかで共感できることがあるだろう」という狙いがあるんだろう。

繰り返しになるが、そんな風にターゲットを完全に絞り込んで作られている映画なので、ヒロインたちと同年代で、同じような境遇にある女性であれば、素直に共感できて、それなりに楽しむことが出来るのかもしれない。
しかし、そのコミュニティーから外れてしまったワシのような人間からすると、ただの薄っぺらい話でしかない。
そもそも、ここで描かれている女性たちの問題は、そんなに大きな悩み、深刻な悩みではない。
軽くて浅い悩みばかりだ。

それに、「30歳を控えて人生に焦る」とか、「年下の部下に恋をする」とか、そういったモノは、多くのドラマや映画や漫画などで何度も使われたネタだ。
「女に偏見を持って見下す部下」なんてのは、かなりステレオタイプで、古い漫画チックだ。
とは言え、「だからダメ」というわけではない。軽い悩み、使い古されたネタであっても、演出のやり方によっては、充分に面白く仕上げることは出来る。
しかし、この映画は、使い古されたネタを、何の捻りも無く凡庸に描いているだけなのだ。

あと、困ったことに、内容は浅くて薄っぺらいのに、上映時間は124分もあるんだよなあ。それは長すぎるわ。
「4人の物語を丁寧&濃密に見せるためには、それぐらいの時間が必要」ってことかもしれんけど、濃密じゃないからね。ただ単に、時間を掛けてペラペラの人生を描いているだけだ。
実のところ、シングルマザーの孝子のエピソードなんかは、肉付けのやり方によっては、それだけで1本の映画に出来るぐらいの可能性を秘めていたりするんだけど、でも結果としては薄いモノになっているし。
公園で出会う男も、どういう関係なのかイマイチ良く分からんし。

特に深刻なのが由紀子だ。抱えている悩みは深刻じゃないけど、それが映画としては深刻なのだ。
つまり、「こいつの悩みって何なの?」と思っちゃう。
1つの問題だけでなく、複合的な理由で悩んでいるみたいだけど、結果として「ボンヤリしたエピソード」になっているのだから、そりゃダメでしょ。
それに、彼女って博子が指摘するように、サークルのノリで仕事をやっているだけだから、それで企画を批判されたり否定されたりしても、そりゃ当然だとしか思えない。
「最初は浅薄だった由紀子が人間的に成長する」という展開になっているならともかく、こいつは最後まで、そんなに成長していないしね。

4人の中では、ナレーションを担当している由紀子が中心のはず。
だが、クライマックスにおいては、彼女が携わるファッションショーのシーンよりも、並行して描かれる「聖子が全体会議に出席して今井に逆襲する」というシーンの方が、明らかに力として強い。
それに、ショーの方は、由紀子ではなく、ドタキャンになったモデルの代役を務める博子がヒロインに摩り替わってしまっている。
そこは欲張った弊害が出ていて、博子の扱いが大きすぎるのだ。

あと、「これってホントにヒロインと同年代の女性から共感を得られる映画になっているのかな」という部分で、ちょっと疑問を抱いてしまうんだよね。
と言うのも、今井の極端すぎる(としか思えない)キャラクター設定に代表されるように、かなり漫画チックな味付けが施されており、ホントは「女性のリアルな悩み」を描いているはずなのに、全てが絵空事っぽく見えちゃうんだよね。
その「絵空事」感覚は、特に由紀子の部分に強い。
だから、「世の中、そんなに甘くねえよ」と思われてしまうんじゃないかなあと。

それに、劇中では「古い価値観に捉われたステレオタイプの女性像に当てはめようとする周囲の人々と、それに立ち向かう4人」という図式があるが、4人のエピソードの描写そのものが映画としてのステレオタイプになっているような印象も受ける。
『SATC』のように、衣装や装飾品、登場する場所などに「流行発信」としての価値がそんなに感じられるわけでもない。
セールスポイントを見出すのが、非常に難しい映画という印象だ。

(観賞日:2013年11月8日)

 

*ポンコツ映画愛護協会