『GANTZ: PERFECT ANSWER』:2011、日本

ある日、トップモデルである鮎川映莉子がマンションに戻ると、郵便受けに箱が入っていたる箱を開けると、ガンツを小さくしたような 球体が入っていた。鮎川は球体をゴミ箱に捨て、眠りに就いた。翌朝、彼女が目を覚ますと球体が手に握られていた。そして球体は、 「きのうの夜はおつかれちま。1つ目の鍵は受け取りました」という文字を表示した。続いて球体は「部屋への鍵は4。次はこの方だす」 と表示し、「やまもと」という名前の女子高生を標的に指定した。
5ヶ月前。地下鉄で自殺しようとした玄野計は小島多恵に助けられ、「好きなんです」と告白された。その様子を、重田正光という男が 目撃していた。彼は連発する行方不明事件を調べており、数名の生存者を確認していた。そして地下鉄人身事故で現場から消失した玄野と 加藤勝の姿も確認した。国立博物館の崩壊事故から5ヶ月が経過したが、原因は不明のままだ。玄野はバイト生活を送りながら、加藤の弟 ・歩の住むアパートを良く訪れる。彼は多恵に頼んで、歩の面倒を見てもらっている。家賃は玄野がこっそり支払っている。玄野は歩に、 「加藤は仕事に出ている。もうすぐ戻る」と嘘をついていた。
地下鉄のホームで電車を待っていた女子高生の山本真子は、誰かに突き落とされて死亡した。彼女がガンツのあるマンションの一室へ転送 されると、玄野、鈴木良一、桜井弘斗、坂野理沙、高橋光輝が待ち受けていた。玄野は「最初は見ているだけで構いません」と山本に言う 。突然の休養宣言をした鮎川の元に重田が現れ、「真相を掴んだんですよ」と言う。彼は「死んだはずの人間が現場から姿を消し、夜が 明けると何事も無いように生活を送る。その夜は必ず、東京のどこかで破壊活動が行われている。黒い球と、それがある部屋について 知ってるんですよね」と話し掛けるが、鮎川は答えずに走り去った。
重田は地下室に集まっている黒服の男と仲間たちの元へ赴き、鮎川の情報を教えた。黒服のリーダー・壹は「じゃあ4つ質問していいよ」 と述べた。狙いを尋ねると、彼は「黒いボールを探してる」と答えた。「それがある部屋はどこにある?」と訊くと、「この空間には無い 。あの部屋へは普通じゃ行けない」と答える。4つの質問を終えても、さらに重田は情報を聞き出そうとする。壹は「知りたかったら、 もう1人調べて来て」と言い、玄野の写真を渡した。
玄野はトータルの点数が94点まで到達していた。小林新一という新メンバーが加わり、新たなミッションを待っていると、さらに中村孝太 という若者が転送されてきた。鈴木はミッション参加者に、玄野が100点を取って加藤を生き返らせようとしていることを語った。すると 玄野は「こいつだけじゃなく、全員を生き返らせて、自由になりましょう」と話す。一方、鮎川は3つ目の鍵の標的である中村を殺し、 球体は「最後の鍵はこの方だす。」と指示して多恵の姿を写し出した。
玄野は多恵に、遊園地へ一緒に行こうと誘いを掛けた。彼がアパートへ戻ると、加藤が待ち受けていた。「どうやって生き返ったんだ?」 と玄野は動揺すると、加藤は答えずに「ガンツを終わらせたい。知らないか、これぐらいの黒いボール」と小さな球体のサイズを示す。 玄野が「さあ」と言うと。加藤は「また来る。何か分かったら教えてくれ」と立ち去った。しかし玄野がガンツ部屋に行くと、まだ加藤は 死亡者リストには掲載されたままだった。
加藤は自分のアパートへ戻って来た。多恵は彼に挨拶し、部屋を去った。鮎川は多恵の居場所をキャッチして追跡し、それを重田が尾行 して黒服に電話で連絡した。ガンツは黒服星人を標的に指定し、玄野たちは地下鉄の列車内に転送された。玄野が「なんか変だな」と 感じる中、列車は動き出す。列車が駅に到着すると、鮎川や重田、黒服の6人、さらには大勢の乗客たちも乗り込んできた。
いつもと違ってミッションの場所に大勢の人々が現れたため、玄野たちは困惑した。鮎川は多恵のいる車両へ向かい、黒服は壹だけが彼女 を追う。他の弐、参、肆、伍、陸は、玄野たちのいる先頭車両へ向かった。彼らは無言で発砲し、乗客を射殺した。パニックになって人々 が逃げ惑う中、玄野たちは星人と戦う。山本、小林、中村の3人は、慣れた戦いぶりを見せた。山本は玄野に、「思い出した。私、前にも 同じことやってる。前にもあの班にいた。中村さんも小林さんも」と語った。
重田は星人に発砲するが、相手は全く動じない。玄野は戦って電車の外に弾き飛ばされた際、多恵が逃げているのを目撃した。走って車内 に戻った玄野は、重田の前に星人を斬った。重田は立ち上がった星人を撃って仕留める、玄野は彼の横を通り過ぎて多恵の元へと走った。 玄野は多恵を助けて隣の車両に逃がし、壹と戦う。壹は車両を切り離して逃げようとするのが、玄野は追い掛けて仕留めた。
弐は坂野を殺した後、山本たちに仕留められた。弐は「復讐だ。先に仕掛けたのはお前たちだ。お前たちが仲間を殺した。絶対に許さん」 と言い残して死亡した。ミッションは終わり、玄野たちはガンツ部屋に転送された。一方、鮎川が構内を歩いていると加藤が現れ、「復讐 だ。お前たちは仲間を殺した」と告げて彼女を射殺した。加藤は小さい球体を拾って去った。ガンツ部屋に鮎川が出現し、山本たちと再会 した。鮎川、山本、小林、中村は2年前、黒服星人たちを殺して卒業し、記憶を消されて解放されたのだ。
鈴木は100点に到達したが、自らの解放ではなく、加藤を生き返らせることを選択した。鮎川は、自分が加藤に「復讐だ」と言って殺害 されたことを語る。それを確かめるためにも、玄野たちは加藤を生き返らせることにした。本物の加藤がコスチューム姿で出現したため、 鮎川を殺したのが星人だとハッキリした。玄野も100点を越えていたが、彼は西を復活させることにした。玄野は西に「説明してくれ、 ガンツに異変が起きてる」と言う。西は鮎川たちを見て驚いた。西が「なんでいるんだよ」と訊くと、鮎川は「ガンツに呼び戻されたの。 卒業生が連れ戻された」と答える。
西は玄野の質問に対し、「電池切れ。俺の推測では、ガンツってこいつのエネルギー吸って生きてる」と、球体の真ん中に座っている玉男 を指し示す。そして「だから、このハゲの寿命が来たらガンツもゲームオーバーって話」と言葉をつづけた。鮎川は「ガンツが消滅すれば 、私たちも消えて無くなる」と口にした。山本は「ガンツも焦ってるのかも。寿命が来る前に星人全部を倒したくて、卒業生を呼び戻した とか」と述べる。西は「もしかしたら強敵が残ってるのかもよ」と言う。加藤は、その強敵が千手観音だと推測した。
その時、ガンツからミッションを告げる歌が流れて来た。ガンツが緊急ミッションとして表示した標的は多恵だった。さらに「ヤッつけた 方、100点。それ以外、得点没収。」と表示される。玄野は狼狽しながら、「彼女は星人じゃないだから殺さないでくれ」と頼む。山本が 「彼女も卒業生?」と言うと、西は「いや、見たことない」と告げ、小林は「じゃあ、やっぱり星人か」と口にした。
西が「今、ボールはどこに?」と訊くと、鮎川は自分を殺した加藤星人が持っていることを告げる。すると西は「やばいな、もしそいつが 先に小島多恵を殺したら、持ち主が転送されて来る」と言う。鮎川たちは、それを阻止するためにガンツが多恵を殺させたいのだと推測 した。鮎川は「ガンツの命令ならやるしかない」と言い、多恵を殺す意思を示す。玄野は多恵を守るため、自分を最初に転送するよう ガンツに求めた。転送された先は、自分のアパートだった。ドアを開けると、外には多恵が座り込んでいた。
玄野は多恵に、「後で説明するから、今は一緒に逃げよう」と告げた。そこへ加藤星人が襲い掛かって来たため、玄野は多恵を背負って 逃げ出した。加藤星人を撒いた玄野だが、商店街で鮎川たちに包囲される。すると鈴木と桜井が味方になってくれた。桜井が「先に行って 下さい。俺が足止めします」と言い、玄野たちを逃がした。桜井は鮎川たちに威嚇発砲するが、西に始末された。一方、加藤が自分の アパートへ戻ると、歩は殺されていた。玄野、多恵、鈴木はビル屋上に避難するが、加藤星人が現れた。玄野は鈴木に多恵を預けて逃がし 、加藤星人に戦いを挑む。玄野が危機に陥ったところへ、本物の加藤が駆け付けた…。

監督は佐藤信介、原作は奥浩哉「GANTZ」集英社/週刊ヤングジャンプ連載、脚本は渡辺雄介、製作指揮は宮崎洋、製作は大山昌作& 鳥嶋和彦&島谷能成&藤島ジュリーK.&堀義貴&平井文宏&村上博保&大橋善光&鳥羽乾二郎、エグゼクティブプロデューサーは 奥田誠治、シニアプロデューサーは菅沼直樹、企画プロデュースは佐藤貴博、プロデューサーは田中正&飯塚信弘、ラインプロデューサー は毛利達也、撮影監督は河津太郎、美術監督は原田恭明、録音は横野一氏工、編集は今井剛、特殊造型プロデューサーは蟻川昌宏、 アクション監督は下村勇二、特殊衣装は竹田団吾、特殊メイクは若狭新一、助監督は李相國、プロデューサー補は田中誠一、特撮監督は 神谷誠、CGプロデューサーは豊嶋勇作、CGディレクターは土井淳、VFXスーパーバイザーは前川英章、音楽は川井憲次。
出演は二宮和也、松山ケンイチ、吉高由里子、山田孝之、田口トモロヲ、伊藤歩、綾野剛、本郷奏多、夏菜、千阪健介、白石隼也、 戸田菜穂、緑友利恵、玄覺悠子、若葉竜也、阪田マサノブ、越村友一、橋本まつり、水沢奈子、奥瀬繁、平野靖幸、大石将史、神威杏次、 松尾英太郎、池上幸平、安形意知郎、末広透、田中和次朗、中村無可有、谷口正雄、YOSHI、蒼あんな、蒼れいな、梅舟惟永、藤井貴規、 田村健太郎、吉村卓也、河西裕介、平田薫、本田望結、吉谷彩子、前田恭明、浜野ゆうき、長谷部浩幸、樋山和佳、森圭介 (日本テレビアナウンサー)、ら。


奥浩哉の漫画『GANTZ』を基にした2部作の後篇。
玄野を二宮和也、加藤を松山ケンイチ、多恵を吉高由里子、重田を山田孝之、鈴木を 田口トモロヲ、鮎川を伊藤歩、黒服 壹を綾野剛、西を本郷奏多、岸本を夏菜、歩を千阪健介、桜井を白石隼也、黒服 参を水沢奈子、 山本を緑友利恵、坂野を玄覺悠子、高橋を若葉竜也、小林を阪田マサノブ、中村を越村友一が演じている。
多恵が地下鉄のバトルで守ろうとする幼女を演じているのは本田望結。

『GANTZ: PERFECT ANSWER』というタイトルは、ほとんどインチキみたいなモノだ。
このタイトルを見た時に、普通は全ての謎が解明されることを期待するだろう。
すなわち、「ガンツとは何なのか」「星人たちは何者で、どんな目的を持って地球に飛来したのか」「なぜ玄野たちは星人を倒す ミッションを強いられたのか」「異次元で星人たちに遭遇するってことは、そこが彼らの生息場所なのか。それとも、星人もミッションの 際に異次元へ転送されているのか」など、様々な謎が解き明かされることを期待するだろう。
しかしながら、それらの謎は何一つとして解明されないままで終わってしまうのだ。

では、「PERFECT ANSWER」というのは、何を示しているのか。
それは、たぶん「終盤で玄野が出した答え」ということになるんだろう。
彼が問題を解決するために出した答え、完全ネタバレだが、自らが玉男となって全員を復活させるというのが、「PERFECT ANSWER」って ことなんだろう。
でも、それって「アンサー」ではあっても、決して「パーフェクト」ではないんだよね。
とりあえず、当面の危機を凌ぐための答えでしかない。

前回に比べると、今回はソード・アクションが圧倒的に増えている。
だけど、これは前作でもそうだったんだけど、「一発で仕留めることの出来る銃を持っているのに、なかなか撃たない理由は何なのか」 という疑問が付いて回ることになる。
そりゃあ、剣を使った方が見栄えのするアクションになるという考えなら、それは分からないでもない。
だけど、前作で銃の威力を見せちゃってるので、どうしてもソード・アクションにしたいのであれば、銃を使わない理由、もしくは 使えない理由を用意しておく必要があるでしょ。

今回の対戦相手は、人間タイプばかりだ。
最初の連中は黒服星人という、人間と全く見た目が変わらない星人。その次は、加藤に化けた星人。だから当然、こいつも人間の外見。 ミッション参加者同士の戦いも、もちろん見た目は人間ってことになる。
だから前作のような、見た目が奇抜な星人との戦いは一度も登場しない。
クライマックスのバトルなんて、もうガンツ部屋の座標は分かったんだし、千手観音が人間に化ける必要はないはずなんだけど、なぜか西 に化けている。
「見た目が変わっている星人との戦い」って、アピールポイントの1つだったんじゃないのか。
そこを簡単に捨てちゃうのね。

前作では「ミッションが行われている場所は現実世界ではなく異次元」ということがボンヤリしていたが、今回の地下鉄のシーンによって そのことが明確になる。
そして明確になったことによって、「なんでミッションは夜に限定されているのか?」という疑問が、さらに強くなる。
現実世界で行われているのであれば、「無関係の人に見つからないように」という理屈を付けることが出来る(まあ夜中だからって誰にも 見つからずに多くの戦いを繰り返すのは無理だと思うけど)。
でも異次元なら、夜である必要性は無い。

それでも一応、「寝る時間に転送され、ミッションが終わったら自分の部屋に戻されて眠り、そして翌朝になるという描写に出来るから」 という説明を付けることは出来る。
ただ、夜中だからって誰もが寝る時間とは限らないしね。夜勤の人なんて、どうすんのかと。
ガンツに呼び出される度に仕事場から消えて、ミッションが終わったら戻って来るのか。それを誰にも見つからずに続けるなんて、難しい でしょ。
っていうか、前篇の批評でも書いたが、「戦う場所が暗いから、何をやっているのか見えにくい」というマイナスがあるわけで、異次元で やるなら夜である必要性は無いんだし、明るい場所にした方がいいんじゃないかと。

加藤が「復讐だ。お前たちは仲間を殺した」と告げて鮎川を殺しているシーンで、彼が星人の化けた姿であることは明白になる。
だが、玄野たちは偽者であることを確かめるため、加藤を生き返らせる。
そりゃあ確認作業をするってのは当然の手順なんだけど、こっちからすると、既に星人であることは分かっているので、本物の加藤が復活 しても、何のサプライズも高揚感も無い。「そりゃあ、そうだろ」と予定調和を感じるしかない。
でも、そこは予定調和が歓迎されるような箇所じゃないはずで。
例えば、本物の加藤が何らかの方法で現れた時に初めて「それまでの加藤は偽者だ」と玄野たちが気付くようにするとか、あるいは偽者と 対峙している時に星人だと見抜くとか、そういう形にした方がいいんじゃないかと。

玄野は加藤に続いて西を復活させるんだけど、その意味良く分からない。
「ガンツに詳しい奴を復活させて情報を得よう」とするのは、そんなに間違った考えじゃない。だけど、鮎川たちだって詳しいはず でしょ。もう卒業したってことは、それだけの経験値があるわけで。
っていうかさ、玄野や鈴木だって100点に到達するぐらいの経験値はあるわけで、それなら西って同程度の知識なんじゃないのかと。 そもそもガンツって、詳しい情報は教えてくれないんだし。実際、西の言うことって推測に過ぎないし。
それなら「西は頭がいいから何か思い付くのでは」ということで呼び出す形にすればいいんだけど、なぜ呼び出したのかという理由は 教えてくれないからね。

前篇の終盤に多恵が玄野に告白していたが、ものすごく唐突で違和感があった。一応、彼女が玄野に惚れているという描写はあったけど、 薄かったし。
で、前篇の欠陥を今回も引きずっていて、多恵に告白された玄野が、もう彼女に惚れていることに引っ掛かりを覚える。それまでに彼女の ことを意識していたとか、そういう様子は全く無かったのに。
これは今回の映画が悪いと言うよりも、前作で描写が不足していたことが響いている。
っていうか、ぶっちゃけ、ロマンスって邪魔だったりするんだけど、そこを外すと今回のメインである「多恵が標的になったので彼女を 守るために玄野が戦う」という筋書きをやらなくなっちゃうので、入れざるを得ない。
で、そうなると、やはり逆算して、前作がダメなんだよね。

あと、その多恵がガンツの標的にされた理由がサッパリ分からないんだよなあ。
鮎川たちは「加藤星人が先に多恵を殺したら、ここに転送されて来る。それを阻止するため」と語っているけど、そもそもガンツが多恵を 標的にしなければ加藤星人が狙うことも無かったわけだから、それは理由の説明になっていない。
それにガンツがミッションそのものを取り消せば、加藤星人が多恵を殺して転送されることも不可能になるんだから、そうすりゃいい でしょ。
多恵が鮎川たちと同じガンツ卒業生なら説明が付くが、西が「見たことは無い」と否定しているし。
終盤に玄野が「いつまでも俺に戦えって言ってるんだろ。だから多恵ちゃんを狙わせたんだろ」と言ってるけど、「なるほど、そういう ことか」とは絶対に思えないよ。

加藤と歩の兄弟関係とか、要らない感じがするんだよなあ。
加藤が殺されて怒りに燃えるという展開があるんだけど、そもそも星人が歩を殺す必要性って皆無なんだよね。「なぜ殺した?」という質 問に「お前も父親を殺しただろ」と言ってるけど、何の答えにもなっていない。
玄野が多恵を守るために戦うので、加藤も同じように戦うモチベーションを用意したいのは分かるけど、そこは玄野への友情から彼を サポートしてやるとか、あるいは「敵が歩を殺すかもしれないから、弟を守るため」とか、そういうことでもいいんじゃないの。
なんか無駄に歩が殺されている気がしてならない。

玄野は加藤星人から逃げる時、最初は多恵を背負っている。そうすればガンツスーツの能力で速く走れるからだ。
ところが、カットが切り替わると、彼と多恵と手を繋いで商店街を走っている。その状態で特殊能力を発揮すると多恵が付いて来られない から、もちろん速度は遅くなっている。
いやいや、なんでスピードを緩めたのか。
で、鮎川たちに包囲された時も、また手を繋いで逃げ出す。
すぐに鮎川たちが追い付いて来れる距離にいると分かっているのに、なぜガンツスーツの能力を使わないのか。
っていうか、鮎川たちも追い掛けず、その場に立ち止まって発砲するんだよな。
ガンツスーツの能力で追い掛ければ、すぐに捕まえられるだろうに、アホすぎる。遠くから狙うより、距離を縮めてから襲い掛かった方が 確実でしょうに。

それまで玄野の味方だった鈴木が、ひとまず身を隠した後、多恵を殺そうかどうか揺れ動くのは唐突すぎるぞ。
そんな描写を入れるのなら、そこまでにも心の揺れ動きを示しておけよ。
この映画、前作からそうだけど、伏線の張り方が雑だから、唐突だったり違和感を抱いたりする展開や行動が多い。
っていうか、そこは玄野が多恵を守って鮎川たちと戦う形にして、それと加藤がニセ加藤と戦う様子を並行して見せればいいんじゃ ないの。
なぜ、そこに来て急に、鈴木の見せ場を持たせようとしているのかと。

玄野が加藤星人に襲われている現場に多恵が走って来るのだが、ただのアホでしかない。多恵を守るために玄野は無抵抗で撃たれるし、 もちろん多恵も簡単に斬られる。
そこを悲劇的なシーンとして見せたいんだろうけど、多恵にイラッとするだけ。無力な人間が不用意に駆け寄って味方を危険に陥れると いう、あまりにも愚かしい行為を見せただけ。
あと、西は加藤に斬られて一撃で死ぬのに、ガンツスーツを着用していない多恵が、何度も斬られたのに死なずに玄野に駆け寄るってのは 、ゾンビかと思ったぞ。
で、そこで玄野と多恵が這いずりながら近付いて喋る間、なぜか加藤星人は襲って来ない。
前作もそうだったけど、敵は意外なトコで親切だ。

星人が何度も「復讐だ。先に仕掛けたのはお前たちだ。お前たちが仲間を殺した」と言い、加藤星人は「お前たちと同じことをしてやる。 お前たちは何も守っていない。黒い球に操られているだけだ」と言う。
それは「お前たちの行動は正しいのか」「それはヒーローとして悪人を殺しているのではなく、ただの殺戮ではないのか」「お前たちが 我々を殺すのと、我々がお前たちを殺すのと、何が違うのか」という問い掛けになっているはず。
だけど、そこで玄野たちが苦悩したり葛藤したりすることは全く無いんだよね。
そんなことは全く無視して、今までと同様に星人と戦っている。
だから、その問い掛けが何の効力も持っていない。

終盤、西に化けた千手観音と黒服星人たちが座標を突き止めてガンツ部屋に現れ、激しい銃撃戦が展開される。
その銃撃戦で他の奴らは死亡するのに、なぜか加藤だけは元気いっぱいで生き残り、玄野も重傷を負いながら生き残る。
その後、ニセモノ西がガンツに何かの液体を浴びせると大爆発が起きてマンションが崩壊するが、ガンツは無傷のまま残る。
それって、どういう意味なのか良く分からない。
その液体は何なのか。ガンツだけが壊れなかったってのは、どういう意味を持つのか。

ガンツに液体を浴びせるのが目的なら、その前の銃撃戦は不要だったんじゃないのか(ガンツ部屋に転送された直後、ガンツに液体を 浴びせればいいだけだ)。
っていうか、ガンツに液体を浴びせるのがニセモノ西の目的だったとして、それは何の意味がある行為なのか。
「 PERFECT ANSWER」というタイトルの割りには、分からないことが多すぎるぞ。
あと、重田が意味ありげだけど実際には何もしていないが、こいつを登場させた意味って何だったのよ。

(観賞日:2012年3月21日)

 

*ポンコツ映画愛護協会