『g@me』:2003、日本

佐久間俊介は広告代理店「サイバープラン」に勤務するクリエイターだ。やり手の彼は、同僚の杉本智也からスタッフ2人を引き抜いた ことで非難されるが、クールな態度で「局長の許可は取ってありますから」と告げた。会議に出席した佐久間は、大手ビールメーカー 「ミカドビール」の新商品「ダイナ」のキャンペーンを説明する。彼はお台場の海に一大エンターテインメント施設を浮かべ、その一角に 設置した特設会場で「ダイナミクス」という大型ロックイベントを開催する30億円の巨大プロジェクトを企画していた。
そんな中、佐久間は局長の小塚茂から、ダイナミクスが中止になったことを告げられる。中止を決定したのは、ミカドビールの副社長・ 葛城勝俊だ。社長の息子である彼は、わずか2年で中国の販路を開拓し、49歳の若さで副社長に就任していた。小塚と共にミカドビールへ 赴いた佐久間は、葛城の部下から「長期的に見るとブランドイメージを損ねるというのが会社の判断です」と告げられた。
遅れて会議室に現れた葛城は、「ダイナの宣伝は、環境保全への取り組みを全面的に押し出して展開します。我々は単に、お祭り騒ぎを やろうとしているんではない。ビジネスというゲームに勝つためには、長期的視野とポリシーに裏打ちされたプランが必要なのです」と 説明した。腹を立てた佐久間が挙手して反論しようとすると、葛城は彼を見て「このゲームには、いささか自信があります。次は私を失望 させないでください」と告げた。
その夜、屈辱を味わった佐久間は葛城邸に向かった。しばらく眺めてから立ち去ろうとすると、塀を越えて道路へ飛び出してきた若い女を 発見した。タクシーに乗り込んだ女の後を追い掛けると、ホテルに入った。彼女はチェックインしようとしたが、予約が無いので「部屋は 満室です」と断られていた。佐久間は「葛城さん」と声を掛け、「君のお父さんには仕事でお世話になってる」と名刺を渡した。
女が立ち去ろうとするので、佐久間は「俺が葛城さんのトコへ電話してもいいんだ」と脅し、カフェへ移動した。高慢な態度の女に名前を 尋ねると、「樹理」と答えた。愛人の子で、母親が死んだので3年前に引き取られたという。大学3年の彼女は、陰険な母親や妹と家族 ごっこをさせられるのが嫌で家を抜け出したのだと語った。妹の千春と些細なことで喧嘩したらしい。佐久間は「君も独裁者の犠牲に なった1人ってわけだ」と口にした。
佐久間が「健闘を祈るよ」と1万円札を渡して去ろうとすると、樹理は「バカにしないで」と怒鳴って泣き出した。佐久間は自分が暮らす 高層マンションに彼女を連れ帰り、その夜だけ泊めてやることにした。ソファーで寝ろと命じても、樹理は勝手にベッドを占領する。不意 に彼女は、「ねえ、私のこと誘拐しない?誘拐して、パパからお金取るの」と言い出すが、佐久間は相手にしなかった。
翌日、佐久間は「ダイナ」のキャンペーンに関する新しいプランを用意し、小塚に見せようとした。すると小塚は、杉本に任せることに なったことを告げる。佐久間が帰宅すると、まだ樹理が部屋におり、勝手に模様替えをしていた。カーテンを全て閉めた佐久間は、彼女が 誰とも連絡を取っておらず、部屋から出ていないことを確認した。それから「君を誘拐する。身代金は山分けだ」と告げた。
佐久間は樹理に、「家出してクラブへ行き、それを待ち受けていた2人組の犯人が車で拉致した」という誘拐の設定を説明した。そして 身代金は3億円に設定してメールで脅迫状を送信し、BBSを新聞の尋ね人欄代わりに使うことにした。翌日、いつも通りに佐久間が出勤 すると、葛城が現れた。小塚によると、サイバープランの業務実績を詳しく知りたいということで来たのだという。葛城は、過去に佐久間 が企画したビデオゲーム『マスク』に興味を持った。
佐久間は葛城に「肝心な場面ではマスクを被れるってのはどうかな。人生には挫折も必要じゃないかな」と質問され、「現実の我々も、 他人に見せる顔が必ずしも本当の顔とは限りません」と答えた。すると葛城は、「一つ聞かせてくれ。君は自分の顔に責任を持てるのかね 。仮面を持った顔でも」と問い掛けた。葛城が去った後、佐久間は樹理から電話で呼び出されてレストランに赴いた。彼女は大胆な態度で 、「考えてみたら狂言誘拐って1人でも出来るのよね。3億円一人占めってのも悪くないかもなあって」と口にした。
佐久間が「ホントに誘拐したっていいんだぞ」と脅すと、樹理は「もう偉そうな顔しないって約束するんなら考えてもいいけど」と提案 した。佐久間が「分かった。俺たちは対等だ。悪かった」と言うと、彼女は満足そうな表情を浮かべた。樹理は「お願いがあるの」と言い 、佐久間にブティックで服を何着も購入させた。佐久間はBBSの書き込みを確認した。直接的な表現ではなかったが、「明後日までに 金を用意するが、娘の無事を確認したい」という旨の書き込みがあった。
佐久間は樹理の手足を縛り、携帯電話で写真を撮影した。その時、樹理が「電話掛けたの忘れてた。ユキちゃんって言う友達に」と口に したので、佐久間は動揺した。樹理は留守電にメッセージを残したという。佐久間が「中止にするしかないな」と言うと、樹理は「留守電 消せばいいんじゃない?前に、あの子がドアの横に鍵を隠してるの見たことある」と述べた。その友人のマンションが横須賀にあると 聞いた佐久間は、「使えるかもしれないな」と呟いた。
佐久間は樹理を車に乗せ、横須賀へ出掛けた。樹理は「女の子専用のマンションだから、私一人で行って来る」と言い、佐久間を車に 残してマンションへ向かう。佐久間が帰りを待っていると警官が現れ、「こちらの御婦人から、ここに駐車されると迷惑だって通報が あって」と言う。その婦人も警官と一緒だった。佐久間は車をタイムパーキングへ移動させる。樹理が戻って来たので、佐久間は彼女を 捕まえて「振り向くな、警官がいる。君の顔を見られちゃマズい」と告げた。
佐久間は樹理を連れて警官たちから離れ、ラブホテルへ連れ込む。そしてメモを渡し、家に電話して書いてある通りに葛城と話すよう命令 した。樹理が喋っている途中で、佐久間は有線のアリバイチャンネルにあった電車の効果音を流し、電話を切った。2人は三浦市にある 剣埼灯台の近くへ車で出掛けた。樹理がキスしようとするので、佐久間は困惑した。すると樹理は微笑を浮かべて「誰も好きだなんて 言ってないじゃない」と言う。2人はキスを交わし、場所を変えて肌を重ね合った。
金が用意できたという書き込みがあったので、佐久間は細かく指示を出した。引き渡し当日、佐久間は葛城に車で身代金を運ばせ、用意 された金を銀行で全て古い紙幣に交換させる。そして3つのダンボール箱に詰めて高速に乗るよう指示した。それからミカドビール販売の 豊島支店に「本社役員室の田所」と詐称して電話を掛け、支店長の中村に「葛城副社長が移動中に具合が悪くなって病院に運ばれ、車を 高速に置いたままになっている。大事な書類がトランクにあるので、会議の会場へ運んでほしい」と依頼した。
佐久間と樹理は発信場所を特定されないように移動を繰り返しながら、葛城に電話で指示を送る。監視場所のホテルを出て身代金を取りに 行こうとした時、樹理は安藤純平という男がいるのに気付き、「過去にクラブで絡まれたことがある。私のことを覚えてるかも」と言う。 佐久間は安藤に話し掛けて気を逸らし、その間に樹理をホテルから立ち去らせた。佐久間と樹理は誰にも見られず、金を手に入れた。2人 はアタッシェケースに金を詰め替え、その場を去った。
佐久間は樹理に、帰宅してから刑事に話す内容を教え込む。「私たち、普通に会ってたらどうなったてたのかな」という樹理の問い掛けに 、彼は何も答えなかった。佐久間が解放しようとすると、彼女は「一緒に逃げない?帰ったらもう会えない」と言い出した。佐久間が 「また出会えばいい」と告げると、「どうして今じゃダメなの。行かないでって言ってくれないの」と口にする。佐久間は「今逃げたら、 俺の負けだ」と答え、「さよなら、樹理」とキスをして車で去った。
元の生活に戻った佐久間は、杉本から葛城について「今週に入ってずっと休みだよ」と聞かされる。佐久間がBBSを確認すると、「お金 を払ったのに何の連絡もないなんてひどい」という書き込みがあった。その翌日、テレビのニュースで、樹理が行方不明になって警察が 捜索していることが報じられた。しかも、テレビに出た写真に写っている樹理は、佐久間が会った女とは全くの別人だった。
佐久間は事情を突き止めるため、テレビ局に勤務している後輩に探りを入れる。すると後輩は、樹理が誘拐された後、警視庁の誘拐担当は 全く動いていなかったことを語る。「父親が犯人の言う通りに金を払ったのに娘が戻らないので、警察に相談したんじゃないですか」と 後輩は語る。呆然とする佐久間に、さらに追い打ちを掛けるようなニュースがテレビで報じられた。神奈川県三浦市の剣埼灯台で、樹理の 死体が発見されたというのだ。佐久間は、自分が樹理の偽者に騙されていたことを悟った…。

監督は井坂聡、原作は東野圭吾「ゲームの名は誘拐」光文社刊、脚本は尾崎将也、製作は亀山千広&島谷能成&遠谷信幸&武政克彦、 エクゼクティブ・プロデューサーは関一由&宅間秋史、プロデューサーは小岩井宏悦&増田久雄&三田美奈子、撮影は佐々木原保志、照明 は渡邊孝一、録音は瀬川徹夫、美術は金田克美、編集は阿部亙英、音楽は松原憲。
主題歌「It's all a game」/ZEEBRA 作詞:ZEEBRA、作曲/編曲:DJ BENKEI & Ryuja。
出演は藤木直人、仲間由紀恵、石橋凌、宇崎竜童、IZAM、入江雅人、おかやまはじめ、大倉孝二、桜井裕美、大塚良重、眞野裕子、 生瀬勝久、ガッツ石松、小日向文世、嶋尾康史、並樹史朗、峰野勝成、宮本大誠、野依康生、小林太樹、伊藤さおり(北陽)、虻川美穂子 (北陽)、福井謙二(フジテレビアナウンサー)、藤村さおり(フジテレビアナウンサー)、遠藤たつお、伊藤初雄、山田昭一、大崎守立 、鳥居しのぶ、平木ひとみ、渡辺一哉、舟田走、小泉まこ、青山純菜、山岸史卓、嶋崎剛之、平井圭子、安藤彰則、板垣和伸、加藤亮、 帆足健志、西口善久、荒井泉、木村清志、徳井広基、岡慶悟ら。


東野圭吾の小説『ゲームの名は誘拐』を基にした作品。
監督は『破線のマリス』『ミスター・ルーキー』の井坂聡。
佐久間を藤木直人、偽者の樹理を仲間由紀恵、葛城を石橋凌、小塚を宇崎竜童、安藤をIZAM、杉本を入江雅人、中村をおかやまはじめ、 テレビ局に勤務する佐久間の後輩を大倉孝二が演じている。
アンクレジットだが、佐久間が妄想する敏腕刑事役で椎名桔平、テレビ局のロビーでスタッフに呼ばれてスタジオへ向かう番組出演者役で 東野圭吾が出演している。
ZEEBRAが主題歌を担当しているが、この映画にヒップホップは全くフィットしていない。

まず冒頭、佐久間の「勝ち組」としての描写が物足りないと感じる。
「エリート街道を歩いて来て、常にチヤホヤされていて、全てを手に入れていて思い上がっている」というアピールが、もっと欲しい。
自信満々だった佐久間が、そのプライドを葛城によって傷付けられたから腹を立ててゲームを仕掛けるという筋書きなんだから、そこを 活かすためにも、もっと「ビフォー」の描写が欲しい。

あと、葛城にヘコまされるまでのシーンで、佐久間が頭のキレる男だというアピールも、ほとんど感じられないんだよね。
「計算高くて頭脳派のつもりだった佐久間が自信満々で計画を進めたのに、実は騙されていた」という仕掛けがあるわけだから、彼が キレ者であることのアピールが弱いと、後の展開に影響する。
正直、ダイナのキャンペーンに関する説明だけだと、あまり利口に思えない。
佐久間が示したプロジェクトって、バブルの時代なのかと思うような金満おバカプロジェクトだもんな。
わざわざビール宣伝のために遊園地を作るとか、「そりゃ葛城じゃなくて中止にするだろ」と思っちゃうよ。

佐久間はニセ樹理の話を聞いて「君も独裁者の犠牲になった1人ってわけだ」と言うが、そんなに簡単に共感しちゃうのかよ。しかも、 それは彼女の一方的な主張で、母や妹からすると全く違っているかもしれないのに。
ニセ樹理の生意気な態度からすると、せっかく母と妹が仲良くやろうとしているのに、彼女が反抗的な態度ばかり取っているので ギクシャクしているのかもしれないじゃないか。
佐久間は葛城に侮辱されたショックで冷静さを失っているのか、あまりにも思慮深さに欠けているように感じる。っていうか、かなりの アホに見えてしまう。
「些細なことで妹と喧嘩して家出してきた」と言っただけの女から身代金目的の誘拐を持ち掛けられて、それに乗っちゃうのも、完全に アホとしか思えないしなあ。
こいつが序盤の段階でアホに見えちゃうのって、絶対にマイナスでしょ。

それをやっちゃうと原作とまるで別物になっちゃうんだろうけど、佐久間を「最初はクールにニセ樹理と接したけど、涙を見て彼女に同情 し、泊めてやることにした」とか、それぐらい優しさに満ちたキャラにしちゃっても良かったのかなあと。
井坂監督は観客に感情移入してもらうためにキャラの性格や筋書きを改変したらしいけど、それなら、そのぐらい思い切っても良かったの かなと。
なんかねえ、藤木の演技力のせいもあって、佐久間って「無理して冷淡に振る舞っている」という感じに見えちゃうんだよね。
服を買ったニセ樹理が去るのを眺めて思わずフッと笑みを漏らすとか、優しすぎるでしょ。
その爽やかで優しい笑みは、キャラ設定からすると合ってない。

で、やっぱり佐久間が賢くないからなのか、彼の計画は杜撰だ。
「身許が分からないように」ということでフリーメールを使っているけど、自宅のパソコンから平気で送信しているし。
掲示板にも、やはり自分のパソコンから書き込んでいる。
それって、ちょっと警察が調査したら、簡単に身許が明らかになるでしょ。
「2003年の時点では、まだ自宅からアクセスしてもIPを特定されることは無かったし、掲示板もアクセス解析はしていなかった」とか、 そんなことは言わせねえよ。

ただし、葛城とニセ樹理が佐久間を陥れた計画の方も、やはり粗がある。
ニセ樹理、つまり千春はドラッグをやっていた本物の樹理を注意した時、ハサミで襲われた。揉み合いとなった彼女は、樹理を誤って 殺してしまった。千春から電話を受けた葛城は、佐久間を犯人に仕立て上げる計画を思い付いた。
だが、樹理の遺体が発見された時点で司法解剖が行われるので、その計画に問題が生じる。
と言うのも、司法解剖されれば、樹理が薬物常用者であることも、ハサミで殺されたことも判明するからだ。

その上で、「彼女が誘拐されて殺された」という葛城の筋立てに合致させようとすると、「誘拐犯は樹理を誘拐した後、薬物常用者である 彼女にドラッグを与えてやり、ハサミを使って殺害した」ということになる。
それって行動として変でしょ。なんで、わざわざドラッグを与えてやるのよ。これが「ヤク漬けにして殺すつもりだった」ということなら ともかく、相手は薬物常用者なんだし。
それに死亡時刻からすると、「犯人は誘拐してすぐに樹理を殺した」という筋立てになる。すぐに殺す奴に、わざわざヤクを与える意味が 無い。
殺す時にハサミを使うのも不自然だ。通常なら、もっと殺害に向いている凶器を使うだろう。
それと、佐久間が警察に捕まったとしても、彼の部屋からは殺害の痕跡が発見されないのだ。
そんなわけで、色々と問題の多い計画のように思えてしまうんだけど。

佐久間とニセ樹理が計画を話す時、それに応じて警察が動いている様子が挿入される。
その様子は佐久間たちのナレーションに沿った形で描写されている。それは佐久間たちの想像に過ぎないのだ。
しかし、ホテルから電話を掛けるシーンでは、警察が逆探知したシーンしか示されない。警察が金を用意するシーンも、それだけが単独で 示される。佐久間がナレーションを語ることは無い。
これだと、実際に警察が動いているように、観客は誤解するだろう。

もちろん、観客に誤解させるために、警察の動きを何度か挿入しているってのは分かる。
だけど、そのミスリードは、本格ミステリーとしては完全に反則でしょ。
まあ「本格ミステリーじゃないから」と言われたら、そうなのかもしれんけど、だからって「じゃあOK」とも思えないなあ。
原作が佐久間の視点ので進行しているので、そこは叙述トリックになっているんだろう。
叙述トリックを映像化するのが難しいのは分かるけど、その辺りは、全て佐久間のセリフによる説明だけで済ませるべきだったのでは ないか。

佐久間の計画が進行する中で、葛城の様子が描かれないってのもマイナスだよな。
彼が誘拐や身代金の要求に対して、焦ったり精神的に追い込まれたりする描写が無いのだ。
もちろん実際には追い込まれていないので当然なのだが、実際には動いていない警察の様子は「佐久間の妄想」として描くのに、そこは 佐久間の妄想を見せないのね。
まあ見せないのはフェアなんだけど、それだと「佐久間が計画を進めている内から勝ち誇っていたが、実は違った」というドンデン返しの 落差が少なくなってしまうんだよね。

佐久間は「自分を侮辱した葛城に勝ちたい、ギャフンと言わせてやりたい」というモチベーションで計画遂行を決めたはずで、だから 計画を進めている間の葛城の反応って重要なはずなのだ。
途中、会議で会ったり、受け渡しの電話で会話を交わしたりするんだから、そこで彼が焦ったり困ったりしている芝居をやってもいいん じゃないか。
こいつは電話でも落ち着き払っていて、余裕たっぷりなんだよね。だから、佐久間の計画が葛城を追い込んでいるという印象は全く無い のだ。
そして金を手に入れても、そこに達成感は無い。だって、金が第一の目的じゃないんだし。
「葛城をヘコませた」ということで佐久間が達成感や充実感を味わって、そこからドンデン返しに移行すべきじゃないのかと。
達成感が無くて、「愛する樹理と別れちゃった」という寂しさだけが残ってるんだよな。

佐久間とニセ樹理の恋愛劇が大きく扱われているが、灯台の近くでキスをしてセックスに至る展開が、あまりにも唐突に感じられる。
ニセ樹理からすると計画の内だったのかもしれないが(だとしても体まで与えるのは不可解だが)、佐久間は何なのか。そこまでに、彼女 に惹かれている素振りは全く無かったのに。
ただの性欲なのか。
あと、濡れ場を売りにしたかったのかもしれんが、直接的な行為って無い方がいいんじゃないか。何となく会話や表情だけで「そこに好意 があるのかな」と匂わせる程度にした方がさ。
どうせ濡れ場と言っても仲間由紀恵がヌードになっているわけじゃないし、何の見せ場にもなっていないんだからさ。

(観賞日:2012年3月24日)

 

*ポンコツ映画愛護協会