『学校の怪談3』:1997、日本

槙町小学校では、運動会が行われていた。5年2組の生徒達は、タイチの幽霊の噂について話していた。学校には20年前に亡くなった体の弱い生徒・タイチの幽霊がいて、二人三脚で転んだ生徒は目を付けられるというのだ。二人三脚に5年2組から出場した久保田良と藤井繭子は先頭に立つが、ゴール直前で転んでしまった。
運動会が終わった後、5年2組の担任・八橋かおるは、ずっと好意を寄せていた図工の為山先生に、ボクシングの試合のチケットを渡そうとした。八橋先生はボクシングのジムに通っており、その日が自分のデヴュー戦なのだ。だが、彼女は為山先生から、その日はちょうど自分の結婚式だと告げられ、大きなショックを受ける。
図工室の物置に入った八橋先生は、そこで見つけたタイチの鏡を持ち出し、シャドー・ボクシングを始めた。その情報を知った繭子と良、それに佐藤茜と太田真琴の4人は、タイチの鏡を見るため、8時に学校に集合することにした。
自宅アパートに戻った良は、母・真知子から再婚相手の木村義男の彼の子供・悟と柚香を紹介される。だが、日本のビル・ゲイツを自称する悟に勉強が出来ないことを馬鹿にされ、柚香に遊ばれた良は、アパートを飛び出した。真知子と義男は、悟と柚香を残して良を探す。だが、その間に柚香が良を追い掛け、悟も後を追った。
良が学校に到着した時、既に繭子と茜、真琴は集まっていた。先に校舎に入った繭子は鏡の中に連れ込まれ、悲鳴を聞いて駆け付けた良も飲み込まれた。茜と真琴は、学校に残っていた八橋先生と行動を共にする。悟と柚香も、校舎へと入って行った。やがて7人全員が鏡の世界に引きずり込まれ、様々なオバケと遭遇する…。

監督は金子修介、原作は常光徹&日本民話の会、脚本はしまだみちる(島田満)&金子修介、製作は藤峰貞利 高井英幸、プロデューサーは藤田義則&瀬田一彦&木村典代、撮影は柴崎幸三、編集は川島章正、録音は宮本久幸、照明は上田なりゆき、美術は及川一、SFXプロデューサーは中子真治、音楽は大谷幸、音楽プロデューサーは高桑忠男。
出演は西田尚美、黒木瞳、野田秀樹、佐戸井けん太、前田亜希、米澤史織、吉澤拓真、山田一統、豊永利行、野口由佳、ヒガタケル、野村宏伸、螢雪次朗、津川雅彦、渡辺真知子、林家こぶ平、町山千鶴、山口明寿香、青島早紀、斉藤慧、清野優美、林政子、小川一樹、佐藤史紀、吉田瑞穂、吉村庸子、大橋明、秋定里穂、浦崎宏、藤原はるか他。


シリーズ第3弾。
監督が前2作の平山秀幸から金子修介にバトンタッチしている。SFXプロデューサーは、前2作に引き続いて中子真治。西田尚美と前田亜希は2作目から、野村宏伸は前2作に引き続いての出演だが、演じているキャラクターは違う。

ファミリー向けホラー映画ではなく、あくまでも子供向け映画として作られている。
ファミリー向けであれば、大人の観賞にも耐え得る内容にする配慮が必要になる。
だが、子供向け映画なので、大人のキャラクターについては、あまり注意が払われていない。真知子と義男は、オバケに変身する役割のためだけの登場といった感じだ。

今回、監督は“洋”のテイストにこだわったそうだ。
だからなのだろう、例えば為山先生が作った妖怪も、タイチの鏡に付いている妖怪も、ファンタジーRPGに登場するモンスターのような造形だ。
他のオバケも、和風なイメージはあまり感じさせない。

しかし、もっと和風であることに、こだわって欲しかった。
和風にこだわってこそ、『学校の怪談』としての意味があると思うのだ。
前2作と違うテイストを出したかったのかもしれないが、前2作でも和風を徹底しているとは感じなかったし、そこを突き詰めて欲しかった。
前2作で、怪談話や和風妖怪のネタが尽きたとも思えないし。

さらに気になるのは、あっという間に学校の外に出てしまうことだ。
子供達は別世界で塾に移動し、そこから屋外に出てしまう。
これにより、閉じられた空間の生み出す怖さは使えなくなる。
前2作との差別化を図りたかったのかもしれないが、学校から出てしまった時点で、もはや学校の怪談ではなくなっているような気もするぞ。

『レイダース 失われたアーク』や『ジュラシック・パーク』のネタを、おそらく意識的に使っているのだろうが、そこに全体のテイストが引きずられてしまう。
大きな石球に追い掛けられたり、地割れが起きたり、そんな派手なトラップは要らないと思う。
怪談というのはスペクタクルではなく、身近な所から恐怖のイメージを持って来るものだと思うので。

1作目が「オバケ屋敷」で、2作目は子供を怖がらせることを放棄して「楽しいオバケ屋敷」になった。
だが、今回は、もはやオバケ屋敷であることさえ放棄して、完全に別のアトラクションになった。
これは、ファンタジー・アクション・アドベンチャーだ。

 

*ポンコツ映画愛護協会