『OVER DRIVE』:2018、日本

SEIKOカップラリーシリーズ「SCRS」に参戦しているスピカレーシングには、メカニックの檜山篤洋とドライバーの檜山直純という兄弟がいる。直純は若者から大人気のスター選手で、姿を見せると集まっていた大勢の女性ファンが絶叫した。直純は車の整備を終え、リスクがあるので3速は使わないよう指示する。直純が「そんなんじゃ走れない」と抗議すると、彼は「時間だ」と冷たく告げた。直純は兄の指示を無視し、3速を使った。
ワンダー・スポーツ・エージェントの本部長を務める香川久俊は、直純の新しいスポーツ・エージェントに新人の遠藤ひかるを抜擢した。彼はモータースポーツを何も知らないひかるを連れて、レース会場へ赴いた。スピカレーシングの社長兼監督である都築一星は、香川に彼女を紹介されると喜んだ。レースを終えた直純は、新人メカニックの増田順平に「前も同じミスしてたなもうマシンに触んな」と怒鳴る。篤洋が3速を使ったことを注意すると、彼は「攻めなきゃ勝てねえから」と声を荒らげた。
直純とコ・ドライバーの片岡怜は今シーズンの初優勝を飾り、表彰式に参加した。ひかるは香川から、前任者が直純のせいでメンタルをやられたことを聞かされる。都築がレースクイーンへのセクハラを繰り返すので、ひかるは呆れ果てた。篤洋はメカニック仲間とテストを何度も繰り返していたが、増田は時間と労力の無駄ではないかと感じる。ひかるは兄弟が不仲なのではないかと考えるが、片岡は「マシンのことでドライバーとメカニックが揉めるのは良くあることだ」と告げる。彼は直純が今シーズンの王者になって、全日本ラリー選手権 (JRC) へのステップアップを目指していることを彼女に教えた。
直純はレースを終えると遊興にふける生活を送っており、人気モデルを持ち帰る様子を週刊誌に撮られた。都築は篤洋に、教育係として彼を指導するよう苦言を呈した。篤洋は「関係ないです。俺の仕事は整備です」と冷たく言い放ち、その場を去った。彼は片岡から、直純の走りについて「痛々しくないですか。魂を削っているようで」と言われる。篤洋はドライバーならだれでも同じだろうと告げるが、片岡は「直純は見えない何かを必死で追い掛けているように見えるんです」と語った。
第4戦の富士ハイランド・マスターズでは、シグマレーシングの新人ドライバーである新海彰が注目を集めた。彼はアカデミーから抜擢された1年目のドライバーだが、2戦目の優勝を含む3戦連続の表彰台でポイントランキングのトップに立っていた。ランキングで2位の直純がマスコミの取材を受ける様子を見たひかるは、スポンサーのロゴを見せるよう注意する。しかし直純は「みんな俺を見てるんだよ」と不遜に言い放ち、指示に従わなかった。
直純は記者から「新海彰は酒も煙草もやらないし、マシンを理解するためメカニックの作業に遅くまで付き合ってる」と言われ、意識の差を指摘される。憤慨した彼は記者に掴み掛かり、その暴力事件が記事として掲載された。ひかるは香川から、自分の仕事をするよう注意された。ひかるは増田が車のデザイン画を描いている現場を目撃し、デザイナー志望なのにラリー・メカニックに配属されたことを聞く。彼女は増田の不満に同調し、「今は我慢するしかないよ」と告げた。直純はひかるにクビを通告し、「ラリーに興味の無い奴にうろちょろされても迷惑だ」と口にした。
第5戦の東京・お台場レースで、直純は3日目に新海のタイムを抜いて年間ランキングのトップに立った。ひかるは優しくしてくれた篤洋に好意を抱き、ラリーをやっている理由を尋ねた。すると篤洋は、子供の頃に直純と山へ出掛けて自転車で良く競争していたことを話す。当時から向こう見ずだった直純は、無理をして何度も自転車を壊した。篤洋は近所の自動車工場へ行き、工具を借りて自転車を修理した。それが楽しくて仕事にしたのだと、彼はひかるに語った。ひかるが「2人とも全然変わらないんですね」と言うと、篤洋は「俺も直純も変わったよ。俺に勇気が無かったんだ」と口にした。 第6戦のジョホールバルで、直純は「パワーが足りない」と篤洋に文句を付けた。篤洋は「タイムは悪くない。このまま抑えて走れ」と指示し、ブレーキを労わるよう要求した。しかし直純は指示を無視してブレーキを酷使し、車はスピンしてしまった。アフターパーティーに出席した直純は、悪酔いしてソファーで眠り込む。ひかるが注意しても彼は耳を貸さず、新海に絡んで挑発した。シグマの原良和が来て「遠吠えなら外でやれ、負け犬」と見下したように言い放つと、直純は激昂して殴り掛かった。ひかるは慌てて止めようとするが、会場にいたマスコミは一斉に写真を撮った。
ひかるはプールサイドで寝ている直純を見つけ、声を掛けた。すると寝惚けた直純は彼女を抱き締めて「陽菜」と呼び、「約束、守れないかも」と呟く。ひかるが慌てて離れると、目を覚ました彼は「悪い、人違い」と言う。ひかるが陽菜の正体を尋ねると、彼は「幼馴染の永瀬陽菜だ。高校を卒業して、ボストンに留学した」と答えた。彼は陽菜が篤洋と結婚するはずだったことを語り、「もう会えない。俺が何もかもぶち壊した」と口にした。ひかるはネットで検索し、陽菜が銃乱射事件で死んだことを知った。
第9戦の北海道・オホーツク会場に来ていたひかるは、ずっと担当していた高校生ゴルファーの石原が卒業前に前倒しでプロデビューすることを知る。東京に戻った彼女は香川と会い、なぜ教えてくれなかったのかと抗議した。香川は担当を工藤に交代させたことを冷淡に話す。石原を誰よりも理解しているのは自分だとひかるは主張するが、香川は彼を説得してプロデビューを決意させたのが工藤だと教えた。「彼の担当を外されたら、この会社にいる意味が無いです」とひかるが言うと、香川は「だったら辞めれば」と突き放した。
篤洋は直純に、制限時間内にはマシンの応急手当しか出来なかったことを話す。「じゃあ明日のデイ3は?」と直純が口を尖らせて訊くと、彼は「ベストコンディションに戻すのは無理だ。優勝は諦めて、少しでもポイントを取りに行く」と説明する。直純が「勝たなきゃ意味ねえんだよ」と反発すると、篤洋は「だから勝つために冷静になれって言ってんだろ」と声を荒らげる。彼は弟に、今回は優勝を逃してもシリーズチャンピオンは狙えると説いた。
直純が「こんな三流チームに来るんじゃなかったよ。マシンもポンコツならメカニックもポンコツだな」と扱き下ろすと、篤洋は激昂して「あのマシンにはメカニックの血と汗が染み込んでるんだよ」と掴み掛かる。すると直純は冷笑し、「メカニックの思いなんて、どうでもいいんだよ。俺にとってマシンは、金と名誉を手に入れるための、ただの道具だ」と言い放った。「ホントに変わっちまったんだな」と篤洋が去ろうとすると、彼は「逃げてんじゃねえよ。あの時と同じだな」と怒鳴った。
直純は篤洋に、「陽菜がボストンに行く時、アンタは止めもしなかった。俺はちゃんと振られた。自分の気持ちを伝えた。勝つことからも負けることからも逃げたアンタとは違う」と話す。篤洋は反論せず、「そうかもしれないな」と漏らした。ひかるは都築から、兄弟が子供の頃に自分の修理工場へ通っていたことを聞く。彼はメカニックが7年前に開発したサスペンションをひかるに見せ、シリーズ王者を狙うための最終兵器だと教えた。
篤洋はひかるの様子が変だと気付き、「何かあった?」と声を掛けた。ひかるは彼に、「私にしか出来ないと思ってた仕事があって。でも私じゃなくても大丈夫で。ただの思い上がりで。どうしたらいいか分からなくて」と話す。篤洋は大量に積まれているサスペンションの失敗作を彼女に見せ、「一昨年にやっと商品化した」と言う。彼は7年前の最終戦で未完成のサスペンションを投入したこと、クラッシュが起きてドライバーは選手生命を断たれたことを語って「全て俺のせいだ」と言う。彼は商品化されたサスペンションを手に取り、「何も無くなったとしても、この手があれば後は自分次第なんじゃないかな」と告げた。
ひかるは直純の元へ行き、「確かにラリーには何の興味もありませんでした。でも目の前の道を、とことん進んでみようって決めたんです。貴方が世界一のドライバーになるまで」と告げた。第10戦の北陸ステージで、シグマは新パーツを投入した。新海は無理をせずポイントを取るドライビングに徹し、直純は優勝してポイント差を詰めた。ひかるは片岡からファイルや映像を見せてもらい、ラリーついて学んだ。第11戦のインド、バルブシステムが本調子ではない新海は8位に沈み、直純は優勝を飾った。
ひかるは直純から、篤洋のことばかり見ていると指摘される。動揺するひかるに、直純は「陽菜もあいつのことばかり見てた」と告げる。「陽菜さん、死んでたんですね」とひかるが言うと、彼は死後に陽菜からクリスマスカードが届いたが兄のことばかり書いてあったと語る。第12戦の嬬恋ステージ、直純はレース前から体調の悪さを感じていた。それでも彼は車に乗り込むが、雨中でスピンしてしまう。車が激しく損傷したため片岡はリタイアを促すが、直純は応急処置をしてピットに戻った。
篤洋とメカニックの面々は、急いで車を直そうとする。しかしオイルが切れてメタルが駄目になっていたため、篤洋は「諦めよう。今回はリタイアだ」と言う。納得できない直純が「一番変わったのはアンタじゃねえか」と怒鳴ると、篤洋は「直せねえもんは直せねえんだよ」と声を荒らげた。新しいバルブシステムに馴染んだ新海は2位に圧倒的な差を付けて優勝し、ポイントランキングもトップに返り咲いた。最終戦の北九州ラウンドを前に、篤洋と直純は思い出の場所で互いの気持ちをぶつけ合う…。

監督は羽住英一郎、脚本は桑村さや香、製作は吉崎圭一&市川南、共同製作は加太孝明&角田真敏&橋誠&板東浩二&田中祐介、エグゼクティブ・プロデューサーは井口高志&上田太地、企画は早川英&安藤親広、プロデュースは蔵本憲昭&石黒研三、プロデューサーは鈴木聡&岸田一晃&古屋厚、撮影は木村信也、照明は三善章誉、録音は小松崎永行、VFXプロデューサーは赤羽智史、美術は相馬直樹、美術デザインは大西英文、衣装は丸山佳奈、編集は松尾浩、音楽は佐藤直紀、主題歌「Drive」はWANIMA。
出演は東出昌大、新田真剣佑、吉田鋼太郎、要潤、森川葵、北村匠海、町田啓太、佐藤貢三、平山裕介、松本実、長谷川ティティ、川口覚、佐々木一平、清原翔、坂本麻子、吉田健悟、松田陸、春輝、宮坂灯里、hibiki、響金太郎、小原唯和、財前魁斗、大河原爽介、清水ひまわり、I. Maxwell Powers、高桑満、川口智美、八鍬有紗、あびるなつみ、山本成美、田村優奈、米原夕貴、金子歩、金本みさき、新地理彩、阿野いずみ、莉央、COCO、中尾海斗、中尾柊馬ら。


『ワイルド7』『暗殺教室』の羽住英一郎が監督を務めた映画。
脚本は『ストロボ・エッジ』の桑村さや香。
篤洋を東出昌大、直純を新田真剣佑、都築を吉田鋼太郎、香川を要潤、ひかるを森川葵、新海を北村匠海、増田を町田啓太、片岡を佐藤貢三、原を平山裕介、坂崎を松本実、水野を長谷川ティティが演じている。
ラリーカーの運転は、全日本ラリー選手権 (JRC) で活躍する勝田範彦、奴田原文雄、牟田周平、大橋逸夫が担当している。

羽住英一郎はモータースポーツの熱烈なファンであり、ラリーの映画を撮るってのは念願の企画だったらしい。
ただ、「それを言っちゃあ、おしめえよ」ってことになるんだけど、ラリーって映画の題材には不向きだと思うんだよね。
理由は簡単で、一斉にスタートして順位を決めるモータースポーツじゃないからだ。
ラリーは幾つかの競技区間でタイムアタックを行い、その積算タイムで勝敗を争うスポーツだ。なので、どれぐらい速いのか、どっちが速いのかってのが、映画を見ていても分かりにくいのだ。

これが例えばF1のようなモータースポーツなら、全ての車が同時にスタートするので、「どっちの車が速いのか」「どの車がトップを走っているのか」ってを理解するのは難しくない。
でもラリーは1台ずつ走るので、その魅力が伝わりにくい。
実際、この映画を見ても、直純がどれぐらい優れた才能の持ち主なのか、どれぐらい無謀な運転なのか、そういうことが分かりにくい。
なぜなら、比較対象が近くで一緒に走っていないからだ。

冒頭のレースにしても、直純がピットに戻って来ても順位さえ分からない。表彰式のシーンになって、ようやく優勝したことが分かるという始末だ。
ただし、それは「全てラリーってことが悪いんや」という問題ではない。「直純のドライバーとしての能力や無謀さを観客に伝えるための作業」ってのが、まるで出来ていないことにも大いに問題はある。
見せ方を工夫すれば、それなりに伝わったはずなのだ。
そこへの意識が乏しいから、単なるラリーのPV映像みたいになっている。

第4戦のアナウンスが入ったところで、「冒頭のレースはシリーズ3戦目だったのね」ってことが初めて分かる。
そして第4戦では注目の選手として新海が紹介されるが、もちろん彼は3戦目にも参加していたはず。たぶん2位で表彰台に上がっていたんだろうと思うけど、まるで存在感が無かった。
彼がランキングトップを走っているのなら、3戦目の時点で少しぐらい触れておこうよ。しかも、第4戦でも注目選手として紹介したものの、それだけで終わりだ。彼の走りは見せないし、台詞さえ無いままで終わるのだ。
そんな風に、レースごとの一喜一憂ってのが全く描かれないまま、時間だけが過ぎていく。ポイントの変動も追い掛けない。直純と新海のライバル関係の図式も、まるで見えてこない。
篤洋と直純の兄弟の確執をメインに据えているはずだが、この要素ですらレースと上手く絡ませて充実したドラマを描くことは出来ていない。

ひかるというキャラクターは、ただ邪魔なだけの存在になっている。
彼女はラリーについて何も知らないのだが、そういうキャラを配置することによって、「彼女を通じて観客にラリーを紹介したり、面白さを伝えたりする」という形を取ることは出来る。っていうか、その狙いで配置したキャラなんだろうと思っていた。
しかし実際には、そんな役回りなど全く担当できていない。
彼女は「観客の目」になることも出来ていなければ、狂言回しにもなっていない。兄弟の関係を修復させる重要な仕事を担当するわけでもない。
シンプルに、不必要な厄介者でしかない。

「ひかるが高校生ゴルファーの石原を最近まで担当していた」という要素も、全く生かされていない。
ひかるがどれだけ石原に力を入れていたか、どれぐらいボクシングが好きだったか、そういうことは全く見えて来ない。
石原は一度も姿を見せないし、ひかるが「彼と深い絆で結ばれている」と思っていたことも全く伝わらない。
石原のマネージメントに対する情熱も、それを外されたことのショックも、ひかるが香川と話すシーンだけで表現しようとしているが、それは無理だよ。

石原を登場させず、ほとんど彼に関する情報も出さない。
台詞だけで軽く済ませても大丈夫だろうと思ったのか、「ラリーの映画だからボクシングの情報は邪魔になる」と考えたのか、その辺りは良く分からない。ただ、理由はどうであれ、結果としては失敗だった。
そんなことになるぐらいなら、ひかるを「入社したばかりの新人」ってことにすれば良かったのよ。
この映画ってラリー関連に限らず、観客に与える情報が足りていない。色々と説明不足なのよ。

篤洋には「弟との確執」という問題とは別に、「未完成のサスペンションを投入したせいでドライバーの選手生命を奪った」という要素がある。
だけど、どうやらその一件については、すっかり吹っ切れているのね。
だけど女を巡る弟との確執より、そっちの方を「今も心の傷になっている」ってことで重視した方が良くないか。
ラリーの映画なんだから、恋愛に関わる過去を引きずっているより、レースに関する傷の方がドラマとしてはプラスでしょ。

直純は登場シーンから全くブレずに、身勝手で傲慢なクズ男っぷりを存分にアピールする。
「どうせ後半に入ったら、そんな態度になっている原因が明かされるんだろう。そして彼が態度を改めて兄との関係を修復する展開を用意して、リカバリーするんだろう」とは思っていても、「よっぽど頑張らないと厳しいぞ」と言いたくなる。
後半になってから、一応は直純のキャラ修正に入るのだが、「焼け石に水」となっている。
後半の描写では、彼の不快指数はほとんど下がらない。

ひかるは石川の担当を外されて香川に「だったら辞めれば」と冷たく突き放された後、都築からサスペンションを見せられて話を聞く。
しかし、それで彼女の気持ちに変化が生じることは無い。その後、篤洋と話すことで、ひかるは前向きな気持ちに変化する。
そうなると、都築がひかると話すシーンは何だったのかと。
ひかるが篤洋と話す前に「サスペンションとは何ぞや」ってのを説明しておいたという意味は分かる。でも構成としては上手くない。

ひかるは篤洋に相談した後、直純の元へ行って「目の前の道を、とことん進んでみようって決めたんです。貴方が世界一のドライバーになるまで」と語る。
だけど、それは流れとして変だろ。
篤洋は「直純を世界一のドライバーにするために頑張ってる」とか、一言も喋っていなかったわけで。
ひかるが篤洋の言葉で前向きな気持ちになるのは分かるけど、「貴方が世界一のドライバーになるまで」という熱い思いになるのは意味不明。まるで愛の告白にも聞こえるような台詞だし。

兄弟の確執は陽菜が原因ってことになっているけど、そこが微妙なんだよね。
兄弟が陽菜を巡って争ったことを示すシーンは無いし、それが原因で陽菜が死んだわけでもない。女がボストンで殺されたのは不幸な事件だけど、それと「兄弟が2人とも彼女に惚れてた」という件は何の関係も無い。
後半に入り、直純が陽菜に振られて「兄貴には別の好きな女がいる」と嘘を吹き込み、失恋の痛手から陽菜がボストンに留学していたことが判明する。
それを直純が篤洋に明かして「俺のせいだ」と泣くけど、ってことは今まで兄貴に悪態をついて生意気な態度を取っていたのは、全てテメエの身勝手だったってことだろ。篤洋には何の非も無いだろ。
なので泣きながら本音を打ち明けても、何の好感度アップにも繋がらないぞ。

直純は「これ以上は陽菜に嘘をつきたくない」と篤洋に語り、「だから世界一のレーサーになる約束を果たそうとしている」というトコに繋げている。それを知った篤洋は、未完成のターボチャージャーを最終戦で投入すると決める。
だけど、まだ実戦で挑戦できる状態にないことは、本人も認めているんだよ。
「今までは勇気が無かったけど、少しでも可能性があるなら」「故障したり壊れたりするかもしれないけど」と言っているけど、故障やリタイアじゃ済まないかもしれないでしょ。
過去に未完成のサスペンションでドライバーの選手生命を奪ったことがあるのに、何も学ばなかったのかよ。

(観賞日:2020年4月4日)

 

*ポンコツ映画愛護協会