『OUT』:2023、日本

狛江愚連隊の五代目特攻隊長で「狛江の狂犬」の異名を持つ井口達也は、派手に暴れ回る日々を送っていた。しかし暴走と警官への暴行で逮捕され、17歳で少年院に入れられた。少年院でも懲りずに暴れた彼は、反省のために罰として千羽鶴を折るよう命じられた。この罰にも達也は耐えられず、壁を激しく殴り付けて教官に抵抗した。彼は半年後に少年院を出るが、不良たちに挑発されて殴り掛かった。すぐに少年院へ連れ戻された井口は、その3ヶ月後に外へ出ることが出来た。
千葉で焼肉店「三塁」を営む叔母の伊丹静香と夫の九蔵は、達也を引き取って働かせることにした。少年課の石戸刑事から扱き下ろされた達也は激怒するが、次に問題を起こしたらアウトだと考えて我慢した。石戸は達也に「地元の仲間とは会うな」など、幾つもの注意事項を伝えた。その場では耐えていた達也だが、後から我慢できずに街灯を蹴り付けた。バイトに向かう途中の皆川千紘が目撃し、「バカじゃないの」と冷淡に言い放った。達也は怒りを覚えるが、千紘が可愛いのでキレることが出来なかった。
達也がコンビニ前に停めてあるバイクに触れていると、持ち主である安部要が来て凄んだ。達也が睨み付けると、要は喧嘩を売って来た。達也は我慢するが、要が挑発して来たので相撲での勝負を要求する。要が怒って殴り掛かると、達也は防御に徹して「相撲取れや」と睨む。根負けした要が応じると、達也は勝利を収めた。要が100人の所属する暴走族「斬人(キリヒト)」の7代目副総長だと明かすと、達也は興味を示す。彼は自分も特攻隊長だったこと、捕まって少年院から戻って来たばかりであることを語った。
斬人は強いのかと達也が尋ねると、要は遊撃隊長の田口勝、親衛隊長の目黒修也、特攻隊長の長嶋圭吾、若手の武藤将吾と沢村良、総長の丹沢敦司という主要メンバーについて教えた。後日、要は「三塁」に客として現れ、近所が斬人の溜まり場だと達也に語った。テレビのニュースでは、3人をひいて死亡させ、危険運転致死傷で逮捕された男の車内から違法薬物が発見されたことが報じられた。要は達也に、半グレまがいのことをやっている「爆羅漢(バクラカン)」というチームの奴らだと話した。
「爆羅漢」を率いる下原一雅と弟の孝二&賢三はクラブで集会を開き、薬物の売り上げで1位になった弓川久に100万円を渡した。そこへ「ネイバーヘッド」の張川と仲間たちが乗り込み、「爆羅漢」のメンバーがバイクを車にぶつけたので100万円を寄越せと要求した。一雅は憤る弟たちを諫めて金を渡し、タイマンで自分に勝てば追加で100万円を出すと告げる。張川は快諾するが、一雅に完敗を喫した。一雅は金を渡す代わりに「斬人」との戦争で兵隊になれと要求し、張川は受け入れた。
要は達也に、近くのボウリング場にいるから遊びに来いと誘う。一度は断った達也だが、バイクの後ろに乗せると言われたので「少しだけなら」と行くことにした。達也がボウリング場「アイビーリーグ西千葉」に行くと、複数のチームが一緒にいた。驚く達也に、要は事情を説明した。かつて西千葉では「愚狼」「斬人」「阿修羅」「SID」という4つのチームが抗争になり、複数の死者を出す大惨事が起きた。これ以上の被害を食い止めるため、4つのチームは不戦協定を結んだのだ。
達也がボウリング場の中に入ると、良が姉と口論になっていた。良はボウリング場が危険な場所だと言って心配するが、姉は全く気にせず反発していた。達也は「斬人」の連中と激しい言い合いになり、止めに入った要にも怒りをぶつけた。達也は敦司を馬鹿にして喧嘩を売り、要が慌てて仲裁しようとする。そこへボウリング場でバイトしている千紘が来て「そこまで」と注意すると、「斬人」のメンバーは全員がおとなしく従った。
達也が怒って凄むと、千紘は冷たい視線で暴走族を扱き下ろす。敦司は「この件はこれで終了」と言い、達也への怒りが抑え切れない田口を黙らせた。要は達也に、千紘が5代目総長だった兄の状介を抗争で亡くしていること、ボウリング場でバイトしながら揉めそうな連中を止めていることを教えた。後日、要は将吾から、「斬人」のメンバーが「爆羅漢」にやられていることを知らされた。要は達也に、一雅が金持ちの息子であること、振り込め詐欺や美人局などで裏の世界を仕切ろうと目論んでいること、「爆羅漢」と揉めた相手を射殺した噂があることを教えた。
ボウリング場の集会で、敦司は14人がやられたこと、「爆羅漢」が「ネイバーヘッド」を傘下に引き入れて数を増やしていることを聞いた。千紘は達也に兄の誕生日であることを話し、泣きながら「もう誰にも死んでほしくない。アンタらみたいな不良でも、死んだら悲しむ人がいるんだよ」と語った。「爆羅漢」はボウリング場に乗り込み、「斬人」を挑発した。千紘が「ケンカするなら出てって」と告げると、一雅は「ただのバイトが何言ってんの」と凄む。千紘が平手打ちを浴びせると、彼は容赦なく殴り返した。
達也は怒って一雅に詰め寄るが、賢三の攻撃で頭から出血する。賢三が喧嘩を売ると、達也は「ここでは喧嘩しねえし、誰にもさせねえ」と告げる。「爆羅漢」は「斬人」に宣戦布告し、ボウリング場を去った。達也は敦司から「斬人」に入らないかと誘われるが、「ちょっと考えさせてくれ」と告げた。「斬人」の幹部たちは「三塁」に集まり、焼肉を堪能した。要は達也に、もう「爆羅漢」との件には首を突っ込むなと告げた。達也は反発し、要に突っ掛かる。要は無抵抗で突進を受けて転倒し、左肩を痛めた。
要は達也に、「喧嘩したら年少に逆戻りだろ。おめえは俺らの喧嘩にかこつけて、暴れてえだけだろうが」と告げる。「おめえが一番気に掛けなきゃいけねえのは、おばちゃんとおばちゃんだろ」と要は熱く訴え、店を後にした。一雅は「爆羅漢」を4つのグループに分けて、「斬人」の溜まり場を一斉に襲撃した。その内の1つは「三塁」で、達也は一方的に暴行を受けた。要と将吾は大怪我を負い、病院に搬送された。連絡を受けて病院に駆け付けた達也は、要が肩を痛めていたせいで重体に陥ったことを知る…。

監督・脚本は品川ヒロシ、原作は井口達也、漫画は みずたまこと『OUT』(秋田書店『ヤングチャンピオン・コミックス』刊)、製作は藤原寛&遠藤徹哉&小西啓介&野村明男&竹澤浩&沢考史&宮内和彦、プロデュースは片岡秀介、プロデューサーは二宮直彦&中村直史&古賀俊輔、共同プロデューサーは木本直樹&姫田伸也、撮影はYohei Tateishi、照明は川邉隆之、美術は相馬直樹&加藤たく郎、録音・整音は小林圭一、編集は須永弘志、音楽プロデューサーは田井モトヨシ、音楽は武史(山嵐 / The Ravens)、主題歌はJO1『HIDEOUT』。
出演は倉悠貴、醍醐虎汰朗、与田祐希(乃木坂46)、水上恒司、與那城奨(JO1)、大平祥生(JO1)、金城碧海(JO1)、杉本哲太、渡辺満里奈、じろう(シソンヌ)、大悟(千鳥)、庄司智春(品川庄司)、小柳心、久遠親、山崎竜太郎、宮澤佑、長田拓郎、仲野温、今村謙斗、都丸紗也華、酒井貴浩、青山一澄、三宅克幸、バッドナイス常田、下田真生、須賀裕紀、かんた、福田雄基、ミニサヤヒメ、園山敬介、岩崎藤江、蘭、八鍬有紗、崇三朗、小南らな、染谷有香、奈良岡にこ、成島敏晴ら。


井口達也&みずたまことによる同名漫画を基にした作品。
原作の井口達也は品川祐の小説『ドロップ』に登場していた人物で、青年時代の実体験が物語のベースになっている。
達也を倉悠貴、敦司を醍醐虎汰朗、千紘を与田祐希(乃木坂46)、要を水上恒司、圭吾を與那城奨(JO1)、修也を大平祥生(JO1)、良を金城碧海(JO1)、九蔵を杉本哲太、静香を渡辺満里奈が演じている。
石戸役でじろう(シソンヌ)、教官役で大悟(千鳥)、「三塁」の客役で庄司智春(品川庄司)が出演している。
ちなみに倉悠貴は「シュッとした土肥ポン太」にしか見えないのだが、それは個人的な感覚なのでしょうがない。

冒頭、達也が少年院を出ると、教官が「もう戻ってくるなよ」と告げる。
達也が「言われなくても、こんな地獄には二度と戻らねえよ」と吐き捨てた直後、不良2人組が通り掛かって馬鹿にする。
1人が「出所したての奴が年少前で喧嘩できねえだろ」と言い、教官が「少年院の前で喧嘩なんかするわけない」と口にする。
そうやって丁寧にネタ振りをしておいて、達也が不良にドロップキックを食らわす様子を描く。
笑いの方程式として大きく間違ったことはしていないが、とにかく間とテンポが悪すぎる。

まず丁寧すぎるネタ振りが邪魔だし、その後に達也が「やってやるよ」と言ってから不良に向かって走るのも要らない。
それを受けて教官が「やるんかい」とツッコミを入れ、それからドロップキックという流れなのだが、そこは「いきなり不良に殴り掛かって教官のツッコミ台詞」というだけでいい。
ドロップキックの後、30秒ぐらい喧嘩が続くのも要らない。もうドロップキックの時点でオチているんだから。
あと、「少年院を出た直後に喧嘩で連れ戻されて半年後」というネタをやるなら、一度じゃなくて二度は欲しい。一度で済ませるなら、逆に無くしてもいい。

石戸は達也について「少年院から出たその日に逆戻りした前代未聞の頭の悪さ」と扱き下ろし、「井口のような不良がエスカレートして反社勢力になるんですよ」と伊丹夫婦に話す。
これに対して静香は「本当は心根の優しい子」と達也を擁護するが、ちっとも心根は優しくないからね。
「犯罪者」という石戸の表現に対して九蔵が「幾ら何でも言い過ぎじゃありませんか」と反論するが、紛れも無い犯罪者だし。まだ17歳だから刑務所行きは免れているけど、やったことは言い訳できない身勝手な犯罪だからね。
そこで達也が石戸を殴らずに我慢するのも、「次に喧嘩したらアウトだから」ってのが理由であり、更生や反省の結果ではないし、「伊丹夫妻に迷惑を掛けちゃいけない」という心遣いでもないし。

達也が要と相撲を取るシーンも、やはり間とテンポが悪い。
喧嘩を売られた達也は要を睨み付け、「やる気になったのか」という挑発に「付いて来い」と告げる。カットが切り替わると2人は移動しており、睨み合いから会話がある。そして要が喧嘩を始めようとすると、達也は「相撲で勝負だ」と言い出す。
もうね、どんだけダラダラしてんのかと。そこに「たっぷりと前振りに時間を掛けるからオチの笑いに繋がる」なんてことは、全く無いからね。
あと品川監督には「やたらとアクションシーンに時間を掛けて色んな動きを付けたがる」という悪癖があって、ここでも顕著に表れている。
しかも「相撲」と言っておきながら、相撲からは程遠い格闘をさせて、最後はジャーマンスープレックスで決着させるし。

達也が「斬人は強いのか」と尋ね、要が主要メンバーについて教えるシーンがある。ここでは斬人が敵対グループと喧嘩した時の様子が挿入され、田口から丹沢まで主要メンバーの戦いを見せて順番に役職と名前が表記される。
そういうメンバー紹介のタイミングって、そこじゃないだろ。
だってさ、その後で達也は実際の斬人と会うわけだから。その時に紹介パートを用意すればいいだろ。
あと、そこで改めて丹沢の前に要を紹介するパートを入れるのも二度手間でしかないし。どうしても彼の紹介パートを入れたいのなら、達也が最初に出会う斬人の一員は主要キャラ以外のメンバーにしておけば良かったでしょ。

テレビのニュースで危険運転致死傷の事件が報じられた時、運転手の名前は出ていない。それなのに要は「あいつら」と口にして、達也が「知ってる奴か」と尋ねると「爆羅漢」のメンバーだと教える。
だけど、なぜ名前が出ていないのに爆羅漢だと断言できるのか。
それに、運転手は1人なのに「あいつら」と複数形なのも変だし。
っていうか、要が「違法薬物を流しているのが爆羅漢だ」と言いたいのか、その事故を起こした犯人が爆羅漢だと言いたいのか、その辺りも良く分からないし。

一雅は張川がクラブへ乗り込んで来た時、怒る孝二の顔をビール瓶で殴り付けて出血させる。彼は張川に金を渡し、馬鹿にされた孝二が憤るとナイフで切り付けて黙らせる。
その後、一雅は張川に「孝二が出血したから慰謝料として200万円を」と要求し、タイマンで勝てば追加で100万円を渡すと持ち掛ける。そういう経緯を経て、タイマンになる。
それが一雅のキャラをアピールするための手順なのは分かるけど、「なんか色々とダルいなあ」としか思えない。
もう少しテンポ良く進められないものかと。

その後のタイマンでも、やっぱり品川監督の悪い癖が出ている。ここはホントなら、「余裕を見せてタイマンを受けた張川が一雅に一発でやられる」という形にした方がいいのよ。それによって、一雅の圧倒的な強さもアピールできるわけだし。
でも品川監督は、アクションに時間を割いてしまう。
あと、ここでは「グラウンドでの攻防」を見せるが、それも監督の悪癖だ。一雅が飛び付き膝十字を狙い、そこから足関節を狙いに行って、最終的には下からの三角絞めで勝利する。この動き、喧嘩としてのリアリティーはゼロだ。
そういうのが許される類の作品ではあるけど、圧倒的な強さや悪役としての凄みは全く伝わらないのよね。

達也はボウリング場で斬人のメンバーと会った時、やたらと突っ掛かって喧嘩を売る。相手を罵ったり馬鹿にしたりと、完全に挑発的な態度であり、喧嘩を我慢する気なんて無い。
昔の東映任侠映画じゃないけど、本来なら達也がどれだけ挑発されても、どれだけ理不尽な目に遭っても、必死に耐え忍ぶ様子を丁寧に見せておく必要があるのよ。
そういう布石を打っておいてこそ、最後の最後で「怒り爆発の殴り込み」に観客の気持ちが高まり、カタルシスを得られるようになるのよ。
千紘の「もう誰にも死んでほしくない」という言葉を聞いてからは変化しているけど、それ以降の我慢だけではクライマックスを盛り上げるためのパワーが足りていないのよね。

要が将吾から「メンバーが爆羅漢にやられた」と聞いた後、達也に下原三兄弟のことを教える手順が入る。ここでは下原三兄弟が戦う様子が挿入され、それぞれの戦い方の特徴が解説される。
でも、そういうのを入れるなら、一雅が張川と戦うシーンは無くても良かっただろ。
しかも回想パートでは「ゴルフクラブで相手を殴って耳を削ぐ」という様子が描かれており、タイマンのファイトスタイルとは全く違うし。
これだと、一雅のキャラがフワフワしちゃうでしょうに。

庄司智春が演じる男はプロ格闘家の設定で、3人組で「三塁」にやって来る。そして達也が敦司とのお喋りで気付かないので、「会計って言ってんだろ」と腹を立てる。
腹を立てた達也が睨み付けると、3人組は「ヤンキー上がりがプロには勝てねえんだから、いきがるなよ」「ヤンキーなんて勉強もスポーツも出来ないクズが、群れていきがってるだけ。所詮、社会に出ても学が無いから底辺で、前科があったら負け組終了」などと馬鹿にする。
それを聞いていた敦司は店を出て来た3人組を挑発し、怒って喧嘩を売って来た彼らを軽く叩きのめす。
これを「クソみたいな奴らを痛い目に遭わせるカタルシスのシーン」として描いているんだけど、「そうかな」と。

まあプロ格闘家のくせに簡単に喧嘩を仕掛ける連中も、自分たちがバカにしたヤンキーと同じぐらいバカではあるんだよ。
ただ、敦司が彼らに喧嘩を仕掛けさせて叩きのめすことによって、「やっぱりヤンキーは暴力で問題を解決することしか出来ないんだね」という現実が露呈しちゃってるんだよね。
確かに3人組の態度は悪かったけど、「言ってることはそんなに的外れでもない」と感じさせる結果になっているんだよね。
そもそも、達也がお喋りで会計に気付かなかったのが問題なのに、腹を立てて凄んでいる時点でダメだし。

下原三兄弟が複数の女をはべらせて襲撃計画を話しているシーンで、良の姉がいる。
結果として、彼女が覚醒剤を注射されて、その動画で脅された良が溜まり場の情報を教えたせいで斬人は襲撃を受けるわけだが、「なんで良の姉は爆羅漢と一緒にいるのよ」と言いたくなる。
そりゃあボウリング場にはいたけど、それだけじゃ爆羅漢との繋がりは生まれないはずで。そもそも良の警告を無視していたぐらいだし、なんか「良の姉がバカだから、爆羅漢との飲み会にホイホイと付いて行ったんじゃないの」と感じてしまう。
そりゃあ爆羅漢がクズなのは確かなんだけど、そこで「良の姉にも落ち度がある」と少しでも思わせてしまうのは、何の得にもならないでしょ。

爆羅漢が襲撃計画を話す飲み会のシーンでは、下原三兄弟の幼少期に関する回想が挿入される。そこでは、孝二が賢三を苛めて顔に傷を付けたこと、賢三が婚外子であること、愛人だった母が自殺して本家に引き取られたこと、一雅が彼に「俺はゴミクズです」と大声で何度も言わせていたことが説明される。
だけど、そんな「賢三の不幸な幼少期」を描く回想を入れて何の意味があるのよ。それで賢三に同情させたかったのか。だとしても、その同情心は何の意味も生まない。
ネタバレを書くが、最後の最後で賢三は一雅を攻撃してKOし、達也たちを逃がしている。
だけど、そんな鞍替えとか全く要らないから。どうせ賢三に関する人間ドラマなんて、全く描かれていないし。達也との心の交流で、変化が訪れたわけでもないし。

爆羅漢の宣戦布告があった後、要は達也に「もう爆羅漢との件には首を突っ込むな」と言う。
だけど、そもそも達也をボウリング場へ誘い、仲間に紹介し、「三塁」に通って仲良くなったのはテメエだろうが、それなのに、何を今さら言ってんのかと。
爆羅漢の襲撃ポイントの1つが「三塁」だと知った要は「店は関係ねえだろうが」と怒るけど、そもそも店に集まって溜まり場みたいにしていたのもテメエらだろ。
迷惑を掛けたくないと思っていたのなら、そこを溜まり場みたいに使っちゃダメだろうが。

あれだけ派手に暴れまくったのに、なぜか警察が連行するのは斬人の幹部だけで、爆羅漢の下原三兄弟は放置されている。
しかも監視の対象にするわけでもないので、爆羅漢は簡単に千紘を拉致している。
「刑事が三兄弟の父と通じていて爆羅漢を野放しにしている」みたいな設定でもあるのかと思ったが、そういうことでもないし。
「このままでは爆羅漢を逮捕できないから、斬人を泳がせて両方を逮捕する」と言っているけど、いや逮捕できるだろ。
石戸を悪人にしたいのは分かるけど、どんだけ警察が無能なのかと。

あと、爆羅漢が千紘を拉致する行動は、物語として全く意味が無いんだよね。だってさ、その前に「要が大怪我で死にそうになっている」という状況があるんだから、「達也が激怒して殴り込む」という展開に持ち込むきっかけは既に成立している。
「それでも達也が必死に耐える」みたいな展開があるなら「次の一手」が必要になるけど、そうじゃないんだからさ。
あと、女を容赦なく殴り付けたり覚醒剤を打ったりするような爆羅漢が、千紘を拉致するだけで済ませるのは変だろ。どう考えても、もっと酷い目に遭わせるだろ。
せっかく拉致しておいて、人質として盾に使うわけでもないので、そういう意味でも要らない展開だなあと感じてしまうし。

(観賞日:2024年7月17日)

 

*ポンコツ映画愛護協会