『おとなの事情 スマホをのぞいたら』:2021、日本

11月21日、皆既月蝕の日。カフェレストラン『caffe Angela』で雇われ店長をしている向井幸治は、スマホを見ながらパーティーの準備を進めていた。そこへ、2年前に結婚した獣医の杏がやって来たので、幸治は驚いた。杏はメールを送ったが、幸治は気付いていなかった。同じ頃、美容外科医の六甲隆と精神科医の絵里の夫婦はパーティーに行く準備をしていた。絵里は届いたメールを見て、仕事のことだと隆に告げる。娘の智慧は別の用事で外出することになっており、絵里が理由を尋ねると「ママじゃ理解できない」と反発した。智慧が家を出て行ったあと、隆は彼女から「ママとは無理、ありがと、行ってきます」というメールを受け取った。
同じ頃、パラリーガルの園山零士と専業主婦の薫の夫婦は団地にいた。夫婦はてんご&おとや&はるという3人の子供、零士の母の美智子の6人で暮らしている。零士はメールが届くと、トイレに入って内容を確認した。着替えに行った薫は届いたメールを見ると、パンティーを脱いで箪笥の引き出しに入れた。園山夫妻は六甲夫妻と合流し、パーティー会場に向かう。パーティーは毎年の恒例になっており、去年は六甲夫妻の自宅で開かれたが、今年は幸治の提案で『caffe Angela』を貸し切ることになった。塾講師で独身の小山三平は公園でスマホに届いたメールを確認し、残念そうな様子を見せた。彼は持っていた日本酒を誤って割り、ズボンの股間の辺りが濡れた。
六甲夫妻と園山夫妻は『caffe Angela』に到着し、向井夫妻に迎えられて差し入れを見せた。六甲夫妻は自作の料理、園山夫妻は焼酎を持参していた。焼酎は予約待ちになるほどの人気の銘柄だったが、園山夫妻は貰い物を持って来ただけだった。六甲夫妻と園山夫妻の様子を見ていた杏は泣き出し、「なんか、羨ましいなぁと思って」と口にする。上手く行っていないのかと問われた幸治は、慌てて否定する。六甲夫妻と園山夫妻は、向井夫妻に上手くやるよう頼んだ。
6人は三平が恋人を連れて来ると話していたことに触れ、どんな女性なのか期待して到着を待った。そこ三平が現れ、恋人が熱を出して来られなくなったことを告げた。三平はコンビニで買った大量のアイスを差し入れとして見せ、日本酒を割ってしまったことを釈明した。幸治は準備に入ろうと持ち掛け、メインの料理として山積みにしたコンビーフの缶詰を見せた。7人は準備を整えて乾杯し、テーブルを囲んでパーティーを始めた。
杏は夫婦関係が上手く行っていない問題について質問され、「私、向いてないんじゃないかなって思うんです。結婚とか夫婦とか」と口にする。彼女が「夫婦って何ですか?夫婦の間には秘密は無いんですか?」と言うと、絵里が「何もかも喋ってるわけじゃないし、あえて言わないこともある」と告げる。杏が「その小さな秘密は知られても大丈夫なことなんですか?」と追及すると、2組の夫婦は明確な返答を避けた。すると杏は、「ここにいる間、携帯を出して見せ合いましょう。通話はスピーカーにして、メール類も全部公開して。秘密が無いから大丈夫ですよね」と言い出した。
他の面々が戸惑っている中で、絵里が「私は大丈夫」とスマホをテーブルに置く。すぐに薫もスマホを出し、絵里に促された隆も後に続く。幸治もスマホを出し、杏に「俺みたいにね、いかにも何かありそうなのは、意外と何も無いんだよ」と軽く笑った。零士は嫌がるが、他の面々に迫られて仕方なくスマホを出した。独身の三平は無関係だと思っていたが、杏から参加を要請される。零士は合図を送って断るよう頼むが、三平もスマホをテーブルに置いた。
7人は夕食に戻るが、楽しい雰囲気は完全に消えた。幸治のスマホが鳴ると、彼は冷やしてい焼酎を取り出すためにタイマーをセットしていたことを説明した。三平のスマホには、精進ゼミナール熊谷校の面接官から連絡が入った。彼は採用が決まったことを知らされ、他の面々は彼が勤務していた塾を辞めていたことを初めて知った。辞めた理由を訊かれた三平は、塾の経営者がトランスジェンダーの子供の入学を拒否する差別主義者だったので嫌気が差したと説明した。
零士は美智子からの電話で、「アンタの夜は料理が不味い」と言われる。彼は薫に促され、子供たちにゲームをやめさせるよう母に頼む。すると美智子は、「お前とあの嫁の子供だ。どうせバカだ。勉強したって大したことはない」と言い放った。零士は慌てて電話を切るが、気まずい空気が流れた。薫が美智子の物真似で場を和ませた直後、零士のスマホにレンタルビデオの延滞を知らせるメールが届く。しかし店名を確認した零士は、詐欺メールだと気付いた。その直後、幸治のスマホにも明らかな詐欺メールが届いた。
零士は三平とスマホの機種が同じだと気付き、彼を煙草に誘う。彼は渋る三平を強引にバルコニーへ連れ出し、スマホを交換してほしいと持ち掛けた。零士は「軽いイタズラメールを遊びでやっている女の人がいる。何も変な関係じゃない」と釈明した上で、薫は嫉妬深いので許してくれないと告げる。三平は要求に応じなかったが、テーブルに戻った零士はスマホを取り替えようとする。三平は拒んで揉み合いになるが、隆がやって来たので仕方なく零士の要求に応じた。
零士のスマホにメッセージが入ると、彼は三平に内容を確認するよう促した。三平がスマホを見ると、ランジェリー姿の女性が写真を送信していた。零士が何食わぬ顔で質問するので、三平は仕方なく恋人だと嘘をついた。その直後、今度は三平のスマホにメッセージが入った。スマホを確認した零士は、ヒデという男性からのビデオメッセージに動揺した。薫が取り上げて動画を再生すると、ヒデは「お友達とお楽しみ中なんでしょ」と嫉妬心を剥き出しにしていた。
零士は慌てて友達だと説明するが、薫は「いつからゲイなの?」と問い詰めた。またヒデからビデオメッセージが入り、「カミングアウトする勇気が無いんだ?恥ずかしいことなの?」という言葉を全員が確認する。薫は「夫がゲイだと分かった時の妻の気持ち分かる?」と声を荒らげ、幸治と隆は自分たちを性的対象として見ていたのかと責めた。零士が「そんなわけねえだろ。仮に俺がゲイだったとしても、男なら誰でもいいわけじゃないぞ。お前らなんか好みじゃねえわ」と怒鳴ると、三平は嬉しそうな様子で彼に抱き付いた。
零士は薫からバイなのかと問い詰められ、返答に窮した。三平はヒデに返答するよう促し、「僕も会いたい」と送るよう助言した。薫のスマホにメールが届くと、彼女は慌てて隠そうとする。零士がスマホを取り上げると、「ちゃんと穿かないで過ごしてるかな子猫ちゃん」という文面だった。薫は「遊びだよ」と釈明し、出会い系サイトで知り合った相手とメールのやり取りをしているだけだと告げる。零士が「穿いてないのか」と詰問すると、薫は誤魔化そうとする。「穿いてるなら見せてみろよ」と零士が迫ると、薫はノーパンの股間を全員に晒した。零士は絵里にビンタを浴びせられ、薫から「若い男と寝てるくせに」と責められた。
薫は杏に「夫婦に夢も希望も持てなくなっちゃったよね」と謝罪し、「でも絵里さんの所がまだあった」と言う。すると絵里は意味ありげに微笑を浮かべ、「どうかな」と口にした。隆のスマホに智慧から電話が入り、彼は仕方なく全員に通話を聞かせる。智慧は隆に妊娠していなかったことを報告し、「パパに相談して良かった。ママに話してたら大変な騒ぎになってたよね」と感謝した。隆が電話を終えると、絵里は内緒にしていたことを「妻に対する裏切りだわ」と批判した。
隆には遠山メンタルクリニックから診察予約を確認する電話が入り、さらに絵里の怒りが増した。ライバルのクリニックで診察を受けていたことを彼女が非難すると、隆は「妻と話したくないことだから」と釈明した。同意を求められた男性陣は理解を示すが、絵里の怒りは増すばかりだった。幸治のスマホにメッセージが入ると、杏が奪い取って確認した。それは元カノからのメッセージで、嬉しそうに妊娠を知らせていた。
杏は自分が不妊治療を言い出したことに触れ、「そりゃそうだ。原因は私だ」と漏らした。幸治は「俺、頑張るよ。杏ちゃんもその子も幸せに出来るようにさ、頑張るよ」と明るく言い、杏が「死ね」と罵ると「誰も死なせない」と力強く告げる。杏は興信所に幸治の調査を依頼しており、その報告書がメールで届いた。杏が画像ファイルを開くと、幸治と絵里の浮気現場が撮影されていた。しかし浮気が露呈しても、絵里は全く悪びれる様子を見せなかった。
杏が激怒して絵里に詰め寄ろうとすると、隆が制止に入った。杏が「なんでそんなに冷静なんですか」と苛立つと、絵里は「ちょっとホッとしてるの、その人は。今後の関係が自分に有利になるから」と説明した。彼女は隆が金持ちである自分や家族への劣等感を抱いていることを語り、娘の理解者になることで優位に立ちたいのだと指摘した。絵里が「夫婦の間ぐらい、勝ち負けなんかどうだっていいじゃない。どうしても勝ち負けが必要なら、私は負けでいいよ」と話すと、「俺は勝ちたくなんかない。俺は君を尊敬してるから。ただ負けたくなかった。そうすると、自分が惨めだから」と隆は述べた…。

監督は光野道夫、原作は映画『Perfetti sconosciuti』、脚本は岡田惠和、製作総指揮はウィリアム・アイアトン、プロデューサーは上木則安&栗原美和子&山崎淳子、撮影は須藤康夫、映像は佐藤隆彦、照明は海保栄古、録音は渡辺丈彦、美術は吉田敬、編集は涌井真史、音楽は眞鍋昭大。
出演は東山紀之、常盤貴子、益岡徹、田口浩正、木南晴夏、淵上泰史、鈴木保奈美、室龍太(関西ジャニーズJr.)、桜田ひより、青木和代、荒井天吾、今泉雄土哉、高木波瑠、山本美奈子、琴井ありさ、福田賢二、山口景子。


数々の映画賞を受賞した2016年のイタリア映画『おとなの事情』を日本でリメイクした作品。
『ヒーローインタビュー』『バースデイプレゼント』の光野道夫が、26年ぶりに映画監督を務めている。
脚本は『雪の華』『いちごの唄』の岡田惠和。
三平を東山紀之、薫を常盤貴子、隆を益岡徹、零士を田口浩正、杏を木南晴夏、幸治を淵上泰史、絵里を鈴木保奈美、ヒデを室龍太(関西ジャニーズJr.)、智慧を桜田ひより、零士の母を青木和代が演じている。

序盤、幸治や杏たちが順番に登場する時、指にはめている指輪がキラッと光ってSEが入る。この演出が呆れるほどダサいんだけど、どういう意図なのかサッパリ分からない。
仮にギャグだとしても、まるで笑えない。三平だけが独身なので指輪が光る演出は無いが、そこの対比に意味を持たせているようにも感じないし。
序盤で引っ掛かる演出が、もう1つある。幸治たちは登場シーンてメールを受けているが、その内容は観客に明かされない。ところが隆が智慧から受けたメールだけは、その時点で内容が示される。
これは演出として中途半端であり、そこも隠すべきだろう。

杏がスマホの内容を全て公開するよう全員に懇願する感覚には、「なんで?」と引っ掛かる。
「自分は結婚に向いていない」と感じたにしても、「だから他の面々にはスマホの内容を全て明らかにしてもらいたい」と言い出すのは、ただの傲慢さでしょ。
幸治を信じられないと思ったのなら、彼にスマホを見せてくれと要求すれば事足りる問題だ。
それに、そもそも彼女が「幸治を信じられない」と感じた理由も、良く分からない。それについては、何も教えてくれないし。

それに対する罪悪感がゼロで「自分は正しい」とでも言わんばかりの態度なのは、相当にヤバい女だ。
ところが杏は反省することも無いし、周囲の人間が「アンタは間違ってるよ」と指摘することも無い。
三平と零士は最後まで渋るが、それ以外の面々はスマホを見せることを簡単にOKする。この感覚も、なぜなのかサッパリ分からないのだ。
全員がバレたらマズい秘密を抱えているのに、余裕の態度でOKしているのは何のつもりなのかと。
物語のきっかけとなる基本設定に、大きな無理を感じてしまう。

杏は自分が要求したゲームのせいで薫が義母の悪口を知って気まずい雰囲気になっても、「もうゲームは止めましょう」と言うことも無い。罪悪感ゼロで、そのままゲームを続行する。
っていうか、「信じられないからスマホを見せて」と要求した時点で、もう夫婦としては実質的に終わっていると言ってもいいぐらいだ。
そこからヨリが戻るとは到底思えないのよ。
なので極端なことを言ってしまうと、全員がスマホを見せることを承諾した時点で、夫婦が破綻することは確定している。

ヒデのビデオメッセージで薫と零士の関係が険悪になっても、やはり杏は自分が元凶だという自覚を全く持っていない。
傍観者として、「夫婦は信じられない」と感想を抱くだけだ。
薫がノーパンを晒す羽目になっても、やはり彼女は全く当事者としての意識が無い。
あと、そんなゴタゴタが立て続けに起きているのに、なぜ誰も「このゲームから降りる」と言い出したり、パーティーを切り上げて立ち去ろうと考えたりしないのか。

何が起きようと、どんなに嫌な空気になろうと、それでも全員がゲーム及びパーティーを続行する感覚がサッパリ分からない。そうまでして、そのメンバーで集まる関係性を壊したくないのか。
だけど実質的には、もう完全に壊れちゃってるでしょ。今までみたいな楽しい仲良しグループは続けられないでしょうに。
智慧の一件なんて、もはや隆と絵里の夫婦関係だけの問題では済まない。それでも隆が会話を全員に聞かせることを選ぶのは、心底からバカにしか思えない。ゲームに乗ってる連中に、嫌悪感しか抱かないのだ。
腹が立つタイプのバカなのよ。一応はコメディーのテイストもある作品のはずだけど、ちっとも笑えないし、不快感がどんどん増していくのよ。

隆と幸治から「そんな目で見てたのか」と言われた零士が「そんなわけねえだろ。仮に俺がゲイだったとしても、男なら誰でもいいわけじゃないぞ。お前らなんか好みじゃねえわ」と怒鳴ると、三平は嬉しそうな様子で彼に抱き付く。ここはBGMを流して、ちょっと感動的なシーンのように演出している。
だけど、どこに感動する要素があるのかサッパリ分からない。
零士は三平を庇うために前述の言葉を口にしたわけじゃなくて、隆と幸治の疑惑を否定するために喋っているようにしか見えない。
そもそも、「お前らなんか好みじゃねえわ」という形での否定は、三平が「僕の気持ちを分かってくれた」と感激するような台詞でもないでしょ。

薫がノーパン状態の股間を全員に晒し、絵里が零士をビンタして非難するシーンでは、ピアノの悲しげなBGMを流している。
でも、この演出には「なんで?」と首をかしげてしまう。むしろ、バカバカしさ満開のシーンでしょ。ある種のギャグでしょ。
そもそも、零士から「穿いてるなら見せてみろよ」と迫られた薫は、穿いていないんだから「ノーパンだから見せられない」と拒否すればいいわけで。
そこで開き直ってノーパンの股間を晒しておいて、それで零士だけが悪者扱いされのは理不尽じゃないかと。

絵里は幸治との浮気がバレると、隆について「この人はずっと劣等感があるの、私に。それから私の父とか家族。要するに、金持ち全部。自分は母子家庭だったし、団地育ちだし。それに言われたくないだろうけど、父に結婚を反対されたことや開業の時に力を借りたこと。それに、私がもてはやされてること」などと語る。
だけど、そこまでの話で、そんな関係性には全く言及していなかった。
そこで初めての情報が一気に語られるので、「今までの隆の言動や態度は、そういうことだったのか」と腑に落ちることは全く無い。
今まで観客に何一つ示していなかった情報を終盤になって探偵が一気に語り、「だから犯人はお前だ」と言い当ててもミステリーの醍醐味なんてゼロでしょ。
それと似たようなことよ。

絵里は浮気がバレても全く反省の色を見せず、謝罪もせず、「私は夫のことを思っているよき妻です」ってことをアピールする。
そこを感動的なシーンのように演出しているけど、「その前に浮気を詫びろよ」と言いたくなるぞ。
隆が劣等感を抱いていても、「だから絵里は浮気した」という言い訳としては成立していないし。
あと、「隆が娘の妊娠疑惑やクリニックへの通院を内緒にしていた」という秘密は、絵里の浮気という秘密と等価交換になってないしね。どう考えても、絵里の方が問題が大きいからね。

前述した隆と絵里の会話シーンでは、感動的な雰囲気になる中で杏が「なんか、いい話にしようとしてるのおかしくないですか?私たち夫婦を踏み台にして、いい話にしてやり直そうとするのやめてもらっていいですか?」と言い出す。
だけど、BGMは切り替わらないし、雰囲気としては感動モードのままなのだ。
杏にしても、ちょっと感動したような様子があるし。
なので、そういう台詞を杏が口にしても、そのシーンがギャグに転換しないのよね。ただの安っぽい感動シーンのままなのよね。

コメディー的な匂いがあるのは序盤だけで、ゲームが始まって以降は、やたらとウェットなテイストで演出している。そんな中で、秘密を知られた人間と知った人間に対する共感や同情を誘おうとしている。
でも無理だよ。だって、秘密を知られてショックを受けるのも、秘密を知ってショックを受けるのも、何もかも自業自得でしかないんだから。
「ゲームを始めた段階で、秘密を知られて取り返しの付かないことになるのは分かっていたはずだろ」と言いたくなるのよ。
だからこそ、全てをコメディーとして処理しないと、どうにもならないはずなんだよね(それで全てが救われるわけではないが)。

三平が零士とスマホを交換したことを打ち明けると、薫たちの顔が1人ずつアップになり、「んっ?」というリアクションを見せる。これ、恐ろしいぐらいモッチャリした演出だ。
おまけに、それだけで終わらないのだ。
その直後、またカメラが1人ずつ顔をアップで捉えて、気付いたことを示す「えっ?」というリアクションを取らせる。ダメ押しである。
そういう演出を重ねることで、テンポが悪くなっている。
あと全体的に、BGMもうるさいんだよなあ。作品を盛り上げる効果より、邪魔になっている部分が圧倒的だわ。

後半に入ると、杏が興信所に幸治の調査を依頼していたことが明らかになる。もし幸治に何の秘密も無かったとしても、杏が興信所に依頼した時点で、実質的に夫婦関係は破綻している。まるで信じていないってことだからね。
そんで全員がギクシャクする中、終盤に入ると隆が「月は何事も無かったかのように元に戻る」と言い出す。この台詞は、「このメンバーも同じように、何事も無かったように戻る」ってことを示唆している。
そして8年前の大型台風で同じ場所に避難して救助された仲間であることが明かされ、「あの危機を乗り越えた仲間なんだから、この程度の危機は乗り越えられるでしょ」ってことで平穏な状態に戻るのだ。
でもさ、「それはそれ」でしょ。
思い出話に花を咲かせてホッコリした雰囲気になっても、何かあれば絶対に浮気の問題は蒸し返されるぞ。表面的に今まで通りに戻ったとしても、心に爆弾を抱えている状態になってるぞ。

(観賞日:2022年7月3日)

 

*ポンコツ映画愛護協会