『おっぱいバレー』:2009、日本

1979年、北九州。戸畑第三中学校の3年生、平田育夫、楠木靖男、杉浦健吾、江口拓、岩崎耕平は、自転車で走りながら手を軽く握って風 に当て、オッパイの感覚を味わおうとする。だが、時速80キロでは味わえないということで、今度は急な坂から特殊車両で駆け下りること にした。さっきよりもオッパイの感覚は味わえた気がしたが、そのまま崖に突っ込んで江口が怪我を負った。
学校の朝礼で、彼らは教頭の話など全く聞かずにオッパイのことを語り合っている。その時、教頭が東小倉中学から転任してきた23歳の 国語教師・寺嶋美香子を紹介した。壇上に立った美香子を見て、平田たちは頬を緩ませた。美香子が「高村光太郎の詩『道程』が大好きで 云々」と語るので、男子生徒は「童貞」を連想してザワつき、江口は興奮して鼻血を出した。
教頭から「男子バレー部の顧問に空きがあるんですが、お願いできますか」と言われ、美香子は「頑張ります」と意欲を示した。だが、 男子バレー部員とは、あの平田たちだった。彼らは壁に穴を開けて女子テニス部の着替えを覗こうとしたが、バレてボールをぶつけられた。 同僚教師の堀内健次は、何も知らない美香子に「あいつらが練習してるとこなんか見たことが無いし、頑張るという言葉とは無縁な奴ら です」と告げる。だが、美香子は「頑張るのを教えるのが教師じゃないですか」と諌めた。
翌日、美香子が部室に行くと、平田たちは部屋を飾り付けて歓迎会の用意をしていた。美香子に「練習しないの?」と言われると、彼らは 「やるんですか?」と訊き返した。美香子は彼らを体操着に着替えさせ、柔軟体操やランニングをさせた。平田たちは、一応は付き合う ものの、柔軟体操では美香子に気付かれないようにオッパイを凝視し、ランニングでは髪の毛の匂いを嗅いだ。
美香子が女子バレー部との練習を提案すると、平田たちは「無理です」と慌てて断った。5人がわざとらしく「僕ら5人だし。畜生、試合 したいぜ」などと芝居をしていると、1年生の城良樹が「バレー部に入りたいんですけど」と声を掛けてきた。小学校から、ずっとバレー をやってきたという。彼も加えて、女子と1セットだけ対戦することになった。平田が幼馴染みの草間理恵に声を掛けると、「呼び捨てに しないで。またテニス部覗いたんだって。最低」と罵られた。
試合は15対0で惨敗したが、平田たちは全く気にしていない様子だった。彼らがAクイックさえ知らないのに怒った城は、「辞めます」と 告げて去った。女子部員たちも「バカ部が挑んでくるなんて100年早いよね」と呆れた。美香子が部室に戻ると、平田たちは陽気な態度で 「まずはツイスターゲームやりましょうよ」などと言う。彼らは、入部以来、バレーボールはやったことがないことを告げた。一つ上に 中井という。怖い先輩がいて、卒業までイビられていたのだという。
「試合で勝ってみたいとか思わないの」と美香子が言っても、彼らは「勝つなんて有り得ない」と、やる気を全く見せない。しかし美香子 が「本気で頑張るなら、何でもするから」と口にすると、彼らの顔が変わった。5人は相談し、「もし僕らが今度の大会で1勝したら、 オッパイを見せてください」と言う。美香子が「出来るわけないじゃん」と断ると、「先生なんて、そんなもんですよね。ホントは何でも とかじゃないんだ」と口にする。美香子は成り行きで、1勝したらオッパイを見せる約束をさせられてしまった。
美香子は堀内に事情を説明し、「どうせ勝てないよね」と言う。しかし「それでいいんですか」と訊かれると、「良くないわよ。顧問に なった意味ないでしょ」と口にする。「それじゃあどうするんですか」という質問が来ると、「分かんない」と告げた。「学校にそんな 約束したことがバレたら大変ですよ」と堀内が言うと、「約束は無しって、明日、ハッキリ言います」と述べた。
平田たちは、地区最強の竜王中学男子バレー部を視察に出掛けた。しかし体育館での激しい練習を見て、圧倒されてしまう。彼らは試合に 勝つために、練習の邪魔をしようと考えた。バレーボールに穴を開けようと思い付き、5人は体育館に潜入する。だが、新体操部の練習を 覗き見して、教師に見つかった。職員室にいた美香子は、竜王中学からの電話で呼び出された。
美香子は平田たちに「ボールに穴を開けて邪魔しようなんて、情けないと思わないの」と言うが、「普通にやっても勝てないし」という 答えが返ってきた。思わず彼女は、「死ぬ気で頑張ろうともせず、私のオッパイが見れると思ったら大間違いよ」と言ってしまう。彼らが 「死ぬ気で頑張って、先生のオッパイを見ます」とやる気になったので、約束を無しにするとは言い出せなくなった。
翌朝、美香子は平田たちがコートで練習している姿を目にした。女子バレー部の顧問からは「いつも通りコートを空けてもらえませんか。 今さら何やったって無理なんですから」と言われるが、美香子は「彼らは本気で頑張り始めたんです」と反発した。美香子も本を読んで バレーボールを勉強し、ジャージ姿で練習に付き合うようになった。
試合をするためにはメンバーが足りないので、美香子は城を説得することにした。彼女が平田を連れて城の家に行くと彼は不在で、父親の 和樹が応対した。和樹は学生時代から実業団までバレーボールの選手として活躍したが、怪我をして引退していた。彼は息子がバレー部で 活動していると思い込んでいた。平田は「バレーのことを色々と聞きたくて」と、咄嗟に嘘をついた。
城が自分たちと違ってバレーを純粋に愛していると知った平田たちは、「考えられない」と感想を漏らした。しかし城がいなければ試合は 出来ないので、手分けして捜すことにした。上級生2名と遊び歩いているのを見つけるが、「俺、バレーボールなんて興味ないですから」 と言われる。城は調子に乗ってカブを蹴っ飛ばし、持ち主の中井に捕まった。上級生2人は逃げてしまった。
その様子を目撃していた江口は、仲間に報告した。平田たちは城が中井に殴られている現場に赴き、助けに入った。平田は「殴るなら、 僕らをお願いします」と言い、5人は中井にボコボコにされた。城は感激するが、「俺たちと一緒にオッパイを見よう」と言われて戸惑い を示した。城がメンバーに加わり、練習の日々が続いた。改めて女子と練習すると、今度は15対8で勝った。美香子は喜ぶが、堀内から 「試合でも勝ちますよ」と言われると「勝ったら困る。でも負けたら嫌」と複雑な心境を口にした。
北九州・筑豊地区中学校バレーボール大会が始まった。一回戦の相手はメンバーが2人しか集まらず、戸畑第三中学校は不戦勝となった。 平田たちは「不戦勝だって立派な勝ちです」と、美香子に約束を守るように要求した。しかし城が「不戦勝で勝ったと言えるんですか。 もっとスッキリした形でオッパイを見たいんです」と言うので、平田たちは納得し、2回戦での勝利を誓った。
2週間後に行われる2回戦の相手が地区最強の竜王戦に決まり、平田たちは一気に落胆した。美香子が「技術も戦力も向こうが上だけど、 君たちは成長してる。勝てるかもしれないって思う」と励ましても、彼らは沈んだままだった。そこで美香子は6人を集め、「一回しか 言わないわよ。私のオッパイを見るために頑張りなさい」と告げる。途端に6人は元気になった。
美香子はレストランで元カレと会った。彼女は荷物に紛れていた元カレのライターを差し出し、過去を回想する。東小倉中学で教師をして いた頃、彼女はシーナ&ロケッツが好きな女子生徒たちに「今度みんなで見に行こうか」と告げた。だが、生徒指導担当の教師に知られて 「受験前の子供たちとロックのコンサートに行くなんて。まさか先生が言い出したわけじゃありませんよね」と問われ、「違います」と嘘 をついた。それを生徒たちに知られ、美香子は信頼を失った。学校が怖くなり、行くのが嫌になった。
元カレは出張で来たと言っていたが、それは嘘だった。「もう一度やり直せないかな」と言われ、美香子はホテルの部屋に行く。しかし、 ベッドインしようとしたところで、平田たちの「オッパイ、オッパイ」という掛け声を思い出す。美香子はベッドから飛び起き、「この オッパイは私だけのものじゃないの。これはみんなの夢なの」と思わず口にして、部屋から逃げ出してしまった。
翌朝、平田たちが部室に行くと中井が待ち受けていた。中井に脅され、彼らはバレーを頑張っている理由を明かした。すると平田は「安心 しろ、誰にも言わねえよ。いい先公だな。これで負けたら男じゃねえぞ」と告げ、部室を去った。その話を盗み聞きしていた理恵は、 「そんなことだろうと思った」と呆れた。和樹が実業団の選手を連れてきて、学校で2日間の合宿が行われることになった。美香子が 「オッパイの約束とか無しでも勝ちたいっていう気持ちになってきたんじゃない?」と言うと、平田たちはいや、全然。オッパイあっての 僕らですから」とあっさり否定した。
夜、美香子は堀内に、中3の時に友達に誘われて万引きし、捕まって補導されたことを明かした。学校からは1週間の自習を課せられ、 その時に担当したのが原田先生だった。原田は怒りもせず説教もせず、ただ忘れ物の本を渡しては感想文を書かせるだけだった。面白く ないので、美香子は渡された本に片っ端から落書きした。最後の日、彼女は『道程』という詩に巡り合った。
後日、美香子は原田から、『道程』の感想文をコンクールに出しておいたと告げられた。それは読書感想文コンクールで金賞を獲得した。 美香子は生まれて初めて賞を貰い、とても嬉しかった。原田は「お前、国語の教師にでもなったらどうだ。向いてるかもしれんぞ」と彼女 に告げた。目の前に道が開けた感じがして、美香子は教師を目指したのだ。一人前の教師になったら、原田の所へ報告に行きたいと彼女は 考えていた。「行けばいいじゃないですか」と堀内に言われ、美香子は「行けないよ。私はまだ……」と口にした。
理恵は女子バレー部の友人から「あいつら最近、頑張ってるよね。ちょっとカッコ良く見えない?」と平田たちのことを言われ、頑張って いる理由を明かした。その友人から噂が広まり、それは校長と教頭の耳にも届いた。美香子と平田たちは校長室に呼び出され、噂の真偽を 問われた。平田たちは「僕らが勝手に言ってるだけで、先生がそんな約束するわけないじゃないですか」と否定する。だが、教頭に確認 された美香子は「私が約束しました」と正直に言い、クビを通告された…。

監督は羽住英一郎、原作は水野宗徳、脚本は岡田惠和、脚本協力は西田征史、製作は堀越徹&千葉龍平&阿部秀司&上木則安&遠藤茂行& 堀義貴&西垣慎一郎&平井文宏、エグゼクティブプロデューサーは奥田誠治&堀健一郎、Coエグゼクティブプロデューサーは菅沼直樹、 プロデュースは堀部徹、プロデューサーは藤村直人&明石真弓、Coプロデューサーは穀田正仁、アソシエイトプロデューサーは小出真佐樹 &中島真理子、企画協力は江上雅彦、撮影は西村博光、編集は松尾浩、録音は柳屋文彦、照明は三善章誉、美術は北谷岳之、 バレーボール指導は大林素子、音楽は佐藤直紀。
主題歌はCaocao『個人授業』作詞は阿久悠、作曲は都倉俊一。
出演は綾瀬はるか、仲村トオル、青木崇高、光石研、田口浩正、市毛良枝、木村遼希、高橋賢人、橘義尋、本庄正季、恵隆一郎、 吉原拓弥、石田卓也、大後寿々花、福士誠治、小島藤子、斉藤リナ、小林勝也、三木敏彦、野田晋市、森下じんせい、 原田実歩、衛藤直子、中西彩加、山元美佳、田原葵、山本夏紀、福井未菜、深野加奈子、児嶋悠菜、宇野良佑、坂井悠紀、山下真帆ら。


実話を基にした水野宗徳の同名青春小説を映画化した作品。
美香子を綾瀬はるか、和樹を仲村トオル、堀内を青木崇高、教頭を光石研、 竜王中男子バレー部コーチを田口浩正、原田の妻を市毛良枝、平田を木村遼希、楠木を高橋賢人、城を橘義尋、杉浦を本庄正季、江口を 恵隆一郎、岩崎を吉原拓弥、中井を石田卓也、中学時代の美香子を大後寿々花、美香子の元カレを福士誠治が演じている。
監督は『海猿』『銀色のシーズン』の羽住英一郎。

『おっぱいバレー』というタイトルで、ヒロインが生徒に「試合に勝ったらオッパイを見せる」と約束する話であっても、綾瀬はるかが 実際にオッパイを見せる場面など絶対に無いことは分かり切っている。
ただし、ブラジャー姿とか水着とか、そこまで行かなくても胸の谷間がチラ見えするシーンとか、その程度のお色気サービスはあっても 良かったとは思う。
そして、それ以上に、やはりオッパイが見える場面は用意すべきだった。
お色気要員を用意して、その女性がオッパイを見せるとという形でね。

オッパイに関する描写では、序盤から違和感が多い。
まず美香子が赴任して挨拶する時に平田たちの目が釘付けになるのだが、その時点で彼女のオッパイが、ちっとも強調されない。
それだと「先生が美人だから見とれる」ということになっちゃう。
でも、もちろん顔も大事だろうけど、それよりも、その場面の彼らにとって大事なのはオッパイだろうに。
顧問になった美香子が初めて練習させた時、平田たちが彼女の後ろを走り、匂いを嗅いで喜ぶのも変でしょ。
その前の柔軟体操で、オッパイを見てデレッとしてんだから、もっとオッパイにこだわれよ。髪の匂いとか、どうでもいいだろ。

美香子が平田たちと約束してしまったことを堀内に話して、彼の視線が来て「どこ見てんのよ」と怒る場面があるが、そこでもオッパイに カメラが向かない。
綾瀬か、もしくはホリプロに遠慮してんのか。
そこはどう考えたって、堀内視点になって、オッパイにカメラが寄るべきでしょうが。
それを美香子が怒るカットでも、彼女の胸より上しか写さないし。
やる気あんのかと。

劇中、ヒロインに限らず、女性のオッパイが強調される描写ってゼロに等しいんだよな。
平田たちが美香子以外の女性のオッパイに視線を向けることも全く無いし。
『パンツの穴』ぐらいまで行けとは言わないまでも、もうちょっと「ガキにとってのお色気」を表現してもいいんじゃないのか。
オッパイを重要な要素にしておきながら、爽やかで健全な映画として作ろうとしすぎじゃないのか。
もうちょっと艶笑コメディー寄りにしようぜ。

『渚のシンドバッド』『ルージュの伝言』『夢中さ君に』『道標ない旅』など、1970年代の曲が色々と流れてくるが、その使い方がすげえ 適当な感じがするんだよな。
例えば平田たちがオッパイの約束をして練習する場面でユーミンの『ルージュの伝言』を流すけど、その状況と全く合って ないでしょ。
みんなで手分けして城を捜そうという時に矢沢永吉の『ウイスキー・コーク』を流すけど、中学生の話なのにウイスキー・コークってのも 違うでしょ。
そもそも、この内容で曲を合わせようとするのが難しい作業だとは思うけど、それにしても合っていない。

あと、1970年代ということで一括りになっていて、「1979年のヒット曲」というこだわりは無いのね。
まだ『微笑がえし』なんかは1978年発売の曲だから分かるとしても、『ルージュの伝言』は1975年、『夢中さ君に』に至っては1973年だ。
しかも、『夢中さ君に』はA面じゃなくて『心の旅』のB面なんだよな。
あと、こだわるのであれば、『卒業写真』なんかも荒井由美じゃなくてハイ・ファイ・セット版にすべきだと思うし。
その辺りも、なんか作りがルーズだなあと。

女子との練習では、15対0となった結果だけを見せて、試合は全く見せない。
そういうショートカットが効果的なこともあるが、ここは違うよ。男子部員がヘタクソで、まるで何も出来ないヘタレだということや、 コンテパンにやられ、走り回らされてヘトヘトになって弱音を吐く様子や、そういうのは見せておかなくちゃいけない。そうじゃないと、 ただ「試合で全くやる気を見せなかったから負けただけ」という風にも取れる。
っていうか、試合後に全く疲れていない余裕な態度からすると、そういうことなんだろうな。やる気ゼロだったってことなんだろうな。
でも、それならそれで、そういうことを見せておくべきだよ。
ホントは「下手でコテンパンにやられる」というのを見せるべきだとは思うけどさ。

平田たちは「入部してからバレーボールはやったことがない。一つ上に中井という怖い先輩がいて、卒業までイビられた」と語る。そして パンツ一丁で歌わされたり、オッパイの絵を校庭に描かされたり、それでみんなにバカ部と噂されて体育館も借りられず、表のコートも 女子に占領されていると説明する。
でも、それだと「ホントはバレーをやりたい」という風に取れるけど、違うでしょ。そもそもバレーをやる気なんてゼロなんでしょ。
そこを「本当はバレーをやりたい」という風に描くのは違うでしょ。
だって、今は中井がいないんだから、本気でやりたかったら、やれるんだし。
先輩に責任を押し付けるような描写は違和感がある。

中井に殴られている城を平田たちが助ける場面なんかは感動的なものとして描くくせに、最後まで「ガキどもがオッパイのために頑張る」 という不純な動機だけは崩さないのね。
エッチな方向に全く舵を切る気が無いのなら、ベタかもしれんけど、「オッパイより何よりバレーが好きだし、試合に勝ちたい」という 気持ちで頑張るように話を転がしていくべきだと思うけどなあ。
で、そんなにオッパイへの意欲で一杯なのに、練習している時に美香子のオッパイを気にすることは全く無くなるんだよな。
それは変だろ。

城が加わってからの女子との練習では15対8で勝つが、そんなに簡単に勝っていいのかよ。ほとんど体力作りと基本練習ぐらいしかやって なかったのに。
しかも、また試合内容は全く見せず、勝った瞬間だけ描く。
だから、具体的に何がどう強くなったのか、その成長度合いが全く分からない。
大体、あんな低いジャンプからのショボいスパイクをレシーブできないようでは、女子も弱いだろ。

美香子は元カレとのディナーで前の学校での出来事を回想するが、そのシーンまで、序盤にライターを見つけてフラッシュバック的な映像 が挿入された以外は、過去の傷に触れる場面が全く無かった。
それはどうなのよ。
前の学校での出来事のせいで、美香子は教師という仕事への希望を失っていて、そういう気持ちを引きずりながら戸畑第三中学校に赴任 したはずでしょ。
それにしては、そういう様子が全く無かったけど、それはダメでしょ。

学校が怖くなって行くのが嫌になったという重い過去があって、なんで普通に新しい赴任先で教師をやってられるのよ。
もうちょっとギクシャクしたり、何かの弾みで恐怖が再び蘇ったりという様子があるべきじゃないのか。
っていうか、その過去の設定、要らなくねえか。まるで活かされてないぞ。
一応、校長室に呼ばれて噂の真偽について質問される場面で、過去に嘘をついたことを重ね合わせて美香子の言動に繋げているようだけど 、そこ、別に要らないよ。たぶん製作サイドが狙っているであろうほどの効果は無いし。

美香子が原田のことを回想する場面は、モノローグで説明する形になっているが、それよりも「何かのきっかけで回想する」という形に して、ナレーションは無い方がいいでしょ。
それと、原田のことを描くタイミングが遅い。前半で描いておくべき。
あと、回想については、原田に関するモノだけでいい。
前の学校の問題は全く要らない要素になっているので、バッサリとカットでいい。

美香子は噂を認めた後、「彼らが頑張っていたのは本当です。毎日、バレーボールに打ち込んで」と言うが、「所詮、こいつらはそんな モンですよ」と口にする教頭の考え方が正しい、ということになってしまっている。
なぜなら、平田たちが頑張っていたのは美香子のオッパイを見る目的があったからであって、純粋にバレーに打ち込んでいたわけでは ないからだ。
そこをもっと上手く機能させるためには、既にその時点では、平田たちがオッパイを見るという目的を超越し、真剣にバレーに打ち込み、 試合に勝ちたいという純粋な気持ちで取り組んでいたということにすべきだ。
最後の試合でさえ、ガキどもはオッパイの約束が生きていると知ってから頑張るんだよな。
そうじゃなくて「美香子のために」とか、そういう気持ちになれないのかと。
美香子がクビになったことへの責任感を感じている様子が全く無いのも不愉快だし。

終盤、相手の1軍が出て来て惨敗するのをスローで描くのは、もはやコントの世界でしかない。
むしろ、それこそショートカットで、惨敗して立ち尽くすところまで飛べばいいのに。
どうせスローでそんなの描いたところで感動には繋がらないし。
所詮はオッパイを見るための頑張りでしかないんだから。
あと、どうやら本作品の世界観では、北九州に方言は存在しないのね。

(観賞日:2010年3月24日)

 

*ポンコツ映画愛護協会