『想いのこし』:2014、日本

本多ガジロウは結婚や子供を持つことに全く興味を示さず、多くの女を口説いて遊び回る日々を過ごしている。その日、ガジロウは部屋に女を連れ込み、他の女たちからの連絡を無視してセックスに及ぶ。一方、シングルマザーの笠原ユウコはポールダンサーとして働きながら、小学校に通う一人息子の幸太郎を育てている。彼女は仲間の円山ルカ、犬塚ケイと共に明珍ジョニーが運転する車へ乗り込み、仕事場であるクラブ『Candyhall』へ向かった。
その夜、ガジロウはダフ屋の先輩であるカンタから電話を受け、女に「お袋が死んだ」と嘘をついて出掛ける。クラブでは結婚を控えて最後の出演となるルカが、ユウコとケイに寂しさを吐露する。ガジロウは韓流アイドルのコンサートが開催される会場前へ赴き、カンタからチケットを受け取る。オバサンたちが標的だと知り、ガジロウは余裕の表情を浮かべる。ユウコはルカ&ケイとステージに上がり、見事なパフォーマンスを披露する。
ガジロウはチケットを売りさばき、自分の分け前をカンタから受け取って立ち去る。ユウコ、ルカ、ケイはショーを終え、ジョニーの運転する車で移動する。ガジロウは歩きながら金を数えるが、カップルとぶつかって紙幣を落としてしまう。一枚が道路に落ちたので、彼は拾いに行く。そこへジョニーの車が走って来て、慌ててブレーキを掛ける。しかし間に合わずにガジロウとぶつかり、反対車線に飛び出す。向こうから走って来た車が激突し、優子たちは即死した。
ユウコたちは幽霊となり、自分たちの遺体が運ばれる様子を目にした。ガジロウは意識不明の状態で病院に運ばれるが、翌朝に目を覚ますと怪我一つ無い状態だった。ユウコたちの合同葬儀には、ルカの婚約者である達夫やケイが仲良くしていた野球部キャプテンの藤原亮たちが参列した。遺体が火葬される様子を、ユウコたちは見守っていた。ガジロウはカンタから「慰謝料とか貰えないの?」と言われ、車に乗っていた4人の遺族に会おうと考えた。
ジョニーは他に自分たちと同じような幽霊がいないことから、「この世に未練があって成仏できないのではないか」という考えを口にした。幸太郎は児童相談所の職員から施設に入るための手続きを説明され、「施設には入りません。後見人がいますから」と断った。アパートへ戻る幸太郎を見守っていたユウコは、ガジロウから道を訊かれて困惑する。ガジロウと話したユウコは、彼が慰謝料目当てでアパートへ来たことを知った。
ガジロウはユウコから車に乗っていた被害者だと聞かされるが、まるで信じなかった。立ち去ろうとした彼は、ジョニーたちとぶつかった。伊藤麻実子たちはガジロウに事情を説明し、家まで付いて行く。優子は彼に、「貴方には、私たちに出来ないことをしてもらう義務がある」と告げた。ルカは教会で結婚式を挙げるのが夢だったと話すが、ガジロウは冷たくあしらった。しかし、ルカが「お金をあげる。700万円」と言うと、途端にガジロウは態度を変えた。
ガジロウは金庫に保管されている金を確認すると、ルカの願いを叶えることを快諾した。ガジロウと4人は達夫の実家へ行き、事情を説明した。達夫が信じると、ルカは花嫁の代役をガジロウに頼んだ。ガジロウはウェディングドレスで結婚式に出席し、ルカの代わりを務める。ルカが「キスしたい」と望むとガジロウは嫌がるが、達夫が強引に唇を奪う。ルカは満足して成仏するが、ガジロウは馬鹿にするような態度を変えなかった。
金を受け取ったガジロウは調子に乗り、ジョニーとケイにも「俺にやってほしいこと無いの?」と問い掛ける。ケイは「ありません」と答えるが、ジョニーは2千万円で仕事を依頼した。幸太郎の行動を見守っていたユウコは、彼が同級生たちから「お前の母ちゃん、裸で踊って金稼いでたんだろ」とイジメを受ける様子を目撃した。ジョニーは消火栓を確認してガジロウに地図を書いてもらい、川崎消防署の神田に届けるよう頼んだ。かつてジョニーは消防署に勤務しており、神田は後輩だった。ガジロウはジョニーの遺言だと説明し、これから3ヶ月は地図を届け続けることを述べた。
ガジロウはユウコから、息子を何とかしてほしいと頼まれる。優子に貯金は無かったが、ジョニーが「私の契約を1ヶ月減らしましょう」と提案し、500万円をガジロウに渡すと約束した。ガジロウはアパートへ行くが、幸太郎は生意気な態度を取った。追い払われたガジロウは、ユウコに「あんなクソガキ育てた親が悪い」と怒りをぶつけた。ガジロウはケイと会い、彼女が高校生で野球部のマネージャーだったことを知った。彼はジョニーから、ケイが亮と付き合ってはいなかったものの、仲良くしていたことを聞かされた。
ガジロウが2日目に地図を届けると、神田は交通状況を確認する最新のシステムを見せた。そしてジョニーが辞めてからも自分たちを心配して地図を届けていたことを説明した上で、今まで役に立ったことは無いと明かした。ガジロウはジョニーの元へ戻り、「もうやめよう。アンタが俺に金払った仕事は無駄なんたぜ」と苛立った様子で告げた。ケイはガジロウに、亮への手紙を代筆してもらった。ガジロウはケイと共に、3年生の引退試合を見に行くことになった。彼はケイに頼まれ、高校野球が好きな幸太郎も強引に連れて行った。
ガジロウは亮に手紙を渡して「ケイちゃんも見てるから」と言うが、「悪い冗談はやめて下さい」と相手にされなかった。リードされて迎えた試合終盤、ガジロウは打順の回って来た亮に「犬塚ケイが見てる。犬塚ケイのために打ってやれ」と告げた。亮は「分かってるから、黙って見てろよ」と言い、タイムリーヒットを打った。試合後、亮は3年生部員を集め、ケイがいることをガジロウに確認する。彼は見えないケイに3年間の感謝を伝え、「俺たちずっと仲間だから。ずっとお前の味方だし、お前は一人じゃないから」と告げた。ケイは「私、幸せです」と言い、嬉し涙を流しながら成仏した…。

監督は平川雄一朗、原作は岡本貴也「彼女との上手な別れ方」(小学館)、原案は原田知明&木村元子、脚本は岡本貴也&HARU、製作は木下直哉&東城祐司&間宮登良松&菅井敦&原田知明&長澤一史&水口昌彦&風間建治、企画は遠藤茂行、プロデューサーは木村元子、アソシエイトプロデューサーは柳迫成彦&小林誠一郎、撮影は葛西幸祐、照明は常谷良男、録音・整音は矢野正人、美術は磯田典宏、衣裳デザインは十川ヒロコ、編集は栗谷川純、音楽は松谷卓、音楽プロデューサーは北原京子。
主題歌『あなたを想う風』HY 作詞・作曲:新里英之、編曲:HY。
挿入歌『SECRET』Giselle4 作詞:Kdai、作曲・編曲:tsunenori。
出演は岡田将生、広末涼子、鹿賀丈史、木南晴夏、松井愛莉、巨勢竜也、村杉蝉之介、高橋努、川籠石駿平、佐藤二朗、石井正則、大石吾郎、竹財輝之助、音月桂、岩田丸、峯村リエ、野村麻純、伊藤麻実子、横田美紀、杉ありさ、久遠さやか、辻元舞、松本さやか、坂井裕美、mayumi、松嶋亮太、大西武志、恩田括、谷口翔太、小山勝士、謝花弘規、関健介、朝見心、柳町夏花、川口和宥、吉田拓馬、坂本一敬、片桐一也、平川友祐、鎌田秀和、二田萌、中村瑞希、井上由貴、竹林真美、松橋朋子、森伸示、岡本英子、有永雅久、高田斗夢、eP、Back Sangwo他。


舞台演出家で脚本家の岡本貴也が執筆した初めての小説『彼女との上手な別れ方』を基にした作品。
岡本貴也は映画脚本にも携わっているが、相棒であるHARUの正体は不明。
監督は『ラブコメ』『ツナグ』の平川雄一朗。
ガジロウを岡田将生、ユウコを広末涼子、ジョニーを鹿賀丈史、ルカを木南晴夏、ケイを松井愛莉、幸太郎を巨勢竜也、『Candyhall』の店長を村杉蝉之介、達夫を高橋努、亮を川籠石駿平、神田を佐藤二朗が演じている。

冒頭、結婚や子供を持つことを全否定し、軽薄に遊びまくっているプレイボーイでチャラいガジロウの様子が描かれる。それと並行して、シングルマザーとして一人息子を育てるユウコの様子も描かれる。
この2人をカットバックで描くのであれば、そこから予想されるのは「ガジロウが優子と親しくなり、家族や子供を持つことの意味を知って考えが変化する」というドラマだ。
実際に展開される内容は、そこまで大きく外れているわけではない。ただし、ガジロウが関わるのは「3人の女性と1人の男性」であって、決して「ガジロウとユウコの物語」ではない。
それを考えると、オープニングの見せ方は違うんじゃないかと。

ユウコの「シングルマザーでポールダンサー」という設定には、ちょっと引っ掛かってしまった。
シングルマザーがポールダンサーをやっていたらダメとか、そんなことを言いたいわけではない。ただし、ポールダンサーってのは、そんなに稼ぎがいい商売とは言えないはずだ。
「女手一つで息子を育てるために、ポールダンサーとして稼ぐ」ってのは、筋の通った説明には思えない。「そもそもポールダンスが生き甲斐で、シングルマザーになって大変だけど、好きなことも続けたい」ってことなら分かるんだけどさ。
ぶっちゃけ、ポールダンスだけで生計を立てるって、かなり難しいんじゃないかと思うんだよね。
だから、シングルマザーで一人息子を育てて行かなきゃいけないという状況で、その仕事を選ぶってのは、どうなのかなと。

ガジロウとユウコたちが事故に遭うシーンは、色々と引っ掛かることがある。
まず、ガジロウは急に道路へ飛び出したわけではなくて、ゆっくりと歩いている。真っ直ぐな道で障害物も無く、ガジロウが金を拾っている時点では、それなりにジョニーの車とは距離があった。
だから、ジョニーはガジロウが見えたはずだし、余裕で事故は防げたはずなのだ。
それなのに、ガジロウに気付いてブレーキを掛けるのが遅いのよね。
あと、あの激突で4人が全員死ぬってのは、ちょっと違和感がある。シートベルトを着用せずに外へ投げ出されたとか、何かが体に突き刺さったというわけでもないんだし。

一方で、幾らブレーキを掛けていたにしても、ガジロウが無傷でピンピンしているのも違和感がある。
「異常に丈夫」という設定が後の展開に繋がるわけでもないんだし。
「事故の翌日にはユウコたちの幽霊と対面させ、ストーリーを進めなきゃいけないから」という段取りが透けて見える。
ユウコたちが自分の死を簡単に受け入れるってのも、これまた同様に「事故の翌日にはガジロウと会って話を進めなきゃいけないから」という段取りが透けて見える。

ユウコたちは自分の死を簡単に受け入れるだけでなく、もちろん気丈に振る舞っている部分もあるんだけど、火葬された直後なのに笑顔で会話を交わしている。
これが「1人だけ簡単に死を受け入れる奴がいる」という程度なら、まだ分からんでもない。だけど、4人全員が死んだ直後から「死んで幽霊になった」ってことを受け入れちゃってるのよね。
それは幾らファンタジーであっても、無理があるんじゃないかと。
っていうか、そもそも「ファンタジーだからOK」という類の虚構ではないし。

しかも4人たちは、ガジロウを恨んでいる様子も乏しいんだよね。ユウコだけは怒りの感情を強めに示すものの、他の3人は軽いのよね。
「こいつのせいで死んだ」と考えれば、その怒りや憎しみは強烈なはずだ。ユウコでさえヌルいぐらいだ。
ところが、そんな感情よりも、「未練を解消するために協力してもらう」というトコに、すぐ気持ちが行ってしまう。それは下手な御都合主義にしか見えない。
しかも、わざわざ大金を渡して、お願いするんだぜ。いやいや、なんでだよ。そこは脅して要求を飲ませろよ。
そりゃあ、「ガジロウが金を貰って協力する」ってのと「脅されて仕方なく協力する」ってのでは、後の展開も変わって来るよ。ただ、そこは改変すればいいわけで。

そもそも「成仏していないのは、この世に未練が残っているからだ」→「じゃあ未練を解消して、一刻も早く成仏しよう」という考えに至るのも、すんげえ早いんだよね。
そんなに簡単に割り切れるものかと。
そりゃあ、死んだ直後には「自分は死んだ」と即座に受け入れているぐらいだから、「死んだ以上は成仏したいぜ」ってことになるのは当然の流れと言えるのかもしれない。そんなトコに主題は無いので、そこで無駄に時間を取っている余裕は無いってのも分からんではない。
だけど、それにしても「死を受け入れ、早く成仏したいと願う」という手順が拙速すぎて、人間じゃなくて単なる「話を進めるための駒」としての扱いだなあと思ってしまうんだよね。

早く話を進めることが小気味良さに繋がっているわけじゃなくて、慌ただしいと感じるだけだ。
約2時間の上映時間で4人の未練を解消しなきゃいけないので、それなりに急がないと全部が収まらないという事情はあったのかもしれない。だけど、それなら人数を減らせば
いいんじゃないかと思ってしまうんだよね。極端に言っちゃうと、これって死ぬのはユウコだけでも充分なのよ。その分、ガジロウとユウコ&幸太郎の交流を厚くすればいいわけで。
前述したように、オープニングではガジロウとユウコをカットバックで見せているわけだから、そこから考えれば「ガジロウとユウコと幸太郎の交流」として全体を構築するのは収まりがいいはずでしょ。

「幽霊になった面々が未練を解消するため、ガジロウに協力してもらう」ってのは、筋書きとしては間違っていない。
ただし、1人目のルカが「教会で結婚式をするのが夢だったから代役を頼む」ってのは、まるで理解し難い。
これが「幽霊はガジロウの肉体に憑依できる」という設定なら、それは理解できるのよ。でも憑依は出来ないので、単に「ガジロウがウェディングドレス姿で達夫と挙式する様子を隣で眺める」というだけなのよ。
それって、夢を叶えたことにならないでしょ。

ルカは「キスしたい」ってことでガジロウに達夫とキスするよう頼むんだけど、これも2人のキスを横で眺めることになるわけで、それで未練が解消するってことになるのは釈然としない。むしろ「ホントは私がキスしたいのに出来ない」ってことで未練が残るんじゃないかと思ってしまう。
キスした途端にガジロウの姿が消えて「ルカがウェディングドレス姿で達夫とキスしている」という状態になるので、結果としては夢が叶ったことになる。
でも、何がどうなって「ジガロウの姿がルカに変貌する」ってことになったのか、サッパリ分からない。
ファンタジーだから、現実としての理屈は要らない。でも、そこはファンタジーとしてのルール無用になっちゃってるぞ。

幸太郎が同級生からイジメを受けているシーンは、違和感が強い。「母親が裸で金を稼いでいる」という誤解からイジメを受けるのは理解できるが、それってユウコが生きている時に行われていることじゃないかと。
母親が死んだ後、同級生が幸太郎に対して「お前の母ちゃん、裸で踊って金稼いでたんだろ」と言うのは、ものすごく説明的な台詞になっちゃってるわ。あと、「だから消えろ」ってのは全く筋が通っていないし。
それと、子供の残酷さってのは確かにあるけど、母親を事故で亡くした直後の同級生を母親のことで攻撃して「消えろ」と言うのは、やや段取りとして無理があるんじゃないかなあと。
あと、母親を亡くした直後の同級生を平気で虐めることが出来るような奴らは、「母親が裸で金を稼いでいる」という誤解なんて無くても絶対に虐めるはずで。
そうなると、「母親がストリッパーだと誤解されたせいでイジメを受ける」ってのが成立しなくなっちゃうのよね。

ケイは亮の引退試合を観戦するんだけど、これが単なる練習試合ってのは盛り上がりに欠ける。
ケイは「勝っても負けても、3年生には最後なんです」と口にするけど、それって夏の甲子園を目指す地方予選大会とかに適した台詞じゃないかと。学校のグラウンドじゃなく、どこかの球場で、それなりに観客や応援団が入っているような状況で試合をしてくれないと、冴えないなあと。
ガジロウはケイに頼まれて幸太郎を連れて行くけど、幾ら高校野球が好きでも、単なる練習試合を見せられてもピンと来ないだろうし。
ただし、そこを全国高等学校野球選手権の地方大会にしてしまうと、それはそれで「そこがピーク」になってしまう可能性は高い。その後でポールダンスのパフォーマンスを見せられても、たぶん「高校野球の地方予選」の盛り上がりには勝てないだろう。
だから「痛し痒し」という部分はあるけど、そういう意味でも「死ぬのはユウコだけにしておけば良かったんじゃないか」と思ってしまうんだよね。この映画では単なる練習試合だけど、それでも「もうちょっと上手く描けば、ここがピークだろうな」と感じたぐらいだし。

ジョニーのエピソードは、もちろん神田が「地図を届けてくれたけど一度も役に立ったことは無い」と無駄であることを話している時点で、「そう言っていたけど、役に立つという展開があるんだろうな」とは思っていた。
だから、システム障害で交通渋滞が発生し、ジョニーの指示で神田たちが火災現場へ到着するというシーンは、もちろん伏線を回収したという形ではある。
だけどシステム障害の原因は不明のままということもあって、すんげえ無理のある御都合主義だなあと感じてしまうのよね。

終盤、ガジロウはポールダンスを誤解している幸太郎に「ユウコがやっていたのは、こういうことだ」と教えるため、自らポールダンスを学び始める。
だけど、そこまでの「ガジロウが4人と関わり、成仏してもらうために行動することで考え方が少しずつ変化する」という流れを上手く描写できていないので、「段取りにドラマが全く追い付いていない」という状態に陥っている。そもそも「ポールダンスは裸で金を稼ぐモンじゃないよ」と教えるだけなら、テメエが学ばなくても店へ連れて行けば事足りるわけだし。
ガジロウがポールダンスを練習するのは、「人の役に立ちたいという思いが強くなった」ってことの表現ではあるんだろうけど(彼はバカなのでベクトルを間違えているけどね)、そこに観客を納得させるような説得力が足りていないんだよね。
あと、結婚式のシーンも含めて思うのは、「岡田将生のコスプレで面白さを出そうってことじゃないのか」ってことだ。もちろんビジュアルで面白さを出そうとするのは悪いことじゃないけど、そのためにストーリーの方で歪みが出ちゃったらマズいでしょ。

ガジロウが下手なポールダンスを披露していると、そこにユウコが加わり、成仏したはずのルカとケイも加わって4人になる。やりたいことは分かるが、そこも「ファンタジーであってもルール無用になっている」と感じる。
で、なぜか幸太郎にはユウコが見えて、自分の誤解に気付いて「カッコ良かったよ」と口にする。
でもね。「母親の仕事がストリップだとダメで、そうじゃないと分かったから誇りに思える」という形に着地させると、「じゃあ水商売で稼いでいるシングルマザーはダメなのか」と言いたくなるのよ。
例えばストリップで息子を育てているとしたら、それは「裸の仕事だからダメ」とは言えないはずで。
「ポールダンサーはストリッパーじゃない」ということを描くために、水商売の人間(特にストリッパー)を愚弄するような形になっているのは賛同しかねるわ。

(観賞日:2016年7月13日)

 

*ポンコツ映画愛護協会