『溺れるナイフ』:2016、日本

15歳の望月夏芽は、東京でティーンズファッション雑誌のモデルをしていた。しかし彼女はモデルを辞めて、父の故郷である浮雲町へ行くことになった。彼女はモデルを辞めて旅館を経営する祖父の鉄男が高齢になり、父の直樹が後を継ぐと決めたからだ。そもそも直樹は、娘のモデル活動に賛成していなかった。夏芽は不満を抱きながらも直樹の車に乗り、母の芽衣子、弟の竜太と共に鉄男の旅館へ赴いた。夜の宴会を抜け出した彼女は、立入禁止区域に指定されている浜辺へ出掛けた。鳥居の向こうを覗き込んだ彼女は、海に漂う長谷川航一郎という少年と出会った。
次の日、夏芽が新しい学校へ行くと、同じクラスに航一郎がいた。夏芽が有名モデルだと気付いたクラスメイトが騒ぐ中、彼だけは全く関心を示さなかった。大友勝利や松永カナたちに話し掛けられた夏芽は、もうモデルは辞めたと話す。大友から雑誌を見せられた航一郎は「どうせ体よく切られたんじゃろ」と冷たく言い、それを無造作に捨てた。腹を立てた夏芽は、前日に「言うなよ」と求められていたことを無視し、航一郎が鳥居の向こうで泳いでいたことを暴露した。
勝利とカナは夏芽に、鳥居の向こうに神様がいると言われていること、町民が大事にしていることを教えた。夏芽が浜辺に行くと、航一郎が寝転んでいた。「アンタは信じてないんだね、神さん」と夏芽が言うと、彼は「普通におるわ、神さん」と告げる。彼は夏芽を海に突き落とし、自分も飛び込んで笑う。航一郎は夏芽に、「この町のモンは、全部俺の好きにしてええんじゃ」と言い放った。翌日、彼は学校を休んだ。大友とカナは夏芽に、彼が町を仕切る権力者の息子であること、自由人であることを教えた。
夏芽は所属事務所の社長からの電話で、カメラマンの広能晶吾が写真集を撮りたがっていることを聞かされる。広能からは過去の写真集が届き、それを見た芽衣子は有名なカメラマンだと夏芽に教えた。次の朝、夏芽は航一郎を見つけると、「アンタんちって凄いらしいけど、私だって干されてなんかないんだから」と写真集の話が来ていることを得意げに語った。彼女は芽衣子と2人で広瀬と会い、「なんで私なんですか」と尋ねた。すると広瀬は、「君はカメラの前じゃないと呼吸できないんだね」と述べた。
広瀬に「いい写真集撮って、もっと遠くまで行ってみようか」と言われ、夏芽は町の林で撮影に臨んだ。すると航一郎が現れ、「ここはウチのモンじゃ。アレも俺のモンじゃ」と夏芽の所有権を主張した。航一郎は走り去り、夏芽が追い掛けると逃亡した。夏芽は広瀬に、彼への対抗心で仕事を引き受けたことを告白した。後日、夏芽はカナから、航一郎と付き合えばいいと思っていると告げられる。だが、彼女は航一郎に片想いしており、それは本心ではなかった。
航一郎を目撃した夏芽は、写真集が完成したことを話す。写真集を見せた彼女は、「私って凄いでしょって見せ付けたかった。だけど、私じゃないみたい」と言う。すると航一郎は、お前じゃないの。いつも、こういう目で俺のこと見てくるよ」と告げた。「私、コウちゃんのこと、ずっと近くでみていたいんだと思う」と夏芽が話すと、航一郎は持っていた缶ジュースを差し出した。少し飲んだ夏芽が缶ジュースを返すと、航一郎は彼女にキスをした。
広瀬が初めて映画監督を務め、そのヒロインに夏芽が起用されるという記事が週刊誌に掲載された。夏芽は航一郎に引き受ける気が無いことを話し、「私はコウちゃんが一緒にいてくれれば、それでいいんだもん」と言う。航一郎が「つまらんのう。お前だけは分かっとると思とったわ。力があったら使いたいんちゃうんか」と語ったので、夏芽は映画の話を受けることにした。町で喧嘩火祭りが催される時期になると、旅館には大学院で民俗学を研究しているという蓮目匠がやって来た。夏芽も初めて参加することになったが、女人禁制なので見ているだけだった。
航一郎や大友たちが火祭りに参加する様子を夏芽が見ていると、蓮目が来て鉄男が倒れたと告げる。蓮目は慌てる夏芽の手を引っ張り、車に乗せた。しかし勝利は鉄男が近くにいたのを目撃しており、航一郎は急いで夏芽を捜しに向かった。蓮目は夏芽のストーカーで、彼女を山奥へ連れ込んで追い回す。そこへ航一郎が駆け付けるが、蓮目に殴られて倒れ込む。夏芽は強姦されそうになるが、そこへ大友とカナが青年団や直樹を連れて来たので無事だった。
ネット上ではレイプされたという偽情報が広まる中、夏芽は高校に進学した。学校でもクラスメイトはレイプされたと決め付けて陰口を叩き、夏芽は距離を取って孤独に過ごしていた。カナが笑顔で話し掛けて「コウちゃんに会いたかったら港の方にいる」と教えるが、夏芽は行こうとしなかった。大友から「コウと会ったか」と問われた夏芽は、「全然。だって別れたもん」と言う。別れた理由について今さら質問された彼女は、お互いに傷付けない唯一の方法だったから」と答えた。
大友は夏芽に優しく接し、「困ったことあったら、俺に言うてええからな」と告げる。しかし不良仲間と行動する航一朗が通り掛かると、夏芽はそちらの方ばかり気にした。彼女は仲間と別れた航一朗を追い掛け、ボートに乗る。すると航一朗は船のエンジンを掛け、海に出た。彼が笑って「久々に聞いたわ、お前の声」と言うと、夏芽は「ずっと逃げ回ってたんだよね。ずっと待ってたんだよ」と非難した。だが航一朗は薄笑いを浮かべるだけで、真正面から受け止めようとしない。夏芽が「私は一回もあの日を忘れたことは無い。なんでやっつけてくれなかったの」と言うと、彼は「俺たちは幻想を見合っとったんじゃのう」と口にした。夏芽は航一朗を海に突き落とし、自分も飛び込む。航一朗は彼女に、「お前はめんどくさい女じゃ。お前の人生に巻き込まれるのは、もう御免じゃ」と告げた。
港から戻って来た夏芽は、心配する大友の前で泣き出した。大友は彼女をバッティングセンターへ連れて行き、優しい言葉で励ます。夏芽が風邪をひいて寝込んだので、大友は見舞いに訪れた。大友は「望月はコウのことが好きなんじゃろ。俺は入れん。だから付き合うとかはええんじゃ」と語り、夏芽とふざけ合ってからキスをする。彼は「俺が笑わせてやるけ。何でもしてやりたいんじゃ」と言うと、夏芽は笑顔になった。
夏芽は社長からの電話で、広瀬が映画の新作で主演に使いたがっていることを聞く。夏芽は断るが、東京からは映画のシナリオが届いた。そのシナリオには、ヒロインが男たちに強姦されるシーンが用意されていた。広瀬は夏芽の前に現れて説得に来たことを明かすが、「もういいや。今の夏芽ちゃん見たら、撮る気無くした」と言う。夏芽が「なんでこれ以上、晒し者にならなきゃいけないんですか」とレイプシーンについて責めると、彼は平然と「いいじゃん、晒し者。アンタはそういう変態でしょ」と言う。彼は「君とだったらもっと遠くまで行けると思ったんだけど」と告げ、冷笑を浮かべて立ち去った。
夏芽は一緒に帰ろうとする大友に断りを告げ、一人で下校する。彼女は神様に「もう私には普通の幸せは訪れないんでしょうか。この土地に留まるべきなんでしょうか」と祈った後、浜辺へ向かった。喧嘩帰りの航一朗と遭遇した彼女は、強く抱き締めた。場所を移した夏芽は、ずっと輝き続けてほしいのだと航一朗に訴える。しかし航一朗は無気力な態度を示し、「お前は俺のことなんか追い越して行くんや。遠くへ行けるのがお前の力じゃ。俺はお前に何もしてやれんのじゃ」と告げる…。

監督は山戸結希、原作はジョージ朝倉『溺れるナイフ』(講談社『別フレKC』刊)、脚本は井土紀州&山戸結希、製作は依田巽&中西一雄、エグゼクティブプロデューサーは小竹里美、企画は瀬戸麻理子、プロデューサーは朴木浩美、Co.プロデューサーは永田博康、音楽プロデューサーは菊地智敦、撮影は柴主高秀、照明は宮西孝明、美術は三ツ松けいこ、録音は飴田秀彦、VFXスーパーバイザーはオダイッセイ、衣裳は伊賀大介、編集は平井健一、ラインプロデューサーは芳川透、音楽は坂本秀一。
主題歌『コミック・ジェネレイション』作詞・作曲:志磨遼平、歌:ドレスコーズ。
出演は小松菜奈、菅田将暉、重岡大毅(ジャニーズWEST)、上白石萌音、志磨遼平(ドレスコーズ)、ミッキー・カーチス、市川実和子、斉藤陽一郎、堀内正美、嶺豪一、伊藤歩夢、水澤紳吾、夛留見啓助、河原健二、金子理江、黒宮れい、國武綾、水野愛子、和田崇太郎、天野菜月、広瀬真由、森脇瑠美、四元僚祐、山崎美恵子、宇野正剛、遠山雄、佐々木旅人、井原正貴、大隈将成、市村泰祝、山田拓馬、千代間舜、水野しず、飯島みなみ、上埜すみれ他。


ジョージ朝倉の同名漫画を基にした作品。
監督は『おとぎ話みたい』『5つ数えれば君の夢』の山戸結希。
脚本は山戸結希と『ニセ札』『ワラライフ!!』の井土紀州による共同。
夏芽を小松菜奈、航一朗を菅田将暉、大友を重岡大毅(ジャニーズWEST)、カナを上白石萌音、晶吾を志磨遼平(ドレスコーズ)、鉄男をミッキー・カーチス、芽衣子を市川実和子、直樹を斉藤陽一郎、蓮目を嶺豪一、竜太を伊藤歩夢が演じている。

ちなみに大友と広能の名前って、明らかに『仁義なき戦い』シリーズから取っているよね。大友勝利はそのまんま、広能晶吾は広能昌三から。
内容は全く関連性を感じないけど、他の作品からキャラクター名の着想を得るってのは良くあることだから、それは別に構わない。
ただ、それならそれで、全てのキャラを『仁義なき戦い』から取ればいいんじゃないかと思うのよね。
でもザッと見た限り、その2人以外は『仁義なき戦い』シリーズとの関連が見えない。それは中途半端じゃないかなあと。

映画が始まると、夏芽がスタジオで撮影している様子が写し出される。それは20秒ほどで、夏芽のアップを1カットだけ見せている。
それで彼女がモデルということは伝わるが、表現としては薄すぎる。
夏芽が東京でモデルとして華やかに活躍していたことを表現するのなら、もう少し時間を取って、複数のカットで構成し、周囲に大勢のスタッフがいて彼女をチヤホヤしている様子を見せた方がいい。
1カットのアップのみで片付けるぐらいなら、どうせ後でクラスメイトが騒いだり表紙になっている雑誌が出て来たりするので、それだけでも充分ということになってしまう。

ただ、この映画の場合、実は「クラスメイトの反応や雑誌を見せるだけで充分」とは言えないのよね。
夏芽は他の生徒たちとは全く異なる特別な存在、輝けるミューズでなくてはいけないのだ。
そして、「そんなヒロインが航一朗に恋をして普通の少女になってしまう」というギャップに繋げる必要があるのだ。そこに大きな意味があるのだ。
その前提となる「特別なミューズ」としての表現が、この映画は決定的に足りていない。

一方、航一朗の見せ方にも大いに問題がある。
浜辺のシーンでは、まず夏芽が鳥居に近付く様子をロングで捉えた後、海に誰かが浮かぶ様子が写し出される。それが航一朗なのだが、実は「海に航一朗が浮かんでいる」ってことが分かりにくいカットになっている。
それと、「鳥居の向こうを覗く夏芽」の後に航一朗のアップが入るのだが、2人の位置関係が分かりにくい。
夏芽が岩場に行くと航一朗が画面左側から飛び込んでくる展開になるのだが、ここがヘンテコなカットの組み合わせになっている。

航一朗も夏芽とは異なる意味で、特別な存在だ。
彼は「この町のモンは、全部俺の好きにしてええんじゃ」と言い放つが、決して高慢なわけではなく、実際に「何でも自由に出来る神」のように見えなきゃいけないはずだ。
しかし、そういう印象は全く受けない。
白髪に近い金髪という非現実的な見た目と(なんせ舞台が田舎町だからね)、菅田将暉という役者の力に、全てを頼っている。
シナリオと演出には、航一朗の神々しさを醸し出す力を感じない。

全17巻の内容を1本の長編映画に凝縮した弊害なのか、キャラクターの言動や心情の動きが唐突さや違和感に満ち溢れたモノとなっている。
物語の断片をコラージュしているような感じで、脳内補完に頼らなきゃいけない部分が多すぎる。
例えば写真集を撮影している現場に航一朗が来て「ここはウチのモンじゃ。アレも俺のモンじゃ」と言うトコまでは、段取りとしては理解できる。
ただ、そこまで言って逃げ出すのは良く分からない。
夏芽が追い掛けると、航一朗が鬼ごっこみたいな動きで逃げ回るのも変な奴だと感じる。

「航一朗と夏芽の互いへの対抗心が、実は愛だった」という感じで見せたいんだろうってのは分かるし、大まかな段取りとしても間違ったことはやっていない。ただ、とにかく慌ただしくてバタバタしている。
夏芽が「写真集出来た」と言っておきながら即座に逃げ出すとか、追い掛けた航一朗が「見せろ、寄越せ」と要求すると拒絶するといった言動も、キテレツにしか見えない。
思春期の複雑な感情や揺れる恋心を表現したかったのかもしれないが、繊細さが不足しているため、ただのヤバい奴になっている。
いつの間にか夏芽が航一朗のことを普通に「コウちゃん」と呼んでいるのも、違和感があるし。

やたらとBGMが鳴りまくっているのも、疎ましくて仕方がない。
ここぞというタイミングでBGMを使い、そのシーンを盛り上げようとするのは映画で普通に行われる演出だ。しかし、なんでもかんでも流しているような印象なのだ。
演出に自信が無いから音楽に頼っているわけじゃなくて、たぶん「全てが見せ場であり、盛り上げたいシーンが幾つもある」ってことなんだろう。
しかし、映画のメリハリを打ち消し、過剰に騒がしくしているだけにしか思えない。

特に酷いのが、挿入歌を使うシーン。
1曲目の時点で強烈な違和感を抱かせ、「そのタイミングでホントに合ってるのか。そもそも、その歌で正解なのか」と言いたくなった。
何か流れがあって途中から歌が入るんじゃなくて、シーンが切り替わると歌が流れてくるのだが、「何を見せられているんだろう」と思ってしまう。
アイドル映画で、主演女優の歌を流しているんじゃないんだからさ。
まあアイドル映画の挿入歌だとしても、やっぱりタイミングとしては変だけど。

レイプ未遂シーンでは、激しい曲調のBGMを流したり、火祭りのシーンとカットバックで見せたりして「ショッキングなシーン」ってことを強調しようとしている。
しかし、肝心の夏芽と蓮目の動きが伴っておらず、ものすごくヌルいシーンになっている。
夏芽は抵抗する様子が足りないし、蓮目は上に被さっているだけで、なかなか動こうとしない。だから、しばらくの間は、ただ静かに抱き合っているだけという状態になる。
蓮目がゆっくりと浴衣を脱がそうとする行動に移るものの、遠慮しているのがモロに見えちゃうのよね。
別に小松菜奈の乳や尻を見せろってことじゃないけど、もっと本気を感じさせなくちゃダメでしょ。

ボートで海に出るシーンでは、夏芽が航一朗を激しくなじり(ちょっと何言ってんのかは良く分からないけど)、海に突き落として自分も飛び込む。
夏芽が軽く首を絞めてからキスするように顔を近付けると、航一朗は手を離して海に沈もうとする。夏芽が後を追い掛け、彼を海上へ引っ張り上げる。
ひょっとすると「痛々しい恋愛」みたいなことの表現なのかもしれないけど、ただワケが分からないだけのシーンになっている。
もしくは、狙ったけど思いっきり上滑りしたシーンだ。

夏芽が高校生に進学した後、航一朗と大友の間で揺れ動く三角関係を描こうとしている意識は窺える。しかし、夏芽が大友を恋愛の相手として意識するための手順が少なすぎる。
中学時代は全く眼中に無くて、高校生に入ってから優しくされて、初めて観客からしても大友を恋の対象として意識することが出来る。で、そのように初めて優しく接するシーンの直後、夏芽は航一朗に「大友といると明るい気持ちになれる」と話している。
この時点で、観客は「三角関係に突入している」と解釈しなきゃいけないのだ。それは厳しいでしょ。
しかも夏芽が大友に傾いたかと思ったら、あっさりと航一朗へ戻ってしまう。大友は、わずかな寄り道に過ぎないのだ。

航一朗が後半に入ると不良仲間とつるんで喧嘩に明け暮れるのは、「蓮目に殴り倒されて夏芽を救うことが出来ず、井の中の蛙だと感じたから」ってことなんだろう。無力感を抱き、苛立ちをぶつける場所として喧嘩を選んだってことなんだろう。
ただ、それはあくまでも勝手な推測に過ぎない。
映画を見ている中で、航一朗の心情を読み取ることは難しい作業となっている。
キャラの動かし方を大きく間違えているわけじゃないけど、足りない部分は多いように感じる。

終盤、火祭りの日に蓮目が再び現れ、夏芽を襲う。
まず、航一朗と約束したわけでもないのに、以前は密会現場に使っていた場所へ彼女が行っているのが引っ掛かる。何の情報も得ていないはずなのに、そこへ蓮目が来ているのも違和感がある。
で、そこへ航一朗が駆け付けて蓮目を攻撃するが、そのまま殺せるチャンスもあったのにカナが引き離す。そのせいで蓮目は夏芽にナイフを突き付け、自分の喉を切って死ぬ。蓮目は自殺して、自分と夏芽の写真が大きく報じられることを狙ったのだ。航一朗は蓮目の遺体を処分して事件を隠蔽し、カナは夏芽に二度と彼と会わないよう要求する。
この終盤の展開は、「クソだな」と吐き捨てたくなったわ。
夏芽は一度目の事件を「呪い」と捉え、そこから解放されたいと願っていた。でも、そんな形だと、たぶん死ぬまで解放されないぞ。航一朗だって、ずっと呪われたままになるし。
そりゃあ、100%のハッピーエンドは無理だと分かっていたけど、それにしても嫌な終わり方だわ。

最後に少しだけフォローしておくと、小松菜奈と菅田将暉の芝居は悪くない。与えられたキャラクターを、ちゃんと演じている。
この2人だけでなく、重岡大毅と上白石萌音も良い。
強引さと鋭さを持つ航一朗に対して優しさと柔らかさを持ち、平凡だけど安らげる愛を夏芽に与えようとする大友。純真そうに振る舞っているが、無自覚な悪意を忍ばせているカナ。
そんなキャラを見事に演じている。
しかし残念なことに、そんな若い面々の芝居が、この映画においては勿体無いモノとなっている。

(観賞日:2018年7月29日)

 

*ポンコツ映画愛護協会