『映画 桜蘭高校ホスト部』:2012、日本

桜蘭学院高校は日本有数のスーパーお金持ち学校で、両家の子息ばかりが通っている。そんな中、特待生の藤岡ハルヒだけが唯一の庶民だ。彼女が女であることを隠してホスト部に入部してから、半年が経過した。部長の須王環、副部長の鳳鏡夜、部員の銛之塚崇、埴之塚光邦、双子の常陸院光と馨、そしてハルヒの7名は、部室で女性をもてなす。半年前、ハルヒはホスト部の部室に迷い込んで800万円の壺を割ってしまった。彼女は借金を返すため、ホスト部で働いているのだ。
ハルヒは鏡夜から、女性であること、借金返済のために働いていることを客の前では内緒にするよう釘を刺された。半年が経過しても相変わらずマイペースなハルヒに、環は「そろそろホストとして、やる気を出さねば」と告げる。ハルヒの姿を眺めた環は、心の中で「どうしてそんなに可愛いんだ」と漏らす。彼が抱き付こうとすると、ハルヒは慌てて身をかわした。ハルヒの顔は真っ赤になり、鼓動が速くなって胸が痛くなった。
1週間後には年に一度の桜蘭祭が迫っており、その準備に学校中が忙しくしている。そんな中、短期留学生としてシンガポールからミシェル・江梨華・モナールがやって来た。ホスト部の部室に現れた彼女は、「学園滞在の間、私のエスコート役をお願いしようかしら」と口にした。光と馨は「何言ってんの?何様」と不快感を示すが、環は「光栄です。お役に立てるよう、心の限りお尽くし致します」と跪き、ミシェルに手を差し伸べた。
モナール社はアジア各国に支社を持つ日系の大企業で、歴史ある由緒正しい家柄だ。社長夫妻が事故で亡くなった後、長男であるミシェルの兄・ローランスが跡を継いでいる。鏡夜は部員たちに、「親しくして損は無い間柄だろうな」と述べた。ハルヒは桜蘭祭のことで、「普通はもっと手作り感というか」と疑問を口にする。桜蘭学院高校の場合、モットーは企画力と統率力であり、お金と人を上手く使って優れた企画を成功させることが重要なのだという。
鏡夜はハルヒに、桜蘭祭のメインイベントとして桜蘭祭バトルが行われることを教えた。勝者には今後1年間、中央塔サロンを使用できる権利が与えられる。桜蘭祭の前日に予選、当日に決勝が開催される。予選の種目は生徒会が、決勝は理事長が選んだ特別実行委員が決めることになっている。ホスト部の面々優勝を狙って意気上がるが、ハルヒは「めんどくさいことになってきたな」と溜め息をついた。
翌日、ホスト部はエントリー会場へ行き、申し込みを済ませた。そこへ黒魔術部部長の猫澤梅人が来たので、環は飛び退く。他の部員とは違い、彼だけは「思わぬ強敵が」と震え上がった。そこへアメフト部部長の九瀬猛、副部長の東郷院誠、部員の垂水隼人が自信満々で姿を見せた。九瀬は鏡夜の幼馴染だ。熱くなる九瀬に、鏡夜は冷静な態度で皮肉を浴びせる。九瀬が腹を立てるので、環が「ここから先は男らしくバトルで決着を付けませんか」と持ち掛けた。
ハルヒは環たちに誘われ、渋々ながらアメフト部の敵情視察に付き合う。光邦はハルヒに、九瀬が生徒会副会長の満山香南と婚約していることを教える。光邦は東郷院と垂水に、「予選種目については既に手を回してある。今年は去年のような生ぬるい頭脳戦だけでなく、鍛え上げた肉体が必要になって来る種目なのだ」と勝ち誇って語る。それをハルヒたちは盗み聞きする。ハルヒから報告を受けた鏡夜は全く動じず、「予想の範疇だな」と口にした。
ミシェルが部室へやって来ると、環は花束を差し出して迎えた。ミシェルは特別実行委員になったことを話すが、環が理事長である父・譲に頼んでいたのだった。環と鏡夜は、ミシェルの学校生活に対する要望を全て聞き入れ、彼女のために手を回して改善する。鏡夜は自宅に電話を掛け、ミシェルのために使用人を呼び寄せた。光と馨がノリノリの環に腹を立てていると、鏡夜は「環のフランスにいる母親の写真を見たことがあるんだが、どことなく似てると思うよ、ミシェル姫に」と述べた。
鏡夜は部員たちに、「知ってると思うが、環は妾の子だ。母親に会うことを禁じられている。笑顔が見たいんじゃないか。環はミシェル嬢の、心からの笑顔が」と語った。部員たちは、環のミシェルおもてなし作戦に協力することを決めた。ミシェルは兄に電話し、「お兄様にも一度会っていただきたいわ。結婚するならあんな方がいいと思っていますの。須王会長に相談してくださらない?」と頼む。鏡夜は秘書の橘誠三郎にリストを渡し、そこに掲載されている上場企業の資料を集めるよう指示した。
翌日、ホスト部はミシェルを下町ツアーへ案内する。ミシェルは光と馨に人力車を呼んでもらい、環と2人で乗った。夕方、ハルヒが一人で佇んでいると、環がやって来た。彼は「お前に渡したい物があったんだ。ハルヒにピッタリだと思って」と言い、大トロの指輪を渡す。ハルヒが困惑していると、彼は「嬉しくないの?俺と御揃いだよ」と自分の分も見せる。2人はキスしそうになるが、ミシェルが来たので慌てて離れた。ハルヒが走り去った後、環は「どうしよう、俺はお父さんなのに。俺は変態だ」と狼狽する。
帰宅したハルヒは胸が痛くなり、父の涼二に「病気かも。環先輩の顔を見ると心臓が痛くなったり、すごい動悸に襲われたり」と相談する。すぐに恋心だと悟った涼二は、まるで理解しないハルヒに「アンタは頭でっかちなんだから」と嘆く。帰宅した環がソファーで眠っていると、譲が額にキスをした。目を覚めした環が「息子にキスするなんて、貴方は変態ですか」と言うと、譲は笑って「可愛い我が子には、幾つになってもチューしたくなるものなんだよ」と語る。環は「そうか。お父さんだったらいいのか」と喜んだ。
翌日、風邪だと思い込んたハルヒがマスクを付けて登校すると、猫澤と黒魔術部員の伽名月麗子が声を掛けて来た。猫澤は「良かったら悩みを解決してあげましょう」と言い、麗子がが「私が愛読している呪いの本です。ドキドキ診断のページを参照ください」とハルヒに雑誌を差し出した。それは呪いの本ではなく、占い雑誌だった。ドキドキ診断をやってみたハルヒは、環に恋しているという結果が出て激しくうろたえた。鏡夜はミシェルから、ハルヒを調査して女だと分かったことについて、それとなく訊かれる。鏡夜が逆に「今回の件は、お兄様の差し金ですか、それとも貴方が独自に?」と尋ねると、ミシェルは微笑して「何のお話?」と口にした。
桜蘭祭バトル予選当日となった。第1ポイントの早押しクイズに正解したチームは第2ポイントの油が塗ってある坂を登り、第3ポイントのスクラムマシーンにアタックする。マシーンを押してゴールに辿り着いた上位5チームが、決勝に進出できる。アメフト部がトップ、黒魔術部は2位でゴールした、ホスト部は崇と光邦しか坂を登り切れなかったが、たった2人でスクラムマシーンを動かし、3位でゴールした。4位と5位には水泳部と野球部が入った。
ミシェルが決勝戦の種目を発表することになった。彼女は種目が「宝探し」だと告げ、「ある場所にモナール家の秘宝を隠しました。それを見つけ出したチームを勝者と致します」と述べた。ミシェルは環に、「後で第3音楽室に来て下さる。お話があるの」と囁いた。環が音楽室へ行くと、ミシェルは「貴方が好きなの」と打ち明ける。環が「そろそろ、やめにしませんか。君が偽りの態度を続けていても、欲しい物は手に入らないんじゃないかな」と静かに告げると、ミシェルの顔が引きつった。
ミシェルが音楽室を去った後、鏡夜が来て環に「いつから気付いてたんだ?」と問い掛ける。「一応、俺も須王のはしくれだからな」と答えた環に、鏡夜は「で、どうする?」と訊く。環は「このまま放っておくことは出来ない」と述べた。音楽室でミシェルが環の首に手を回す様子を校庭から見ていたハルヒは、彼女に声を掛けた。するとミシェルは怒りをぶつけ、「貴方のせいよ。明日、決勝の表彰式で貴方が性別を偽っていることを発表してあげたっていいのよ。ホスト部には優勝なんかさせないわ」と声を荒げた。
ミシェルは「貴方さえいなければ、お兄様は」と何かを言い掛け、口をつぐむ。雨が降り出す中、ミシェルはステージにノートを忘れたこと思い出して、取りに行こうとする。ハルヒが「そんなには知ったら危ない」と止めると、ミシェルは振りほどこうとする。ハルヒは階段から転落するが、駆け付けた環が助けた。しかし彼は転落した衝撃で頭を打ち、意識を失った。環は病院へ運ばれるが、大きな怪我は無く、軽い脳震盪で済んだ。須王財閥会長である環の祖母・静江は、ミシェルを呼び付けた。静江はモナール社の経営が危機にあることを調べ上げており、ミシェルが兄を助けるために環と婚約し、須王財閥から支援してもらおうと計画していたことを見抜いていた…。

監督は韓哲、原作・脚本協力は葉鳥ビスコ「桜蘭高校ホスト部」(白泉社「LaLa」掲載)、脚本は池田奈津子、製作総指揮は村松俊亮、製作は妹尾智&渡辺香&内山晴人&水留章&加藤直次&福澤道生&チューリップテレビ&南日本放送、エグゼクティブプロデューサーは田代秀樹、企画・プロデュースは杉山剛、プロデュースは伊與田英徳、プロデューサーは橘康仁、アソシエイトプロデューサーは渡邉敬介&佐藤敦司、ラインプロデューサーは前田利洋、撮影は近江正彦、映像は古市修文、照明は横山修司、録音は植村貴弘、美術はYANG仁栄、装飾は飯田恵、美術制作は川島由依、編集は高池徹、音楽は仲西匡、音楽プロデュースは志田博英。
主題歌「いくつになっても」はmiwa 作詞・作曲:miwa/編曲:Naoki-T。
出演は川口春奈、山本裕典、大東駿介、江波杏子、升毅、竜星涼、中村昌也、千葉雄大、高木心平、高木万平、戸次重幸、鈴木亜美、清水昭博、篠田麻里子、ニックン(2PM)、財前直見、小川ももえ、広村美つ美、東亜優、清野菜名、nicola、市川知宏、菊田大輔、鈴木勝大、杉咲花、板東晴、石井萌々果、カロリナ、阿部真里、楠美聖寿、神原哲、井出貴久、バリントン.W、未沙子、ラヴェルヌ知輝、杉山真也(TBSアナウンサー)、駿河太郎、房みどり、水谷幸恵、絵理南、高橋まどか、宮城美寿々、小田島渚、高橋一舞紀、いしだあやか他。


葉鳥ビスコの漫画『桜蘭高校ホスト部』を基にしたTVドラマの劇場版。TVシリーズの続編となる作品で、物語は映画版オリジナル。
ハルヒ役の川口春奈、環役の山本裕典、鏡夜役の大東駿介、静江役の江波杏子、譲役の升毅、猫澤役の竜星涼、崇役の中村昌也、光邦役の千葉雄大、光役の高木心平、馨役の高木万平、涼二役の戸次重幸、ハルヒの母・琴子役の鈴木亜美、鏡夜の父・敬雄役の清水昭博らは、TVドラマ版からの出演者。他に、ミシェルを篠田麻里子、ローランスをニックン(2PM)、アンヌを財前直見が演じている。
監督は、TVシリーズの演出とプロデューサーを務めていた韓哲。

鏡夜が「付け焼刃でトレーニングする必要は無い」と言って振り返ると環たちが体を鍛えているとか、ミシェルとローランスについて冒頭で桜蘭高校やハルヒの入部経緯などについて軽く説明される。
だが、ドラマを見ていなくて全く予備知識が無い人からすると、あまり理解の助けにならない程度の説明でしかない。
そもそも「ホスト部」という設定が非現実の世界観だし、この手の話(いわゆるラノベ的な話)に全く馴染みの無い人は、どれだけ説明されても受け付けないだろう。
逆に、そういう作品を良く知っている人からすると、そんなに説明されなくても、見ている内に何となく馴染むことが出来るんじゃないかなあと。

TVドラマの映画版ってのは大抵の場合、ドラマを見ていないと世界観やキャラや人間関係が分からないというところがネックになったり、いちげんさんからすると説明が欲しくなったりするものだが、この映画に関しては、あまり説明の必要性は無いのかなと。
それ以前の段階でハードルが用意されていて、そこをクリアできる人からすると、説明は不要なのかなと。
「ドラマの映画版である」ということがハードルになっていないという、珍しいケースだね。あんまり分からなくても、映画を見ている時に、それが障害にならないような内容だし。
それが良いのか悪いのかは、微妙なところだけどね。それぐらい浅くて軽いということでもあるから。

「行き過ぎた兄弟愛で」と皮肉った光と馨がベタベタしたり、それを見たハルヒが「行き過ぎた双子愛はいいんだ」と呆れるとか、ベタでオーソドックスというか、古臭いというか、月曜ドラマランド的なヌルめのギャグが散りばめられている。
ただ、これを「アイドル映画」として捉えた場合、そういう作りって、そんなに間違っているわけでもないのかなと。特に1980年代のアイドル映画やドラマって、こんなノリだったような印象があるんだよね。
だから、ある意味では、そういう古き良き(というほど古くはないけど)伝統を、しっかりと受け継いでいるのかなと。受け継ごうという意識で作っているのかどうかは知らないけどね。っていうか、たぶん、そんな意識は無いんだろうけど。
ただし、「映画にするってのは、どうなんだろう」という意識は拭えないけどね。テレビのスペシャル版で充分だったんじゃないかと。
これを劇場公開作品として作ったことに関しては、あまり許容したい気分にならんなあ。

序盤、ハルヒと環が互いの存在を意識している様子が描かれている。
だが、それ以降、そこはあまり掘り下げず、ミシェルが来て環が手厚くもてなし、それをハルヒが気にしている素振りは少しだけあるものの、すぐに学園祭バトルに向けての話がメインになる。
その中で恋愛劇が進展していくのを充実させているわけでもなく、あくまでも恋愛劇は脇に追いやられたままだ。
環がミシェルを特別扱いしているのだから、それに対してハルヒの心がざわめいたり、環にミシェルのことを尋ねたり、そういう流れになってもいいところだが、そっちは完全に横へ追いやり、学園祭に関する話に流れていく。

環がミシェルを手厚く接待していても、ハルヒが庶民であることに対してミシェルがバカにするような態度を取っても、それに怒る光と馨を環が制してミシェルを接待しても、ハルヒは何のリアクションも示さない。
そんなことだから、当然ながら、ハルヒ、環、ミシェルの三角関係のドラマは全く膨らまない。
膨らまないっていうか、そもそも膨らませるための生地が、ほとんど用意されていないし。

「環がミシェルをノリノリで接待するのには、実はこういう事情が」というところで、何か意外な秘密が隠されているのかというと、単に「母に似ているから」というだけ。
そんなことなら、しばらく秘密にしたまま引っ張っている意味も無い。さっさと明かした上で進めればいい。
しかも始まってから25分程度という中途半端なタイミングで明かすのもダメだし。
ハルヒが環とミシェルのことを気にして、そこで恋愛劇を盛り上げて、終盤になって「惚れているからではなく、母に似ているから」というところでハルヒが安堵するとか、そういう流れにでもすればいいのに。

しかも、環がミシェルを手厚く接待する理由がどうであろうと、ハルヒの環に対する感情の揺らぎや行動には、何の影響も与えていない。
で、早々に明かしたことで、もうハルヒがミシェルに優しい環に心騒ぐことも完全に可能性が消える。
そこから「母の面影を持つミシェルに好意を抱くのでは」という不安がハルヒに生じるような展開になれば別だが、そんなことは無いし。
ミシェルは環にベタベタしているけど、それを見てもハルヒは何も嫉妬したり動揺したりしないし。

かなり序盤の段階で桜蘭祭バトルに言及し、エントリーやアメフト部との敵対関係、敵情視察など、その辺りまで描いているのに、そこから桜蘭祭バトルに向けた話がメインになるわけではない。
またミシェルを接待する話になり、じゃあホスト部とミシェルの絡みをメインで進めていくのかと思いきや、そこからハルヒと環が互いにキスしそうになって云々ということになり、その辺りでようやく恋愛劇が少しだけ膨らみを見せる。
見事なぐらい、あっちへフラフラ、こっちへフラフラしている。
ちっとも道筋が定まっておらず、ずっと蛇行運転を繰り返しているような印象だ。

映画版としてスペシャルゲストを呼び、大きな扱いにしたいというのは分からないではないけど、ここはハルヒと環の恋愛劇をメインに据えて、そこをきっちりと描くということで、話に一本の筋を通すべきではなかったか。
恋愛劇を持ち込むのであれば、どう考えたって、そこをメインにすべきでしょ。
ミシェルをメインにするのなら、逆にハルヒと環の「互いが意識して云々」という部分は、むしろ邪魔になる。
TV版で恋愛劇がそれなりに描かれていて、その続きということならともかく、そうじゃなくて、この映画版で初めて恋愛劇をマトモに取り上げているわけだから。

予選のバトルに入ると、単にバラエティー番組のゲームを散漫に薄っぺらく見せているだけになる。
しかも、前日にハルヒはドキドキ診断の結果を受けて動揺し、環を避けていたのに、そういうことも全く忘れたようになっている。ただ単に、ホントにバトルをやっているだけ。
下町ツアーとバトル予選では、双子がハルヒに密かな好意を抱いていることに触れているが、取って付けた感しかない。
ハルヒと環の恋愛劇でさえ薄いのに、他の恋愛にまで触れていることで、余計に散漫な印象が強くなってしまう。九瀬と香南の恋愛劇も同様だ。

ハルヒと環の恋愛劇に関しての流れが何も無いので、キスしそうになるところでロマンティックモードになっても、ただ唐突なだけ。そのシーンだけを取っても、急にその雰囲気になるし。
環がキスしたくなったのはともかく、なぜかハルヒまで何の動揺も困惑も無く、普通にキスを受け入れようとしているのは違和感たっぷりだ。
音楽室の2人をハルヒが目撃するシーンで、ようやく「環とミシェルのことを気にする」という描写が入るが、まあ薄いよね。
しかも、ミシェルが本気じゃないのも、環がそれを見抜いているのも全て描いちゃってるから、そこの三角関係が成立しないことも見えちゃってる。
しかも、ハルヒがミシェルに声を掛けても、そこから環への気持ちに関して何か語るわけではなく、さっさと次の展開へ進んでいっちゃうし。

終盤は「家族の絆は大切だよね」というところにテーマを置いて話を進めていき、ハルヒと環の恋愛劇は完全に脇へ追いやられている。
やっぱりミシェルを重視したところで話を作るのだ。
で、ホスト部は宝探しを抜け出して空港へ向かい、来日したローランスと話をして、タイムリミット寸前で学校へ戻る。ミシェルが隠した宝はアメフト部が見つけ出しているが、ホスト部は「本当の宝はここにある」と言い、ローランスとミシェルの兄妹関係を修復させる。すると、なぜかミシェルは「優勝はホスト部」と宣言してしまう。
いやいや、そりゃ「家族の絆」を教えてくれたのはホスト部かもしれんが、優勝はアメフト部だろうに。
そこのメチャクチャな裁定は受け入れ難いぞ。

(観賞日:2012年11月26日)

 

*ポンコツ映画愛護協会