『うる星やつら2  ビューティフル・ドリーマー』:1984、日本

友引町に暮らす高校生の諸星あたるは、宇宙からやって来たラムに惚れられた。ラムはあたるの家族と同居生活を始めるが、女好きのあたるはラムを放っておいて他の女に声を掛けてばかり。しかし、あたるも心の底ではラムに愛情を感じている。
あたるとラムが通う友引高校では、学園祭を明日に控えて生徒達が準備に追われていた。あたる達のクラスでは、「純喫茶・第三帝国」の準備が進められる。その途中、あたるとラムが中心となって大騒ぎが始まってしまう。それは、毎日のように繰り広げられる光景である。
翌日、友引高校では学園祭を明日に控え、生徒達が準備に追われていた。その翌日、友引高校では学園祭を明日に控え、生徒達が準備に追われていた。そう、あたるやラム達は同じ日を繰り返していた。しかし、彼らはそのことに気付いていなかった。
だが、1人だけ異変に気付いた者がいた。ストレスで休養を取っていたあたる達の担任教師、温泉マークである。彼は霊能力者であるサクラに、「自分達は同じ日を繰り返しているのではないか」という疑問をぶつける。奇怪な出来事を見抜いたサクラ達は、真相究明に乗り出したが…。

監督&脚本は押井守、原作は高橋留美子、製作は多賀英典、企画は落合茂一、作画監督はやまざきかずお&森山ゆうじ、キャラクターデザインはやまざきかずお、演出は西村純二、撮影監督は若菜章夫、編集は森田清次&坂本雅紀&宮内希美子&河野淳子、美術監督は小林七郎、美術設定は小林七郎&森山ゆうじ、音響監督は斯波重治、音楽は星勝、音楽監督は早川裕。
声の出演は平野文、古川登志夫、神谷明、杉山佳寿子、島津冴子、鷲尾真知子、藤岡琢也、田中真弓、千葉繁、村山明、野村信次、二又一成、緒方賢一、佐久間なつみ、池水通洋、安西正弘、西村知道、永井一郎、TARAKO、鵜飼るみ子、田中秀幸、塩屋翼、玄田哲章ら。


高橋留美子原作の人気TVアニメの劇場版・第2作目。監督は1作目の『オンリー・ユー』に引き続いて押井守。一部の熱狂的ファンから高い評価を受けている作品で、「アニメの域を越えた傑作だ」という声さえあるようだ。
しかし、これは一部のマニアのための映画だろう。

この作品は公開当時、原作者や原作のファンには気に入られなかった。原作を完全に無視し、押井守が強烈な個性を暴走させたことも理由の1つだろう。
だが、それだけではない。もっと深い部分に、この作品を原作者や原作ファンが受け入れられない理由が存在しているのだ。

この映画の中で、ラム達が夢邪鬼によって見せられる夢の世界は、高橋留美子の書くマンガ世界、すなわち「るーみっくワールド」を表現している。
そして、この作品でラム達が最終的に夢の世界から抜け出すことは、観客が「るーみっくワールド」から抜け出すことに結び付く。

つまり、この作品において押井守は、「閉じた空間の中に留まっていてはいけない。夢の世界は楽しいけど、そこから飛び出せ」とメッセージを発しているわけだ。
それは、「るーみっくワールド」という閉鎖空間でマンガを描く高橋留美子や、それを指示するファンへの挑発とも見て取れる。

だが、そんなメッセージを発していた押井守も、それ以降、自分の作り上げた「押井ワールド」から抜け出してはいない。それを考えると、結局、この映画は高橋留美子と押井守の互いの陣地を巡る闘争だったのかもしれない。
その中で、戸惑う者もいれば、衝撃を受けた者もいたということだろう。

 

*ポンコツ映画愛護協会