『あした』:1995、日本

船の遭難事故で大切な妻子や夫、恋人を失った人達。ある日、そんな彼らに、事故で死んだはずの人間からメッセージが届く。全ての人達に送られたのは、「今夜12時、呼子浜に来てほしい」というメッセージだ。
学生の朝倉恵には恋人だった高柳淳から、水泳選手の安田沙由利にはコーチだった唐木隆司から、会社社長の永尾要治には妻の厚子から、上流婦人の森下美津子には夫の薫から、ヤクザの親分である金澤弥一郎には妻の澄子と孫の正から。
メッセージを受け取った人達は呼子浜に向かう。海辺の古い家で一緒に12時を待つ彼ら。たまたま船に乗り遅れて次の船を待っていた原田法子と綿貫ルミも同席。法子は弥一郎に同伴した若い男を見て、昔好きだった大木貢だと気付く。
その貢は兄貴分の笹山兄弟に命令され、拳銃で弥一郎を殺すつもりだった。しかし法子と出会い、迷いが生じる。隠れて様子を伺っていた笹山兄弟だったが、弟の哲は兄の剛が止めるのも聞かず、自分の手で弥一郎を殺そうと動き出す。
やがて12時になった。海の底から沈んだはずの船が浮かび上がってきた。船は岸に着き、そこから死んだはずの人達が現れる。待っていた人達と再会を喜び合い、共にいる時間を惜しむように触れ合う彼ら。しかし、やがて船が海の底へ帰っていく時間がやって来る…。

監督&編集は大林宣彦、原作は赤川次郎、脚色は桂千穂、製作は出口孝臣&大林恭子&宮下昌幸&芥川保志、撮影は坂本典隆、美術は竹中和雄、録音は安藤徳哉、照明は秋田富士夫、音楽は學草太郎&岩代太郎。
出演は高橋かおり、林泰文、朱門みず穂、宝生舞、柏原収史、原田知世、植木等、峰岸徹、村田雄浩、洞口依子、岸部一徳、田口トモロヲ、根岸季衣、小倉久寛、ベンガル、多岐川裕美、津島恵子、尾美としのり、椎名ルミ、野村祐香、赤座美代子、風吹ジュン他。


大林宣彦監督の新尾道3部作の第2作目。赤川次郎の『午前0時の忘れ物』を映画化した。
で、感想はというと、何とも勿体無いと感じた。これ、もっと感動できる映画になるはずだと思うけどなあ。人の多さを整理できていないし、話も整理できていないから、感動するに至らない。

台詞回しが妙にわざとらしいのが感情移入を妨げている。あと、場面転換にワイプを多用するのは、この作品のテイストに合っていない。
音楽がやけに事故主張するのも邪魔に感じられる。雰囲気だけで引っ張るのは大林監督の得意技だけど、もう見抜かれてるしなあ。

高橋かおりが脱いでいるのが一部で話題になったりしたが、その脱いでいる場面には、それほど必然性を感じない。いや、全く必要性を感じない。
ただ、特に必要も無いのに高橋かおりを脱がせた大林監督の力量(何の力量だか分からんが)には敬服するしかないけどね。

 

*ポンコツ映画愛護協会