『ワールド・ウォーZ』:2013、アメリカ

かつて国連職員として紛争地域を巡っていたジェリー・レインは、家族との時間を大切にしようと考えて退職した。妻のカリン、長女のレイチェル、次女のコニーと共にフィラデルフィアで暮らす現在のジェリーは、専業主夫としての日々を楽しんでいる。ジェリーは家族のために朝食のバンケーキを焼き、車で職場と学校へ送る。だが、その朝は普段と違っていた。渋滞に巻き込まれる中、レイン一家は5分で3機のヘリコプターが上空を通過する様子を目撃する。
バイクが車のミラーに激突するが、そのまま走り去る。ジェリーが外に出てミラーを拾い上げた直後、遠方で爆発が起きる。人々が逃げる様子を目撃したジェリーに、白バイ警官が車へ戻るよう指示する。その直後、暴走するトラックに警官がひき殺される。ジェリーは車で逃走しようとするが、事故によって故障する。彼は車を捨て、家族を連れて外へ出た。大勢が逃げ惑う騒動の中に視線を向けたジェリーは、人間が人間に襲い掛かる様子を目撃した。噛み付かれて死んだ人間は12秒後に復活し、別の人間に襲い掛かった。
ジェリーは乗り捨てられたRVに家族を乗せ、その場から逃亡した。すると国連事務次長のティエリーから電話が掛かり、ニューヨークは壊滅したと告げられる。ティエリーはジェリーに、「救出のためのヘリコプターを送る。君が必要だ。復帰してくれ」と告げた。一家はニューアークでスーパーに入り、食料や薬品を調達する。大勢の人々が店に押し寄せ、食料を巡って激しい争いが繰り広げられている。警官が来ても争いを止めようとはせず、彼も食料を手に入れることが目的だ。
店を出ると車が無くなっていたため、一家は近くのアパートを目指す。ジェリーはティエリーに電話を掛け、屋上で拾ってほしいと頼む。ティエリーは「今夜は無理になった」と説明し、夜明けに救助することを約束した。アパートに逃げ込んだレイン一家は、トミー少年と彼の両親の部屋に入れてもらった。ジェリーがラジオを付けると、警察は屋内への滞在を促している。紛争地域での経験から、ジェリーは行動すべきだと考える。しかしトミーの父親は、アパートに留まることを選択した。
ジェリーは武器を準備し、家族を連れて屋上へ向かう。到着したヘリコプターに乗り込む際、トミーが逃げて来た。ヘリコプターはレイン一家とトミーを乗せて離陸し、大西洋上に浮かぶ空母アーガスへと着艦した。ティエリーはジェリーに、大統領が死亡して副大統領が行方不明になっていること、主要都市が壊滅したこと、混乱が世界中に広がっていることを教える。ウイルス学者のアンドリューは空母に招聘され、他の科学者と共に解決策を模索している。
ティエリーはジェリーに、「最初の報告は韓国の基地からだった。それが手掛かりだ。ワクチンを作るため、アンドリューを現地へ連れて行きたい」と話す。ジェリーはシールズと共に現地へ行って情報収集するよう空母の指揮官から求められ、即座に断った。協力しなければ空母から降りてもらうと言われても、「家族を残して行けない」と彼は告げる。しかし指揮官に「役に立たない人間に、部屋を与えることは出来ない。家族を助けたければ感染を防ぐんだ」と詰め寄られ、仕方なく承諾した。
ジェリーはアンドリューたちとC-130に搭乗して空母を出発し、韓国の米軍基地であるキャンプ・ハンフリーズに到着した。しかし飛行機を降りた早々にゾンビの襲撃を受け、アンドリューは命を落とした。基地に突入したジェリーとシールズは、生き残った兵士のリーダーであるスピークたちと合流した。スピークはジェリーに、ゾンビ発生時の状況や現在の様子を説明した。ジェリーは地下牢へ行き、収監されている元CIA局員のバートと会った、バートは北朝鮮に武器を密輸し、捕まっていたのだ。
バートはジェリーに、北朝鮮ではゾンビに噛まれないよう人民の歯が全て抜かれたことで、感染が食い止められたと語る。さらに彼は、高い壁で地域を封鎖したイスラエルでも感染が防がれていることを教える。彼はジェリーに、イスラエルでモサド高官のユルゲンと会うよう勧めた。ジェリーはイスラエルへ飛び、ユルゲンと面会した。ユルゲンは彼に、インドの通信を傍受してゾンビの発生を知ったこと、イスラエルでも同様の現象が起きると確信して壁を建設したことを語った。
ユルゲンはジェリーを町へ連れ出し、壁で封鎖した地域に大勢の人々を避難させている様子を見せた。しかし大勢の人々が歌い始め、それを拡声器で流したため、刺激されたゾンビたちが壁を這い上がって突入して来た。ジェリーは女性兵士のセガンたちと共に、急いで逃走する。その途中、ジェリーはゾンビの群れが頭の禿げ上がった病気の少年を無視して通過する様子を目撃した。ジェリーの眼前でセガンがゾンビに襲われ、左手を噛まれた。すぐにジェリーは彼女の左手首を切断し、感染を防いだ。
ジェリーたちはイスラエルを脱出しようとするが軍用ヘリはゾンビに襲われて墜落し、貨物機は滑走路から飛び立った。ジェリーは離陸しようとしていたベラルーシの旅客機を見つけ、何とか乗せてもらった。離陸した後、ジェリーはセガンの応急手当てをしながら、自分が目撃した出来事を振り返る。これまでにゾンビは、脚の悪い兵士、アル中のホームレス、病気の少年を襲わなかった。彼は空母に電話を掛け、ワクチン作成が可能な空港近くの医療施設を探してほしいとティエリーに要請した。
ジェリーは機長にティエリーと話してもらい、飛行機はイギリスのカーディフ空港へ向かうことになった。近くにWHOの研究施設があるということで、ジェリーは機長から地図を渡された。だが、機内に隠れていたゾンビが暴れ出し、乗客が次々に感染してしまう。前方の異変を知ったジェリーは、後方の乗客たちに鞄でバリケードを作らせた。音に反応したゾンビたちが押し寄せて来るが、セガンが発砲し、ジェリーは手榴弾を投げ付ける。機体に穴が開き、ゾンビの群れだけでなく大勢の乗客も外に飛ばされた。
飛行機は墜落するが、ジェリーと腹部に大怪我を負いながらも一命を取り留めた。彼は無事だったセガンと共に、WHOの施設へ向かう。施設に到着した途端、ジェリーは痛みで意識を失った。旅客機の墜落を知った指揮官はジェリーが死んだと思い、必要の無くなった彼の家族を空母から降ろして避難所へ送る。施設で意識を取り戻したジェリーは、自分が拘束されていることを知った。研究員のブリットやハビエルたちは、ジェリーに強い警戒心を示していた。ジェリーはティエリーに電話を掛けさせ、事情を説明してもらう。ティエリーはジェリーに、家族が空母から降ろされたことを明かした。拘束を解かれたジェリーは、「死亡率が高いが治療可能な病原体を持っていれば、ゾンビに襲われない。問題の解決には繋がらないが、カモフラージュには使える」と語る…。

監督はマーク・フォースター、原作はマックス・ブルックス、映画原案はマシュー・マイケル・カーナハン&J・マイケル・ストラジンスキー、脚本はマシュー・マイケル・カーナハン&ドリュー・ゴダード&デイモン・リンデロフ、製作はブラッド・ピット&デデ・ガードナー&ジェレミー・クライナー&イアン・ブライス、製作総指揮はマーク・フォースター&ブラッド・シンプソン&デヴィッド・エリソン&デイナ・ゴールドバーグ&ポール・シュウェイク&グレアム・キング&ティム・ヘディントン、撮影はベン・セレシン、編集はロジャー・バートン&マット・チェーゼ、美術はナイジェル・フェルプス、衣装はメイエス・C・ルベオ、視覚効果監修はスコット・ファーラー、音楽はマルコ・ベルトラミ、追加音楽はマシュー・ベラミー。
出演はブラッド・ピット、ミレイユ・イーノス、ダニエラ・ケルテス、ジェームズ・バッジ・デール、デヴィッド・モース、ファナ・モコエナ、デヴィッド・アンドリュース、スターリング・ジェリンズ、アビゲイル・ハーグローヴ、ピーター・カパルディー、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、ルディー・ボーケン、グレゴリー・フィトゥーシ、マシュー・フォックス、イライアス・ゲイベル、ルース・ネッガ、モーリッツ・ブライブトロイ、ファブリツィオ・ザッカリー・グイド、ジョン・ゴードン・シンクレア、ジェーン・エリザベス・ペリー、ルーシー・ラッセル、マーク・ホールデン、ティモシー・ジェームズ・バエリントン他。


『007/慰めの報酬』『マシンガン・プリーチャー』のマーク・フォースターが監督を務めた作品。
メル・ブルックスの息子であるマックス・ブルックスが書いた架空の証言記録本『WORLD WAR Z』が原作だが、設定を借りているだけであり、内容は全くの別物となっている。
ジェリーをブラッド・ピット、カリンをミレイユ・イーノス、セガンをダニエラ・ケルテス、スピークをジェームズ・バッジ・デール、バートをデヴィッド・モース、ティエリーをファナ・モコエナ、艦長をデヴィッド・アンドリュース、コニーをスターリング・ジェリンズ、レイチェルをアビゲイル・ハーグローヴ、ブリットをピーター・カパルディー、ハビエルをピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、ユルゲンをルディー・ボーケン、C-130のパイロットをグレゴリー・フィトゥーシが演じている。

プランBエンターテインメントが映画化権を獲得しているので、そのボスであるブラッド・ピットが主演するのは当たり前っちゃあ当たり前なのだが、大きな違和感を抱いてしまう。
ゾンビ映画なのに、ハリウッドのトップスターであるブラッド・ピットが主演し、しかも1億9千万ドルという多額の予算が投入されているのだ。
つまり、ビッグ・バジェットの大作映画として製作されているわけで、それはゾンビ映画としてどうなのかと。
いや、ちょっと表現が違うな。
つまり、「多額の予算を使い、トップスターを使ってゾンビ映画を製作するってのは、どうなのよ」と言いたいのだ。

これは、貧乏人が知恵と努力を注ぎ込みながら痩せた畑を長年に渡って耕し、新しい品種を改良して地道にコツコツと頑張って来たのに、そこに大企業が目を付け、有能な専門家を高額で雇い入れ、多額の予算を使って最新の機器を投入し、多くの人員を集め、同じ品種の豪華版を作ってしまったような印象を受ける映画である。
なんか例えが長くなっちゃったけど、ようするに「メジャーの連中が金に物を言わせて、インディーズの映画人が耕してきた場所を荒らしている」ってな感じなのよ。
そりゃあ、トップスターがゾンビ映画に主演しようと、デカい会社が多額の予算を使ってゾンビ映画を作ろうと、そんなのは勝手なのよ。別に違法なことをやってるわけじゃないし、何も卑劣な真似をしているわけではない。
ただ、「トップスターを使って、多額の予算を投入すれば、そりゃあスケールがデカくて派手な見せ場のあるゾンビ映画を作れるのは当たり前でしょ」と言いたくなってしまうのよ。

これまでに作られたゾンビ映画と比べて、「金を使って飾り付けた」「大量の人員を雇った」という以外の部分に工夫や知恵が見られれば、トップスターが主演する大作映画として作った意義を、そこに見出せるだろう。
つまり、重要なのはストーリーやドラマやキャラクター描写ってことだ。
だけど、話の中身は今までに作られた低予算のゾンビ映画と変わらないんだよね。
ストーリーやドラマなんて、あって無いに等しく、ほとんど「主人公がゾンビから逃げ回る」ってのを延々と見せているだけと言っていい。

これまで多くのゾンビ映画を観賞して来たが、その中で「もっとスケール感があればいいのになあ」「もっと大勢のゾンビがいた方がいいなあ」と思ったこともある。
そういった不満は、予算が潤沢にあれば解消される。
この作品は、そういう意味では、これまでのゾンビ映画に足りなかった部分を満足させてくれるモノと言えるだろう。
金を掛けてスケールを大きくした部分、大勢のエキストラを動員した部分に関しては、たぶん製作サイドが期待しただけの質に仕上がっている。
問題は、それ以外の部分が、低予算ゾンビ映画と何も変わらないどころか、下手すりゃ質が低いってことなのだ。

ジェリーには家族がいるが、その人間関係は全く有効に機能していない。レイチェルが喘息の持病を持っているという設定も、まるで活用されていない。
そもそも、ジェリーに家族がいるという設定自体が、ほぼ無意味なのだ。
一応は「家族が人質同然の状態なので、彼女たちを守るためにジェリーが行動する」という風に、動機の部分で利用はしている。しかし、それが無かったら何か支障があるかというと、全く無い。
ジェリーがカリンに電話を掛けるシーンが何度かあるが、そこには「家族の存在を観客に忘れさせないようにする」という意味合いしか無い。家族ドラマとしての厚みには繋がっていない。むしろ、ただ邪魔なだけ。
後半には家族が空母から降ろされるが、それによってジェリーの行動が変化するわけでもない。

序盤でトミーというヒスパニックの少年がレイン一家と合流するが、前半の内に別行動を取る流れが待っているので、彼の存在も無意味に等しい。ジェリーの家族よりも、さらに意味が無い。
ホントに何のために登場したのか、サッパリ分からないのだ。
両親はゾンビの犠牲にしておいてトミーだけは生き延びさせ、ジェリーたちと一緒に行動させるんだから、もっと物語に深く関与して来なきゃマズいはずでしょ。
それなのに、その放置っぷりったら無いぜ。

それ以外の面々も、ほぼ存在意義は無いと言っていい。
上司であるティエリーや、後半に入って行動を共にするセガンでさえ、「役名さえ無い程度の、その場限りで出番を終えるチョイ役」であっても、ストーリー展開に大きな変化は無い。
アンドリューはジェリーとC-130へ乗り込んだ時には何か含蓄のあるっぽい言葉を口にするが、あっさりと死んでしまうので全く役に立たない。だから「アンドリューを守る必要もあるので、ジェリーは自分のことだけ考えるわけにもいかずに苦労する」という展開に利用されることも無い。
それどころか、彼はゾンビに襲われて死んだりゾンビ化するわけじゃなくて、「滑った時に誤って自らを撃ってしまう」という死に方なんだぜ。
もはや喜劇の世界だぞ、それって。

なぜ必要な人材であるはずのアンドリューを前半で簡単に殺してしまうのかというと、理由は簡単で、邪魔だからだ。
なぜ邪魔なのかというと、本作品がブラッド・ピットのスター映画だからだ。
ってことはジェリーを全ての方面で活躍させる必要があるが、アンドリューを生かしておいたままだと、ゾンビ対策を考え付いたり、ワクチンを作ったりする役割を取られてしまう可能性が高い。
だから、邪魔者はさっさと排除してしまうのだ。

この映画は見事なぐらい、ブラッド・ピットのスター映画になっている。
スター映画ってのは、とにかく主演を務めるスターを活躍させること、目立たせることが最優先であり、だから前述したように、それ以外の面々は存在意義の乏しい雑魚キャラでしかない。
さらに本作品は、ブラッド・ピットを活躍させるために、御都合主義を何度も利用する。
それによってジェリー・レインは、ひょっとすると世界で最も運のいい男なんじゃないかと思えるほど、幸運の連続に救われるキャラクターに仕上がっている。

序盤から何度もジェリーはゾンビの群れに襲われるが、絶対に噛まれない。返り血を浴びるシーンはあるが、噛まれていないので感染はしない。
すぐ近くにいる奴らが襲われても、ジェリーだけは助かり続ける。イスラエルのパニックの中でも、ゾンビの群れが猛スピードで迫って来る中で、無事に逃げ延びる。
手榴弾を投げて旅客機が墜落しても、重傷は負うけど生き残る。それどころか、何の危機も無いまま簡単に研究施設まで辿り着く。
たった3つの出来事だけでゾンビ対策を思い付き、しかも根拠に乏しい推測に過ぎないのに、当たっている。どれが死なずに済んでゾンビに有効な病原体か全く分からない中で、何の手掛かりも無いまま適当に1つを選んで注射したら当たりを引く。
ホント、とことんラッキーだね。

「ゾンビは音に反応する」ということで、イスラエルへ向かうことを決めたジェリーたちは自転車でC-130まで行こうとする。
だが、その自転車が錆び付いているのかキコキコと音を立てているので、何の意味も無いようにしか思えない。
妻から電話が掛かって来て、着信音でゾンビに気付かれるという展開になっているけど、その前に自転車の音が聞こえてるってば。
あと、音に反応すると聞かされていたのに携帯の電源を切っておかないとか、アホだろ。あとバイブ機能は付いてないのか。

アホと言えば、研究施設でのジェリーたちの行動もアホに思えるぞ。
ゾンビ対策に使える病原体があるのがゾンビだらけのB棟ってことで、音を立てないよう注意しながら進むんだけど、別の場所で大きな音を立ててゾンビを誘い出し、その隙に病原体を運び出せばいいんじゃないのか。
研究者の連中は、そういう作戦を考えても協力してくれないだろうってことなのか。
それとも、あくまでもジェリーだけを活躍させたいから、そういう展開は思い付いたけど排除したってことなのか。

この映画では、ジョージ・A・ロメロの提唱したゾンビ原則は完全に無視されている。とにかく動きが俊敏だし、噛まれると12秒でゾンビに変貌する。
もはやスピーディーなゾンビってのは主流になってしまったので、個人的には好きじゃないが、それは受け入れるとしよう。
しかし、この映画は、そこから派生する問題が起きている。
ゾンビの速い動きに合わせたのか、カメラの動きも随分と速くなっているのだ。
しかも手持ちカメラが揺れるし、カットも細かく割るので、それによって何が起きているかというと、「映像がゴチャゴチャしていて、何が起きているか分かりにくい」という現象だ。

何しろ噛まれてから12秒後には感染してしまうので、「こいつはウイルスに感染しているのか」という疑心暗鬼になったり、互いに探り合いをしたりするような展開は無い。
「噛まれたけど発症していない状態の奴を助けようとして奔走する」という展開も無い。
「家族や恋人が感染してしまい、殺さなきゃいけないので苦悩する」といったドラマも無い。
あと、ジェリーはウイルスの起源を調べる目的で世界各地を巡っているのだが、後半に入るとジェリーが別のことを思い付き、起源の調査という目的は完全に忘れ去られてしまう。

それと、構成に大きな欠陥があって、イスラエルの大パニックが映画のピークになっている。後半は完全に尻すぼみなのだ。
映像だけで勝負するにしても、竜頭蛇尾ではマズいでしょ。
むしろ映像だけで勝負するなら、余計に「後半にピークを持って来て、クライマックスはデカいスケールで派手に盛り上げる」という構成にしなきゃダメでしょ。
それなのに、後半に入ると一気にスケールが小さくなり、地味な映像になってしまうのだ。

そんな構成になってしまったのは理由があって、最初の予定ではクライマックスにスケールの大きな戦闘シーンがあって、撮影も終わっていたらしい。
ところが、その内容が過激すぎて上映が難しいという判断が下されたせいで、慌ててシナリオを変更し、追加撮影を行ったらしい。
ところが予算が足りなくなったもんだから、どうやらペプシに金を出してもらったらしい。
そのせいで、「窮地を脱したジェリーが自販機のペプシ・コーラを飲んで一息つく」という、ものすごく不自然なプロダクト・プレイスメントが行われている。
もはや喜劇の世界だ。
『ウェインズ・ワールド』かよ。

(観賞日:2014年12月21日)


2013年度 HIHOはくさいアワード:1位

 

*ポンコツ映画愛護協会