『ロッキー3』:1982、アメリカ

アポロ・クリードを倒し、ついにボクシングの世界ヘビー級チャンピオンになったロッキー・バルボア。大衆の絶大な人気を得たロッキーは、その後の試合でも勝ち続け、3年で10回の防衛を果たした。だが、満ち足りた生活は彼からハングリー精神を奪っていく。
ロッキーを讃えたブロンズ像が、市の博物館前に設置されることになった。ロッキーは除幕式に出席し、引退を宣言する。そこへ今や飛ぶ鳥を落とす勢いの若きボクサー、クラバー・ラングが姿を現し、ロッキーをなじった上に彼の妻エイドリアンを侮辱する。
クラバーの挑発を受け、彼の挑戦を受けることにしたロッキー。だが試合直前にトレーナーのミッキーが心臓発作で倒れ、ロッキーはクラバーに一方的に殴られ続けて完敗する。一度は闘争心を失ったロッキーだったが、アポロの協力を得てクレバーとの再戦を決意する…。

監督&脚本はシルヴェスター・スタローン、製作はアーウィン・ウィンクラー&ロバート・チャートフ、製作協力はジェームズ・D・ブルベイカー、製作総指揮はハーブ・ナナス、撮影はビル・バトラー、編集はドン・ジマーマン&マーク・ワーナー、美術はウィリアム・J・キャシディー、衣装はトム・ブロンソン、音楽はビル・コンティー。
主演はシルヴェスター・スタローン、共演はタリア・シャイア、バート・ヤング、カール・ウェザース、バージェス・メレディス、ミスター・T、トニー・バートン、ハルク・ホーガン、イアン・フリード、アル・シルヴァーニ、ウォーリー・テイラー、ジム・ヒル、ドン・シャーマン、デニス・ジェームズ・ジム・ヒーリー、レイ・ジデオン、ジーン・クレイン、スチュ・ネイハン他。


シルヴェスター・スタローンがトップスターへの階段を上るきっかけとなった映画が、言わずと知れた『ロッキー』だ。これは、そのシリーズの第3作である。
2作目のラストでチャンピオンになったロッキーの、栄光と挫折が描かれる。この作品の質の低さを見れば、第1作目がどれほど優れた作品だったかを再認識できるだろう。

ハングリー精神を失い、リッチな生活を送っているロッキー。
トレーニングにも全く気合いが入っておらず、ノンビリムードのロッキー。
スターとなったスタローン自身にも、ハングリー精神は無くなっていたことだろう。
だから、こんなシナリオしか書けなくなったのだろう。

ミスター・T演じるクラバーの見せ方が上手くない。
ロッキーと戦う前に、もっと彼の力を強烈に示しておくべき。
もしくは、逆に全く予備知識無しでロッキーと対戦させ、過信していたロッキーがボコボコにされるという図式にしても面白かったかもしれない。

ミッキーの死の見せ方やタイミングも上手くない。
ロッキーは、クラバーとの試合直前にはミッキーが倒れたことを知らなかったという形の方が良かったのではないだろうか。アポロの助力で奮起するのではなく、ミッキーの死によって奮起するという流れの方が良かったのではないだろうか。

終盤でのクラバーとの再戦では、ロッキーに余裕がありすぎる。
クラバーのパンチは全く当たらなくなり、一方的にロッキーが殴りまくって勝利する。
もっとギリギリの戦いで勝利してくれないと、カタルシスが全く感じられない。

プロレスラーのハルク・ホーガンがゲスト出演。
スタン・ハンセンとリック・フレアーを合わせたようなキャラクターを演じている。
彼は、事前に打ち合わせ済みの異種格闘技戦を、ロッキーと行う。
あえていうならば、この場面が一番の見せ場かもしれない。


第17回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低助演男優賞[ミスター・T]

 

*ポンコツ映画愛護協会