『ロボッツ』:2005、アメリカ

小さな町リヴェット・タウンの皿洗い器ロボット、ハーブ・コッパーボトムと妻は、子供の組み立てキットを手に入れた。2人は12時間の 格闘の末に、息子のロドニーを完成させた。夫婦は親類のお下がりパーツを貰い受け、ロドニーの成長に伴って交換していった。ある日、 ロドニーは父に連れられパレードに赴いた。飛行船のモデルになっているロボットが気になったロドニーに、父は「あれは世界で一番の ロボット、ビッグウェルド博士だ。みんなの暮らしを豊かにしているんだ」と教えた。
ビッグウェルド・インダストリーの創立者であるビッグウェルドは、自社を宣伝するテレビ番組にも出演していた。彼は番組の中で、世界 の各地から集まって来た発明家たちと会っていた。ビッグウェルドは「私は全てのアイデアを聞く。新型でも、中古でも、どんなロボット にだって、チャンスはある」と力強く告げた。その言葉に勇気付けられたロドニーは、その日から発明に取り組むようになった。
やがて青年に成長したロドニーは、父が働くレストランで働いた。厨房に入ったロドニーは、保証期間を過ぎた父は体にガタが来て仕事に 支障をきたしていた。それを見たロドニーは、自分が発明したワンダーボットに皿洗いを手伝わせる。だが、オーナーのガンクが来て 怒鳴ったため、ワンダーボットは慌てふためいて厨房を荒らしてしまった。ガンクは激怒し、ロドニーを店から追い出した。
ロドニーは発明家になってビッグウェルドに会いたいと考え、両親に別れを告げてロボット・シティーへ向かう。シティーに到着した彼は 、ビッグウェルド・インダストリーへ向かう途中でフェンダーというお喋りなロボットと出会った。ビッグウェルド・インダストリーに 到着すると、テレビ番組にも出ていた門番のティムがいた。ロドニーは彼に、ゲートを開けるよう頼んだ。しかしティムは「誰も中には 入れない」とバカにしたように笑い、ロドニーを追い払った。
その頃、社内では重役会議が開かれていた。そこにビッグウェルドの姿は無く、会社を乗っ取ったラチェットが社長を務めていた。彼は 幹部たちに「ビッグウェルドは時代遅れだ。我々は慈善事業をやっているわけではない」と言い、消費者から金を巻き上げるためにアップ グレードを推進する方針を述べた。幹部のキャピィーが「スペアパーツが安かったら、消費者はアップグレード製品を買うでしょうか」と 遠慮がちに意見を述べると、ラチェットは「それは簡単だ。今日限りで、我が社はスペアパーツの生産を中止する。アップグレード製品が 買えない貧乏ロボットは、スクラップだ」と告げた。
ロドニーはビッグウェルドに会うため、窓から社内に忍び込もうとする。会議室に落下した彼は、ラチェットに追い出された。ラチェット は解体工場を仕切る母マダム・ガスケットも元へ行き、「指示された通りに会議で話したよ」を報告した。するとマダム・ガスケットは、 「ガラクタの尊敬を集めるビッグウェルドを始末するんだ。そしてビッグウェルド・インダストリーをラチェット・インダストリーにして 、さらにはロボット・シティーをラチェット・シティーにするんだ」と語った。
ロドニーは廃品漁りをしているフェンダーと再会した。彼は中古製部品ロボット集団「ラスティーズ」のリーダーで、妹のパイパーや仲間 のクランク、ラグと一緒に行動していた。頭が外れたフェンダーは、首のジョイント・パーツを手に入れるため、ジャックの金物店へ行く 。するとジャックは冷たい態度で、既に生産中止となっていることを告げる。ジャックはアップグレード製品を勧めるが、それを買う金を フェンダーは持っていなかった。金物店へやって来たロドニーは、溶接機を使ってフェンダーを修理してやった。
回収車が通り掛かると、ラスティーズは慌てて隠れた。旧型モデルは回収され、解体工場へ送られて別の物に作り替えられるのだという。 フェンダーはロドニーに感謝し、ラスティーズが世話になっている下宿へ案内する。家主のファンおばさんは、貧しいロボットたちの味方 だった。フェンダーは自分の部屋にロドニーを泊めた。翌朝、ロドニーたちが外へ出ると、金物店の前に中古製部品ロボットたちが 集まっていた。店がアップグレード製品しか置かなくなったため、抗議のために集まったのだ。
貧しい中古製部品ロボットたちには、アップグレード製品を買うことが出来なかった。しかし抗議を受けても、ジャックは冷徹な態度を 取った。そこでロドニーは、彼らの修理を請け負った。旧型ロボットを修理している者がいるという噂を耳にしたマダム・ガスケットは、 ラチェットの元を訪れた。彼女はラチェットに、修理しているロボットを破壊するよう命じた。ロドニーの元には、母からの手紙が届いた 。そこには、父が廃品寸前となっており、スペアパーツが無ければ長くは持たないことが記されていた。
修理ならロドニーにも出来るが、スペアパーツを作れるのはビッグウェルドだけだった。姿を消しているビッグウェルドも舞踏会には必ず 現れるはずだと考え、ロドニーは会場へ行こうと考える。しかし部外者は入れないため、彼とフェンダーは伯爵と従者に成り済ました。 会場に入ったロドニーはフェンダーと別行動を取り、ビッグウェルドを捜す。一方、フェンダーはロレッタという女性に声をかけて親しく なり、一緒にダンスを踊った。
壇上に現れたラチェットがビッグウェルドの欠席を告げると、ロドニーは前に歩み出て「ビッグウェルドさんに何をしたんだ」と抗議した 。ロドニーはラチェットを激しく糾弾する中で、自分が旧型ロボットを修理していることを口にした。ラチェットは警備係にロドニーを 捕まえさせ、解体工場へ連行しようとする。キャピィーはロドニーを助けるため、ラチェットに「悪者に思われたら困るでしょ。私が外へ 連れ出します」と告げた。
キャピィーがロドニーを逃がそうとしていると、事情を知らないフェンダーが掴み掛かって来た。キャピィーはフェンダーを振り払う。 ロドニーはフェンダーの手を取り、会場から逃げ出そうとした。するとフェンダーに惚れたロレッタが追い掛けて来た。キャピィーも 成り行きでロドニーたちに同行した。キャピィーはロドニーをシティーから逃がすため、駅まで送ろうとする。しかしロドニーは「僕は ビッグウェルドさんに会うまで街を出ない」と強硬な態度を崩さなかった。
フェンダーはロレッタを家まで送り、浮かれて踊るが、通り掛かった回収車に捕まってしまった。ロドニーとキャピィーはビッグウェルド の作業部屋を訪れ、彼と面会した。しかしビッグウェルドはロドニーに「負けを悟らねばならない時もある。私は時代遅れだ。私が負けた 相手に君が勝てるはずがない。君が望んでいる世界は、もう存在しない」と告げた。解体工場に送られたフェンダーは、ラチェットと マダム・ガスケットが旧型ロボットをスクラップにする計画を話し合っている現場を目撃した。
ロドニーは家に戻ることを決め、駅から両親に電話を掛けた。するとハーブは「お前も辛いだろうが、夢を実現しようと頑張らなければ、 その夢は一生お前を苦しめる。全てはお前次第だ」と述べた。パイパーたちはロドニーの見送りにやって来た。そこに解体工場から脱出 したフェンダーが駆け付け、ラチェットが旧型ロボットを全てスクラップにしようと企んでいることを告げた。するとロドニーは、 「ビッグウェルドさんに頼ろうと思ったのが間違いだ。戦うのは僕たちだ」とフェンダーたちに呼び掛けた…。

監督はクリス・ウェッジ、共同監督はカルロス・サルダーニャ、原案はロン・ミタ&ジム・マクレイン&デヴィッド・リンゼイ=アベアー 、脚本はデヴィッド・リンゼイ=アベアー&ローウェル・ガンツ&ババルー・マンデル、製作(共同製作は間違い)はジェリー・ デイヴィス&ジョン・C・ドンキン&ウィリアム・ジョイス、製作総指揮はクリストファー・メレダンドリ、編集はジョン・カーノチャン 、美術はウィリアム・ジョイス、音楽はジョン・パウエル、音楽監修はベッキー・マンギューゾ=ワインディング。
声の出演はユアン・マクレガー、ハル・ベリー、ロビン・ウィリアムズ、グレッグ・キニア、メル・ブルックス、アマンダ・バインズ、 ドリュー・ケリー、ジム・ブロードベント、スタンリー・トゥッチ、ジェームズ・アール・ジョーンズ、ダイアン・ウィースト、 ジェニファー・クーリッジ、ポール・ジアマッティー、ダン・ヘダヤ、ジェイ・レノ、ナターシャ・リオン、ハーランド・ウィリアムズ、 ローウェル・ガンツ、テリー・ブラッドショー、ウィル・デントン、ディラン・デントン、ジャッキー・ホフマン、ブライアン・ マクファッデン、クリス・ウェッジ他。


『アイス・エイジ』に続き、20世紀フォックスが3Dアニメ製作会社ブルー・スカイ・スタジオと手を組んで製作した2作目の長編アニメ 。
監督と共同監督も『アイス・エイジ』と同じくクリス・ウェッジとカルロス・サルダーニャ。
絵本作家のウィリアム・ジョイスが製作と美術を担当している。
ロドニーの声をユアン・マクレガー、キャピィーをハル・ベリー、フェンダーをロビン・ウィリアムズ、ラチェット をグレッグ・キニア、ビッグウェルドをメル・ブルックス、パイパーをアマンダ・バインズ、クランクをドリュー・ケリー、マダム・ ガスケットをジム・ブロードベント、ハーブをスタンリー・トゥッチが担当している。

冒頭、ハーブが浮かれた様子で街を歩きながら、「今、妻と話した。子供を作るんだ、授かるんだ」と言う。彼が家に戻ると、妻は既に 届いている組み立てキットの箱を見せる。そして2人は説明書を見ながらパーツを組み立てていく。
ここで、もう気持ちが萎えてしまった。
それって、授かってないじゃん。パーツを組み立ててるだけじゃん。
そりゃあロボットだから「女が腹を痛めて出産する」という描写が出来ないのは分かるよ。
だけど、注文して届いたパーツを組み立てるってのは、違うんじゃないかと。

そこは例えば、自分たちで部品から全て用意するとかさ。 あるいは、子供が欲しくなったカップルが専門の施設に行き、2人の体の一部を差し出すと、それを組み込んだベビーが与えられるという 設定にしておくとかさ。
っていうかさ、そもそも、ロドニーの誕生から話を始める必要があるのかと。そこからして疑問なんだよな。それを描いてしまうと、 「機械は成長しないのに、どうやって大人にするのか」というところで問題が生じる。
一応、劇中では「成長に応じてパーツを交換する」という描写になっているけど、「でも精神の部分はどうやって成長しているのか」と いうところで引っ掛かる。
そんなことは、ベビー誕生を描かなければ、たぶん気にならなかったと思うんだよね。

で、あっという間にロドニーは青年へと成長するので、ますます誕生からの経緯を描く必要性に疑問を感じてしまう。
舞台がロボット・シティーに移れば、そういう引っ掛かりは消えてくれる。だから、成長の過程を見せる必要性は無いんじゃないかと。
っていうか、両親を登場させる意味も、そんなに無いんじゃないかな。
「父のスペアパーツを作ってもらうため、ロドニーがビッグウェルドに会おうとする」という展開はあるけど、そこも父の部分を別の キャラに変更すればいいわけだし。

あと、この映画の設定だと、「部品を交換すれば生き続けられる」ってことになるよね。
だったら、部品を買ったりアップグレードしたりする金さえあれば、ロボットは永遠に生き続けられるってことなのか。事故に遭って死ぬ とか、老衰で死ぬとか、そういうことは無いのか。
そこは気になるなあ。
例えば「コアの部分だけは取り換えが不可能で、そこがダメになったら二度と復活できない」とか、そういう設定にしておいても良かった んじゃないかと。
ディティールの部分に色々と引っ掛かりを覚えるなあ。

ロボット・シティーに舞台が移ってからの話は、大枠だけを取れば「慈善家の社長を追い出した悪役が金儲けだけを考えて悪巧みをして おり、好青年である主人公がそれを阻止するために行動する」という内容だ。
どこかで見たことがあるような話であり、ロボットだからこそ成立する内容ではない。
人間キャラでも成立する話で、それをロボットの世界に置き換えている形だ。

作品のコンセプトになっているのは、1930年代のスクリューボール・コメディーらしい。
ロドニーがビッグウェルド・インダストリーへ向かう急行がアトラクションのようになっているとか、追い出されたロドニーに磁力が 生じて色んな物がくっ付いて来るので慌てて逃げるとか、そういうアクションシーンに関しては、見栄えがする内容になっている。
他にも、ロレッタを家まで送り届けたフェンダーが浮かれて『雨に唄えば』みたいに歌い踊るシーンとか、ビッグウェルドの作業部屋で ドミノが倒れて行くシーンとか、そのドミノでビッグウェルドが波乗りを楽しむシーンとか、アクションには力が入っているようだ。

ビッグウェルドがロドニーに対し、「負けを悟らねばならない時もある」などと言っちゃうのは、とても残念だ。
そんなに簡単に敗北者で時代遅れだということを認めてしまい、諦めの境地に入っているのは嫌だなあ。
徹底して、大らかで前向きで夢のあるキャラにしておいて欲しかった。その辺りも含めて、変に生真面目になっているんだよな。
もっと能天気で楽天的な話でも良かったと思うんだけど。

スクリューボール・コメディーを意識して作っているはずなのに、しんみりモードに入ったり、マジなトーンになったりする箇所が目立つ というのは、なんか違うんじゃないかと。
「夢を諦めたら、そこで終わりですよ」という真面目なメッセージやテーマを盛り込んで、それを表現するところで、真面目に なっちゃってるんだよな。
もっとご陽気でおバカなテイストの中でも、そういうことを描くことは出来たんじゃないかなあ。
感動を狙ったのかなあ。

ロドニーが「戦うのは僕たちだ。ラチェットと戦おう」とアジっていると、そこにビッグウェルドが現れて「君が戦うなら、僕も一緒に 戦おう」と言う。
すっかり諦めの境地に入っていたはずなのに、どういう心境の変化なのか。
彼の心情が変化した理由や経緯が全く見えてこない。
あと、そこでロドニーは「自分たちで戦う」と決めたのに、ビッグウェルドがラチェットの元に乗り込む展開になっているのは 違うでしょ。
しかも、ロドニーはキャピィーをオフィスに残したまま脱出するんだよな。それもダメだろ。

せっかくロドニーが「ビッグウェルドに頼らず、自分たちで戦う」と決めたのに、そこからの展開が上手くない。
解体工場での戦いがクライマックスになっているが、それも「ロドニーと仲間が自分たちの意思で乗り込んでいく」ということじゃなくて 、逃亡していたら工場に到着したから、成り行きで戦いを挑むという形なんだよな。
その戦いで、知恵を使ったり計画を練ったりすることが無く、真正面から突っ込むだけというのもイマイチ。
立て続けにアクションをやっているけど、なんか今一つ乗り切れないなあ。

(観賞日:2012年1月17日)


第28回スティンカーズ最悪映画賞

ノミネート:【最悪のアニメーション映画】部門

 

*ポンコツ映画愛護協会