『ロボット・モンスター』:1953、アメリカ

ジョニー少年は、おままごと遊びをしたがる妹のカロラを誘い、原っぱで宇宙ごっこに興じる。オモチャの光線銃を手にしてシャボン玉を吹いた彼は、「この辺りは宇宙人が一杯だ。やっつけに行くぞ」と言う。ジョニーは近くの洞穴へ行き、考古学者の助手のロイスを宇宙人に見立てて撃つ。考古学者とロイスは洞窟の壁画を調査中だった。壁画を見たカロラが「これは宇宙ロボットだったのかしら」と口にすると、考古学者は「私の知る限り、その時代には宇宙人もロボットも存在していない」と話す。
そこへジョニーの母マーサと姉のアリスが迎えに来る。4人はピクニックに来ていたのだ。マーサとアリスは、戻って昼寝をするようジョニーとカロラに促した。ピクニックの場所に戻ったジョニーだが、他の3人が昼寝をしている間に洞窟へ舞い戻った。落雷で倒れたジョニーは、しばらくして目を覚ました。物陰に隠れた彼は、洞窟の奥から現れたロボットモンスターのローマンXK2を目撃した。彼は通信機器を動かし、モニターに写った指導役と会話を交わす。
「他の惑星では生命体を発見していない。地球だけが我々の敵だ」と言う指導役に、ローマンは「宇宙光線で攻撃を仕掛けると、勘違いした地球人は互いに戦争を始めて全滅した」と報告した。しかし指導役が「調査機によると生命体が残っている」と告げると、ローマンは「もしかすると8名が生存しているかも」と言う。指導役は必ず全滅させるよう命じた。ジョニーはローマンを追って洞窟へ入ろうとしたが、激しい閃光に驚いて逃げ出した。
ジョニーが急いで自宅へ戻ると、マーサは「私たちの許可無しに、このバリアから出るなと注意したでしょ」と声を荒らげる。父親である考古学者はジョニーに、「ローマンが地球に来て酷いことをしたのは知ってるよね。私たちだけが生き残れた理由は、ローマンの光線を跳ね返す方法を発見したからだ。家の中にいる限り、ローマンは我々の存在に気付かない」と語る。ジョニーが「ローマンが洞窟の中にいた。みんなでやっつけよう」と言うと、考古学者は「世界中の軍隊が彼を倒せなかった」と告げる。
通信機のモニターにローマンの姿が写し出され、「まだ生き残りがいるらしい。5人隠れているのだろう。おとなしく出てくれば安楽死させてやる」と告げる。考古学者は「ロイはどうなったんだろう?」と言い、アリスは「彼に本心を伝えられなかった」と悔やむ。ロイが物陰に隠れて洞窟を観察していると、ローマンが再び指導役と通信する。ローマンが「モニターで5人の生存者を確認しました」と言うと、指導役は「それはエラーだ。8人いる。3人は上手く逃げてる」と告げた。
ロイはジョニーたちの元へ行き、考古学者から「他に生存者は?」と問われてジェイソンとクラウドがいることを告げる。さらに彼は、考古学者が開発した新薬がローマンの光線攻撃にも免疫力があると話す。彼は薬を持って来なかったが、その理由について「宇宙プラットホームへ行く充分な燃料が無かった。あそこへ行けば守備隊全員に薬を渡せる」と言う。アリスは宇宙プラットホームのことを心配し、「ローマンは宇宙船を爆破するわ」と口にする。
「宇宙船は2日後に出発する予定だが、伝えに戻る時間が無い」とロイが告げると、アリスはモニターの回線を接続し直して連絡を取るよう促した。ローマンはモニターに現れ、「調べ直して、6人目の生存者が見つかった。ロケットに乗り込んでいる2人のことも分かっている。宇宙プラットホームに向かったようだな」と言い、ロケットを破壊する様子を見せた。考古学者はマーサから、ローマンと話し合うよう求められた。
修理を終えたモニターでローマンと通信した考古学者は、「我々はお前に屈しない」と強気に告げる。モニターに写ったアリスを見たローマンは、彼女に惹かれる。ローマンはアリスに1対1での話し合いを要求し、その場所に遺跡を指定した。アリスは遺跡へ行こうとするが、両親とロイが制止した。一行はジョニーが家を抜け出したことに気付き、ロイとアリスが捜しに行く。ジョニーは遺跡へ行き、ローマンに「お姉ちゃんは来ないよ」と告げる。ローマンは攻撃を仕掛けるが、ジョニーには効果が無かった。
ジョニーは父が新薬を作ったことを語り、「だから誰一人病気にならない」と口を滑らせる。ローマンは「それでは新薬が効かない光線を作り出そう」と言い、ジョニーは慌てて逃げ出した。ロイとアリスは家に戻り、結婚することを告げた。ローマンは洞窟へ戻り、指導役に「彼らは光線に免疫のある新薬を持っていました」と報告した。考古学者はロイとアリスに頼まれ、結婚式の神父役を務めた。ロイとアリスはハネムーンに出掛け、ローマンも洞窟を出る。カロラはロイたちにプレゼントの花束を持って行き、その帰りにローマンと遭遇した。
洞窟へ戻ったローマンは、生き残りの1人を葬ったことを指導役に知らせた。ローマンは「実験のために、1人は生かしたまま残したい」と申し入れるが、指導役は「私の言うことが聞いないのか。皆殺しにしろ」と命じる。ロイとアリスが原っぱで幸せな時間を過ごしていると、覗いていたローマンが襲撃した。ローマンはロイを殴り倒し、アリスを連れ去った。一方、カロラを捜索していた考古学者とマーサは、草原で彼女の遺体を発見した…。

製作&監督はフィル・タッカー、脚本はワイオット・オーダン、製作協力はアラン・ウィンストン、製作総指揮はアル・ジンバリスト、撮影はジャック・グリーンハル、編集はメリル・ホワイト、ロボット音声はジョン・ブラウン、特殊撮影効果はジャック・ラビン&デヴィッド・コモンズ、衣装はヘンリー・ウエスト、音楽はエルマー・バーンスタイン。
出演はジョージ・ネイダー、クローディア・バレット、セレナ・ロイル、ジョン・マイロン、グレゴリー・モフェット、パメラ・ポールソン、ジョージ・バロウズ。


アメリカ合衆国が世界に誇る4大サイテー監督の一人、フィル・タッカーの『Dance Hall Racket』に続く第2作。
彼の監督作で、日本で見られるのは本作品だけだ。
ちなみに残る3人は、『ビリー・ザ・キッド対ドラキュラ』『ジェシー・ジェームスとフランケンシュタインの娘』のウィリアム・ボーダイン、『血の祝祭日』『2000人の狂人』のハーシェル・ゴードン・ルイス、そして『グレンとグレンダ』『プラン9・フロム・アウター・スペース』のエド・ウッド。

ロイを演じたジョージ・ネイダーは、この映画の翌年にゴールデン・グローブ賞で有望若手男優賞を受賞する。
アリスをクローディア・バレット、マーサをセレナ・ロイル、考古学者をジョン・マイロン、ジョニーをグレゴリー・モフェット、カロラをパメラ・ポールソン、ローマンをジョージ・バロウズが演じている。
一般的には全く知られていないが、Z級映画のマニアに限れば非常に知名度の高い作品である。
製作総指揮のアル・ジンバリストは同年、これまたZ級映画のマニアには知名度の高い『月のキャット・ウーマン』も手掛けており、後に『昆虫怪獣の襲来』や『類猿人ターザン』といったポンコツ映画もプロデュースする。

音楽を担当しているのは、エルマー・バーンスタインという人物。
「へえ、あのエルマー・バーンスタインと同姓同名の人が映画界には他にもいるんだなあ。しかも同じ映画音楽の作曲家で」と思った人がいるかもしれないが、それは間違い。
この映画の音楽を担当したのは、『黄金の腕』や『荒野の七人』や『アラバマ物語』 や『モダン・ミリー』などに携わった、あのエルマー・バーンスタインである。
彼は1951年の『Saturday's Hero』が映画音楽家としてのデビューで、これが6作目。まだ当時は無名の新人だったのだ。

世の中にZ級映画は何本も存在するが、辻褄が合っていないということに関しては、この映画はかなりの高ランクにある(もちろんZ級としてのランク付けだ)。
っていうか、そもそも辻褄を合わせようとしている様子さえ見えて来ない。
ひょっとするとフィル・タッカー監督は辻褄が合っていないことに気付いていないんじゃないかとさえ思ってしまうぐらい、辻褄の合わない話が堂々と展開している。

ジョニーが洞窟に入ろうとすると雷鳴が轟き、どうやら落雷に打たれたらしいジョニーが倒れる。でも雷に打たれたとすれば間違いなく即死だが、死んでいない。
で、洞窟の中でも光がチカチカして、空でも光がチカチカして、カットが切り替わると急に複数の恐竜が戦っている様子が写し出される。
これは1940年の『紀元前百万年』と1951年の『燃える大陸』から拝借した映像だが、何の意味があって挿入しているのかはサッパリ分からない。
ローマンが地球を攻撃した方法は光線で、滅亡の原因は地球人同士の戦争なんだから、恐竜なんて全く絡んで来ないでしょうに。

他の映画から特撮部分の映像を拝借するにしても、なぜ恐竜の登場シーンをチョイスしたのか。
恐竜の映像を使うのなら、ちゃんと繋がるようにシナリオを作れよ。
恐竜の映像は既に存在しているんだから、そこに合わせてシナリオを改変することは難しくないはずで、それが出来ていないってのは単に手抜きをしているだけだ。
手抜きっていうか、たぶん意図的に手を抜いたということではなく、そもそもテキトーな感覚で作っているんだろう。

で、無意味な恐竜の映像の後、爆発のカットが挟まれて洞窟のシーンに戻ると、さっきは無かった台や機械が置いてある。
その辺りからシャボン玉が吹き出しており、洞窟の中では閃光が走っている。
ちなみに、その後もローマンが遺跡へ向かっている途中で閃光が走ったりするので、何を意味している映像表現なのかは良く分からない。
ローマンがジョニーを攻撃する時に閃光が走って効果音がするので、ってことは光線を発射している時の表現のはずだが、それにしては洞窟でも同じような映像表現があるしなあ。

洞窟の中から登場するのはタイトルにもなっているロボットモンスターのローマンで、たぶん宇宙人という設定のはず。
だが、ただ単にゴリラが潜水用のヘルメットを被っているだけにしか見えない。
っていうか実際、そういうことなのだ。
ジョージ・バロウズが持っていたゴリラのキグルミに潜水用のヘルメットを被せただけで、それを「宇宙から来たロボットモンスター」と言い張っているのである。

ジョニーは昼寝の時に「もしも父さんが生きていたら昼寝しろなんて言わないよ。僕らには父さんが必要だよ」と言っているので、その段階では父親がいない設定だ。
ところがローマンを目撃したジョニーは急いで帰宅し、考古学者に「父さん」と呼び掛ける。
父親が存在し、しかも父親は考古学者。ワケが分からない。
で、さらにマーサが「私たちの許可無しに、このバリアから出るなと注意したでしょ」と言い出す。
さっきは一緒に昼寝をしていたのに、そこもワケが分からん。
考古学者は「ローマンが地球に来て酷いことをしたのは知ってるよね」と話すが、地球人はローマンの攻撃だと気付かずに戦争を始めたはずなのに、なぜか彼は襲撃を知っている。しかも「私たちだけが生き残れた理由は、ローマンの光線を跳ね返す方法を発見したからだ」と話す。
いつの間に、そんな光線を発見していたのか。

考古学者は、「ローマンの光線を跳ね返す方法を発見した。家の中にいる限り、ローマンは我々の存在に気付かない」と話す。
しかしバリアーで守られていない洞窟の近くにジョニーやロイが隠れている時も、ローマンは全く気付かない。
それについてロイが疑問を抱くと、アリスは「近くに価値が無かったのよ」と言う。
もちろん、それは本気で言っているわけではないのだが、じゃあ気付かなかった本当の理由は何なのかというと、その答えは用意されていない。

モニターに写ったローマンの「5人隠れているのだろう」という言葉を聞いてロイのことを気にした考古学者は、「新薬が出来たのもロイの協力があってのことだ」と言う。戻って来たロイは、「ある科学者が助手の協力を得て、全ての病気に免疫のある新薬を発見した」と話す。
君らって考古学者と助手だよね。医学関係の専門家じゃないよね。
さらにロイは「新薬の実験台は博士の家族と僕とジェイソンとクラウドだ。ということは、それはローマンの光線攻撃にも免疫力がある」と言い出す。
いや、何が「ということは」なんだよ。何の根拠があって、その薬がローマンの光線攻撃に免疫力があると断言できるんだよ。
あと、いつの間にか宇宙プラットホームなる場所があって、そこから宇宙船が出発することになっているのね。

マーサは何度も「ローマンと話し合うべき」「話し合えば解決できる」と言っているが、もう残り6名になるまで人類を滅ぼしている相手に対して、なぜ「話し合いで解決できる」と思えるのか。
あと、ローマンは洞窟の中でウロウロしているだけで、ちっとも生存者を捜索しようとしないのね。
本気で街を捜索したら、たぶん数日で発見できると思うぞ。
っていうか、もう戦争で人類が街を滅ぼしてしまっているので、今さら「街をそのまま保存したい」という望みも断たれているんだし、デカい爆弾でも仕掛ければ一発だと思うぞ。

考古学者はマーサからローマンと話し合うよう求められた時、それを承諾した態度を取る。
ところが修理を終えたモニターでローマンと通信いると、「我々はお前に屈しない」と強気に告げる。
それに対して、マーサが反発したり、驚いたりする様子は無い。
で、なぜか考古学者は、自分の家族をローマンに紹介する。何の意味があるんだよ。
そんでローマンはアリスに惚れて、待ち合わせの場所に遺跡を指定するが、ただの一軒家だ。

ジョニーを捜しに出たロイとアリスは、すぐ近くにローマンがいるのに、なぜかラブシーンを始める。ローマンが歩いている様子と2人のアツアツぶりがカットバックで描かれるんだが、どういう狙いがある演出なんだ、それは。
あと、近くにローマンがいなかったとしても、ジョニーを捜す目的はどうなったんだよ。
で、帰宅したロイとアリスは、急に結婚を宣言する。メチャクチャだな。
そんで、ささやかな結婚式を挙げるトコまではいいとしても、なんでハネムーンに出掛けちゃうんだよ。外へ出るのは危険じゃなかったのかよ。
おまけにロイとアリスだけじゃなく、カロラまで平気で出掛けちゃうし。

で、指示に従わない手下に激怒した指導者が手から光線を発すると、なぜか大爆発が起きて地球のローマンが死ぬ。そんで指導役が「宇宙光線で地球を抹殺する」と言うと、また恐竜の戦う映像が挿入される。
そして地割れが起きる映像からカットが切り替わると、ロイがジョニーを抱えて洞窟へ戻り、「どうやら転げ落ちたみたいだ」と考古学者に告げる。そこへマーサとアリスとカロラが来て、ジョニーが「あれっ、夢だったのかなあ」と首をかしげる。
つまりね、この話は夢オチだったのだ。
辻褄が全く合ってないいことを、最終的には「全てはジョニーの夢でした」ということで解決しようとしているのだ。

そりゃあ夢の中であれば、辻褄の合わないことなんて幾らでも起きるよ。だから、さっきまで無かった物が急に出現したり、人間関係が唐突に変化したりすることも珍しくないよ。
ただ、それをOKにしちゃったら、もう何でも有りじゃねえか。
しかも、そういう「不可思議なことが次々に起きるファンタジー」という色合いで描いているならともかく、そうじゃないので、やっぱり「ただデタラメなだけ」にしか思えないのよ。
ひょっとすると『不思議の国のアリス』的なことをやろうとしたのかもしれんけど、だとしても雰囲気作りが出来ていないので、完全に失敗している。
デタラメな内容を何とか誤魔化すために、夢オチという最も避けるべき方法に頼ってしまったとしか思えんのよ。

(観賞日:2014年6月25日)

 

*ポンコツ映画愛護協会